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[QUICK]「日本経済に夜明けが見えてきた−資源再配分政策こそデフレ脱却策」ロバート・A・フェルドマン氏 モルガン・スタンレー証券 チーフエコノミスト
http://www.asyura.com/0304/hasan26/msg/200.html
投稿者 Ddog 日時 2003 年 5 月 15 日 22:49:06:gb2b4T9TetGkU

(回答先: [QUICK]エコノミスト「ユーロ高の次は為替切下げ競争?」J.P.モルガン証券会社 調査部長 菅野雅明氏 投稿者 Ddog 日時 2003 年 5 月 15 日 22:32:07)


「日本経済に夜明けが見えてきた−資源再配分政策こそデフレ脱却策」
ロバート・A・フェルドマン氏 モルガン・スタンレー証券 チーフエコノミスト

【問】日本経済再生の処方箋として何を重視されますか。

【答】先ず、日本経済が直面している長期的問題、すなわち、高齢化問題を背景に短期的問題を考える必要がある。高齢化が進むにしたがって労働人口が減少すると、人口一人当たりの所得を上げることが難しくなる。これは経済にとって大問題だ。短期・長期あらゆる政策を雇用再生を背景に考えないといけない。具体的には、「生活水準=労働参加率×生産性」という方程式からも、現在の生活水準を維持していくには労働参加率を上げるか、生産性(労働生産性、資産生産性)を高めるしか方法がない。高齢者や専業主婦をしている女性の就労で労働参加率の低下は抑えられるが、実際には参加率は大きく上昇しない。移民政策は一考に価するがコスト高だ。労働参加率の低下は不可避の情勢だ。生活水準を落としたくなければ生産性を高めるしかない。日本全体の生産性を向上させるためには、企業経営の効率化や、政府・行政といった公共部門の効率化が不可欠だ。まさに、構造改革なくして景気回復なしだ。

【問】景気回復の最優先課題とされるデフレ問題にどう取り組むべきでしょうか。

【答】デフレに対応するには、先ず、どこに病理があるのかを考えないといけない。物価が下落しても賃金が上がっている限り誰も文句を言わない。デフレが問題となるのは、物価が下落し、賃金も下がっている場合だ。
では、何故、賃金が下がるのか。資源の再配分が十分に行われていないからだ。例えば、20年前、傘の値段は1,000円、2,000円と高いものばかりだった。それが今はコンビニで300円台で買える。中国などからの安値輸入によるものだ。これは、消費者にとっては有難い話だが、国内の傘職人にとっては中国との競争に敗れて失業というネガティブな結果だ。失業によって賃金水準が全体として下がる。そこで、その人達が職業の再訓練を受ける。例えば、コンピュータプログラミングなどIT関連の就業訓練を受けて再就職した場合には、たとえ傘の値段が下がっても、彼等が職に就いているなら賃金は下がらない。つまり、問題となるのは、競争力がなくなった産業から将来性ある産業へ労働移動がスムーズに行われているかどうかだ。これは、日銀が紙幣を増刷してもしなくても起こり得る問題だ。現に、日銀は大幅な金利引き下げや紙幣増刷をここ数年続けているが、デフレに歯止めがかからない。この病理をよく見ないといけない。これはサプライサイドのマクロの問題だ。デマンドサイドの問題ではないと思う。日本のデフレは、労働市場の硬直化など資源再配分に起因する構造問題だ。資源再配分政策こそデフレ防止策だ。デフレの問題は賃金次第だと思う。

【問】金融政策が効力を発揮する手立てはないでしょうか。

【答】マネタリスト的な人達は、マネーサプライの増加は物価の上昇とデフレの終結を導くと主張しているが、マネタリスト・モデルの大きな問題は、貨幣流通速度が安定だという暗黙の前提にある。最近の水準を見ると、マネーサプライが増加しているにもかかわらず、貨幣の流通速度は低下している。こうした状況下で日銀が新たに資金を供給してもタンス預金に回るだけだ。金融政策が効力を発揮するには、貨幣の流通速度を安定させることが必要だ。そのためには構造改革が必要だ。不良債権処理を進め、不振企業を再生、若しくは清算する。金融システムが健全化すれば貨幣の流通速度は安定し、マネーサプライの効果は強まるだろう。

【問】デフレ進行は財政破綻など危機的状況を招くと指摘されています。

【答】財政がマクロ政策を打ち出す余裕がないほど逼迫しているのは確かだ。日本のプライマリーバランスは対GDP比で5〜6%の赤字だ。政府負債を対GDP比率で安定させるには、今のマイナス5〜6%をプラス4〜5%に改善する必要がある。それをお金に換算すると50兆円だ。この50兆円を埋めるのが財政支出削減と消費税率引き上げによる増税だ。実質GDPの潜在成長率はそれほど高くないから自然増収に多くは期待出来ない。 ただ、財政危機は過大な財政支出と税収不足によるもので、デフレ問題には直結しない。財政支出を増やせば景気が回復し、税収も増えるという考え方の背景にはケインズ モデルがあるが、このモデルには幾つか問題がある。先ず、支出を増やして需要を刺激しようにも、将来不安から貯蓄率が上昇し、消費が活発化しない。次に、長短金利の問題だ。膨大な財政政策が実行されれば、短期金利は日銀がコントロールして抑えているから問題ないが、長期金利は上昇する。金利負担は増え、企業は設備投資を手控える。企業倒産が多発する。さらに、ケインズモデルにはサプライサイドの問題が存在しない。過剰設備問題を考慮せずにデフレを議論するのは片手落ちというものだ。日本の実状にフィットするのは総需要総供給モデルだろう。

【問】インフレ目標導入や円安誘導の論議が盛んです。

【答】インフレ目標の導入には反対だ。当局からインフレ目標が発表され、それがマー ケットで信用されたら、債券市場では金利が急上昇する。債券を大量に保有している金融機関は破綻し、金融システムが機能不全に陥る。長期金利の急上昇で財政も破綻するだろう。
インフレ目標には、インフレ率を1%から3%の範囲内にするという上限設定があるから、インフレ加熱の恐れが出てきたら、上限堅持のスタンスで金融引き締めに誘導すればよい、との意見もある。しかし、実際に、コントロールするのは難しいだろう。今のデフレはマイナス1%だから、レンジの下限との差は2%。この差は相当大きい。 円安誘導にも反対だ。円安は日本企業の輸出競争力を高めるだけでなく、輸入物価が 上昇することで物価下落の歯止めになるとの効果が期待されているようだが、輸出産業の多くは既に国際競争力を備えている。物価が上昇して賃金も上がればよいが、実際に輸入価格上昇だけではそういうことは起きないだろう。

【問】2003年の日本経済をどう予想されますか。

【答】目先ミニ在庫調整局面入りした後、年後半には海外景気に後押しされ、緩やかな循環回復軌道に入るという中華鍋型の成長シナリオを予想している。在庫率は低水準。在庫調整による大幅景気悪化の可能性は低いと見ている。

【問】株式市場をどう展望しますか。

【答】今の株価は下げ過ぎだ。国際的に強い競争力のある自動車メーカーの株価収益率は異常に低い水準にある。先行き悲観論や不安心理から投資家が株式投資に慎重なのは合理的行動とも言えるが、ROAの改善、負債比率の低下といったミクロレベルの改善や、産業再生機構の始動など、日本経済に夜明けの気配を感じさせる新たな好材料も出てきている。投資家のセンチメントが好転すれば株価は上昇に向かうだろう。私は、株価に関して基本的には楽観的だ。 今後、株式市場では、勝ち組みと負け組みがさらに選別されるだろう。それは株式市場全体にとってはプラスだ。勝ち組みが負け組みの資産を買い易くなるから、不良資産は再生し、市場全体の時価総額は増加するだろう。

【問】時価会計の凍結や減損会計導入の延期など会計の変更をどうお考えですか。

【答】現実を正しく表す時価会計や減損会計導入を前提に株価が形成されているのだから、逆戻りは株価に悪影響を与える。資源を上手く使っていない悪い企業の株価が上がる可能性がある。第一、日本というブランドの失墜で優良企業の情報まで信用されなくなる。外人投資家は日本への投資を手控えるか、引き揚げればよいが、国内投資家は自国に対する不安を深めるだけだ。損失拡大が企業経営を圧迫するといっても、将来不安をどうやって減らすかは、企業にとって非常に基本的問題のはずだ。 生産性の向上こそ、経済成長に代わる日本経済再生のための国家的使命、目標とすべ きだ。日本企業の生産性を高める上でも時価会計の凍結や減損会計の導入延期を実行するべきではない。
(聞き手・QUICK情報本部 岡村健一)

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