★阿修羅♪ 現在地 HOME > 掲示板 > 国家破産27 > 635.html
 ★阿修羅♪
次へ 前へ
株式日記と経済展望:なぜ人民元の引き上げが必要なのか 日本のためでなく中国自身のためである
http://www.asyura.com/0306/hasan27/msg/635.html
投稿者 あっしら 日時 2003 年 6 月 18 日 17:16:03:


サイト:http://www5.plala.or.jp/kabusiki/kabu48.htm

2003年6月18日 水曜日


最近、躍進の目覚しい中国がグローバル・デフレの元凶とされて、日本を始めとする諸外国から人民元切り上げを求める声が高まっている。通貨は一国の経済力の鏡である。中国の競争力の向上を反映して、人民元の切り上げは自然な流れであろう。本文では、中国経済のファンダメンタルズの変化を踏まえて、中国が採るべき為替政策を検討する。

改革開放以来、人民元は低下傾向を辿ってきた。これは、輸出の拡大による交易条件の悪化(いわゆる「豊作貧乏」)を反映しており、産業の国際競争力の向上は、人民元切り上げの前提条件となる。最近の外貨準備の急増に示されるように、この条件はすでに整いつつある。人民元の緩やかな上昇は、競争力を始めとする中国経済のファンダメンタルズの改善を反映するものであり、切り上げによって国際社会の要望に応えることもできる。これを無理して先に延ばそうとすると、資源の配分の低効率化や、バブル経済の膨張、対外貿易摩擦の激化といった弊害が生じるであろう。

為替レートの調整に加え、為替制度自身も改革を迫られている。為替制度は、外貨管理制度と為替レートの決定メカニズムからなる。中国は96年12月に、国際収支の赤字対策などを理由に為替取引を制限しないことを約束するIMF(国際通貨基金)協定第八条を受け入れることになった。これを契機に、輸出入を始めとする経常取引に関して大幅な自由化が行われたが、資本取引に関しては、いまだ厳しく制限されている。WTO加盟を経て、資本管理が益々難しくなり、金融政策の独立性を確保するために、為替レートの変動幅を広げるべきである。しかし、不良債権問題を抱える銀行部門の脆弱性を考慮すると、当局が自ら資本移動の自由化を急ぐべきではない。

日本は人民元の切り上げを求めているが、これは中国の反感を買っているようである。しかし、為替政策は国益にかかわっているだけに、互いに感情論をできるだけ排除し、冷静な分析と対応が必要である。そもそも、中国と日本の経済関係は競合的というより補完的であることを考えれば、人民元の切り上げは、日本にとって、製品に対する需要の増大というプラスの面より、生産コストの上昇を通じて企業収益と産出の減少というマイナスの面の影響が大きいと見られる。一方、中国にとっても人民元レートを現在の低水準に維持し、不均衡を放置する時に伴う機会費用が非常に高いことを合わせて考えると、人民元の切り上げは、日本のためではなく、中国自身のためであると理解すべきである。

(中略) この外貨準備が多ければ多いほどいいという考え方は、外貨準備の規模が国力を表す重要な指標であると見なす重商主義に基づくものである。しかし、覇権国である米国でさえわずかな外貨準備しか持っておらず、外貨準備と国力の間には必ずしも関係性がないということは明らかである。中国が追求すべき目標は、あくまでも国民生活の向上であり、これは制度改革に加え、国内の人的資本や生産設備・インフラといった物的資本に投資することを通じてのみ達成できるものである。国民の貴重な貯蓄を低金利に甘んじてまで米国政府に融資し続けるのではなく、国内向けの投資など、もっと有効に利用すべきである。

(中略) しかし、国内外の経済情勢が大きく変化した今、これまで上手く機能してきた為替政策も見直すべき時期に入っている。ここでは、上述の論点の誤りを明らかにすることを通じて、人民元切り上げの必要性を訴えたい。まず、アジア通貨危機当時、人民元の安定(切り下げないこと)は各国が求めたものでもあったのに対して、現在の人民元の安定(切り上げないこと)は国際社会から批判の対象となっている。日米欧の対中貿易不均衡が拡大し、特に2002年の米国の対中赤字が1000億ドルを超えている中で、中国が切り上げを避けようとすると、貿易摩擦の激化という代償を支払わなければならない。

3000億ドルに上る現在の外貨準備の保有量はアジア通貨危機当時と比べて倍増しており、その運用益が国内投資と比べて非常に低いことをあわせて考えると、はるかに「最適規模」を超えていると見られる。そもそも、米国債を購入することは、米国政府に融資することを意味し、間接的に対イラク戦争を支援していることにもなる。また、中国が米国政府に対して多くの債権を持つことは、対米外交の交渉力を高める手段として使えるのではないか、という議論もある。しかし、中国の経済規模がいまだ米国の一割程度であることを考えると、中国の立場は弱く、米国政府への融資が逆に人質としてとられてしまうことさえ考えられる。こうした政治的考慮からも、外貨準備を減らしながら、その運用先として、ドル以外の通貨に分散すべきである。(後略)

なぜ人民元の引き上げが必要なのか 関志雄:http://www.rieti.go.jp/users/china-tr/jp/030512world.htm

日本経済がデフレに陥った要因が中国の異常な元安政策にあるのではないかと、以前に「経済コラムマガジン」のコラムを紹介しながら主張しました。最近は塩川財務大臣をはじめ経済官僚たちも中国の為替に原因があると発言するようになりました。台湾の経済当局者も同じ発言をしていることを以前にも紹介いたしました。

このような海外からの発言に対し、中国は陰謀だと反発を強めています。この意見に対しグローバル経済のエコノミストは対中輸入はGDPの1,5%に過ぎないから、デフレの要因ではないと揃って指摘している。しかしこれは数字の誤魔化しである。GDPではなく輸入商品分野別に数字を出すべきである。

たとえば最近のパソコンの値段の急低下は中国製の商品が溢れるようになったからだ。私が最近買った周辺機器はみんな中国製だ。5万円で最新のパソコンが買える。OSやCPUはアメリカ製だから残りの本体は3万円で売られている勘定だ。HDDやDVDやマザーボードは1万円以下で売られている。これが中国発デフレと呼ばずして何なのだろう。

その他の中国製の輸入雑貨を見ても異常な安さだ。ビニール傘が100円で売られている。光学式マウスが900円で売られている。日本製の五分の一の値段だ。GDPの割合からすれば1,5%だろうが特定商品の輸入ラッシュはまさに価格破壊行為だ。ただでさえ需要が落ち込んでいるところへ中国製品が日本市場に流れ込めば、需給バランスがますます悪化する。

アルゼンチンなどは中国製の競合製品が入ってきたために、アルゼンチンの国内産業が壊滅的打撃を受け破綻した。消費者にとっては確かに利益だが国内産業が壊れれば外貨が底をつきハイパーインフレがアルゼンチンを襲った。中国が世界の工場として一極集中化して、他の国の製造業は衰退化していく。これがグローバル・デフレと呼ばれる現象だ。

確かに日本と中国間に限ればデフレの要因としては特定の分野を除き大きくはない。しかし中国と競合する製造業の国はグローバル・デフレの影響をもろに受けている。では何処が一番利益を得ているかと言うと、ウォルマートのような巨大流通業だ。そこでは中国に只同然で商品を作らせ、巨大販売網を使って市場を独占していく。

中国としてはこれでいいのだろうか。3000億ドルもの溜め込んだ外貨の多くがアメリカ国債に投資されている。しかし経済規模以上の外貨を溜め込み元安を維持することがベストであろうか。元をある程度高くして国内基盤整備や産業に投資したほうが一番利益になるだろう。

この事は日本についても同じ事が言える。政府日銀は円を安くするためにドル買い介入し外貨を溜め込んでいる。外貨が増えるたびに円もまた高くなる。このような馬鹿げた事をいつまで続けるのだろうか。私はドルを買うよりユーロに外貨をシフトさせることを提案している。EUと貿易するためにはEUからの輸入を増やす必要がある。その為にはユーロが必要だ。

関志雄氏が中国経済に提言していることは日本にも当てはまる政策である。元を上げることで社会基盤を整備し、外貨準備もドルからユーロへ多様化を図ることである。日本における公共事業の評判は悪い。箱物土木事業に偏っているからだ。むしろ巨大技術開発事業などへ投資を向けるべきだ。高い給料で世界中から研究者を集めれば良い。人材を世界から集めて技術を集積してゆけば日本の未来は明るい。


中国経済新論のホームページ 関志雄:http://www.rieti.go.jp/users/china-tr/jp/index.htm


 次へ  前へ

国家破産27掲示板へ



フォローアップ:


 

 

 

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。