★阿修羅♪ 現在地 HOME > 掲示板 > 国家破産26 > 603.html
 ★阿修羅♪
次へ 前へ
<TWP特報> 象徴・みずほ危機 日本経済の海図なき航海 ウイークリーポスト
http://www.asyura.com/0304/hasan26/msg/603.html
投稿者 小耳 日時 2003 年 5 月 26 日 11:30:05:

<TWP特報> 象徴・みずほ危機 日本経済の海図なき航海
http://www.weeklypost.com/jp/030530jp/index/index1.html

 日本を代表する、たとえば10人の銀行経営者、10人の企業家、10人の経済アナリスト、ついでに10人の中心的政治家、さらについでにいえば10人の霞が関の中枢官僚たち−−それら誰に聞いても、答えは間違いなくこう返ってくるに違いない。「こんなはずではなかった」。もし青写真どおりに進んでいれば、2003年の日本は、まずメガバンク4行を中心に金融システムが蘇り、全国津々浦々に資金が流れ、経済は見事に再生へと機首をもたげるはずだった。その中心に位置づけられていたのが“世界一の巨大銀行”みずほだった。が、みずほはあらゆる方面からの期待が大きかった分、あらゆる方面から失望され、今やどん底日本経済の象徴的存在とされている。なぜみずほは成功しなかったのか。経済ジャーナリスト、須田慎一郎氏がその病巣に切り込んだ。
なお、須田氏の著書『巨大銀行沈没』は、ベストセラーになっている。

(1) 行員家族30万人の失意
http://www.weeklypost.com/jp/030530jp/news/news_1.html

 日本興業、富士、第一勧業といったそれぞれに日本を代表する大銀行3行の統合によって誕生したみずほグループの総資産は150兆円。個人の預金口座数は実に3000万口座に達し、国内上場企業の7割にあたる約1600社と融資関係を持ち、うち4割のメーンバンクを務める。大手銀行全体に占める割合では、預金額で20数%、融資額で25%超と日本の金融システムのざっと4分の1を握る、とてつもない「巨大銀行」である。
 従業員数は、みずほコーポレート銀行、みずほ銀行を合わせて約3万人、グループ連結会社を加えて約5万人、嘱託や臨時従業員まで含めれば総勢7万人に及ぶ。仮に従業員それぞれが4人家族とすると、みずほグループから支給される給与で生活する人口は実に28万人。おそらくグループ周辺企業分を加えれば約30万人前後のボリュームとなるはずだ。これはどのくらいの規模か? 関東でいえば東京都の中野区や品川区、埼玉県所沢市、関西では大阪府吹田市や兵庫県明石市などの人口に匹敵する。
 3行統合による巨大銀行・みずほの誕生は、斜陽期を迎えた日本経済にとって「復活の象徴」となるはずだった。みずほに端を発する4大メガバンクの統合劇は、当時から脆弱といわれていた日本金融システムを強化し、日本企業の国際競争力を高めるための国家的プロジェクトといえた。
 ところが、その目論みは裏目に出る。
 新銀行として丸1年を迎えたみずほは、2兆円規模の不良債権処理や保有株の含み損処理がかさみ、業績が悪化。03年3月期決算では、上場企業で過去最大の2兆3800億円の最終赤字となる見込みだ。さらに株価は、みずほホールディングスが発足した直後の96万4000円から、この4月には5万8700円(みずほフィナンシャルグループ株価)と、実に16分の1の水準まで売り込まれた。これは額面50円で換算すれば100円以下の低水準であり、かつてなら「倒産株価」の烙印を押された。日本のリーディングバンクとしては「失格」といっても過言ではない。
 みずほは今や、日本経済停滞の象徴となってしまっているのだ。

(2) 現場を知らない経営者たち
http://www.weeklypost.com/jp/030530jp/news/news_2.html

 経済界からの期待と失望をみずほも自覚しているのだろう。1月21日、巨額赤字の見通しを発表したみずほは、「将来の懸念要因をここで一掃する」(前田社長)と宣言し、国内の取引先企業を対象とする1兆円規模の増資計画を発表した。1兆円のうち7000億円がみずほコーポレート銀行、残り3000億円がみずほ銀行に割り当てられた。
 この1兆円増資に関しては、「奉加帳」方式(※)が外部の取引企業やマスコミから批判を浴びたが、みずほ内部にも大きな傷痕を残した。
 大企業を中心に集めればいいみずほコーポレート銀行に対し、みずほ銀行は中小企業や個人から集めなくてはならない。2月末にかけて、みずほ銀行の行員たちは、文字通り「総力戦」を強いられた。支店の統廃合を完了していないみずほ銀行では、旧一勧と旧富士の支店が隣り合っているケースがあり、そうした地域では同じ銀行同士の“食い合い”が起こった。しかも、こうしたなりふり構わぬ増資かき集めは、将来、顧客との間に亀裂を生みかねない。そんな不安や葛藤の中で現場の行員たちは必死で増資獲得に奔走した。
 その結果、3月12日、みずほは1兆円増資を達成する。が、前田社長が意気軒昂に「達成した」という増資の裏で現場に残ったのは「疲労感だけだった」(同支店長)。これで行員のモラール(士気)が上がる道理はない。

※「奉加帳」方式/銀行の経営危機に際して、民間金融機関・ 企業から出資を募り救済すること。奉加帳は、もともと寺社や神仏に寄進する金額・氏名を記入した帳面を指す


(3) 「危機コントロール」の機能なし
http://www.weeklypost.com/jp/030530jp/news/news_3.html

 東京都千代田区丸の内。みずほフィナンシャルグループの入るビルのエレベーターを12階で降り、2か所のチェックポイントで暗証番号を入力し、先へ進んだところに、同社の社長・役員室がある。小さな講堂並みの広さの室内は、かつては21人の役員でごった返していたが、現在は前田社長以下、6人の役員のデスクと椅子が1か所に固められ、横には簡単な応接セットが置かれているだけ。大きなスペースが空き、ガランとした印象を与える。傍らには小さな冷蔵庫。役員たちは喉が渇くと緑茶やウーロン茶のペットボトルを自分で取り出して飲むのだという。
 豪華さとはほど遠いこの風景が、この部屋の主である巨大銀行のトップ・前田社長のイメージと不思議に重なる。前田氏はよくも悪くも質素な人物である。通常、銀行トップといえば恰幅がよく、自信に満ちた風貌を連想するが、前田氏の外見からはそれは窺えない。細身で色白。伏し目がちで相手の目を見て話さないことが多い。毎朝4時半に起き、7時前に出社。昼食の時間も決まって12時で、1階下の行員食堂で済ますことがほとんどだという。行内の人物評は「合理主義者」、「不思議な人」――。口さがない金融関係者の間では「うだつの上がらない地方自治体の助役風」と揶揄する声もある。
 かつて首脳の一人だった元役員はこう評する。
「みずほの失敗は大きく分けて3つある。ひとつは前田さんを社長に据えたこと。2番目が、3行の合併比率を本来の規模に見合った比率ではなく対等合併にしたこと。3番目が、02年3月期決算で国有化を避けるために半ば強引な数字合わせをしたことだ」
 この役員が「失敗」の筆頭に挙げるように、現在のみずほ凋落の“戦犯”として前田社長を糾弾する声は多い。件のシステム障害への危機管理対応が遅れただけではなく、国会では「利用者に直接に実害が出ているということではない」といった責任逃れとも取れる失言をした。また、その後の経営悪化や株価低迷の責任はもとより、再建に向けての強いリーダーシップを振るってこなかったこと――などが指摘されている。
 これまで触れてきたように日本経済浮沈の鍵はみずほが握っている。巨大銀行みずほは、そうした宿命を背負って誕生したのだ。
 炎上しながら、巨艦みずほの“海図なき航海”は、5月26日の決算発表、6月末の株主総会へと続いていく――。

 次へ  前へ

国家破産26掲示板へ

フォローアップ:
  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。