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第三十八回 右翼と左翼の奇妙な類似性
http://www.asyura.com/0304/dispute9/msg/429.html
投稿者 MT67(初投稿) 日時 2003 年 3 月 27 日 10:06:14:

http://hit-press.mercury.ne.jp/column/sk/sk38.html
より、

SKの社会を語る
世間の事件をSyunsuke開発が独自の視点で
“語る”社会派コラム。
 
第三十八回 右翼と左翼の奇妙な類似性


 11月3日、一橋祭企画として、我々一橋新聞部では、荒岱介氏(元共産主義者 「ブント」指導者)と鈴木邦男氏(新右翼団体 「一水会」元代表)の両氏を招いて、シンポジウム「未来志向の運動、その可能性」を開催した。右翼と左翼という、一般にはタブーとされている問題に踏み込んだ興味深いものであった。

 ところで、一般的には右翼と左翼は相反するものとして解釈されている。確かに、保守主義、国粋主義的な右翼と急進的、社会主義・共産主義的の左翼は思想的には明らかに相反するものである。

 しかし、実際にはどうか。両者は一見正反対に見えるが、実際は類似している。「組織化の社会心理学」(カール・E・ワイク著 遠田雄志訳 文眞堂)P70に、社会学者マリー・デイビスの興味深い理論がある。そこでは、「反対性」という概念が紹介されている。

「似ていると思っているものが実は正反対のものであったり、逆に正反対に見えるものが実は類似している。」

 後者の例として、右翼と左翼が紹介されている。極右派も極左派も自己の心理を絶対とするという点では類似している。

 「組織化の社会心理学」には、デイビスがアレンジした「共変動性」という概念も紹介されている。(P71)

「現象間の共変動性が直線的だと思われていたのに、実は曲線的である」

 この本では、上流階層と下層の人々は互いに似ていて、共に中流階層とは違う点が多い、トップ・マネジメントと作業員はミドル・マネジメントより互いに似ている、という2つの例が記されている。

 つまり「両極端は似ている」ということである。右翼も左翼も、思想の面では両極端であるが、行き着く先は似ている。右翼も左翼も自己が絶対的正義と思う事により、他者の批判を意に介さなくなり、結果として全体主義になり、独裁・恐怖政治を展開する。日本の右翼・左翼を考えると、右翼は天皇の下での全体主義、左翼は天皇を排して市民平等の名の下の全体主義である。その先に待つものは、1人の独裁者や支配者層による独裁政治であり、恐怖政治である。この点で、ソ連や共産主義に懸念を示して右翼・軍部と手を結び、大政翼賛会を結成した近衛文麿が晩年、「右翼も左翼も同様であった」という発言をしたことは、的を得た発言である。

 「正反対のものが実は類似している」、「両極端は似ている」ということは、世の中では厳密な意味での対立軸は存在しないということにも繋がる。「我思う、故に我在り」で有名なデカルトの二元論や、キリスト教に見られる絶対正義と絶対悪といったものはすべて否定されるということになる。民主主義・文明対テロリズム、キリスト教対イスラム原理主義といった現在の国際社会の構図は成立しない。日本でいうと、保守対リベラル、護憲対改憲、都市対農村といった対立軸も成立しないということになる。

 ワイクの本から導き出される結論は、両極端のものでも行き着く先は一緒であり、世の中の事象は正確に二分することはできないということである。それでも、我々の身の回りでは互いに決して相容れない事象は多くある。そして、多くの人はそれが当然と認識している節がる。何故だろうか。

 私が思うに、前提条件に対立軸が存在すると、自らの存在意義が立証しやすくなるからだと思う。マクロレベルで見ると、仮想敵国として旧ソ連を想定した安保条約や共産主義・社会主義に対抗する保守党として成立した自民党がそれに当てはまり、ミクロレベルでは部落問題や狂人の存在などが挙げられる。これらはすべて敵を想定することにより自己を確立しているものばかりである。結局デカルトの二元論の範疇を出ないものである。

 しかし、現在社会は情報技術の発達によって外部環境や内部構造の中に不確実性が増大し、価値観が多様化している。そのような中で無理に二極対立構造を作り出そうとすると、歪みが生じるのは明らかである。結果として周囲に目を向けなくなり、批判勢力を弾圧するカルト組織や独裁者が誕生することになる。

 今、右翼・左翼と聞くと多くの人が蛇蝎の如く忌嫌い、タブー視している。かつては双方共に国のためを思って活動したにも関わらず、無理に対立軸を作り出してそれを絶対のものとした結果、現在の状況になってしまったのである。前述の鈴木氏や荒氏は、そのことを認識し、新たなる道を模索しているようである。我々も、従来の二元論に基づいた観念を放棄し、外部に対し開放的でなければならない。その時点ではいくら違っても、両極端の事象の行き着く先は同様なのだから。

【開発俊輔】

〜参考記事
http://www99.big.or.jp/~seiten/conviction/profile/wings.html

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