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米ドルの構造的調整に関する現状報告 モルガンスタンレーレポート
http://www.asyura.com/0306/hasan27/msg/976.html
投稿者 Ddog 日時 2003 年 7 月 05 日 01:33:41:gb2b4T9TetGkU

http://www.morganstanley.co.jp/securities/jef/wib/030630/doc04.html
為替:米ドルの構造的調整に関する現状報告 モルガンスタンレーレポート
USD - A Status Report on the Structural USD Correction / Stephen Li Jen

世界同時景気後退の下、ドルに対する自国通貨の急上昇を容認する国は殆ど見当たらない。
ドル相場の調整局面:これまでのところは概ね予想通り
2001年7月に始まったドル相場の構造的調整は緩やかなペースで進んでいる。筆者は、2002〜2004年の間に20〜25%の調整を見込んでいるが、FRBのドル・インデックス(対主要通貨)は2002年以降約18%低下しており、構造的調整の約70%は既に終了している。ドルの調整は今後も続くだろうが、筆者が思うに、調整はG3以外の通貨に対して進むことになるだろう。
従来のドルの調整局面と今回の調整局面との間に見られる大きな違いは、今回、世界が同時リセッションに陥っている点にある。ドル相場がクラッシュすることはないと筆者が主張するのは、世界がデフレ・リスク回避のために努力しなければならない状態にあるからである。米国を始め世界の政策担当者にとって、デフレ・リスクへの対処は、経常収支の正常化以上に数段急を要する事項となっている。世界がデフレ克服に躍起となっている状況下、米国の消費者の足元をふらつかせ、自国の競争力に深刻なダメージを与えることになりかねないドルの暴落を容認することは、どの国のためにもならない。白状するが、ドルを軟着陸させる上でアジアの助けが重要だということを筆者が十分認識するに至ったのは比較的最近になってからのことである。
世界同時景気後退の下、ドルに対する自国通貨の急上昇を容認する国は殆ど見当たらない。ドルの暴落、つまりドルと中国・人民元(「事実上のドル圏」の一部)が同時に大幅に下落した場合、世界の他地域は極端なデフレ状態に陥ることになる。世界最大の限界消費者――すなわち米国――の購買力が低下する一方、世界最大の限界生産者――すなわち中国――の輸出競争力が飛躍的に高まることになる。
過去1年半、ドルは、アジア諸国通貨に対してではなくユーロに対して大幅に調整されてきた。筆者は、ドルは「間違った」通貨に対して下落しているのではないかとの懸念を抱き続けてきた。米国の貿易収支赤字を対地域別に見た場合、アジアはその半分を占めるが、ユーロ圏は僅か約14%を占めるに過ぎないからだ。だが、これまでの展開は十分に正当化されるものと考えていいだろう。アジア地域には成長の兆しが散見されるものの、依然としてアジアは自信を喪失している。筆者が見るに、アジア諸国は自国通貨に対するドルの下落を容認できる状態にはない。アジア諸国が引き続き市場に介入し、国際収支の黒字を米国の金融資産への投資に充当し続ける限り、ドル相場は下支えられるだろう。つまり、アジア諸国が予見し得る将来に亘り黒字を米財務省証券購入という形で米国に環流させる限り、アジア地域との間で米国が抱えている赤字の一部は赤字総額から「差し引く」ことができ、懸念すべき米国の経常収支赤字の規模は対GDP比5.5%ではなく同2.5〜3.0%と見なすことができるだろう。
米国は当面、困難な局面から抜け出すことはないだろう
米国経済の成長率が向こう2四半期に亘りトレンドを下回るリスクが高まっている。設備投資の更新需要は短期的に見て期待が持てるが、それは過剰設備の問題を是正するものではない。筆者の見るところ、米国が完全に投資バブルを消化できたとは今でも言い難い。こうした点を念頭に米国のマクロ経済統計を解釈するには、次に挙げるような枠組みが有用かもしれない。米国を代表する企業の観点に立てば、(名目GDPに左右される)売上高の伸びは、所与のものと受け止められる。だが、当該企業は労働ストック(L)ならびに資本ストック(K)をコントロールしている。K/Lレシオは、こうした2つの投入要素の相対コストによって決定される。資本コストは金利Rで代用し、労働コストは賃金上昇率(w)で代用する。K/Lレシオは、一般的に(r/w)レシオと反比例の関係にある。つまり、資本コストが労働コストに比べて低ければ低いほど、この企業の「最適」K/Lレシオはより高くなる。だが、企業の経営陣は、経済における残余過剰設備を認識しているはずである。これは、Kには上限があることを意味する。Kに上限がある状況の下でK/Lレシオをより高いレベルに保つには、労働ストックを引き下げなければならない。筆者が思うに、過剰設備の環境下での利下げが、皮肉なことに、労働市場に大きな下方圧力を及ぼしてきたのは、まさにここに理由がある。このごく単純な枠組みに基づくと、労働市場の底入れは、景気循環の底入れの必要条件ではなく十分条件と筆者は考えている。雇用が削減される中でも設備投資は徐々に回復に向かう可能性があるが、「事実が証明されるまで有罪」と見なす、懐疑的でリスク回避傾向の強い債券・為替市場は、筆者が思うに、労働市場の底打ちを見極める必要がある。これは、不動産市場や消費を下支える上で雇用が鍵になるというお馴染みの主張に加えて、雇用統計が重要視される大きな理由の一つに挙げられる。

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