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江戸の老舗 黒字倒産の危機 バブル期の借り入れ本業圧迫 貸しはがし激化も 東京新聞
http://www.asyura.com/0306/hasan27/msg/285.html
投稿者 小耳 日時 2003 年 6 月 04 日 12:04:40:

 江戸時代から暖簾(のれん)を掲げる東京・日本橋の老舗が、貸しはがしによる「黒字倒産」の危機にある。本業は
黒字だが、バブル期、銀行に勧められた自社ビル建設に伴う融資が焦げ付いているためだ。りそな銀行の実質的な国有
化で、貸しはがしはさらに加速するとの予測もある。メガバンク(巨大銀行)が進める“不良債権処理”の実態は−。
 (星野恵一、加藤寛太)

■銀行一転手のひら返し

 創業数百年という中央区日本橋の日本雑貨店の店主が話す。「貸す時は支店長まで来て『借りてくれ』と言った。貸
し手責任はどうなったのか、と思うし、金融庁は実体経済を見ているのだろうか」

 同店が、大手都銀(現在はメガバンク)から融資を受けたのは一九九二年だ。「相続税対策として、銀行が自社ビル
建設を勧め、ゼネコンまで連れてきた」。木造の店舗兼家屋は、地下二階、地上八階建ての立派なテナントビルに変身
した。

 融資はこの土地約六百平方メートルと、ビルを担保に約三十四億円に上った。ところが当時、既にバブル経済は崩壊
しており、担保に差し入れていた土地価格は急落し、大幅な担保割れになった。「融資の返済計画は当初の二十五年か
ら、三十年、さらに三十五年と、延ばしてもらった。それでも、金利さえ払っていれば、銀行は何も言わなかった」

 銀行の態度が一変したのは一昨年だ。九八、九九年に大手都銀に軒並み公的資金が注入されたにもかかわらず、融資
継続を渋った。

■公的資金注入後「不動産売って」

 「金利返済が滞ったことはなく、これまでは元本を返すと言っても『返さなくてよい』と言っていたのが、『不動産
を売ってでも返済してくれ』とコロッと変わった」。いわゆる「貸しはがし」だ。

 同店は、テナントの賃料収入は先細るものの、年商は約三億五千万円に上り、本業の経常利益は約四、五千万円だ。
「本業では、ここ数年はずっと黒字」だが、融資元本のうち返済したのは約十数億円で、負債が資産を上回る債務超過
であることも確かだ。銀行側の要求通りに不動産を売却すれば、事業基盤と自宅も失った上、借金だけが残る。「黒字
倒産」となりかねない。店主は「今は銀行側とは小康状態。事業資金を借り入れたことは一度もないのに…」と、今も
返済策に頭を悩ませる。

■年商は5億円 数千万利益でも

 老舗の多い日本橋では、この店主と同じような境遇の自営業者は多い。本業の年商は約五億円で、数千万円の利益を
出している総菜店も、バブル末期に受けた融資の返済を迫られており、「黒字倒産」寸前だ。

 複数の大手都銀などからの借り入れは計約十三億円に上り、元本返済の半分は滞ったままだ。借り入れはやはり自社
ビルの建設が原因。「数年前から、二年ごとの借り換えを行っているが、そのたびに金利は上がった。一行からは一年
以内の完済を求められている」

 また、別の店主は「銀行は返済計画や経営改善計画の提出だけでなく、『社長の給料はこれだけ、それ以上は困る』
とまで言ってきた」と明かした。

 “不良債権処理”が急務の銀行側は、中小、零細への融資状況をどうみているか。メガバンク関係者が話す。「公的
資金注入後、金融庁から資産査定の厳格化を求められている。金融検査マニュアルに従って貸出先を格付けすると、赤
字が続いたり、債務超過の貸出先は要注意以下となり、原則的には融資継続や新規融資は難しい。これが中小、零細の
首を絞めている」

 日本橋のような黒字のケースはどうか。「よくあるケース。本業が黒字とはいえ、債務超過で、事業の規模が小さ
く、債権額に対する黒字幅が小さい場合、今の銀行には継続支援するだけの体力はない。以前なら救われるケースもあ
ったが、金融庁から『早く処理を』と言われる。金融庁も数字だけ見ている」という。

■3、4日だけの見せかけ融資も

 さらに「零細のオーナー会社への不動産絡みの融資については、不動産が生活基盤のため手をつけづらい面があっ
た。今はそれが許されない環境だ」と、もう一段の“不良債権処理”が進む可能性を示唆する。

 ただ、この関係者は疑問を口にする。「取引先との関係は、数字だけで割り切れない部分がある。基準に即して処理
すると言っても、誰のためになるのか、とも思う。本当に中小、国民のためになっているのか」

 銀行への公的資金の注入は、中小企業に対する貸し出しを抑制しないためでもあったはずだ。各行は、中小企業への
貸出残高について、自主目標を立て、達成率を半期ごとに公表しているが、先の関係者は、こんな事例を明かす。

 「達成率が低いと金融庁から『業務改善命令』を受ける。だから達成率を上げるため、よりすぐりの優良中小企業に
頼み、三、四日間だけ借りてもらい、すぐに引き揚げることも過去にはあった。『期末に運転資金が必要だった』など
理屈付けはするが…。金融庁は内容を知っていたと思う」

■専門家「金融庁の制度は整備」

 一方、「金融庁の制度は整っているが、銀行の現場で柔軟な対応ができていない」と指摘するのは、東京三菱銀行で
支店長経験もあり、『銀行交渉術』の著書がある中村中・ファインビット代表だ。「中小企業の場合は、財務分析だけ
でなく、販売力や経営力など将来的、長期的な返済能力をみないといけない。金融庁の検査マニュアル別冊でもそうあ
るし、国際決済銀行もそう言っているが、現場で柔軟に対応できていない」。「一見、要注意先でも正常先」として救
われるケースもあるという。

 メガバンクの内幕を描いた『非情銀行』『起死回生』の著者で、元みずほ銀行築地支店長の江上剛氏は、りそな銀行
の「国有化」で「貸しはがし」がいっそう進むおそれがあるとして、りそなを例に指摘する。

 「りそなの優良取引先や大企業は、ものすごい勢いで他行に侵食されているだろう。残るのは他行が相手にしない要
注意先の中小企業だけ。新経営陣がこれまでと同じ発想で、短期で成果を上げようとすれば、引当金コストを下げるた
め、会社が存続しているうちに融資を回収するしかない」

 だが、江上氏は国有化の先行きに懐疑的な思いを抱きつつも、新経営陣の新たな銀行経営に期待してこう注文を付け
る。「血税である二兆円で、どういう会社を育て、助け、再建したか。社名までとは言わないが、きちんと説明できる
ぐらいのことはすべきだ」

 経済評論家の三原淳雄氏も「銀行は貸しはがしはしていないと口をそろえる。東京三菱銀行の頭取に至っては『貸し
はがしではなくて、貸し起こししている』という。ならば、どう中小企業のために融資をしているのか。その実例を見
せてほしい」と迫る。

 江上氏は最後にこう提言した。「要注意先の貸しはがしを進めるのではなく、ここにこそ再生の鍵がある。多少金利
が高くても、担保なしにするとか、定期預金を積ませたり、経営者に個人保証をさせるなど、中小企業が悩んでいるこ
とを取り除く。マーケット側からの視点こそが大切だ」

http://www.tokyo-np.co.jp/00/tokuho/20030604/mng_____tokuho__000.shtml

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