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(回答先: 高山登久太郎氏を悼む キツネ目事件調書 投稿者 力なき市民 日時 2003 年 7 月 02 日 06:46:36)
御 礼
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謹啓
貴家、益々ご盛栄の段、お慶び申し上げます。
さて父、登久太郎儀、かねてより病気療養中のところ、去る６月１５日午前８時３０分、永眠致しました。ここに生前のご厚誼に衷心より感謝申し上げますとともに、ご通知が遅れましたことを深くお詫び申し上げます。
本年１月、検査のため入院致しました先で胆管がんが発見され、その時点で余命一ヶ月との診断を受けました。その宣告に周囲の悲嘆は言うべくもなきところではございましたが、本人はむしろ冷静に事態を把握し「同じ天命を全うするなら、座して死を待つより少しでも可能性をある道を」と、治療の場を京大病院に移した次第です。
しかしそれは同時に、辛い闘病生活を強いられることを意味しました。以来、半年にわたって抗がん剤や放射線治療が続けられる中、発熱などさまざまな副作用に苦しみ、死に直面する現実と戦いながら、体力は日に日に衰えていきました。
それでも父は、ひと言の弱音も吐かず、最期まで諦めることなく病魔と戦う勇姿を周囲の者に見せ続けました。ある日、発熱に苦しむ父に、医者が点滴を止めようかと尋ねたことがあります。そのとき「人間には抗体というものがありますな。点滴を受けても熱など出ない抗体をワシの身体につくりますわ」と答えていたのが、いかにも父らしいと感じたところです。
そんな病床にありながらも、事業での実務的なことなど、死出に向けての準備も怠りなく進めていきました。また「死んでから家族やご近所の方々に迷惑をかけるようなことはしたくない」とも言い「葬儀の類は行わず、すべて密葬で行い、それが済むまで一切を伏し、家族四人だけで弔うこと」と言い残しました。
生前、幅広くご厚誼を頂いたことから、死後、その死を悼んで下さる方々の数も尋常ではないことを、父自身が一番よく知っていたゆえの家族への優しさとご近所のことを考えての配慮だったと感じております。
１５日には、かねてより放射線治療が終わった段階で、自宅での療養を希望しておりましたことから退院の運びとなりました。
帰る道すがらも仕事のことなどあれこれと指図し続け、気丈なところを見せておりましたが、自宅近くまで戻り、入院中に工事が始まったため、それまで一度も見ることがなかった完成間近の新しい事務所を目にしたところで、安堵するように旅立っていきました。
最期まで仕事のことを気にかけ、自分の葬儀についてのことまで言い残してくれたのは、父の亡き後、家族が煩わしい思いをしたり困ったりすることがないようにと、私どもに深い思いを及ばせてくれた賜物と感じております。
お悔やみに駆けつけ、お見送りにおいで頂いた方々には、誠に勝手ではございましたが、私ども家族は、この父の厚意に甘え、あわてることもなく冷静に、そしてしめやかに故人を見送ることができました。ご厚志を頂戴致しました皆様方に、重ねて厚く御礼申し上げますとともに、 何卒この意をおくみとり頂き、ご容赦賜りますようお願い申し上げます。
渡世の世界に身を置き、任侠道にその生涯を捧げた父の一生でした。
その中で、人を分け隔てすることを嫌い、常に忘己利他を旨とし「人のために生き、人のために死ぬこと」、「堅気衆を大切にすること」という先代からの教えを固く守り続けた父でした。また、日本社会においてのヤクザのあり方について、ある種、哲学を持った人でもありました。
この任侠道に対する愚直さは、体制に安穏とする時の権力の焦りと苛立ちを呼び、これまで彼らはその封じ込めのために、手段を選ばぬ攻撃をしかけてきたことはご承知の通りです。
このため晩年は、権力に対して常に厳しい目を向け、その腐敗、堕落を糾弾し「間違いは間違いだ」と戦い続けてきました。
ことに暴対法については「日本の将来に禍根を残す、誤った法律である」と主張し、裁判や数多くのメディアを通じてその不当性を訴えることに生涯を費やして参りました。
先のトークショー裁判では、病床にありながらも、正当な判決が下りるよう関係者を叱咤激励し、残念な結果となっても即座に控訴を決断致しました。高熱が襲う中、判決を何度も読み返し、来るべきときに向けて準備を進める姿は、まさしく執念ともいえる情熱を目の当たりにする思いでした。
またホームページでは、大きな声が出せなくなっても最期まで訴えることを止めず、秘書が代筆した原稿を幾度も推敲し、一人でも多くの方々にご理解いただけるよう、最期まで健筆をふるっておりました。
言うべきことは言う。間違っていることは間違っていると指摘する ―― 。父はこの任侠道を大義に、誰に臆することなく権力に立ち向かい、彼に与えられた天命を、その生涯の中で文字通り完全燃焼の形で全うし、完結に導きました。
しかしこの戦いは、権力という体制と、それに付随し、弱者を踏み台にして安穏と生きようとする者が存在する以上、未来永劫、終焉を見ることはないと存じます。
父の「遺志」などと軽々に口にすることさえ許されないほど、情念に満ちたこの魂を、これからも引き継いでいくことが私に与えられた使命と感じております。
末筆になりましたが、ここに重ねて生前のご厚情に深謝申し上げますともに、今後ともよろしくご指導、ご鞭撻の程、お願い申し上げます。
なお、まもなく墓石が完成する予定でございます。改めて所在等、お知らせ申し上げる所存ですが、お近くにおいでの際は是非ともお立ち寄りいただき、手を合わせていただければ故人も喜ぶことと存じます。
略儀ながら書面をもって、御礼とお詫びの言葉に代えさせて頂きます。
謹白
平成１５年７月
髙 山 義 友 希
各 位
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。