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ズレたレスですが...
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投稿者 あっしら 日時 2003 年 8 月 30 日 20:26:14:Mo7ApAlflbQ6s

(回答先: 「阿修羅」=「(∞+あっしら)」=「覚有情」 投稿者 如往 日時 2003 年 8 月 27 日 01:26:46)


如往さん、こんばんわ。

バタバタしているのでレスが遅くなりました。


● 私という存在

如往さん:「以前私は、ロマン・ロランの「私が人間に生まれたのは必然である。しかしフランス人に生まれたのは偶然に過ぎない。」を牽いて、これを私流に「私が人間に生まれたのは一つの宿命である。しかし日本人に生まれたのはある種運命に過ぎない。」と、変換しました。人類がそれぞれの運命(歴史過程)が相違するという理由によって、地球という Matrix において引き受けるべき宿命を分別することなどできない、そうした意識が胚胎すべき時代が到来していると思います。」

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まず、如往さんが書かれた意味を理解しているつもりですし、それにある種の共感も持っています。
そして、国民性(国家という枠組み規定性から生じる諸個人の在り様の差異性)や諸国家の関係性である世界が及ぼす規定性を軽視しているわけでもありません。

そうでありながら、人類・世界・地球といったマクロ的ないし上方的存在性に向かうより、リアリティがあり確実性を感じる個人の存在性やそのような個を軸とした濃密な現実的関係性にこだわるべきだと考えています。

国家や世界が諸個人の在り様を強く規定していることは確かですが、軸点を国家や世界(地球)にずらしていくと脆弱な足場に立ったような情況に陥り、グローバリズムないしコスモポリタニズム的な言説に絡めとられてしまうのではないかと危惧しています。

私、ある土地、ある濃密な他者関係性といった生々しい肌触りを感じられる基盤にこだわることで、空虚で抽象的な価値観言説を厳に否定できると思っています。


「人類がそれぞれの運命(歴史過程)が相違するという理由によって、地球という Matrix において引き受けるべき宿命を分別することなどできない」という志向よりも、私(個)の絶対的な独立性と差異性を宿命として引き受け、私−他者関係性が持つ統合性や主体的改変力に自己を投じるという方向に魅力を感じます。
(平等(世界)性よりも差異(地域)性にこだわることで“Driving force”が生まれると直観しています)

「近代」は、諸個人に対し、共同体性を喪失させ、国家国民性や世界性を強く意識させてきました。それは、具体的で感応的なものを貶め、抽象的で理性的なものを称揚する精神性を醸成するものでもあります。
(共同体性の希薄化が同時に共同体の構成要素である家族の変容をもたらしたと思っています。家族は、消費共同体的なものになり、家族の存在意義性は普遍化した貨幣によって無化される芽まで孕んでいます。家族がなくともお金があれば楽しく生きていけるという判断がある程度の妥当性を持つ現実です)

如往さんはご自身の論にナショナリストから非難されると書かれていますが、国家からさらに外に向かうのではなく、国家の内側の地域や家族そして個に向かうという私の論はそれこそ狭隘な反動派であり古臭い道徳主義者と謗られるものでしょう。


※ 如往さんが書かれた意図とはズレたものになりますが、ロマン・ロランから展開された「私が人間に生まれたのは一つの宿命である。しかし日本人に生まれたのはある種運命に過ぎない。」という言説から、“人間として生まれた一つの存在が私になる過程”という逆方向の問題意識を触発されました。

ある歴史的現実のなかに一人の人間として投じられた(生まれた)のは宿命であっても、“私”になるのは、自己の身体性をもって行なう様々な現実的な関係活動(とりわけ言語的関係活動)のアヤ(成果)だと思っています。
現実的な関係活動が違ったものであれば、ほぼ同一の身体性を持った“私”ではない“私”が生成・変成されていたのでしょう。

現実的な関係活動を通じて自己の日本人性や国家(日本)という枠組内存在性を認識していますが、日本人であるという意識を即自的に持つことはありません。
“人間として生まれた一つの存在がある過程を通じて私になった”と思念はしても、“人間として生まれた一つの存在が日本人である私になった”という思念はありません。
(日本人と言明するときは、その必要性があるときに識別子として使っているだけです。ことさら日本人であることをことさら打ち出さない(打ち出す必要がない)このような態度自体が日本人性の一つの現れなのかもしれません)

歴史継承的な(日本人としての)価値観を私なりに共有し、濃密な関係活動の場としての日本を強く意識していますが、日本人や日本という概念は内なるものではなく外に在るものだと感じています。

実在である個と無である“私”が融合したものが私だと思っています。

“私”は、現実世界や私を認識する主体であり、認識対象とはならない存在です。
“私”は、私の内に在り私に連れ添うものですが、“見る”ことができないものです。
“私”を見ようとすれば、それを見る主体として“私”に拠るしかありませんから、“私”を見ることはできないというトートロジーに陥ります。

主客的区分で説明すれば、主体にも客体にもなる私と客体にはなれず主体性のみの存在性が“私”です。
“私”は私にも認識できない存在性ですが、私を私と思念するのは、“私”が存在するからです。
私や外的世界がどういうものであるかという見方が変わっていくのは、私や外的世界が変わっていくのみならず、“私”が変わっていくからだと思っています。

歴史的個人という身体的存在性と“私”という認識力が融合したのが個人で、以前書いた「感応」は、身体的存在性と“私”が融合したものが得るものだと考えています。

“私”は、存在論的には実感できても不可視であるという「超越神」に似たものです。
たぶんもっとも確からしい存在であるはずの“私”が、他者はもちろんのこと自分でさえ見ることができない(無)というパラドックスです。
それをわずかでも乗り越える手段が、言語表現であり、身体表現であり、ビジュアル表現であり、音表現だと思っています。

● 「甘え」について

如往さん:「私は、日本人の意識構造の形成過程には、主客の分化を闡明にする手続きを経ぬまま未分化状態への回帰にたいする希求という「甘え」が包蔵されていると見ています。他者の発見、すなわち他者と対峙していくプロセスを抜きにして甘えの超克はあり得ないとする土居健郎の問題提起が30年以上を経ても全く色褪せることなく、却って日本人の精神状態の未発達性を露呈させてしまっていると言えるでしょう。精神科医の一所に留まったままの土居健郎自身も解決の目途が立っているわけではありません。思想史家ではないのですから止むをえませんが、おそらくそれは「甘え」を発生させた淵源にまで考察が及ばなかったことに起因していると考えます。
 それでも、日本人のこの「甘え」が戦後において尚、敗戦責任を問えなかった遠因になっているという認識と天皇の存在がその障壁にもなっているのではという推察が言外に含まれていると憶測していますが、そう言明しなかったのはやはり思想史家ではなかったことによるのでしょう。」

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自己と他者を主−客という関係性として明瞭に考えないことが「精神状態の未発達性」を示唆するとは思っていません。

自己と他者をともに主体の構成者であると考えるならば、他者は、客体であったり対峙すべき対象としてではなく、“同一性”や相互依存性を有するものとして見えると思われます。
(社会なのか共同体なのかという生存基盤の差異がもたらす違いであり、精神の発達性とは無関係です。また、共同体的意識が「甘え」だとも言えないと思っています)

「近代」の価値観や関係性が自己と他者が主−客という分化的存在性を前提としていることから、そのような意識を持つことが現実対応力を高めることは確かでしょう。

いわゆる“近代的自我”の確立が過程的なものとして必要だとも考えていますが、あくまでも通過儀礼的なものとして済ますべきだと思っています。

関係性の変容というより力の源泉として唐突にやってきた「日本的近代」が抱えた現実と精神(価値観)の錯綜や乖離も、「近代」を相対化したなかで捉える必要があります。


「敗戦責任」が等閑視されている精神的要因は、米国の戦争責任論を受け入れざるを得なかったことを前提に、終わったことをあれこれ言っても始まらないという考えや支配−被支配関係性の受容意識ではないかと思っています。

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