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昨今、デフレ不況でリストラ計画はどこもあたりまえだが、東急百貨店が今度始めたリストラ策は、業界のなかでも「あれはひどいね。社員がかわいそう」（ライバル百貨店幹部）と同情の声が上がっている。
東急百貨店が、５００人の希望退職者を募集し、さらに全社員に年俸制を導入、退職金の一律２０％カットなど給与体系の見直しと人事制度の変更を検討すると公表したのは先月末。
それがなぜ、問題なのか。業界関係者が解説する。
「東急百貨店が経営再建計画を発表したのは３年前ですが、売り上げ、利益とも目標を下回り、昨年２月に再建計画を見直したばかりなのです。ところが、この１月期の決算は、見直し後の目標よりも売上高で５％、営業利益で１３％、経常利益では３０％も下回る見通しになったんです」
つまり、計画のつくり方が甘く、何度も“見直し”ばかりをやってきた。そのツケを社員に回しているというのだ。
東急グループの中核会社・東急電鉄のある幹部もいらだちを隠さない。
「計画通りにいきませんでした、と謝ってすむことなら経営者はいらない。目標をつくった以上、その目標を達成させるのが経営者の役目。もう失敗は許されない」
昨年見直した再建計画は、本店や札幌店の改装によるブランドの入れ替えなども考慮に入れて、手堅く見積もった数字だといわれる。また、この１年間でパン製造会社のサンジェルマンを売却するなど、子会社や関連会社の再編を進めてきた。
だが、肝心の本業建て直しがうまく進まなかった。東京・渋谷の本店をはじめ、稼ぎ頭の東急東横店、外商、通販事業を含めた売上高は、昨年４月以降、前年実績を割り込んでいる。
計画目標を下回り、グループ中核の東急電鉄からのプレッシャーも受けた。逃げ場を無くした東急百貨店経営陣は、収益改善を急ぐために、人件費削減を打ち出した。それが今回のリストラ策発表の背景だ。
だが業界内には、そもそも再建計画自体に無理があったとの見方もある。
「百貨店・スーパーの売上高は６年連続でマイナスが続いています。“デパ地下”ブームも落ち着いてきた。世の中、デフレであり、消費不振なんです。そんな時期に、中長期の再建計画をつくったところで役立ちません。その多くは、３−５年後に目標達成となるのですが、だいたい裏切られる。特に流通はひどい。ダイエーがいい例で、毎年のように見直しているじゃないですか。東急百貨店にしても同じですよ」（流通担当アナリスト）
結局、最後に損な役回りを演じさせられるのが社員たちだ。東急百貨店の場合、希望退職募集は今回で４回目。たとえば９９年には３５００人を超える社員がいたが、今回の人員削減で社員数は１９００人まで減少する。
「はっきり言いますが、今回のリストラは経営不振の責任を全社員に押しつけたものですよ」
こういって憤る社員も増えていてモラルの低下が心配されだされているという。
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。