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使用価値=交換価値→貨幣(具物化された複雑系)
http://www.asyura.com/0304/dispute9/msg/270.html
投稿者 まさちゃん 日時 2003 年 3 月 22 日 22:56:49:

(回答先: (Q5)貨幣の揚棄 投稿者 あっしら 日時 2003 年 3 月 22 日 21:06:44)

あっしら様、こんばんは。

経済学の用語で『使用価値』と『交換価値』がありましたよね、確か。

通貨というのは、使用価値が交換価値と一致する(注1)という特異な『商品』と理解しています。

ただその商品性から、利息取得性(=“旅”をさせると儲けという名の友達を連れて帰ってくる)と蓄蔵性(=いつまでも腐らない、朽ち果てない)を削ぎとれば、単なる『その時その時の交換のため手段』という、通貨本来(?)の姿に戻る、と言うことでしょうか。

国際金融支配層による挑戦は、通貨の使用法をめぐる戦いでもあるのでしょうね。

では、また。

(注1)鉛筆の使用価値は“字が書ける”こと。また、鉛筆は1本20円で他のものと交換できるかもしれない。
しかし、たとえ交換できなくても、鉛筆は鉛筆としての使用価値(=字が書けること)を失うわけではない。
ただし、鉛筆は使用とともに(時間の経過とともに)その価値を減じ、最終的には無くなってしまう。

一方、通貨の使用価値は“何かと交換できる”こと。そして、交換できなくなたら(←ハイパーインフレを想起されたし)、通貨はその使用価値をも同時に失う。
(紙幣の場合、トイレの後でオシリを拭くくらいには使用できそうだが、硬貨はちょっとキツそうだ(笑)。)
ただし、通貨は使用とともに(時間の経過とともに)その価値が減じるか増すか、そして最終的に無同然になるかは貨幣自体(『内部』)ではなく、貨幣の『外部』(=世界)の条件によって決まる。

その意味で、貨幣とは、世界の構成『要素』でありながら、世界『全体』をも反映・内蔵しているという、具象化した複雑系(注2)の典型なのでありますね。

(注2)西洋近代科学が成功した理由の1つに要素間還元論の採用があります(もう1つはあ・と・で!)。
つまり、全体を部分に分け、その各部分をまた部分に分け・・・と最終的に分割不可能(←これは原理的に、と実効上の2つの意味があり)な要素にまで分解(還元)してしまい、
その要素の性質を正確に研究して明らかにしてしまえば、あとは、それを総合(語弊はあるが、総和と表現した方がイメージに近いかも)すれば元々の全体の性質が理解できる
というもの。

しかし、部分・要素が全体に影響を与え、全体が部分・要素に影響を与えるような複雑なシステム(Complex Systems)(注3)が見つかり(←特に、生きているシステムにおいて)、
その理解論として期待されている(いた?)のが複雑系理論。

(注3)誰が訳したのか知らないが、Complex SystemsのComplexを複雑と訳したのはまずかったと思っている。
Complicated Systemsの訳なら複雑系でよい。
しかし、
Inferiority Complex Feelings:劣等複合感情(俗に言うコンプレックス)
Military-Industrial Complex:(いわずと知れた軍産複合体)
の例にあるとおり、Complexは複合と訳すべきだったし、その方が学問的にも正確だったと思っている。

(注4)複雑系理論の書物(入門書、専門書含めて)には
「複雑系理論は、従来の科学で主流であった要素還元論を否定(あるいは変更を迫ります)」
とはよく解説されているが、
(西洋)形式論理学における排中律の否定(注4)であることは、私の知る限りハッキリとは指摘されていない
ようなので、
ここに指摘しておく。部分は全体である(A)、部分は全体ではない(not A、¬Aと記す)が同時に成り立たない(A≠¬A)というのが排中律。(*)
先に説明したように、複雑系では、全体が部分に依存するだけでなく、部分が全体に依存する。つまり、全体(A)が部分(not A)でもある、というわけで排中律が成り立たない(A=¬Aがありうる)いるのである。
なお、生きているシステムや成長するシステムでは珍しいことではない。つまり、複雑系とは生きているシステムを分析するために(今頃になってやとこさ構築された)理論なのである(←学問って、そういうもんです)。
*もっと詳しい人なら、「二重否定を肯定と扱うか否か?」の問題である、とさらに分析されるであろうが、ここでは立ち入らないことにしましょう(笑)。

実は、西洋近代科学の成功は、この要素還元論と排中律の強力タッグが基礎なのである。

(注5)弁証法的論理学では、正(A)・反(not A)・合(B)
でという形式で、アウフヘーベンしてAでもありnot AでもあるBを生み出すことによって、排中律をある意味否定している(と私は理解した)。


#米国のイラク侵略に関係する書き込みをしなくてはならない(しなくてはいられない(?))であろうお忙しい時期、
貴重なお時間を割いてわざわざレスありがとうございました。


>「貨幣は人々の活動力の交換手段だ」と考えれば、貨幣は揚棄できることになります。
>現在の貨幣が持っている利息取得性と蓄蔵性にしがみついている国際金融家が、悔い改めるか、自分の墓穴を掘るか、人々に放逐されるかすれば、
>貨幣は揚棄され、たんなる人々の活動力の交換手段としての“何か”になります。

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