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りそな銀行の件 経済コラムマガジン
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投稿者 転載 日時 2003 年 6 月 10 日 21:33:30:

03/6/9(第300号)

りそな銀行の件

浅学非才の小泉首相
とにかく今日の日本経済に関しては、政策も論議も混乱している。誰が日本の経済の行く末を見極めているのか分らない状態である。このような混乱している日本経済を取上げるせいか、今週号はとりとめのない話になりそうである。

りそな銀行の件は、少しずつ背景が報道されるようになり、だいたい実質国営化までの経緯がおぼろげながら分った。今回の出来事は、りそな銀行にとっても、全くの予定外の事態であった。このような結果になるのなら、事前に取り得る手段はいくつも考えられたはずである。ましてや今後、政権交代がなされ、経済政策が大きく変わることが十分考えられる。つまり今回の決算だけを何とか凌ぐことさえできれば、りそな銀行は助かったかもしれないのである。りそな銀行は、一言でいえば「運」が悪かったと思われる。


小泉首相は、28日の衆院予算委員会で野党のりそな銀行に関する質問に「金融問題については私は浅学非才(せんがくひさい)。いちいち個別の問題は発言を控える」と発言している。とても考えられない答弁である。もちろん小泉首相が経済や金融についてほとんど常識や考えがないことは、誰もが認めていることである。これは決して謙遜の言葉ではない。それにしても一国の総理が、自分のことを「浅学非才」と発言していること自体、これは大問題である。「自分はばかで、何も分らない。したがって何の責任もない」と言っているのと同じである。

この首相の発言は異常である。しかし首相の異常さに慣れたマスコミは、何も感じなくなっているのか、どこも真剣にこの問題発言を取り上げない。マスコミは、反応が期待できない事柄は、いくら重大なことでも取上げようとしない。反対に「つまらない」ことでも、人々が関心を持ちそうなことは、しつこく報道する。このようなところにもマスコミの問題点が現れている。

しかし「浅学非才」発言は重大である。小泉首相自身、経済や金融に無知であることを公に認めたのである。つまり小泉政権の「改革なくして成長なし」という基本方針は、全く根拠がないことを自ら暴露したようなものである。ところが小泉政権発足時から、多くの経済学者や経済人は、小泉人気に悪乗りし、「構造改革」が必要急務と訴えて来た。彼等は「構造改革」こそが、日本のデフレ経済から脱却するための方策と言い張っていたはずである。

内閣府の経済財政白書のサブタイトルは、13年版が「改革なくして成長なし」であり、14年版はなんと「改革なくして成長なし2」である。ところが「改革」路線では、今日苦境に陥っている日本経済の何の解決策にもならないことがはっきりして来ると、これらの改革派の人々は、例のごとく急に黙りこくってしまった。いまだに「改革なくして成長なし」と遠吠えを続けているのは小泉首相だけである。日本は、今日、極めて不幸な状況にある。

みのもんたの当然
りそな銀行の話に戻る。りそな銀行が実質国有化され、再建計画が発表されている。「関係会社を含め、140名の役員全員の退職。しかも退職金なし」「給与の3割カット」「1,000名を越える希望退職」「支店の統廃合」などである。しかしマスコミの反応は極めて冷たい。テレビ番組の中でみのもんたは「140名の役員全員の退職金なしの退職」や「給与の3割カット」を「当然」と切り捨てていた。マスコミの風潮はだいたいそのようなものである。

しかしどうして「当然」なのか筆者には理解できない。どうしてもテレビというメディアは、人々に深く思考することを妨げる傾向がある。みのもんたが「当然」と言えば、視聴者はそれ以上考えるのをやめる。りそな銀行の経営問題は、100%がりそなの銀行員の責任と受取るのである。たしかに他の銀行が健全な経営を行っているなら、それが正しいかもしれない。しかしどの銀行の状況も似たり寄ったりなのが現実である。ましてや今日働いているりそなの銀行員の責任がどれだけあるのかも疑問である。

銀行の現役行員を悪者にしたてれば物事が済むほど事は単純ではない。すべての銀行の経営が危機なのである。ただ他の銀行の順番が後になっているだけである。これは国全体の経済の問題であり、まず責められるべきは小泉政権のはずである。みのもんた発言は、小泉政権の経済運営には全く問題がなく、悪いのは全て銀行員と言っていることと同じである。

りそな銀行の実質国有化と、厳しい再建計画は、当然、他のメガバンクの行員の行動に大きな影響を与える。どうしても国有化を避けるため、銀行は貸出しを渋り、融資金の回収にさらに努める必要に迫られる。これによって銀行に回収された資金は、リスクが低いと見なされている国債の購入に充てられる。自分の務めている銀行を守ることが、自分の生活を守ることになると、今度の件でどの銀行員も肌で感じたはずである。

りそな銀行の一件で、ますます銀行の金融の仲介機能は低下するはずである。将来有望な企業を開拓し、そこに融資を行うなんてのんきなことはできない。つまり銀行からの貸出先がこれからさらに問題になるのである。一頃、「銀行に公的資金を注入し、自己資本を充実させれば、金融の仲介機能が回復し、デフレは解決する」と語られていたが、これが全くのデマということがはっきりするはずである。日本国民は物事を深く考えるのを止めたみたいである。とにかくみのもんたの発言は、実態と大きくかけ離れている。


今日の政府の政策のベクトルはめちゃくちゃである。デフレ対策が必要と言っておきながら、増税や保険料の値上げを行う。不良債権の発生を抑えろと言っていながら、中小企業への貸出しを増やせと言っている。金融緩和を行っていながら、一方で補助金をカットしている。一体政府は何をやりたいのかさっぱり分らない。

税効果会計の導入もその一例である。不良債権処理を促す一環として税効果会計を導入したはずである。つまり銀行に早く、不良債権を計上させ、将来還ってくる税金分を繰延資産に計上させたはずである。ところが金融庁は簡単に方針を転換し、繰延資産に計上額が大きすぎると言い出し始めたのである。この方針の転換の最初の犠牲者がりそな銀行である。

だいたい余裕のなくなっている銀行が、将来の収益を元に繰延資産を計上するのなら、政府は、同時に経済を浮上させる政策を行うのが当然である。ところが政府は、反対にずっとデフレを深刻化させる政策ばかりを行っている。税効果会計への方針転換といい、りそな銀行の国有化の責任は、ほとんど国にある。みのもんたが国の責任をどのように思っているのか、ちゃんとした弁明を聞きたい。

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