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生保破綻前の予定利率引き下げ、実効性は限定的――「質への逃避」加速も  standardandpoors
http://www.asyura.com/0304/hasan25/msg/1175.html
投稿者 小耳 日時 2003 年 5 月 13 日 19:12:14:

(回答先: 須田慎一郎氏:生保・予定利率引き下げ法案は本末転倒  統一地方選後に提案、まさに“金融庁の陰謀”!  [株ZAKZAK]【行政権限で“解約停止”】 投稿者 あっしら 日時 2003 年 5 月 13 日 17:03:33)

生保破綻前の予定利率引き下げ、実効性は限定的――「質への逃避」加速も  standardandpoors

アナリスト: 黒木達雄、東京 電話 03-3593-8329

生命保険会社が既存の生命保険契約の予定利率を、破綻する前に引き下げることを可能とする保険業法改正法案が、今通常国会に提出されるとの見通しが新聞などで報じられている。詳細はまだ明らかでないが、スタンダード&プアーズでは破綻前の予定利率の引き下げについて実効性は限定的になるとみている。一方で、改正後の劣後ローンの取り扱いによっては、劣後ローンを自己資本の一部と位置づけてきたこれまでのスタンダード&プアーズの見方に影響が及ぶ可能性がある。なお、生保が予定利率の引き下げを行った場合には、たとえ破綻前であっても保険契約上の債務不履行とみなし、当該生保のカウンターパーティ格付けを「D(債務不履行)」もしくは「SD(選択的債務不履行)」に引き下げることになる。

予定利率引き下げの効果は限定的

昨今の超低金利下、実際の運用利回りが予定利率を下回る、いわゆる逆ざや問題は、 生保の財務を圧迫する大きな要因となっている。しかし、スタンダード&プアーズはこれまでも、それが日本の生保が抱える問題のすべてではないと指摘してきた。仮に予定利率引き下げによって逆ざやが減少したとしても、株式などの時価下落による資産の劣化や、長期的な保有契約の減少にみられる消費者の生保離れといったその他の大きな問題は依然として残り、生保各社の財務力を引き続き圧迫するとみている。

また、予定利率引き下げによって、解約の増加や新規契約の落ち込みに拍車がかかる可能性も否定できない。厳しい財務状況を開示したうえで、予定利率引き下げという部分的治療を施した生保は、たとえ逆ざやが減少したとしても、保険契約者や消費者から財務の健全な会社とは受け止められないおそれがあるためである。その場合、財 務力の改善が限定的になるだけでなく、さらに悪化することすら考えられる。

不透明な基金・劣後ローンの位置づけ

保険業法改正案には、予定利率引き下げとともに、相互会社の自己資本にあたる基金を減額し、銀行などの基金拠出者にも負担を求めることを可能とする制度も盛り込まれる見通しと報道されている(広義の自己資本とされる劣後ローンの取り扱いは不 明)。現行の更生特例法による破綻処理の場合、保険契約者には先取特権が付与されているため、基金や劣後ローンといった下位債権が全額毀損した後で初めて負担を求められる仕組みとなっている。両者を比較した場合、債権の優先劣後関係という観点に絞ってみれば、破綻前の予定利率引き下げは保険契約者にとって不利益な変更と映るだろう。

同時に、基金や劣後ローンを完全に毀損させずに保険契約者に損失を求めることは、生保の自己資本とは何かという根源的な問題を提起することにもつながる。スタンダード&プアーズはこれまで、保険財務力格付けを付与するに際し、基金については調達期間が非常に短いことなどを理由に自己資本ではなく負債とみなしてきたが、劣後ローンについては、調達期間や利払い繰り延べ条項など所定の条件を満たせば自己資本の一部として認めてきた。しかしながら、破綻前の予定利率引き下げの導入によって、劣後ローンが全額毀損することなしに、保険契約者の債権を減額することが可能となれば、生保が有する劣後ローンを自己資本の一部として認めることが格付け上、適切かどうか、検討する必要性があると考えている。劣後ローンを保険契約者の債権を守るバッファーとしてみることが困難になるからである。

「質への逃避」で財務力の二極化が加速

スタンダード&プアーズでは、破綻前の予定利率引き下げが保険業法改正により可能になったとしても、実際に引き下げを申請するのはすでに財務がひっ迫した生保に限定されると考えている。報道によれば、予定利率引き下げは、社員総代会での特別決議と契約者からの異議申し立て期間を経て正式決定されるとしている。仮に否決された場合、厳しい財務状況を一旦開示した会社が、そのまま経営を続けられるとは想定しにくく、否決された段階で更生特例法の申請へ移行する可能性が高いと思われる。否決されるリスクがある以上、否決された場合の対応も覚悟したうえで申請すると考えるのが自然であろう。

一方、保険契約者や消費者はこれまで以上に生保の財務の健全性を重視することになろう。その結果、すでにみられる「質への逃避」現象がさらに強まり、財務内容の優劣の二極化が一層加速していくことは避けられないであろう。

なお、昨年11月に発表したリポート「S&P、生保会社の予定利率引き下げに関する見解」で述べた通り、スタンダード&プアーズでは、予定利率の引き下げが行われた場合には、それが破綻前であっても保険契約上の債務不履行(デフォルト)として認識する。したがって、当該生保のカウンターパーティ格付けを「D(債務不履行)」もしくは「SD(選択的債務不履行)」に引き下げたうえで、財務力の改善状況を確認しながら段階的に見直していく方針である。

http://www.standardandpoors.com/japan/newsbriefs/news2003/cms/ratings_news2003_05_12b-cms.html

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