★阿修羅♪ 現在地 HOME > 掲示板 > Ψ空耳の丘Ψ27 > 182.html
 ★阿修羅♪
次へ 前へ
哲学クロニクル 第379号
http://www.asyura.com/0306/bd27/msg/182.html
投稿者 代木 日時 2003 年 6 月 03 日 18:57:47:


┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏
哲学クロニクル 第379号
(2003年6月3日)
戦争のあとで(1)
┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏

5月の31日のことですが、ヨーロッパの著名な知識人がそろって、ヨーロッパの
外交政策に関する見解を表明しました。どうも直前まで極秘扱いで計画が進めら
れたらしいですね。その中心になるのが、FAZ紙に掲載されたデリダとハーバー
マスの共同署名論文。

『近代の哲学的ディスクルス』であれほどデリダを批判したハーバーマスが、ハー
バーマスの対話的理性の理論の限界を批判してきたデリダがと、意外な思いをさ
れる方もあるでしょうけど、ラムズフェルドの「古いヨーロッパ」呼ばわり(笑)
に対する反応は、かなり一致していましたね。2回に分けてFAZ紙に掲載された抜
粋の抜粋をごらんいただきます。いずれ図書館で原文のチェックをする予定です
し、その他の論文もフォローするつもりです。

=================================
デリダとハーバーマスの共同声明
FAZ、2003年5月31日号

ハーバーマスはデリダと連名で、5月31日のフランクフルター・アルゲマイネ紙に
文章を発表した。ヨーロッパの統一にとって試練となったイラク戦争が終わった今、
世界におけるヨーロッパの役割を再定義すべきときを迎えたと強調しているので
ある。

ヨーロッパの著名な新聞との密接な協力のもとで、この意図を補足する文章が公
表されている。パリのリベラシオンには、デリダの要請のもとで、デリダとハー
バーマスの文章のフランス語版が公表された。イタリアのレプブリカには、ウン
ベルト・エーコの文章が発表され、スイスのノイエ・チュルヒャー・ツァイトゥ
ンクには、アドルフ・ムシュクが、スペインのエル・パイスにはフェルナンド・
サバテールが、イタリアのラ・スタンパにはジャンニ・ヴァッティモが見解を表
明した。さらに南ドイツ新聞には、アメリカのリチャード・ローティがハーバー
マスに直接に答える文章を発表した。本紙では、ハーバーマスの提案に始まった
この議論を継続して掲載していくつもりである。

ハーバーマスとデリダの文章は、1月31日の「八か国の手紙」に対する反対提案
と考えるべきものである。この「八か国の手紙」では、イギリスとスペインの主
導のもとに、ヨーロッパの八か国がアメリカの外交政策を支持することを発表し
ていた。ハーバーマスとデリダは、魅力的な文化的「ビジョン」を含む形で、ヨー
ロッパの外交政策を一新することを求める。そして2月15日の大規模な反戦デモ
は、「歴史的にみて、ヨーロッパの規模での公衆が誕生したことを示すシグナル」
とみなすべきだという。

つぎにハーバーマスとデリダの文章の抜粋を掲載する。

●戦争のあとで−−ヨーロッパの再生
デリダ/ハーバーマス、フランクフルター・アルゲマイネ、5月31日号

われわれは二つの日付を忘れてはならない。ひとつは、スペインの首相が、ヨー
ロッパの好戦的な諸国の政府の代表を、他のEU諸国に知らせずに招待して、ブッ
シュ大統領に対する忠誠心を表明し、新聞の読者を唖然とさせた日だ。もうひと
つはロンドン、ローマ、マドリッド、バルセロナ、ベルリン、そしてパリで大衆
がデモを繰り広げて、この奇襲に反応を示した2003年2月15日のことである。

圧倒的な印象を与えたこの巨大なデモは、第二次世界大戦が終了してから最大規
模のものであり、将来になって振り返ってみれば、ヨーロッパの規模で公衆が誕
生したことを示すシグナルとして、歴史書に記載されることになるだろう。

イラク戦争の開戦からの重苦しい数か月というもの、道徳的に卑猥としか言わざ
るをえない〈分業〉が、人々の感情を激しくかき乱していた。とどまるところを
知らない軍隊の行進の兵站を担う大規模な活動が、人道主義的な援助機関の熱心
な活動と、歯車のようにぴったりとかみ合っていたのである。この見世物は、独
自の活動を展開するすべもなく見守っていた住民の前で、冷然として展開された。
そしてその犠牲になるのは、住民たちなのである。

これに対してヨーロッパの市民たちが共同で立ち上がった。そこでは感情の力が
強く働いていたのは、疑問の余地がない。しかしこの戦争によって、すでに以前
からはっきりとしてたヨーロッパの共同の外交政策の失敗が、人々に改めて意識
されたこともたしかである。

将来の憲法で、ヨーロッパ全体を担当する外務省が誕生するはずである。しかし
新しい役所ができたところで、ヨーロッパの諸国が共通の外交政策で合意できな
ければ、いったい何の役にたつというのか。欧州連合の外務大臣も、名前が変わ
っただけでは、NATOの事務総長とおなじように無力なままだろう。いまのと
ころ、欧州連合に国家としてふさわしい姿をとらせようとしているのは、ヨーロッ
パの中核となる加盟国だけにすぎない。

しかしこれらの諸国だけで、ヨーロッパの「固有の利益」の定義に合意できたと
ころで、いったいどうなるというのか。ヨーロッパが分解しないためには、ヨー
ロッパの諸国が、ニース条約で定められた「協力の強化」のメカニズムを活用し
て、共同の外交政策と防衛および安全保障政策をもつヨーロッパを作り出す必要
があるのである。

そして将来のヨーロッパ憲法においては、分離主義を認めてはならず、認めるこ
とはできない。先行するということは、排除するということではない。前衛的な
ヨーロッパの核心となる諸国が、小さなヨーロッパで固まってしまってはならな
い。機関車とならねばならないのである。

┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏
ポリロゴス事務局
chronicle@nakayama.org
(c)中山 元
┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏┏

哲学クロニクル
http://nakayama.org/polylogos/chronique/
では、ご意見やご感想をお待ちしています。
クロニクル(chronicle@nakayama.org)まで、お気軽にメールを
お送りください。
メールの一部をクロニクルでご紹介することがあります。
掲載を希望されない方は、ポリロゴス事務局の
アドレス(office@polylogos.org)あてにどうぞ。


------------------------------------------------------------------------
          あ、そうだ 今日の運勢 何位だろ?
         http://ap.infoseek.co.jp/uranai2.html

 次へ  前へ

Ψ空耳の丘Ψ27掲示板へ



フォローアップ:


 

 

 

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。