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【JMM】韓国・ジンバブエ-レポート
http://www.asyura.com/0304/war31/msg/812.html
投稿者 愚民党 日時 2003 年 4 月 12 日 04:11:29:

                              2003年4月11日発行
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JMM [Japan Mail Media]                 No.213 Friday Edition
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                           http://jmm.cogen.co.jp/
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▼INDEX▼

■ 『Younghee Ahn の韓国レポート』 第103回目
  「大統領と芸能人」

■ 『南からの声 ジンバブエ・レポート』 秋山寛 第38回目
  「危機迫るとき」

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■ 『Younghee Ahn の韓国レポート』                第103回目
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「大統領と芸能人」

 先日ラジオを聴いていたら、ノ・ムヒョン大統領の声が流れていた。でも、話す内
容はある文具専門店の宣伝だった。続いてまたちょっと声質は変わったもののノ・ム
ヒョン大統領の声だった。しかし、これも国際電話会社の宣伝だった。

 気をつけているとラジオだけでなく、テレビでも大統領の真似をするコメディアン
が目に付く。そして、その人たちが必ず言う大統領の口癖「マッスンニダ、マッコヨ
(合ってますよ、合ってるし)」は流行語にもなった。あるコメディアンは姿形があ
まりにもそっくりなので、青瓦台(韓国の大統領官邸)に招待され直接大統領本人と
会ったという。

 こうしたことは金大中前大統領の時までは考えられないことだった。もちろん、金
大中前大統領の時代にもたくさんの芸能人が彼のモノマネをした。しかし、だからと
いって直接大統領から会いたいと呼ばれることはなかった。

 特に、全斗煥(チョン・ドゥファン)元大統領の時代には、彼に似ているというだ
けでテレビに出演禁止になった芸能人がいたほどだ。その人は、全元大統領が大統領
であった期間中、テレビに出られなかったので生活に困るほどだったと後に明かした。
日本のテレビを見ると、コメディアンが首相の悪口を言ったり、モノマネでパロディ
をしたりする姿をよく見かけるが、まさかそんな光景を韓国でも見られるとは思わな
かった。

 マスコミは連日イラク戦争関連のニュースを報道している。4月8日には、連合軍
を歓迎するイラク人たちが画面に映っていた。彼らは、フセイン大統領の写真や似顔
絵を破ったり、踏んだりしていた。それだけ、フセイン大統領に恨みがあったのだろ
うか。

 イラク事情について詳しくないが、彼らは虐げられていただろうし、ましてやフセ
イン大統領を笑いのネタにもできなかったのだろう。韓国のことわざに、「その人が
いない場所では、王様の悪口さえも口にする」という。人の悪口を言うのは良くない
が、自分たちにとって雲の上の人である王様のことをうわさするのは、一種のカタル
シスになる。

 韓国では今まで大統領は雲の上の人であった。だから笑いのネタにはできなかった。
しかし、今度の大統領は芸能人のようにファンクラブを抱えている。ファンクラブは
彼が大統領に出馬することを知り一生懸命に選挙活動を手伝った。だから、韓国では
今度の大統領に対しては親しみを覚える人たちが多い。しかし、大統領は人気だけで
生きていく芸能人ではない。ファンは自分のことしか考えずそれぞれ勝手なことを言
うが、間違っても人気を維持するための国策だけは考えて欲しくない。

 このところ、韓国では市民団体の発言力が強くなった。だから派兵問題に関しても
賛成派、反対派と両派に分かれ、それぞれに反対する議員を落選させる落選運動をす
ると言っている。民主主義だから一つの声にならずに賛否両論を戦わせるのはとても
いいことであるが、自分の言うとおりにならないからと「落選」というカードで脅か
すのはなんとなく卑怯な気がする。

 結局、派兵することに決まったが、今の状況だとイラク戦争は終盤に近いようだ。
これだと、湾岸戦争の時と同様に戦争が終わってからの派兵になるのではないかと少
し心配になる。実際、その方が死傷者を出さずに済むから韓国人にとっては安心には
違いない。

 民主主義で物事を決めるには、それなりの手続きと時間が必要で、過去のモノマネ
では反対する人を納得させられないことも多いということを知るためにも、今後のモ
ノマネ芸能人の活躍ぶりが気になる。

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Younghee Ahn(アン・ヨンヒ)
韓国生まれの韓国人。小学四年から高校一年まで、大阪在住。(大阪の北野高校に最
年少で入学、韓国へ転勤になった父親と共に帰国。いわゆる帰国子女組)日本語の修
士課程卒業。同時通訳からスタートして、放送コーディネーターや翻訳、トレンドに
ついてのレポートなどを発表。今は、韓国の女子大で、日本語の講師も務める。
著書に『シナブロ(知らぬ間に少しずつ)』(小学館)
http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4093860971/jmm04-22

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■ 『南からの声 ジンバブエ・レポート』 秋山寛 第38回目
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「危機迫るとき」

 先週のJMM「村上龍、金融経済の専門家達に聞く」は、「Q403:日本に戦争
の危機が迫った時、個人資産をどう守る」でしたね。少し状況は違いますが、今回は、
途上国で危機が迫った時についてお話したいと思います。

 ジンバブエでも、最近、2000年の国会議員選挙、2002年の大統領選挙と2
度の危機がありました。最終的にはジンバブエから避難はしなかったのですが、一時
は避難をかなり真剣に検討しなければなりませんでした。

具体的には、まず航空チケットの確保です。直前になると満席で乗れなくなる可能性
もあるので早めに予約しなければならないのですが、何の混乱も起こらない可能性も
あるので、どの時点で避難するかが第一の問題です。

ジンバブエの場合、選挙日程がはっきりしていましたから、先が見えない戦争とは少
し状況が異なりますが、危機感というのは、次第々々に徐々に高まっていくというよ
り、ある日突然爆発するものなのです。

3日前まで、「なんだ、全然心配ないじゃないか。」と思っていたのが、出張から帰っ
てきて、ふと見回すと、近所のAさんもBさんも居なくなっています。あわてて友人
に連絡をとると、その友人も、もう居ません。パニックに陥って旅行会社に連絡して
も、すぐにはチケットはとれず、2〜3日祈るような気持ちでキャンセルを待つ。そ
んな経験をしたことがあります。

少し田舎に行けば平和な日常生活が続いているとか、逆に、物資の豊富な都会にいて
は、飢餓による食糧の奪い合いで一触即発の状態になっているのは分からない、とい
うことは良くあります。例えば、TVを見ていても、バクダットが平和なのか戦闘継
続中なのかよく分かりません。もしかしたら、現地にいるほうが、もっと分からない
ということもあり得ます。目の前で起こっている事実は強烈です。それが全てのよう
に思えても不思議ではありません。

 もし、逃げなければならない状況になった場合、必要なのはUSドルと踏ん切り。
逃げようと思ったら、すぐに逃げなければいけません。まだ、早いかな、などと考え
てためらってはいけません。たとえ、何も起こらなかったとしても、それは必要経費
(?)です。万が一、手遅れになったら取り返しがつきませんから。

インフラの弱い開発途上国は、急速に状況が悪化しますから、先進国のような気持ち
で居てはいけません。所属する組織にもよりますが、自分と家族の命と財産は自分で
守らなければなりません。
 
 日本政府は、何をしてくれるかというと、早い話が何もしてくれません。個人の判
断でそこにいるのだから政府に強制される筋合いはないし別に期待はしていませんが、
情報をもっと、つかんでくれたらというのは切に感じます。

また、たとえば日本政府の避難機で避難した場合、料金を払わなければならないのは
ご存じですか。残念ながら(?)乗った経験はないのですが、チャーター機なので結
構高いんだそうです。

ちなみに、避難の際は、飛行機であれバスであれ、荷物は手荷物1個というのが原則
です。スーツケースは飛行機に乗る際、機内に持ち込めないので不可能(当然ながら、
荷物のチェックインをして貨物室に積み込み、なんてしていられません)。バスの場
合でも、座席で抱えていなければならないので不可能なのです。

 ジンバブエの場合は、道路が整備されているため、車での避難も可能です。状況が
悪化した時は、常にトランクに、着替え・非常食・ガソリンを満タンにしたジェリー
缶を積んでいました。

 また、自宅と職場の両方にUSドルを分散して隠しておきます。
 
 アフリカでは、たいてい現地通貨は弱いので、外国人は、USドルやポンドでのス
トックをしておき、必要なときに現地通貨に両替します。その時には、なんと本国ア
メリカでは敬遠される100ドルがいちばん重宝されます。10ドル札・20ドル札
などに比べ現地通貨との交換率が良く、同じ額、例えば500USドルを両替しても、
10ドル札や20ドル札で500ドルと、100ドル札で500ドルでは、2〜3割
違ってきます。これは両替商にとっても、両替商からドルを買う人間にとっても、ス
トック・輸送するのに楽だからです。

ぼろぼろのUSドル札も多いですから、たぶん、偽札も流通し放題じゃないかなあ。
また、100ドル札には、当たり年というのか外れ年というのか、偽札が多くでてい
る版があります。たとえば、96年ものの100ドル札は早く使ってしまったほうが
良いなどともよく言われます。
 
 しかし、避難の時は別です。可能なら、10ドル・20ドル札も混じっていた方が
よいですね。なにかあった際にケチケチしないでばらまかなければなりませんから、
小さい札でどんどん渡すのです。100ドル札を渡してもお釣りはもらえませんから
ねえ。

 残念ながら、多くのアフリカ人にとって、自国で暮らしているということは、常に
危機が身近に迫るリスクを背負っていることになります。そのため、そのリスクから
逃れるため、優秀な人間は、というか、優秀な人間ほど、そのリスクを避けるため自
分の能力を磨き、自国から脱出し先進国にいくことを考えます。Q403で幾人かの
方の回答でも示されているそのままの状況です。

金が無ければ奨学金がある宗主国の大学に行き、それが不可能なら、自国の大学をで
て、自国にある国際機関に何とかして就職します。必死に働き、ゴマをすり、少しで
もコネがあればそれを頼み、カントリー・オフィスからリージョナル・オフィスに移
り、先進国にある本部にでも行け、そこの国籍が取れれば最高です。

 現在、ジンバブエでも、優秀な人間は、どんどん政府から逃げだし、国際機関はも
とより、国際NGOの現地法人にまで流れ込んでいます。給与が外貨で受け取れる、
ジンバブエから脱出する可能性があるというだけで、彼らには政府のエリート・ポス
トより十分に魅力的なのです。

 読者の皆さんは、日本がそんなことになるはずはないと高をくくっているだろうと
思いますが、油断していると、この先どうなるか分かりませんよ。だって、日本国債
の格付けは、ジンバブエの隣国ボツワナ国債の格付け以下なのですから。迷走する日
本国の経済的ポテンシャルより、ボツワナの大地に眠るダイヤモンドのほうが担保と
して価値があると判断されているんではないですか。

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秋山寛
早稲田大学卒。東京で情報通信・金融関係での勤務を経て、現在は、主として金融面
からアフリカ開発をサポートする業務のため南部アフリカのジンバブエ共和国ハラレ
在住。
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JMM [Japan Mail Media]                  No.213 Friday Edition
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                   melma! : 15,067部
                   発行部数:116,020部(4月7日現在)

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【発行】 有限会社 村上龍事務所
【編集】 村上龍
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