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フセイン政権崩壊から1か月、行政再建に難問次々 [読売新聞]
http://www.asyura.com/0304/war33/msg/916.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 5 月 10 日 03:59:02:


 イラクは9日、フセイン政権崩壊から1か月目を迎えた。先月下旬にバグダッドに拠点を移した米国の復興人道支援庁(ORHA)は、国家再建という壮大な実験の第一歩として、行政再建の要となる省庁機能の復活に全力を挙げている。だが、ORHAの前には、戦争、略奪の後遺症、さらに、旧政権への嫌悪と米国への反感が混じった複雑な国民感情など、様々な困難が立ちはだかっている。(バグダッド 吉形 祐司)

 「歩きながら話そうじゃないか」。ORHAを率いるジェイ・ガーナー退役中将は、記者の肩に右腕を回し、保健省の階段を駆け下りながら、歯切れの良い口調で畳みかけた。

 「復興には政府職員の協力が不可欠だ。職場復帰の緊急手当を支払わねばならない。給与体系の見直しも必要だ。省庁には優先項目のリスト作成を要請した。事務機器は提供する――」

 一瞬たりとも立ち止まらない。「OK?」と尻上がりに会話を収めると、四輪駆動車に乗り込んだ。

 ORHAの任務は、1日も早く行政権をイラク人に移譲することだ。これまでに、既存行政機構への職員復帰を促すため、緊急手当として1人一律20ドルの支給を開始。暫定政府樹立まで省庁運営にあたる委員会の監督官(大臣に相当)にイラク人を指名し、上級顧問に米英人の専門家を据えて省庁を再開した。

 しかし、工業鉱物資源省で8日、“クーデター”が起きた。ORHAが監督官に指名した前次官のガイラニ氏が突然、「民主的に監督官を決めよう」と提案。選挙の結果、副監督官のムハンネド氏が過半数の支持を得て、新監督官に就任したのだ。ガイラニ氏は、フセイン政権時代の支配政党バース党員で、職員から指名に異議が出ていた。

 保健省でも、バース党員だった前次官のアリ・アシュナン氏が監督官に指名された。米国人上級顧問のスティーブ・ブラウニング氏は「医療にかかわる省の性格上、技術的に優れた人物を選任した。国際援助機関の意見も聞き、人物に問題なしと判断した」と話す。

 だが、総合医療施設「メディカル・シティー」のエマディン・サウード医師(30)らは「変革のために戦争にも耐えたのに、なぜ真の変革が出来ないのか」と、同省でも選挙を行うよう訴えている。

 問題は、人事だけに限らない。省庁ビルの大半は略奪の際、放火された。空爆で破壊されたのはごく一部だ。ORHAが職場復帰を呼びかけても、庁舎が黒こげで、職場自体を喪失した省庁もある。

 治安も悪い。市中では、軍施設から流出した自動小銃などが数百ドルで売買されている。強盗に対し、自警のための武装も行われている。

 ガソリン不足も深刻で、省庁の職員送迎バス運行にも支障をきたしている。頼みの石油省職員の復帰は定員の約5割に過ぎない。

 一方、ORHAは現在、反フセイン派主要組織と水面下の協議を続けている。暫定政府の顔ぶれを決める「国民会議」(議会に相当)のメンバー人選のためだ。月末までに作業を終える予定だが、ここでも悩みは深い。

 反フセイン派はこれまで、国外に拠点を置き、一般国民の信頼は今ひとつ。暫定政府が、イラク国民の支持を得るには、幅広い勢力に門戸を開く必要がある。

 しかし、フセイン政権崩壊後は、既存組織や新興勢力が、雨後の竹の子のように事務所を設置した。暫定政府への参画を目指し、売り込みを図る勢力も多く、これを公平にさばくのは至難の業と言える。主要組織の一つクルド民主党(KDP)の関係者ですら、「全勢力を取り込むのは不可能だ」と頭を抱えている。

 難問は山積している。ただし、ORHAが一歩ずつ前進しているのも確かだ。復興にかけるイラク人の熱意も強い。今では、多くのイラク人が、米国によるイラク復興を、現実として受け止め始めている。

 ◆米復興支援庁、軍主導色薄める◆

 「米国は最良の市民の1人を送り出す。ブレマー氏は自由で平和な秩序あるイラク建設を願うアメリカ人の価値を共有する人物だ」――。ブッシュ大統領は6日、イラク復興を統括する文民行政官に元外交官のポール・ブレマー氏を起用すると発表した際、同氏が「普通のアメリカ人」の代表であると強調した。

 1月のORHA発足以来代表を務めてきた軍出身のガーナー氏の上に文民のブレマー氏を据えた人事は、「軍事占領」から「文民統治」への早急な移行を目指すブッシュ政権の姿勢を反映している。「軍主導」色を薄めることによって、より多くの国の政府や民間活動団体(NGO)などがORHAに参加しやすくなるメリットも指摘されている。

 ORHAは、イラク人による暫定政府が出来るまで政府機能を代行する組織で、「人道支援」など3部門に調整官、さらに地域別調整官が置かれている。地域別調整官の役割の一つは、反フセイン派イラク人に地方自治を実践させることとされる。

 3月中旬に200人だったORHAスタッフ数は、すでに400人を超え、なお「日々増え続けている」(米国防総省筋)という。大半は米国務省、国防総省と英政府出身者だ。南東部担当調整官はデンマーク人が務め、日本政府もスタッフを派遣しているが、まだ参加国は限られている。

 一方、米国家安全保障会議(NSC)のマコーマック報道官によると、ガーナー氏は今後、インフラ建設や援助物資供給など復興の実務面を総括するという。(ワシントン 永田 和男)

(2003/5/10/01:03 読売新聞 無断転載禁止)

http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20030509i216.htm

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