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■偵察衛星、期待と課題 あす打ち上げ
                      24時間以内に写真撮影可能/劣る解析能力、かさむ費用 
                      28日に打ち上げられる日本初の情報収集衛星(偵察衛星)は、軍事情報を集めるのが主な目的だ。朝鮮半島情勢
                     が緊迫するなかで、これまで米国に頼ってきた画像情報を自前で取れることへの期待が政府内には強い。しかし、米国の
                     軍事衛星と比べると能力が低い、運用費用が高くつく、情報を分析する専門家の育成が追いついていない――といった問
                     題が数多く残されている。 
                      今回打ち上げられるのは、光学センサー(望遠鏡)を備えた衛星と、悪天候や夜間でも撮影が可能な合成開口レーダー
                     を備えた衛星の2機。今年夏にも同様の組み合わせで打ち上げ、04年3月ごろから4機体制で本格的な運用を始める計
                     画だ。計画が成功すれば、地球上の特定地点を24時間以内に撮影することが可能になる。 
                      政府はこれまで、画像情報が必要になった場合、米国の商業衛星イコノスを運用する民間会社から写真を購入してい
                     た。ただ、発注してから写真が届くまで1、2カ月かかる。米政府からの要請で購入できない場所もある。 
                      自前の衛星を持つことによって、こうした問題は解消される。衛星を運用する内閣衛星情報センターは「首相官邸から
                     緊急に要請があれば、3、4日で必要な写真を届けることも可能」と言う。政府がどこに関心があるのか、外部に漏れる
                     心配もない。 
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                      ただ、政府が打ち上げる衛星の解析能力(分解能)は約1メートル。これに対し、米軍の軍事衛星は15センチまで進
                     んでいるという。駐車場を撮影した写真で比較すると「1メートル」では車があるという程度しかわからない。一方、
                     「15センチ」では車種まで特定できる。 
                      精密さが求められる軍事情報の分野では、自前の衛星を持っても、引き続き米国の情報にも頼らざるを得ないのが実情
                     だ。 
                      一方、衛星4機にかかる予算は計2千億円、地上の受信局や情報分析のためのセンターの整備にも500億円かかる。
                     衛星の寿命は5年で、4機体制を維持するためには代わりの衛星を次々打ち上げる必要もある。自民党の国防関係者は
                     「単純に割れば今後、毎年400億円ずつかかる計算になる」と指摘する。 
                      もちろん、衛星情報は秘匿性が高く、費用対効果を単純に検証することは難しいが、自民党国防族からも「米国からも
                     写真を買い続けるのなら、費用が二重にかかるだけだ」との声が出ている。 
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                      画像をどう分析するかも課題だ。同センターで約100人の職員が各省庁から要請があった画像の一時的な分析や仕分
                     けを行い、各省庁が専門的な見地からさらに詳細な分析を行うことになるが、こうした分析官は「育成途上」(政府関係
                     者)だ。 
                      そもそも、地球上のどこを撮影するかの正確な情報がなければ撮影場所の狙いを絞ること自体が難しい。効果的に運用
                     するためには、正確な地理情報や国際情勢を把握できる人材の育成も必要になる。 
http://www.asahi.com/paper/politics.html
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。