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Re: ヘビメタ小僧が水で走る車を完成させていた
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投稿者 だー 日時 2003 年 5 月 13 日 03:36:01:

(回答先: ヘビメタ小僧が水で走る車を完成させていた 投稿者 HAARP 日時 2003 年 5 月 10 日 15:22:15)

水素を燃料に使うのはものすごく大変

それに以上に難しいのは、水素そのものを燃料にするために、どう作り、供給し、保存し、そして使うか、という問題。これをクリアしないことには、水素を直接使う燃料電池も現実の生活の中には入って来ない。そしてエネルギー革命は、“well to wheel”、つまり原料採取から消費までの全プロセスで、環境影響を、効率を、コストを、考えて行かなくては成立しないし、論じられない。
まず「作る」。今は、天然ガスから炭素分を除いて作るのが主流。つまりそこでCO2が出る。水素を使う現場では、燃料電池にせよ、燃焼にせよ、水以外の生成物はないか、ほとんどないにせよ、well to wheelで見れば、他の環境影響物質が生成するわけ。となれば、天然ガスをそのまま内燃機関の燃料として使うのに対してアドバンテージがあるだろうか。太陽エネルギーや水力などの自然エネルギーで発電し、その電力で水を電気分解して水素を作る、という方法でないと「究極のクリーン・エネルギー」とはならないわけで、BMWも、燃料電池推進派の旗頭であるダイムラー=クライスラーもそういう未来ビジョンを描いてみせるのだが−。
そして純水素を燃料にする場合の最大の問題が、輸送〜保存〜供給。気体(ガス)+圧縮も難しい。超低温・液化も大変。ミュンヘン空港の実用検証システムを見ても、相当に大がかりなものになっている。液体水素貯蔵プラントとロボットアームによる自動充填システムぐらいのものは、安全性なども含めてどうしたって要るのだが、それを今からインフラとして構築してゆくのは大変。おそらく十年、二十年という単位で考えても、各国・地域の限定されたエリアに整備するのが精一杯だろう。電気自動車用の充電インフラ(これも結局、停滞してしまっている)よりも難しい。
そして貯蔵プラントでも、そこで充填したクルマのタンクでも、水素を安定して保持しておくのは難しい。昔からの鋳鉄ボンベだと、満タンにした水素ガスは1週間程度で逃げてしまう、という。我々の宇宙で最も小さな分子(分子量わずか2)である水素分子は、タンクやバルブ、配管などのちょっとした隙間も抜けてゆくのだ。最近はその透過を抑える特殊フィルムなどもあって、今回の750hLのタンクも「逃げ」はほとんどないという。でも使わないまま貯めておくと、タンク内の温度が上がり、マイナス253℃を越えれば液体水素が"沸騰"する。そしてタンクの中の圧力が上がる。それをタンクの強度限界内に保つために、ガスを放出する。このガス化〜圧力上昇〜放出で、今のタンクでは1日1〜2%ずつ水素が失われ、まったく使わないと50日ぐらいで空になるという。この保存能力を、倍、あるいは3倍にすることを目指している、ということだが。
こうしたハードルをクリアして、純水素が燃料として使えるようになる日がきた時、個人的には、燃やすよりも、燃料電池に使ったほうがいいのかな−と思う。BMWとしては将来も、現在の姿のクルマ、人々に偏愛されるクルマを残したい、と考えているのだろうが。「クリーン」「サステイナブル(持続可能な)」。これからのエネルギーに求められている大きなテーマ。私もいつの日か、純水素と自然エネルギー起源の電力をエネルギー源とする日が来ないと、人類という種の未来はない、と思っている。しかしそれは簡単に手にできるものではないのである。で、次回は「燃料電池も難しい」というお話。

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