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しのびよるデフレの亡霊
http://www.asyura.com/0306/hasan27/msg/477.html
投稿者 転載 日時 2003 年 6 月 11 日 09:21:17:XT9/2KlBbXtyg

http://www.sasayama.or.jp/akiary051/200306.html#20030611  より転載

「ボストン・グローブ」紙より、ニコラス・G・カー のhttp://www.boston.com/dailyglobe2/159/oped/The_growing_specter_of_deflation+.shtml を仮訳

米連邦準備理事会(FRB)は、物価低落に神経質になってる。

5月6日のグリーンスパン米連邦準備理事会(FRB)議長発言では、今後数ヶ月の間に、歓迎されざるインフレ率の低下が、わずかながらではあるがあり、それは、すでに低レベルにあるインフレの持ち直しを図りうる限度を超えるものであることを示唆した。

その二週間後、グリーンスパンは、議会で、それ以上に踏み込んだ発言をし、デフレの可能性と、広範囲での長期にわたる物価低落については、十分な吟味をする必要があると、発言した。

最近の経済データを見ると、FRBのいらつきにも無理からぬものがあることがわかる。

4月から、卸売り物価は1.9パーセント低落し、それは、1947年以来の大幅な低落であった。
また、小売物価は、0.2パーセントダウンした。

ここ12ヶ月間のコアインフレ率は、1.5パーセントであり、この40年間でもっとも低い上昇率であった。

利子率がなお低落すると見る投資家達は、政府保証債・国債に殺到し、結果、10年物国債のイールドは、1950年以来の低落となった。

物価の弱含みは、経済停滞の副産物であり、企業は、財布のヒモをかたくしている消費者に買わせようと、価格を切り下げているためと、結論づけたほうがよいようだ。

しかし、事態はそれほど単純ではない。

実際問題、デフレの亡霊は、経済が力強く経済成長に余力がまだあった1990年代から、しばし頻繁に、経済に忍びよっていたのである。

多くの財・サービスの価格が、ここ数年下がり続けているのである。

そして、その原因は、需要不足にあるのではなく、供給過多に、あるのだ。

世界経済における絶えざる自由化とともに、この10年間、技術革新に拍車をかけられた投資ブームが、広範にわたる工場設備の過剰と熾烈な競争をもたらしてきた。

いったん、一つの市場から製品があふれだすと、多くの企業は、価格を維持しようとしたり、価格上昇を目指そうとは、しなくなる。

現在の状況は、19世紀の状況と驚くべき類似点を見せている。

1870年に、世界の技術革新は、長距離輸送の技術で、その結実を見せた。

蒸気機関車や通信の発達によって、鉄道・船舶は、急速な広がりをみせ、そのことは、自由貿易に門戸をひらき、大量消費を刺激した。

急速に増加した生産の帰結として、生産性は向上し、熾烈な競争激化をもたらし、それらのことは、その後の30年間にわたるデフレの下地を作ることになった。

エリック・ホブスボーンの『帝国の時代』で、その期間の歴史を見ると、世界経済が拡張し続けているにもかかわらず、価格は低落し、企業は苦しんだ。

地域外からの始めての競争にさらされた農業者は、手痛い打撃を受けた。

1867年から1894年にかけて、小麦の価格は60パーセント暴落した。

しかし、犠牲になったのは、農業者だけではなかった。

商品コストは、全般にわたって、劇的に下がった。

その時代最強の経済力を誇っていた英国では、40パーセントもの驚異的な製品価格の低落を見た。

アメリカでは、多くの製品価格が、1988年から1897年にかけて、着実に低落した。

マーケットは成長し続けていたにもかかわらず、生産の増加を吸収するには、十分ではなかったのだ。

デフレは、仕事にありついている人や、蓄積した富を持つ消費者にとっては、恩恵である。

しかし、企業の利益にとっては、破壊的でさえある。

技術革新にささえられての、生産性の急速な増加にもかかわらず、価格は、企業がコストを下げる以上に下落した。

製造業者は、自分が製品を作っている間でさえ、製品価格が下落していくのを傍観せざるを得なかった。

この現象は、現代のコンピュータの製造業者がこうむっている事態と、同じである。

デフレが、社会に与える結果には、厳しいものがあった。

経済不況がひろがり、19世紀半ばに定着した自由なビジネスチャンスへの信頼は、消えうせていった。

労働者は仕事を失い、農業者や労働者は、政府への反抗へと走った。

国は、貿易障壁を築き始めた。

歴史家のD.S.ランデスがいうように、「いくら、将来の不確かな発展に対して楽観的であっても、その不確実性と、苦痛の感覚には、かなうものではない。」のである。

もちろん、当時と現代とでは、違ったものがあるだろう。

われわれは、19世紀のわれわれの祖先が行った事よりも、世界経済の力学を理解しているし、また、われわれは、商取引をモニターしうる技術も有している。

『歴史は繰り返す』と、この際予測するのは危険であろう。

しかし、同時に、利益を上げようと努力する企業や、デフレにもてあそばれる世界経済に付いていえば、「歴史が繰り返すことなどありえない。」と予測することも、危険なことなのである。


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