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犯罪を煽る娯楽産業  ビル・トッテン
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投稿者 エンセン 日時 2003 年 8 月 01 日 09:11:54:

犯罪を煽る娯楽産業

From : ビル・トッテン
Subject : 犯罪を煽る娯楽産業
Number : OW585
Date : 2003年8月1日
 最近の犯罪の特徴は、低年齢化とともに弱者に向かっているということが挙げられる。心のゆがみや怒りが権力機構にではなく、家庭内暴力や虐待という形で幼児や老人、女性にその矛先が向けられている。大きくて強いものに立ち向かうのではなく、身近な弱い者を簡単に暴力の対象とすることは、私が日本に来た30年ほど前には、卑怯で許されないことだった。しかしその感覚が変わりつつある。

(ビル・トッテン)

犯罪を煽る娯楽産業

 私は犯罪の専門家ではないし、心理学や精神医学を学んだこともないので心の病理について説くことはできない。心の病とひとくくりにすることはできないかもしれないが、精神病の罹患率が昔は特に低かったわけでもないだろう。そう考えたとき、この心の変化はブータン王国の例でも述べたようにテレビや映画が大きな要因であると私は思うのである。精神病とまではいかないが、善と悪、または現実と仮想現実の区別がわからないグレーゾーンの人々が、映画やコンピュータゲーム、映像に浸っているうちに犯罪に走ってしまう。現代は、おとなしいと思われていた人間がインターネットで爆弾を作ってしまうような危うさを抱えた社会なのである。
 
 銃社会という背景から、アメリカではさらに多くの凶悪事件が起きている。1999年、アメリカで「マトリックス」という映画が上映された。映画を見ていない私はこの内容をその後で起きた銃の乱射事件で知った。映画のテーマを要約すると、いま私たちが現実だと思っているこの世界はコンピュータが作った「マトリックス」という仮想現実で、実際には私たちはただ脳に送られてくる信号を受信しているの過ぎないというものだという。映画はヒットし、続編も作られた。1999年にコロンバイン高校で起きた乱射事件の犯人たちもマトリックスのファンで、主人公の衣装である黒いトレンチコートを真似て愛用していたという。しかし映画の主人公が銃を乱射していたたわけではないだろう。
 
 この映画に魅せられたファンが、現実と「仮想現実」の区別がつかなくなって起こした殺人事件がアメリカでいくつも起きている。映画やドラマ、中には実際の事件がテレビニュースなどで報道された後に模倣犯罪が起きるということはこれまでにもあった。しかし映画のテーマに感化され、現実と仮想現実の区別がつかなくなって起きた犯罪は、模倣とは呼ぶことはできない。ではそれにどう対処するべきなのであろうか。映画マトリックスの「現実はコンピュータが作った幻想だ」というメッセージを受け取り、家主の手足を切断するというサンフランシスコで起きた事件、またはオハイオでの殺人事件、どちらも精神病として無罪となっているのである。
 
 マトリックスが引き金となって起きた殺人事件で映画製作者に責任はないのかといえば、アメリカの判例では責任は問われていない。まずそれは模倣犯罪ではないし、さらにアメリカでは憲法修正第一条で、言論あるいは出版の自由が保証されているため、映画製作者を訴えても有罪にすることはきわめて難しい。最近も未成年者への暴力的なビデオゲームの販売を禁じたワシントン州法が、言論の自由の侵害に当たる可能性があるとして米連邦裁判所によって一時的に差し止められたばかりである。実際その映画を何万人もの人が観たわけで、観た人がすべて罪を犯したたわけでもない。ある傾向を持っていた人だけがマトリックスのテーマに強く感化され、その幻想にスムーズに入っていったということだ。そして多くの人が傷つき、殺された。
 
 この現実にも関わらず、言論の自由という憲法に守られながら暴力をテーマにしたテレビ、映画、ゲームを娯楽業界は販売し続けている。エジプトではマトリックスの続編が宗教上の理由およびその暴力的な内容のために放映禁止になった。これはきわめて納得のいく措置だと思う。家庭でテレビのスイッチを切るように、国家が政策としてそれを拒絶することは、それが社会にもたらす悪影響とそれを禁止または規制することによってもたらされる影響とを比較すれば選択は簡単だ。

 アメリカには1960年代、クラシック音楽の非商業的なラジオ局がいくつもあった。今ニューヨークシティには、非民間のクラシック音楽のラジオ局は一つもなくなった。シンフォニーオーケストラは全米で倒産の危機に瀕している。もしクラシック音楽が人々の情操を豊かにすると確信していれば米政府は補助金を出していただろう。しかし現実は個人の利益や嗜好が最優先された。自由が何よりも大切になり、たとえそれが心を歪めるものでも自由に入手できるようにすべきだとアメリカ人は信じた。日本にはまだ厳しい銃規制がある。社会の安寧のために、暴力を煽る娯楽に対する規制もおこなわれるべきだと私は思う。


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