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【マイケル・ムーア】しつこいようだけど、この人は過激かつまじめなだけでなく、十分笑える
http://www.asyura.com/0304/bd26/msg/257.html
投稿者 【マイコムから記事を紹介】 日時 2003 年 5 月 23 日 03:31:46:


以下の記事は、下記のメルマガに掲載されたものです。
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MYCOM PC MAIL 2003. 5.23 No.1353
COLUMN
[12] 東京バイツ 第129回 執筆=福冨忠和
しつこいようだけど、この人は過激かつまじめなだけでなく、十分笑える
http://pcweb.mycom.co.jp/news/2003/05/22/04.html


《ここから記事です》
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●COLUMN [12] 東京バイツ 第129回 執筆=福冨忠和
しつこいようだけど、この人は過激かつまじめなだけでなく、十分笑える
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同じ人物のネタで続けて3回書くのは気が引けるのだけど、ちょっとまだ書き足り
ない気がしているので、読者には失礼承知で今回もマイケル・ムーアの話だ。
『ボーリング・フォー・コロンバイン』は国内でもかなりの映画館で公開されたよ
うだけど、観客動員数が低いのだろうか、他のエンターテインメント映画などに比
べて、メディアではあまり話題になっていない。しかし調べてみたところ、『コロ
ンバイン』のパッケージ化はじめ、過去のムーア作品ですでに米国でビデオ販売さ
れている作品の『Roger & Me』、『The Big One』、『The Awful Truth - The
Complete Second Season』などが、年内に国内販売される見通しのほか、翻訳書の
発行も交渉が進められているようだ。もしかしたら日本での真のムーアブレイクは、
今年年末あたりになるのかもしれない。

次回作として発表された『Fahrenheit 911』もメル・ギブソンが制作支援を止めて
制作が危ぶまれていたが、ミラマックスの財政援助が決まったという報道も流れた
( http://www.cnn.co.jp/showbiz/CNN200305130024.html )。作品はブラッドベリ
の『華氏541(Fahrenheit 541)』から題名をとったもので「2001年9月11日の米同時
多発テロ以後の米国を描く中、事件の首謀者とされるオサマ・ビンラディン氏と
ブッシュ大統領家族との関係に焦点を当てたもの」(CNNサイト)とのこと。

作品・作者に関する論考では、大場正明「中産階級の想像力の欠如がサバービアを
不毛にする」(エスクァイア日本版増刊『新世代監督はアメリカ映画を救えるか』
エスクァイアマガジン)、町山智浩「緊急寄稿:戦時下のマイケル・ムーア、その過
激な言動」(『インビテーション』6月号 ぴあ)が良かったけれど、前者は米国の銃
社会に、後者はムーアのラジカリズムに焦点があり、前回、前々回の私のコラムも
含めて、この人の作品を魅力づけている重要な要素「笑い」については、うまく紹
介できていない。そこで、「笑い」の要素が前面に出ているムーアの過去の2つの
TVシリーズから、少しだけその内容を紹介しておこうと思う。

ちなみにTV番組『TV Nation』についてはその顛末を書いた本(Adventures in a TV
Nation)も出ている。ムーアの番組、『TV Nation』はNBC、フォックス系で94年か
ら計14回放送、『The Awful Truth(驚愕の真実)』はチャンネル4などを中心とした
パブリックTVやCATVで、前後シリーズ24回放送された。以下、TVシリーズの内容の
いくつか。

・ニューヨーク市内で黒人がタクシーを拾えない状況を明らかにするため、著名な
黒人映画俳優と前科のある白人2人などに並んでタクシーをつかまえてもらい、黒
人を乗車拒否したタクシー運転手にその理由を取材敢行。
・後のシリーズではムーア自身が白人を乗車拒否するタクシー運転手になり、実際
にニューヨークでマイノリティのみを乗せるタクシーを営業。
・在米のイラク人などを査察官に仕立て、米国のミサイルや生化学兵器の「査察」
を行ってもらい、実際の軍施設を査察。その成果をイラクの査察問題を討議してい
る議員に報告する。
・タバコ有害訴訟で敗訴し膨大な賠償金を科せられたタバコ会社を「慰める」ため、
咽頭ガンなどの結果人工声帯を使っている人による聖歌隊をつくり、各社を訪問し、
賛美歌をプレゼント。
・いわゆるヘイトグループ(人種差別主義団体)の動向に対して、愛のキャンペーン
を展開。集会場所などにマリアッチ演奏や人種混合チアリーダーを派遣して(ラブ)
パレード。
・同性愛を批判し規制法を提唱する議員などの誤解を解いてもらうため、
「Sodomobile(ソドモービル Sodom+Mobile)」というバン(自動車)にゲイの人で組
織した合唱団を乗せて現地に派遣、議員事務所や自宅前でコーラスを披露。
・「ビッグバード」のような鳥の着ぐるみ「Corporate Crime-Fighting Chicken
(企業犯罪摘発鳥)をいろいろな企業に派遣。ディズニーランドでの劣悪な労働条件
に際しては、「ミッキーと談判するため」鳥の着ぐるみ姿でディズニーランドに行
き、セキュリティガードに排除される。
・軍を派遣・進駐させる国を探しあぐねている米国政府に対して、中南米、フラン
スなど派遣先の国のオプションを提示。電話アンケートでフランスが1位となる。
・財布や手を銃と間違われて警官に撃たれることがある黒人たちの防衛のため、銃
と間違いやすい(と警察によって主張された)黒い財布などを間違いにくいオレンジ
色のものと交換してまわる。
・連邦ビル爆破事件との関連で話題となったミシガンミリシア(義勇軍)に対して、
ムーア風の「訓練」を提唱。一緒に遊園地で楽しく過ごす。
・観葉植物(Ficus)を正式に選挙に立候補させ、選挙活動を展開。実際にかなりの
成果をおさめる。

つまり、TVシリーズでは、問題に対する逆提案を実際に実行し、その反応を突撃取
材する、という映画でも一部使われている方法が前面に出ている。どれも極めてシ
リアスな問題にも関わらず、この逆提案の徹底したギャク化、ユーモア化は、天才
的と呼んでもいいくらいのもの。政治的な課題をお笑いまじえて批判し、問題の所
在を広く明らかにしていく、という方法。たとえば60年代のイッピー(青年国際党)
などのカウンターカルチャーの手法に近い。実際、イッピー指導者ルディ・ラッ
カーとアビー・ホフマンは、ピガサスという豚を大統領候補にするキャンペーンを
展開したことが有名だが、これがFicusの選挙キャンペーンの元ネタであることは
間違いがない。推測するにムーアはおそらく、自分がかつて協力したラルフ・ネー
ダーから市民の情報収集や専門性育成の重要性、それに「突撃ぶり」を学び、『ア
トミックカフェ』から情報の編集方法を学び、原一男から「しつこさ」を学び、そ
してイッピーから「政治的ユーモア」といったものを学んだのだろう。アメリカ社
会の問題とか政治的な課題と言った難しいことを抜きにしても、エンターテインメ
ントとして楽しめるマイケル・ムーアの姿が、TVシリーズにはあると思うのだ。

福冨忠和(Tadakazu Fukutomi)
vwyz@jca.apc.org

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