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株式日記と経済展望:ピーター・フランクル著「美しくて面白い日本語」 アメリカ人はなぜ宗教にすがるようになったのか
http://www.asyura.com/0304/war31/msg/727.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 4 月 11 日 17:01:10:


2003年4月11日 金曜日


明治時代、日本には「脱亜入欧」という四字熟語があった。未発展国であったアジア諸国に背を向けて、欧州諾国に目を向ける。当時も先進国だったイギリス、ドイツ、フランスを手本にしようという言葉だった。その後、戦後は明らかに「脱欧入米」となってしまったわけだが、この言葉を今の時代に使うとしたら、「脱米入欧」に替えるべきなのである。

もう、この期に及んで米国はいいではないか。ボクシングで言えば、日本がヘビー級だとしたら、米国はスーパーヘビー級だ。ボクシングでは、違う階級での試合は行なわない。それと同じで、階級の違う米国とは、経済的にも軍事的にも戦わなければいい。日本は日本で、立派に物を作って売って、白分たちの国をそれなりに繁栄させればいいのである。そのためにも、米国追随型から欧州流の社会に変わるべきだ。

僕に言わせれば、米国人よりも欧州諾国の人のほうが、よい暮らしをしているように思えてならない。これは僕だけの意見ではなく、欧州から米国に渡った数々の友人たちの感想でもある。確かに、米国のほうが家が広く、車も大きいだろう。米国人のほうが給料も高いかもしれない。でも米国人には精神的な余裕がなく、休暇も少ない。そして決定的なのが、米国人の孤独感だ。

最近、米国の社会では友人関係どころか家族の関係でさえ非常に稀薄になってきているように思われる。すべてを一人で抱え込んで解決しようとするのが米国流だが、そもそも人間は社会的な動物なのだ。独立精神と言えば聞こえはいいが、人間は一匹狼じゃない。もっとも、狼だって群れをなしている動物だ。まあそれはいいとして、米国ではグループや友達、家族といった仲のよい人たちと一緒になって一体感を味わうという、人間生活の基本的なことがなくなってしまっているように思えるのだ。

今の米国で、唯一心の付き合いが残っているのが宗教だ。でもそこにあるのは個人と個人の直接的な付き合いではなく、あくまでも"神様"という目に見えないものを通した間接的な付き合いでしかない。米国は圧倒的なキリスト教社会で、大半の人は日曜日に必ず教会のミサに行く。朝からミサに参加して、その後は参加者同士でバーベキューをやったり、バスケットやテニスなどの運動を皆で一緒に楽しむ。大袈裟に言えば、米国人にとっての唯一の心優しい人間関係だ。

米国ではあまりにも個々人が孤立してしまったが故に、他人との精神的な関わりが薄くなってしまった。唯一の救いとなってしまった宗教を通しての関係だけに人間らしい付き合いが残ったが、その他では、ひどく淡泊な、さっぱりとした人閲関係しかない。いくら金銚的に余裕があっても、米国的な淡白な人間関係では、日々の暮らしも空しいものになってしまうだろう。テレビやコンピュータを通しての仮想現実ばかりが重みを増して、本来の人閲関係が稀薄になってしまっているのが米国の現状である。

米国ほど金銭的に裕福ではないイギリスやフランス、ドイツなどでは、人々の精神的なゆとりや人間関係など、果たしてどうなっているのだろうか。これらの国々では、少なくとも一年に一ヶ月の有給休暇がある。その休暇を使って、家族や友人たちと夏休みに行く。あまりお金がない家族なら、ワゴン車にトレーラーをつけてキャンプ場へ行き、そこでテントを張る。お金を使わずに、親子で釣りをしたり湖で泳いだりして楽しむのだ。

ピーター・フランクル著「美しくて面白い日本語」P197−P203:http://www.takarajimasha.co.jp/bunko/4796630805.html

イラク戦争で懸念されていた事がだんだんと表面化してきている。イラク軍はいくらでも反撃の機会があり、アメリカ軍に大打撃を与える機会はあったが、すでに戦意喪失していた。100両のイラク軍戦車が放置されていた。投降兵の少なさは戦意が高かったのではなく、軍は解体されていたようだ。警察組織も解体しイラクの都市は略奪が横行している。イラクにはバース党に代わる組織はなく、アフガニスタンと同じように全土の治安が全くとれない状況が続くだろう。

これからイラクで内戦が起きたり、ゲリラ攻撃が頻発するだろう。アメリカ軍を長期間駐留させて治安を保たなければならない。しかしアメリカ兵への襲撃も相次ぐだろう。イスラエルのレバノン侵攻の時のように、アメリカ軍は手におえなくなって撤退するしか無くなるだろう。市街地はジャングルと同じであり銃弾は何処から飛んでくるかわからない。イラクはイランのようにイスラム原理主義国家になるかもしれない。そうなると何のためにフセインを倒したのかわからなくなる。

アメリカ国民は戦勝気分に沸いているようだ。サダム・フセインの銅像を引き倒すニュースを繰り返し見ながら、「解放者」としての気分に浮かれている。しかしそれはアメリカのメディアによって作られた幻想なのだ。アメリカにおいて反戦運動が盛り上がらなかった理由として、私は宗教的な背景があると、私は指摘してきました。ピーター・フランクル氏によるとアメリカの荒廃した精神風土に問題があるようだ。そこへカルト化した宗教がはびこり、アメリカ人は狂気に囚われている。

アメリカでは銃器犯罪が絶えない。庭先に入り込んだだけで銃で撃ち殺されても、アメリカでは異常ではないようだ。アメリカの高級住宅街では高い塀で街を取り囲み、出入り口ではガードマンがチェックしている。まるで戦国時代のようだ。それだけ強盗が多いからですが、いつからアメリカ人はこれほど凶暴になったのだろう。

日本でアメリカ製のテレビドラマがほとんど放映されなくなった。凶悪で残虐なシーンばかりのドラマでは違和感持つのは当然だ。映画にしても最近のアメリカ映画は異常さを感ずるものが多い。在米ジャーナリストの堀田佳男氏は最近のコラムで次のように書いている。

1953年に一般公開された「シェーン」はワイオミング州グランド・ティートンを背景に、ガンマンのシェーンが善良な開拓者をたすけるため、悪者のライカー一家と彼らに雇われたガンマンのウィルソンを射殺する西部劇の代表作だ。最後に少年ジョーイが「シェーン、カムバック」とやると、なんど観ても頬に水滴がつたう。

 今回あらためてストーリーを注視した。すると米軍がフセインを叩きにいった内容とほとんど変わらないことに気づいた。ライカー一家は殺し屋まで雇って開拓者たちに不条理な土地の明け渡しを迫るが、農民たちを直接襲撃してはいない。シェーンは「いいガンマン」として描かれるが、自分から酒場に出向いてライカー一家とウィルソンを撃ち殺す。つまり先制攻撃をしてヒーローとなるわけだ。

 その日、AMCが開戦を意識して故意に「シェーン」を放映したのかどうか、カリフォルニア州サンタモニカにあるAMC本社に電話で確認をとった。すると「偶然だった」と回答する。19日の放映から1週間後、またチャンネル・サーフィンをしていると再びアラン・ラッドの姿があった。AMCは「シェーン」を再放送したのだ。この局は短期間で同じ映画を再放送することがよくあるが、「シェーン」は米軍の美化に思えた。

 悪い奴は自ら出向いて殺してくる。その事理は開拓時代だけではなく、現在のアメリカ人の無意識下にも息づいているようだ。日本でも桃太郎侍が悪代官を斬り捨てると、脳内にドーパミンが出てスッとするのに似ている。が、今の日本で悪人を問答無用で斬り捨てることに賛同する人がいるだろうか。

 けれどもこの考え方はブッシュ政権の高官たちに確実に支持されている。現政権にもっとも影響力をもつ保守系シンクタンクであるAEI(アメリカン・エンタープライズ公共政策研究所)の研究員マイケル・レディーンは、白髪の混じった髭をいじりながらこれ以上はっきり語れないくらい明確にいう。

「戦争で死傷者がどれくらいでるかは二の次なんだよ。聞こえはよくないが、アメリカ人は戦争が好きな国民なんだ。死傷者がどうこうより、負けることが一番嫌い。私のもっとも好きな言葉はパットン将軍(第二次世界大戦の大将)の『アメリカは戦争が大好きだし、戦闘そのものも好きだ。いつも闘ってきたし、楽しんできた』だ」

 すぐ横に座っていたCIA元長官、ジェームズ・ウージリーも一言。「同感だね」 私はタメ息しかでなかった。今後「シェーン」を観てもラストシーンでは泣かないかもしれない。


「シェーンと米軍」 堀田佳男:http://www.yoshiohotta.com/washington/2003/washington0304.html

急がばワシントン 堀田佳男のホームページ:http://www.yoshiohotta.com/washington.html

アメリカのX年後の光景(ブッシュ大統領の銅像が倒される漫画):http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu46.htm


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