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★国際政治の建前と本音★Newsweek Japan Online5/12
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投稿者 Ddog 日時 2003 年 5 月 13 日 23:10:18:ZR5JcjFY1l.PQ

★国際政治の建前と本音★Newsweek Japan Online5/12

アメリカのイラク攻撃が終わって、イラクの戦後復興と同時にイスラエルとパレスチナをめぐる中東和平が動き出した。中東和平は、歴代のアメリカ大統領にとって歴史に名を残すに値する大きなテーマであると同時に、手を出せば必ず火傷をすると代々「申し送り」されてきた問題でもある。
パレスチナ国家とイスラエルが共存するという構想を実現させれば、ブッシュ政権のイラク攻撃の正統性問題(イラクの大量破壊兵器とフセイン政権とテロ組織の関係の有無)など霞んでしまうだろう。もっともフセイン政権が打倒されてしまったのだから、いまさらあの「戦争」の正統性を問うてもしかたがないのかもしれない。実際、国際社会ではイラク復興需要に食い込めるかどうかをめぐる駆け引きはあっても、正統性そのものを問う動きはほとんどない。
そうするとあの国連安全保障理事会の議論は、いったい何だったのだろうと改めて思ってしまう。フランスのジョスパン外相の演説にあれだけの拍手がおくられたという事実はどこに行ったのか。今やフランスもドイツも、アメリカとの関係をどう修復するかに血道をあげている感じがする。しかもアメリカはフランスやドイツに露骨に冷たい。日本に対しては日米首脳会談を自分の牧場で行うことにしており、異例ともいえる「厚遇」ぶりである。
要するにイラク攻撃という賭けに勝ったアメリカ帝国は、しばらくは安泰ということなのだろう(もっともアメリカで失業が増えているだけに、ブッシュ大統領が来年に迫った大統領選挙で勝てるという保証はない。もし民主党政権に代わったりすれば、いわゆるネオコンと呼ばれる人々が主導する現在のような「アメリカ帝国」ではなくなる可能性がでてくる)。
しかし「アメリカ帝国」に草木もなびくというのでは、21世紀はあまり希望のもてない時代になってしまうかもしれない。少なくとも一部の国を除いて、民主主義が政治体制としては究極のものであるという共通理解があるとすれば、国際政治においてもやはり民主主義に近づけようとするものでなければなるまい。アメリカ自身も中東に民主主義をもたらすということをイラク攻撃の大義にしていたのだが、自身の行動はとても民主主義的とはいえないやり方だった。
もちろん国際政治を民主主義で行うというのは幻想かもしれない。それぞれの国力にはあまりにも大きな差があり、それらの国が国連において平等に1票を持つというやり方があまりにも理想主義であるということもできる。最高意思決定機関である安全保障理事会で決まったことを実行するとなると、ハイパー超大国であるアメリカ抜きでは紛争を解決することはできない。それが現実である。
国連は各国の上に君臨する政府ではないし、独自の軍隊(あるいは警察組織)をもっているわけではないのだから、国際民主主義などというものは成立しようがないものだろう。ただそうなると世界はアメリカ一極に対する「親米」と「反米」で色分けされてしまうことにもなりかねない。意見の多様さこそ誤謬を防ぐ最大の武器だとすれば、2色に分解された世界はある意味で非常に危険をはらんだ世界だ。そんな世界はあまり住みやすくはあるまい。
(藤田)

★日本人の選択★Newsweek Japan Online 5/6

北朝鮮問題についてコラムを書いていると、「好戦的」であるとの批判を受けることが多い。日本の核武装の可能性に言及したときには、たくさんの反論が届けられた。もちろん私自身、自分が好戦的であるとは思っていない。私が気になっているのは、日本が第2次大戦以降、平和の中で繁栄してきたのは、日本が平和憲法を大事に守ってきたからだという日本人の意識である。
果たしてそうなのだろうか。日本が他国から攻撃を仕掛けられることもなく、また地域紛争に巻き込まれることもなかったのは、日米安全保障条約によって日本が米軍の傘の下にいたからではないのか。日本に対する攻撃はアメリカに対する攻撃とみなす相互安全保障条約であるから、いかなる国であれ日本を攻撃することにはためらいがあったはずである。
日本の平和憲法は世界的にあまり例のない憲法である。近代国家というものは、自国を守るための軍隊を保有しており、自衛のためなら他国を攻撃することもできるという共通の了解をもっている。したがって「一方的」に軍事力を放棄しても、だから平和でいられるということにはならない。ただこの半世紀は、自衛隊という名の軍隊に止める(つまり他国を攻撃する能力はもたない)ことが、日本にとってもアメリカにとっても都合がよかった。旧ソ連や中国、それに近隣アジア諸国に無用の警戒感を抱かせずにすんだからである。
しかし北朝鮮問題がクローズアップされるにつれ、日本の外交能力の限界がいよいよはっきりしてきたように見える。中国が仲介した米中朝3カ国協議に参加することができなかったのが象徴的である。日本の外交力が弱いのは、外務省の能力が劣っているからという理由だけではあるまい。外交力の源泉は、国家としての力だ。そして国家としての力とは、経済力、政治力、それを裏打ちする軍事力である。これらハード・パワーに加えて、アメリカのジョセフ・ナイが言う「ソフト・パワー」もある。ソフト・パワーとは、自国が欲することを相手国も欲するよう仕向ける力のことだ。
こうしたパワーの中で日本に決定的に欠けているのは、政治力と軍事力だ。もし日本がその経済力にふさわしい外交的なパワーを望まないというのなら、今のままでもいいかもしれない。アメリカが日本を見捨てる可能性は少なくとも当面はほとんどない。アメリカが共和党政権であるかぎり、中国には警戒心を抱くであろうから、日本の相対的な重要性が低下することもあるまい(伝統的に中国を重視する民主党政権になると、また日本パッシングになる可能性はあるが)。
しかし世界第2位の経済力をもつ日本が、それにふさわしい外交力がないということは、いろいろな場面で、日本にとって不利益な状況が生まれるということだ。貿易問題、農業問題、環境問題、世界にとって重要なこうした問題を交渉する場面で、日本の発言力は限られる。
つまりはグローバリゼーションという欧米のルールの下で、日本は経済大国
として生き残ることを探り続ける道を選択するなら、外交力のなさを嘆くこと
はない。北朝鮮問題もそうした観点からみると、むしろ3カ国協議に入らなく
てよかった、というべきなのかもしれない。(藤田)

★次の標的は北朝鮮?★4/22
イラクでの戦争がとりあえずほぼ終結したのを見計らったように、北朝鮮をめぐる交渉が動き出した。中国が仲介して米中朝の3国間協議が北京で行われることになったのである(直前になって北朝鮮が使用済み核燃料の再処理をしていると明らかにしたため、アメリカが態度を硬化させて一時は協議が開催されるかどうか危ぶまれたが)。
それにしても金正日総書記は、アメリカに侵略させないためには核兵器が必要だと本気で信じ込んでいるのだろうか。イラクのフセイン政権が打倒されたのは、国連に核査察を許したからであるとも公言している。だから核武装しなければ、自国の安全保障はないといわんばかりである。
しかし、北朝鮮が核兵器を保有すれば、韓国やひょっとすると日本も核武装するかもしれない、と思わないのだろうか。使われない核ではなく、実際に使われるかもしれない核が存在するようになったら、東アジアはとんでもなく不安定な状況になってしまう。実際、中国はそれをいちばん恐れている(だからこそ米朝2国間協議に固執する北朝鮮を口説いて、米中朝3国間協議を認めさせた)。
核兵器が地球上から消えてなくなるのがいちばん望ましいとは思うが、もしそれが(少なくとも当面)無理なら、核保有国が増えることだけは防がなければならない。核保有国が増えれば「恐怖の均衡」が崩れる。バランスが崩れれば、核兵器が実際に使われる可能性が高まるのである。実際、領土問題をめぐって対立しているインドとパキスタンの両国が核武装しているために、世界の安全という意味ではきわめて危険な火薬庫となっている。
したがって北朝鮮に絶対に核武装を許してはならないのだが、「核の魔力」に取り憑かれた金正日に核武装を放棄させる有効な手段はなさそうだ。イラクと違って経済的にはほとんど破綻している国であるのに、これまで経済的な圧力に屈する様子は見せなかった。国民が飢えていても軍事力を維持するばかりか、核開発やミサイル開発を進めようとしているのを見れば、仮に厳しい経済制裁を課してもそれで金正日が「心変わり」するとは思えない。
今の状態では、北朝鮮が望むようにアメリカと「不可侵条約」を結んだとしても、それで金正日が核開発を放棄することにはならないだろう。アメリカを譲歩させたのは核を開発しているからだという「力の論理」がますます強まるだけだ。ましてイラク攻撃が「成功」したことで、アメリカ国内でネオコンと呼ばれるタカ派が勢いを増しているとなれば、金正日が警戒感を強めても不思議はない。
かといって軍事的な圧力をかければ、いつ暴発するかわからない怖さがあ
る。実戦に使える核兵器はないとされているが、通常兵力でも少なくとも韓国
には大きな打撃を与えられるだろう。在韓米軍3万の兵士やその家族にも相当
な被害が及ぶことになると思われるだけに、米軍もうかつには手を出せまい。
皮肉なことに在韓米軍が北朝鮮にとって「人間の盾」になっている。こうした
状況では、日本にできることはそう多くはない。北朝鮮とアメリカの出方を固
唾を飲んで見守ることしか残されていないとすれば、情けない話だ。(藤田)

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