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投稿者 竹中半兵衛 日時 2003 年 4 月 21 日 22:49:20:0iYhrg5rK5QpI

                        April 18,2003
 ブッシュが大統領になった直後から、あの自信のなさそうな、おどおどした顔を見て、これは大統領としてちょっと危ないのではないかと思っていた。まだ成熟しきっていない子供の目、どこかしら病理的なものが透けていた。

 たとえば、ルーズベルト大統領は自信を持っている大人であったけれど、かれが急死した後、大統領をひきついだトルーマンは「弱虫」とからかわれていたそうだ。強い父に対する、だめな息子といったふうに見なされていたのかもしれない。

 ところが、原爆投下のゴーサインを出したのは、弱虫と呼ばれていたトルーマン新大統領であった。自信のない者ほど、強くふるまおうとする。ルーズベルトだったら、日本が降伏することはもう完全に見えていたのだから、もしかすると、原爆投下を思いとどまったかもしれない。歴史に if はないとよく言われるけれど……。

 私的な性格など、普通なら別にたいしたことではないけれど、掌の中に王のような権力が集中するアメリカ大統領の場合、そうした性格が、歴史の曲がり角でとんでもない犠牲者を生みだしたりする。

 ブッシュが以前、アルコール依存症であったことはよく知られている。そこから回復させたのは、ビリー・グラハムというTV伝道師だった。スーパードームの満員の聴衆を熱狂させるカリスマであった。ノアの箱船も、キリストの復活も、聖書に書かれていることはすべて史実だとみなす、ファンダメンタリトだ。ぼくがアメリカで暮らしていた20代の頃、ものすごい人気で、全米を熱狂させていた。

 イラク戦争を見ているうちに、宗教がどれほどアメリカを呪縛しつづけているか思い知らされた。ブッシュ大統領は、早起きしてバイブルを読み、ホワイトハウスでも朝の聖書研究会に出席することが義務づけられているそうだ。それを聞いて、よけい不安になった。

「悪の枢軸」云々を初め、ブッシュ大統領はよく「悪」という言葉を口にする。いわゆるアメリカ的な正義をなぞっているのだろうと深く受けとめずにいたけれど、もしかするとかれは、地上で永遠にくりひろげられる悪と善の闘いといった、宗教的、神話的に色づけられた目で世界を見ているのかもしれない。そして、大まじめに「悪」という言葉を口走っているのかもしれない。もしもそうだとすれば、この戦争には、もう一つの側面が隠されていたことになる。

 もしもブッシュ大統領が、かつて師と仰いでいたTV伝道師ビリー・グラハムを「ロール・モデル」にしているとしたら、ネオコンよりも恐ろしいことになりかねない。そのような心性の人物が、王のような権力をもちつつ、一神教の源泉部、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教が渦巻く中東に手を突っ込んでいるのだから。

 ジョージ・W・ブッシュという人間は、なんらかの宗教的な使命感を持っているような気がする。その使命感こそ、はた迷惑なのだが。


                         April 20,2003
「戦争を止めることはできなかったが」というエッセイを、中日新聞へ送った。とてもむずかしい原稿だった。イラク戦争が切迫してきたとき、世界中で一千万を越える人たちが路上に出て、反戦の声をあげた。こんなことは歴史上、まったく前例がなかった。東京の路上でも四万人の長い列がつづいた。

 だが、戦争を止めることはできなかった。

 肉食恐竜のようなブッシュ政権は、人間の理性や、一千万の声をあざ笑い、踏みにじるように、戦争へ突入していった。ぼくたちは敗れた。若い人たちは、きっと幻滅して、むなしさや、無力感をかみしめているにちがいない。その若い人たちに、なんらかの「希望」を示してほしいという依頼だった。

 こんな時、どんな希望がありうるのか、ずっと頭を抱えていた。書いては消し、また書いては消し、一週間ぐらい悶々と考えこんでいた。そして、どうにか書き上げることができた。短いエッセイだが、やさしい言葉で、全力を尽くした。東京新聞、北海道新聞、西日本新聞にも掲載されるそうだ。ぜひ、若い人たちに読んでほしいと思う。


                         April 21,2003
 エッセイ「戦争を止めることはできなかったが」を、夜明け前に送信して、徹夜明けのまま、マハトマ・ガンジーの「塩の行進」について別のエッセイを書きはじめた。眠りについたのは午前9時頃だった。4時間ほど仮眠をとり、目ざめると、もうFAXで校正刷りが届いていた。

 なんという速さだろう。こんなことは、まったく初めての経験だ。近日中に書きますというだけで、具体的な〆切り日も決めていなかったのに。原稿を読んで、即座に掲載を決め、打てば響くように印刷行程に回してくださった心意気が、とてもうれしかった。

 4月23日(水)の中日新聞に掲載されます。愛知県の人たち、とくに反戦運動に関わった若い人たちに読んでもらえたらと思う。東京新聞、北海道新聞、西日本新聞はいつ掲載されるか、予定がわかりしだい、追って記します。

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