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「このままでは大破局になる−危機回避と再生は永田町政治モデルの一新から」渡辺喜美・衆議院議員
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投稿者 Ddog 日時 2003 年 7 月 05 日 01:48:41:gb2b4T9TetGkU

エコノミスト「このままでは大破局になる」渡辺喜美・衆議院議員
QUICKエコノミスト情報VOL.111 「6月特別版」 2003/06/27
低迷を続け、デフレの出口が見出せない日本経済。問題と対処法は何か。複数の有識者に現状と展望を伺った。今回は、渡辺喜美・衆議院議員です。
「このままでは大破局になる−危機回避と再生は永田町政治モデルの一新から」

渡辺喜美・衆議院議員

日本経済が長期衰退トレンドにある最大の要因は、日本の過小資本主義が資産デフレと世界デフレによって完膚なきまでに破壊されたからだ。キャッシュ・フローの数十年分もの借金を抱える企業が続出し、今や、産業、金融、公共部門のいずれもが過剰債務状態にある。

過剰債務がある限り、借金返済が第一となるから土地や株式の投げ売りが続き、資産デフレに拍車がかかる。投資や研究開発の抑制で生産性、サービス内容は低下し、負け組み企業が続出する。企業間信用は収縮し続け、経済活動は停滞する。その終着駅は国家破綻だ。日本のような経済大国が恐慌を起こせば世界を巻き込んだ大破局に発展しかねない。

危機を回避するには、先ず経済非常事態宣言を実施し、「失われた10年」の元凶である産業の過剰債務と金融の不良債権問題の解決を最優先とした構造改革を、積極果敢に進めて行くことが必要だ。産業・金融一体再生という大手術はマクロ政策とワンセットで実行する。具体的には、麻酔としての大手銀行の破綻前の国有化、カンフル剤としての拡張財政政策、輸血としての非伝統的リフレーション政策を進める。日銀の第二別口(リコバンク)として、不良・問題債権、持ち合い株式などの資産を買い取る平成復興銀行を創設して200兆円位を投入し、一気に血液であるマネーを市場に流しながら大手術を完成させる。それによって、日本経済は内需中心の経済構造に転換、大底を打って上昇に向かうだろう。そして、マクロ政策を考慮した総合戦略を打ち出した上で、郵貯と特殊法人改革、財政再建を進める。私は、こうした経済再生の国家戦略を「渡辺ドクトリン」と称して何年も前から提唱してきた。

ところが、日本経済が緊急事態にあるにもかかわらず、政府は抜本的な処方箋を描き切れず、思い切った政策を打ち出せていない。その背景の第一は、危機認識を総理大臣と国民が共有していないからだ。りそな問題で預金保険法に基づく初の金融危機対応会議を開きながら、「今は危機ではない」と言い張るごまかしがまかり通っている。危機であることを認めてしまうと、小泉流構造改革の否定に繋がってしまう。この危機認識のなさは致命傷だ。

背景の第二は、右肩上がりの成功体験を積み重ねた人達が順番に首相になる政治システムにある。旧態依然の自民党政治モデルでは、派閥に忠勤励んで25年ほどで派閥領袖となり、そこから総裁選レースの参加資格を得る。総理総裁への道は、例えば、橋本龍太郎氏33年、小渕恵三氏35年、森喜朗氏31年、小泉純一郎氏29年という具合に膨大な時間がかかる。このような年功を積み重ねた人から順繰りに権力の座にありつくという政治システムの下では、過去の経験やしがらみに囚われ、正しい政治判断が下せなくなる。つまり、何が問題の本質なのか、それを除去するにはどういう政策、目標が必要で、何を優先順位とし、どう実現するかといった戦略を適時適切に打ち出せなくなる。結局、政治家にも旬の時代があって、旬の時代に仕入れたパラダイムにどうしても囚われてしまうということだ。

小泉氏の旬の時代は、おそらく20年程前の1980年代前半だろう。米国のレーガン大統領や英国のサッチャー首相が競争促進策を推し進めて国家の再興を果たした時代だ。あの時代の政治モデルのようなものを小泉氏は強くイメージしているのだと思う。しかし、あの時代はデフレではなかった。今の日本のように過剰債務と資産デフレが相乗的に危機を増幅させているデッドデフレーションの経済ではなかった。だから、小泉氏は、過剰債務問題や資産デフレに対してほとんど理解がない。もっと言えば、英米両国とも競争促進だけで再興を果たしたわけではない。レーガンやサッチャーは強烈な国家戦略を発動した。レーガンは、大減税、大軍備拡張をやり、財政赤字を増やす一方で、金利を上げ、ドル高政策などを実行した。他方、小泉氏は、レーガン・サッチャーモデルが機能する状況ではないのに、競争促進策、緊縮財政など政府の関与を小さくすれば民間は元気になるという非常にピントのはずれた政策に固執し続けている。

今の政策がいかに時代遅れであるかを示す端的な例が身近にある。例えば、私が創設した定期借家権が当初予想程普及していないのは、所有権のマイホームの住宅ローンに見られる税制上の恩典が、家賃は生活費という理由で付かないからだ。所得が年々減り続ける一方で、実質債務負担は年々増え続けるデフレ時代の借金は好ましいことではない。借家住まいの人にも所得控除などの税制上の恩典を付けるべきところだが、政策体系がインフレ時代のパラダイムから脱しきれていないから実現の見通しが立たない。

同様に、現行相続税体系もインフレ時代の発想になっている。土地のように年々劣化していく資産から税金を召し上げようという発想自体が、もはや時代遅れだ。代案を言えば、財産税の代わりに金融資産に着目した死亡時課税、すなわち、特別財産税を創設する。贈与が促進されるし、受益と負担の歪んだ世代間構造(65歳以上は生涯受益が生涯負担の倍以上ある一方で、若い世代ほど生涯負担は重くなる)の是正になる。ワンパッケ―ジの総合マネー戦略の一環として、特別財産税をペイオフ、デノミなどとワンセットで導入すればより効果が高まる。デフレ時には現金を持ち続けた方が得だというパラダイム転換のプレッシャーとなる。それによって、消費や投資が上向き、経済再生を後押しする。

だが、実際には、小泉構造改革は極めて中途半端なものに終わっている。デフレ対応型政策への転換は遅々として進まない。日本再生のための構造改革に必要な優先順位付けは曖昧で、戦略性に欠ける。財政再建を優先しようとした橋本内閣の二の舞になる危険性が極めて高い。これでは、いつまでたっても経済は良くならない。それどころか、危機を覆い隠すために大変なモラルハザードが行われている。

長期衰退トレンドにはまって10年以上経過した日本に欠けていたものは、危機意識に裏打ちされた国家戦略であり、その背景には時代遅れになった権力掌握の自民党政治モデルがある。日本経済再生のために、まさしく、旬の時にトップにのぼりつめて権力をとれる、そういう政治モデルに今こそ転換しないといけない。果たして、派閥均衡、年功序列といった永田町政治モデルは一新出来るのか。今年9月の総裁選はその試金石となろう。(談)
(聞き手・QUICK情報本部 岡村健一)

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