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法制度に依らずとも価値観を経済に反映させる事は可能
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投稿者 岩住達郎 日時 2003 年 5 月 29 日 04:41:43:

(回答先: 「利潤獲得の極大化」は「特定ミクロ経済主体」にとって手段であり、価値観は法制度に先行する 投稿者 あっしら 日時 2003 年 5 月 28 日 15:57:14)

私は数年前から、現在一般に使われている欧米人の価値観に基づいた経済指標を使うのを止め、日本国民の価値観に基づいた物に変えるように提案して来ましたが、グローバリストに洗脳された日本の経済学者や官僚には全く関心が無いようです。以下の文は2000年10月に政治討論掲示板に掲載された物です。

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経済指標の改革を

皆さん、今日は。

経済は通貨の額で定量化出来る為、数学的操作をやりやすく、様々な経済指標が提案され使用されて来ました。しかし現在使われているどの経済指標をとって見ても、生活環境の向上がもたらす事による人の生活に対する満足度を表現しておりません。これは、定量的経済学が発生して200年にもなる事を考えれば、驚くべき事です。今フランスで新古典経済学派が数学の応用に囚われて肝心の人間の営みとしての経済を忘れていると攻撃されているのは当然です。現在広く使われているGDPにしても、統計的手法が国によってまちまちで多くの欠陥がある事が分かっているにも係わらず、その数値が上下する度に政府や政治家は一喜一憂しています。我々が経済指標としてGDPだのROAだのEVAだのを使う限り、経済は量的拡大を至上命題としているのであって、少数の支配者の富は増えても、肝心の大多数の人間の幸福の最大化には何の関係もありません。この欠点を補う為、例えばGPI(Genuine Progress Indicator)なども提唱されていますが、政府や政治家の無策を批判する手段として使われるので一般に受け入れられていません。

現在の世界経済はアングロサクソン的価値観によって支配されており、その総本山といえるアメリカ社会では貧富の差が益々増大して貧民による革命運動が起こらないのが不思議な位の状態を呈しています。好況に沸く時期でこの有り様ですから、不況になればアメリカの貧民による暴動略奪放火の大量発生に至るのは避けられないでしょう。そして、経済失敗による社会不安はすぐに欧州に飛び火し、ロシアと中国へ広がる恐れがあります。現在採用されている経済指標は貧富の差を高める目的で考案されたわけでは無い事は明らかですが、今のままの経済価値観を維持する限り貧富の差の広がりは必然的で、社会不安の勃発は当然の帰結です。私は以前にも現在の経済指標の不合理性を指摘しましたが、以下に改革試案を述べたいと思います。

そもそも今の色々な経済指標は私利私欲最大化の原理に基づいて作られたものです。ここで私は私利私欲最大化の倫理の善悪を論じているのではありません。日本人だって昔から私利私欲に走る人は沢山居りましたが、常に社会的倫理の対象となり自然に抑圧されて来ました。物事の価値判断は民族、宗教、習慣によって大きく違い、人間の考えた物に過ぎず、絶対的倫理など存在しません。所が、現在主流の経済理論がイギリスとアメリカで発展した為に、アングロサクソンの価値判断に偏っており、アングロサクソン以外の人達も彼らの価値判断を押しつけられて来たのです。私がここで提起したいのは、地球上の資源が有限であると云う物理的制約に基づき、人間が生きていく上で最も重要な、そして各国の倫理に応じて最適化出来る経済的要素を数値化し、それを最大化するような経済活動をするべきだという事です。将来は通貨価値の総額で国の経済を比較するので無く、国民の経済に対する満足度で比較するべきです。

それには先ず最も難しい定義である、人間の幸福とは何か、を確定せねばなりません。一般に使われている「幸福」には心理的、倫理的要素が多分に含まれているので、これらを取り除いた「定量的幸福」を定義する事になります。この定量的幸福は更に二つの要素に分解されます。一つは収入と支出に関する貨幣要素と、もう一つは一日24時間をどの様に配分するかに関する時間要素です。

貨幣要素
人間の幸福感を支配する活動事項を並べますと、食事(E)、家族(F)、余暇活動(H)、仕事(W)、貯蓄(S)に大別されます。ですから
消費(C)= E + F + H + W + S
これを無次元化する為に両辺をCで割って、
1 = E/C+ F/C+ H/C+ W/C+ S/C
とし、食事比(e=EC)、家族比(f=F/C)、余暇活動比(h=H/C)、仕事比(w=W/C)、貯蓄比(s=S/C)、とそれぞれ名付けます。ここで消費の定義は生活に使った貨幣の総額で、その出所は問いません。ですから出所は給料、年金、資産、借金、等すべてを含みます。また貯蓄は預け入れはプラス、引き出しはマイナスの数値になり、資産総額は考慮に入れません。
個人の支出はその人の好みや価値観により大きく異なります。例えば浮浪者や食道楽の人は食事比が1に近づき、守銭奴の人は貯蓄比が1に近づきます。こういう社会の基準からはずれた人達も含めて、国民性を反映した常識的な配分が統計的に決まります。この現状値を元にして国民の価値観に応じた希望的配分値に近づく様に国策を立てようというわけです。それにはこれらの配分比に「重み」を掛け、集計した物を貨幣指標と定め、それを最小化する事が国策になるのです。ここで一番肝心な事は、重み(以下係数と呼ぶ)は官僚や政治家が自分達の都合の良い様に勝手に決めるのではなく、経済活動の関数として学者が定義し、官僚的又は政治的影響を完全に排除する事にあります。即ち、貨幣要素から成り立つ貨幣指標(M)は
M = αe + βf + γh + δw + εs
ここで、αは食事係数、βは家族係数、γは余暇活動係数、δは仕事係数、εは貯蓄係数です。これらの係数をどの様に定義するかは後述しますが、基本的にそれぞれの分野での製造業が国の経済活動の何分の一になるかに依って決まります。e + f + h + w + s = 1 及びα+β+γ+δ+ε= 1の性質がありますので、Mは0と1.0の間の数値を取ります。この指数Mは五つの活動項目のどれかに偏ると数値が上昇し、五つの項目が全体に平均すると最低値に近づく性質があります。

時間要素
時間の配分についても上に似たような配分を考え、食事時間比(e')、家族時間比(f')、余暇活動時間比(h')、仕事時間比(w')、睡眠時間比(s')と分類します。ここで病気の時間は睡眠時間として扱います。上と同様に国民の時間配分を統計的に調べ、これらに重みを掛けて時間指標とします。即ち、時間要素から成り立つ時間指標(T)は
T = ζe' + ηf' + θh' + ιw' + κs'
と表され、ζは食事時間係数、ηは家族時間係数、θは余暇活動時間係数、ιは仕事時間係数、κは睡眠時間係数、となります。これらの係数はそれぞれのサービス業が国の経済活動の何分に一を占めるかによって決まります。従ってκには国民医療費の要素が含まれます。Tも0と1.0の間の数値を取ります。

国民幸福指標の構成
上のように貨幣指数と時間指数が決まりますと、国民幸福指数(NHI)は
NHI = 1/(M×T)
で定義されます。どうしてNHIが逆数になっているかと云いますと、人は心理的に最小値よりも最大値を好むからです。これで分かりますように、NHIはこれから日本の人口が減少しGDP値が下がっていく様になっても、日本人の生活満足度つまり生活水準が上がるにつれて上昇して行きますから、今の様に経済の量的拡大を追求するあまり物理的破局に猪突猛進し、結局生活水準を低下させる恐れがなくなります。

重み(係数)の定義
上の指標の各項に掛けた重みにはその項目の経済活動を表す数字が入りますが、係数を決める基本的な理念はその項目に費やした国民の努力が全体の努力(GDP)の何分の一になるかという事です。指標は貨幣と時間に分けてありますので、GDPも製造GDPとサービスGDPの二種類に分割せねばなりません。業種によっては製造とサービスの両方に跨っていますから、どの様に生産を分類するかによって計算が左右されます。この分類は経済学者よりなる委員会の仕事になるわけです。係数の簡単な例を示しますと、もし日本で食料の生産を全部止めて輸入食品のみ食べる場合はα=0になります。しかしα=0でも食事産業に携わる人々のサービスはあるわけですから、そのサービス業からの貢献度が例えばサービスGDPの10%ならζ=0.1になります。ですから将来の政策を決めるに当たって、現在の係数から望ましい係数に変えるには政府の政策をどうすれば良いかと云う議論になるわけです。もしα=0になれば当然Mの第2項から第5項迄の数値が上がり、結果的にNHIが下がりますので、過度の外国食料品への依存は国民にとって良くない事が分かり、自国生産を奨励する政策を立てる事になります。もう一つの例として福祉医療費がGDPの大きな割合を占める場合を考えますと、εとκの値が上がる為にNHIが下がってしまいますから、病気の人には気の毒でも国民全体の幸福の為に福祉医療費を下げる政策を採る事になります。政治家は選挙民の人気取りの為には大多数を犠牲にしてでも一部の人を優遇しようとする強い傾向がありますが、NHIの様にはっきり差別待遇が数値の下落に現れる指数があれば、その傾向を是正するでしょう。

国民統計を取るには
どんな統計でも結果の信頼性は如何にして標本を取ったかで決まります。政治家や官僚の思惑通りに結果を出すために標本を操作したのでは初めからやらない方がましです。標本の対象は家庭の支出に責任を負う人に限り、以下では標本を正しく無作為に取ったものとして話を進めます。
NHIを計算するには標本として選ばれた人から毎日10の数値を出してもらう必要があり、それには家計簿をきちんとつけるだけでなく、時間もきちんとつける事が要求されます。いくらお国のためとは云え几帳面に毎日の生活を紙に書き残す事は誰でも嫌がりますからもっと楽にしかも正確に記録を残す方法を考えねばなりません。それには腕時計型の特製集計器を政府が提供し使用者は朝起きてから夜寝るまでの日常生活のデータを打ち込んで貰い、政府は毎月一回無線の遠隔操作でデータを読みとります。勿論、使用者には回収したデータ中の有効なデータに応じた料金を払います。完全なデータを提供した人に月3万円くらいの料金を払うのが適当でしょう。こういった統計を取るには守秘性が最も大事ですから、使用者は番号だけで示し料金受け取りもその番号と暗唱番号で行う必要があります。

指標は便利であるとともに危険な代物です。今の様にGDP増加に拘っていては近い将来人類は破綻します。指標は無限に定義できますが比較的簡単でしかも意味が容易に理解出来るものでなければ実用になりません。皆さんの意見をお待ちしています。

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