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変見自在・週刊新潮より
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投稿者 13代目 日時 2003 年 6 月 14 日 22:15:19:JcIccxd7mtA.Q

過ぎたるは・高山正之著 

 エルサレムの良いホテルには変なエレベーターが必ず1基か2基ある。
 どう変かと言うとその箱には行き先階のボタンも無ければドアの開閉ボタンも無い。
 乗れば黙ってドアが閉まり、各階毎に止まってはドアが開く。乗客は腕を組むなり瞑想にふけるかし
ていれば、何時かは目的の階に行きつける。
 不精者用にしか見えないこの箱に実はイスラエルの今を解く鍵がある。
 この国が周囲の人々の反対を押し切って旧約聖書に言う「神の約束の地」に再建されたのはもう半世
紀も前になる。初代首相はペングリオンと言った。
 彼は世界各地から2500年ぶりに戻ってきた同胞を見て戸惑った、割礼は守られてはいたが、豚肉は食
うわ酒は飲むわ。この地に建国する口実とした聖書の戒律も大方が忘れられているように見えた。
 なんだ、其れなら別にここに建国しなくても良かったじゃないか、と言う批判が出るかもしれない。
 彼は考えた。後ろ指を指されないように真摯に聖書に生きる人々を育てよう。
 其れが黒い帽子に黒の上下、髪も髭も剃らずに嘆きの壁で祈りを捧げるハレデイムになる。
 彼らは40歳過ぎまで課せられる兵役も税も免除され、生活費は国が全てを負担した。信仰を業務とす
る国家公務員と言ってもいい。
 その代わり彼らは信仰と戒律に生涯を捧げる。例えば豚肉は駄目。牛肉はいいが先ず血抜きをし塩を
まぶして3度水洗いする。血の滴るようなステーキなど夢に見てもいけない。
 母の乳で子の肉を煮る料理もいけない。親子丼などとんでもない。
 土曜日の安息日は働いてはならない。「働く」には機械の操作も含むから車の運転は駄目。エレベー
ターを動かす事も駄目だ。
 ホテルの妙なエレベーターも実は安息日にハレデイムが使う為だけに置かれた物だ。あれなら操作し
なくても勝手に動くから戒律には背かない。
 そういうハレデイムのおかげでイスラエルの人々は戒律など気にせず、生ハムでも何でも食べれれる
が、その分、かなりきつい兵役と納税の義務は負う。だから「子供は2人がせいぜい」とハーレッ紙の
女性記者も言っていた。
 ハレデイムはその点、国が面倒を見るから子供は何人でも産め、彼らの人口は増え続け、今や人口の
5分の1を占める程になった。
 かくて原理主義ユダヤ教徒は地に満ち、ベングリオンの心配は解消された。
 ただこれで万事めでたしとは行かなかった。パレスチナ人を追い払って建国したイスラエルは聖書の
上ではまだ完全ではない。何故なら聖書にはこうある。
「その地に異教徒を残してはならない。其れに背けば異教徒と同じに神の罰が下る」と。
 ラビン首相はその言葉に背いてパレスチナと共存を公約し、95年に、ユダヤ原理主義の若者が神の
代わって彼を殺した。
 信仰心厚い人々はパレスチナ人に僅かに残されたガザ地区、ヨルダン川西岸地区にも入植を強行する。
神の庇護と言葉を信じて。
 その一方で巨大な票田を持つハレデイムはイスラエル国会にも無視できない数の議席を確保した。
 一つのパターンが其れで生まれた。不法入植者がパレスチナ人を刺激し、その抵抗がイスラエルに
報復の口実を与える。報復は議会の承認付きで戦車もみさいるもつぎ込まれた。
その背後にハレデイムの影を見るという人もいる。
 4日、ブッシュ大統領はパレスチナに建国を約束しイスラエルには不法入植者の引き上げを約束させ
た。 中東に絵和平の灯が見えた瞬間だ。新聞はその障害としてパレスチナ・テロ、ハマスを名指す。
でも本当に危ないのは、もう一方の国の育ちすぎた原理主義者集団の方なのだ。

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