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自国通貨安競争について
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投稿者 Ddog 日時 2003 年 5 月 02 日 01:26:45:gb2b4T9TetGkU

(回答先: Re: 「経済理論がまるで通用しない」のは経済理論が不十分だから/「通貨切り下げ競争」は起きません [Ddogさんへ] 投稿者 Ddog 日時 2003 年 5 月 01 日 00:38:57)

経済理論がまるで通用しないは旧来の経済理論が通用しないに訂正させてもらいます。

あっしら先生:通貨切り下げ競争」は、国際取引が金本位制もしくは金現物の決済で行なわれていた戦前の大恐慌で横行したものです。

Ddog:変動相場制の現在でも、歴史は繰り返す可能性を、昨今の各国中央銀行の動きからして、切り下げでなく、自国通貨安競争を指向していると思えます。

あっしら先生:● 金本位制での「通貨切り下げ」効果
円安により自転車の国内価格が12円になればドル建て価格は9.6ドルになり、ぎりぎり競争力の上昇が実現でき、13円になれば10.4ドルになるので、逆に競争力を低下させることになります。 現在でも経済論理ではなく意図的な円安政策が求められたりしていますが、無条件に円安で国際競争力が上昇するという考えは虚妄です。

Ddog:あっしら先生質問です!このモデルの場合100%原材料は輸入し、生産性の向上といった要因は無視されておりますが、あくまでもこの前提であって、実体経済においても円安で競争力が上昇する考えは虚妄と断言できるのですか?
 経済学の弱点は、単純化モデルなど、一般相対性理論における特殊相対性理論のようなもの、ある一定の条件の前提に思考するが、実際そんな経済環境など存在しない。戦前のように比較的単純な仕組みで経済が成り立っているならいざしらず、現在の複雑な要因がからまる、実体経済にあっしら経済学は実態経済に、追いついていると自信有りますか?

あっしら先生:金本位制の「平価切下げ」(通貨切り下げ)でも、あらゆる国家が同じ率で「平価切下げ」を行なえば、国際的価格競争力は結局変わりません。また、「平価切下げ」を行っても、貿易赤字で金が流出することには変わりありません。(みんなが「平価切下げ」を行ない同じ貿易状況であれば、通貨表現での貿易収支規模は変わっても、決済に必要な金の量は変わりません)そのようなものであっても、「平価切下げ」により、金本位制で縛られている自国通貨の発行量を増加し「デフレ不況」を緩和できるというメリットを享受することはできます。

Ddog:では、自国通貨安政策をとらない国があれば、その国は競争力を失うわけですよね。少しでも競争力を持ちたい国が存在する限り、通過安競争は生じ易いということでもあるわけですね。デフレ経済下では不毛な切り下げ競争は繰り返されることは理論的にありうることになります。

あっしら先生:● 変動相場制で「通貨切り下げ競争」はない
変動相場制ではどうでしょう。 まず、通貨発行量が保有金量に縛られていない管理通貨制では、「平価切下げ」というかたちでの「通貨切り下げ」はできません。 できるのは、経済論理や政策を通じた「通貨切り下げ」(為替レートの下落)だけです。

Ddog:わかります。

あしら先生:「通貨切り下げ」を政策を通じて行なう手法としては「プラザ合意」のような政治的デタラメもありますが、基本的には、自国通貨への需要(国内への投資)を抑制する金利低下政策になります。(米国など外国が高金利政策を採ることも同じ結果ですが、主体的な「通貨切り下げ」ではないので除外します)これは、あらゆる国家が金利0%になれば、この政策による「通貨切り下げ」競争は終わります。

Ddog:ところが、人類の歴史上初めて短期金融市場においてマイナス金利取引が日本で成立した。そして、政策金利もマイナス金利の実施も検討されています。不勉強で恐縮ですが、今までの既存の経済学でマイナス金利の概念は存在したのでしょうか?手元にある経済学関連の書籍では見当たりません。あっしら経済学ではどう説明されるのですか?

あっしら先生:もう一つは、積極的な対外投資を促すことで円安に誘導するという方法が考えられます。既に5兆円ほどの対外投資があるので、それを上回る対外投資を実現しなければなりませんが、それが行なわれれば円安方向に変動するはずです。しかし、これは、国内で使われる通貨量がさらに減少しかねない要因でもあります。ドルなどに転換した日銀券を貸し出しできればそれを補えますが、ただでさえ貸し出し残高が減少している状況ですからそれが実現できずに、デフレが深化する可能性があります。この場合は、円安により輸出拡大&輸入物価上昇というインフレ要因と国内で使われる通貨量が減少するというデフレ要因のせめぎ合いになり、明確にデフレを解消できるとは言えません。

Ddog:円安による国内で使用される通貨量(需要)の減少が問題とされてますが、輸出増加に伴う乗数効果で、需要の喚起効果が大きいと判断されれば、通貨安政策は有効ではないか?

あっしら先生:ずばり円安だけを実現するのは「プラザ合意」のような強引な政治的手法しかありませんが、そのためには「プラザ合意」と同じような"国際協調"が必要です。このような"国際協調"を日本政府が引き出せるかどうかという問題を脇に置くとしても、"国際協調"ですから、「通貨切り下げ」競争という前提にはふさわしくありません。

Ddog:ニクソンショック以降国際協調といいつつアメリカのご都合で為替は変化してきたと認識しています。円安誘導が日米共通の利害が一致しつつあると観測しているので、現在ユーロの独歩高、円安ドル高が進行しつつあると判断します。もっともフローの資金は豪ドルカナダドルスイスフランへ主要三通貨より資金は流失中です。

あっしら先生:経済論理として「通貨切り下げ」を実現する方法は、諸外国以上にインフレ率を高める経済状況を生み出すことです。 (デフレ解消のために「通貨切り下げ」というのに、インフレにしなければならないのというのは自己矛盾です。しかし、財の交易条件という経済論理で「通貨切り下げ」を行なう手法はこれしかありません。逆に言えば、諸外国以上にデフレ率が高い国民経済の通貨の為替レートは高くなって当然ということになります) デフレ解消がテーマなので、インフレを通じた「通貨切り下げ」を説明してもあまり意味がありませんが、そうなる論理を簡単に説明します。 変動相場制で1ドル=1円だと仮定します。 米国はインフレ率が0%だとします。日本は財政支出を拡大させて5%のインフレを実現し、10円の自転車が15円になったとします。

Ddog:つまらないことで、申し訳ないが5%のインフレでしたら、10.5円ですね。年率50%のハイパーインフレでしたら1年で15円ですね。それとも年率5%のインフレが8年半続いた場合15円になりますね。

あっしら先生:このとき、円ドルレートが変わっていなければ、自転車の輸出価格は15ドルになり、対米輸出は絶望的になります。他の財も同じような価格上昇ですから、驚異的な価格競争力を持っている財だけが輸出されることになります。
(米国で需要がある財を日本でしか生産していなければ、その財は、量が減るとしても輸出は持続し、輸出額そのものは同程度になると思われます) 逆に、アメリカで10ドルで出荷できる自転車は、日本向けに10円で輸出できるので対日輸出が驚異的に増加します。競争関係にある他の財も同じような傾向を示します。

Ddog:もし、為替の調節なしで、10ドルのものが10円で輸出できたら、15円の自転車より価格競争力を増すのは当たり前ですね。よく分かります。

あっしら:日本のインフレの進行とともに、日本は貿易収支が悪化する方向に進み、米国は貿易収支が改善される方向に進みます。この過程を通じて、為替レートは1ドル=1.5円に調整されるはずです。(金融取引や投機はないとしてですが、あったとしても中長期的にはこの水準に収斂します)

Ddog:さて、あっしらさんは現実の経済にも精通されているはずだが、以下現実の今日経済を私が分析した考え方は、いかがに思います?
中国人民元と米ドルは連動しているので、日本から見た場合、米中を一つの相手国と考えては無謀だろうか?仮にドル国とした場合、アメリカは、ドル国の第三次産業と第一次産業。中国はドル国の第二次産業と、認識して考えては無謀だろうか?日本から見た場合そのように見える。
そう考えた場合…

あっしら先生:日米で水平分業が構造化しているのであれば、このような為替レート変動がなくとも、高い日本製品を買わなければならなくなる米国が、意図的に為替レートを1ドル=1.5円に調整するはずです。(米国は、4千億ドルもの貿易収支赤字を計上しているように、絶対的な供給力不足状態にあります)

Ddog:ドル国と日本はある種の水平分業は成立しているように思える。となれば円安ドル高は成立する。現状米ドルは円以外の通貨に対し弱ぶくんでいる。通貨切り下げ競争とは、均等に進行すると思わないが、やがて、ユーロ高ドル安が進行した場合どこかで是正する動きにでるでしょう。ユーロ高ドル安は米国の筋書きである。

あっしら先生:自国通貨安で交易条件は改善するのか
インフレを起こして為替レートを安くさせても、実質コストは変わらないので国際競争力が高まるわけではありません。
また、インフレを起こさずに為替レートを安くしたからといっても、必ずしも国民経済総体の国際競争力が高まるわけではありません。意図的な円安が国際競争力の上昇に貢献することもありますが、アジア諸国とのあいだで水平分業が進んだ現状においては、輸入財の価格上昇が国際競争力を打ち消してしまいます。(一部の輸出企業は好条件を手に入れますが、それで得た利益は現状のように再投資に回らない可能性が高いのです)「円安信仰」は、原材料のみを輸入し高付加価値財を国内で生産しているような時期にのみ通用するものです。

Ddog:あっしらさんの円安インフレ待望論は、そのような認識なのでしょうか?
円安インフレの効果は、先にマイナス金利導入と同じ効果です。滞留したフローの資金を再び流通するようになる効果を齎す。また、水平分業した工場を再び国内に呼び戻すことも可能でしょう。

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