★阿修羅♪ 現在地 HOME > 掲示板 > 中央線1 > 1004.html
 ★阿修羅♪
次へ 前へ
遠い昔,木星は X 線で光っていた(中央大学)
http://www.asyura.com/0304/tyu1/msg/1004.html
投稿者 赤い瞳 日時 2003 年 4 月 16 日 16:13:57:GayVI8sFc3nbY

http://www.ise.chuo-u.ac.jp/TISE/media/20030414tsuboi/index.html

2003/04/14(月),ニュースリリース
遠い昔,木星は X 線で光っていた!?−大型惑星の生成過程に新説
NASA の X 線観測衛星「チャンドラ」による観測成果
坪井陽子氏(中央大学理工学部物理学科専任講師)
- English -
 この度,宇宙物理学者 坪井陽子氏(中央大学)らは, NASA の X 線観測衛星「チャンドラ」を用い,恒星と非常に近い距離にある若い褐色矮星(かっしょくわいせい)をはじめて X 線で分離検出しました。
 今回観測された褐色矮星の質量は既知のものとしては最小(木星の質量の約 20 倍)であり,褐色矮星と惑星のほぼ境です。
 この発見により,木星のような大型の惑星も,大昔の若い時代には,オーロラや他の天体の放つ X 線の反射だけでなく,自ら X 線を発する程の高エネルギー現象を持っていた可能性がでてきました。
 恒星に比べ,惑星の生成プロセスはまだほとんど解明されていませんが,その謎に一歩近づくことができました。

2003 年 4 月 14 日,NASA (米国国家航空宇宙局) X 線観測センターは,恒星と非常に近い距離にある褐色矮星が発する X 線の分離検出に, NASA の X 線観測衛星「チャンドラ」がはじめて成功したと発表しました。


左: チリ VLT 望遠鏡で撮像した TWA 5A と 5B の可視光写真。
( I band: Neuhauser et al. 2000, A&A 360, L39 )

右: 今回チャンドラで撮像した TWA 5A/B の X 線写真。

褐色矮星とは恒星と惑星の中間の星です。質量が太陽の 8 パーセントに満たず,水素の核融合反応で自ら安定に輝くことができません。よって「恒星になり損ねた星」とも呼ばれます。

今回の観測対象は 180 光年彼方のうみへび座の恒星のひとつ( TWA 5A )とその周囲を回る褐色矮星( TWA 5B )です。この褐色矮星が発する X 線の強さは恒星のたったの 200 分の 1 。

2 つの天体の距離は,われわれの太陽と太陽系の一番外側の惑星である冥王星との距離の 2.75 倍ありますが,地球から見ると,その差はわずか 2 秒角( 1 秒角は 3600 分の 1 度)にすぎません。

この褐色矮星はすでに光学望遠鏡によってその存在が確認されていましたが,これだけ近い距離にある恒星と褐色矮星を X 線望遠鏡で分離検出できたのはチャンドラがはじめてです。


TWA 5B と他の天体との質量,大きさの比較。
(イラスト:原田健博,中央大学)[モノクロ画像]

また,この褐色矮星は 300 万度という高温の気体を持っており,恒星からの X 線の反射ではなく,自ら X 線を発していることもわかりました。その明るさはわれわれの太陽が放つ X 線と同じ程度。この褐色矮星の質量は木星の約 20 倍と極めて小さく,褐色矮星と惑星の境(木星の質量の約 13 倍)に近いものです。この小さな天体が木星の 1000 倍もの質量をもつ太陽と同程度に X 線で明るかったのは,観測した恒星系(誕生から 1000 万年)が,われわれの太陽系(誕生から 50 億年)に比べ非常に若いからだと考えられます。

星からの X 線は磁場の繋ぎ替えによって発生し,質量が同じ天体なら,若いほど X 線が強い,とする説が昨今定説になりつつあります。今回観測された褐色矮星の質量は既知のものとしては最小であり,従来からの説を惑星の一歩手前まで押し進めた重要な発見です。

もしかすると木星のような大型の惑星も,大昔の若い時代には自ら X 線を発する程の高エネルギー現象を持っていたのかもしれません。星生成の謎を解き明かすヒントとして今後の研究の進展に期待が持たれます。

なお今回の観測は日本の天文物理学者坪井陽子氏(中央大学),前田良知氏(宇宙科学研究所),およびアメリカの天文物理学者 Eric D. Feigelson 氏, Gordon P. Garmire 氏, George Chartas 氏, Koji Mori 氏(ペンシルバニア州立大学), Steven H. Pravdo 氏(ジェット推進研究所)らによって計画・分析されました。こ の成果の詳細は 2003 年 4 月 10 日に米天文学会発行「アストロフィジカル・ジャーナル・レ ター」にて発表されました。

リンク
中央大学理工学研究所 坪井陽子研究員の紹介
宇宙科学研究所 前田良知氏
ペンシルバニア州立大学 Eric D. Feigelson 氏, Gordon P. Garmire 氏, George Chartas 氏, Koji Mori 氏
ジェット推進研究所 Steven H. Pravdo 氏
"Coronal X-Ray Emission from an Intermediate-Age Brown Dwarf," The Astrophysical Journal, 587:L51-L54, 2003 April 10
NASA X線観測センター


メディアチェック2003

 次へ  前へ

中央線1掲示板へ

フォローアップ:
  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。