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【哲学クロニクル】第1次世界「内戦」のはじまり(3)
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投稿者 愚民党 日時 2003 年 4 月 08 日 22:11:46:

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哲学クロニクル 第369号
(2003年4月8日)
第一次世界内戦の始まり(3)
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途中だいぶはしょって、ヴイリリオのインタビューの最終回です。
デリダの新刊、注目の一冊ですね。ぼくも早速購入しました。

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第一次世界内戦の始まり(3)
(ポール・ヴィリリオ、フランクフルター・ルントシャオ、2003年2月1日)

【問】第一次湾岸戦争の頃から「インテリジェント・ウォー」ということが語ら
れたのですが、いまではテロリストの武器の方が「インテリジェント」な時代を
迎えています。
【答】それだけではありません。テロリストたちは軍隊の力よりも運命の力を使
うのです。これはとても重要な考え方です。古い国家は、軍事的な強さのおかけ
で強かったことは、どんな子供でも知っていることです。しかし現在ではテロリ
ストたちは、不確実性の原則に依拠しながら、わたしたちの社会の脆さを、現代
社会の成功のもたらしたもの、建物の構造、航空機、核兵器、ガス工場、発電所
など、ほんらいなら力であるものにターゲットを絞るのです。

これは未聞の力です。そして運命の力です。というのは、わたしたちの社会の脆
さが、わたしたちの運命だからです。わたしたちの運命は、死すべき存在だとい
うことです。船の運命は沈むということです。飛行機の運命は、墜落するという
ことです。テロリストたちが利用するのは、まさにこの運命なのです。これは天
才的なことであると同時に、極めて忌まわしいことでもあります。

【問】ところでビン・ラディンはどうして姿を消したのでしょう。
【答】ビン・ラディンが消えたのは、サダム・フセインが代わりになったからで
す。ビン・ラディンは、巨大な不確実性の時代である2002年に利用されました。
しかしアメリカがサダムに焦点をあてることを決意してからというもの、ビン・
ラディンは意識から抹殺されたのです。

【問】『ならずもの国家』という新刊で、デリダはこれが代理戦争だと語ってい
ます。どう思われますか。
【答】わたしの意見では、イラク戦争はグローバリゼーションの最初の戦争です。
この戦争は何世代にもわたって続くでしょう。

【問】わたしたちは災厄をすぐに忘却してしまいます。911のテロのあとで、バ
リやケニアの災厄があったことを、ほとんど抑圧してしまうのです。忘却は保護
の機能を果すことが多いものですが、この場合には自殺的な意味をもってしまい
ます。
【答】だからこそ、わたしの事故の博物館は、戦争博物館と同じように、必要で
不可避なのです。この博物館の必要性を否定する人はいないでしょう。べつに優
れていると言いたいわけではありません。必要だと言いたいのです。巨大な紛争
と同じように、巨大な事故はわたしたちに記憶し、悲哀の仕事をすることを要求
しているのです。これは政治的・哲学的に巨大な必要性です。

【問】第一次世界大戦で、戦争の秩序のパラダイム転換が起きたと言われました。
これはメディア戦争だったのです。現代のメディア戦争から、ジャーナリストは
どうすれば「にげる」ことができるのでしょうか。
【答】わかりません。大きな問いですね。そこで民主主義が決定されるのです。
言論の自由という名のもとで、大量殺人が駆り立てられるなら、そこで民主主義
は姿を消します。スクリーンがついに、本来の屠殺場に進歩したのです。すべて
がここで処理されるでしょう。わたしはライブ放送は、再現(representation)な
どではなく、現実を提示するもの(presentation)だと思います。現実のイメージ
を写すものではなく、現実そのものを差し出すのです。

【問】あなたは身体の消滅について考察されましたね。ところがいまは自殺攻撃
で、身体が最後の武器として使われています。
【答】遺伝子工学の革命でも、クローンの実現でも、自殺攻撃でも、わたしたち
は政治的な次元で死と直面しているのです。ところで自殺攻撃の現象については、
わたしたちにはいかなる手のうちようもないのです。これは無神論者の想像力を
超えたものです。無神論は、自殺の力によって打撃を受けたのです。悲劇の再来、
それは自殺の再来です。わたしたちはヨーロッパで、悲劇をあまりにも長い間抑
圧してきましたが、それはわたしたちが悲劇をあまりに強い形で経験してきから
でしょう。

【問】アメリカの哲学者のマイケル・ウォルツァーなどは正義の戦争という概念
を提示しています。正義の戦争というものはあるのでしょうか。
【答】正義の戦争はかつては存在したと思います。しかし正義の戦争は、それが
局地的なものである限りで、正義です。戦争のグローバリゼーションは、正義で
はありえません。世界戦争には正義などありません。わたしたちはいま、予想も
しなかった問いに直面しているのです。そしてわたしたちはこの問いの前に、な
にもできずに立ちすくんでいるだけなのです。


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