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ビッグ・リンカー達の宴
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投稿者 エンセン 日時 2003 年 8 月 14 日 06:22:11:ieVyGVASbNhvI

(回答先: 一部抜粋です。 投稿者 エンセン 日時 2003 年 8 月 14 日 06:05:04)


園田義明さんのコラムからです。


ビッグ・リンカー達の宴
国際的な企業間ネットワークを担うべく、複数の国籍の異なる大企業の取締役を兼任する「ビッグ・リンカー」と呼ばれる人達がいる。彼らの発言は、企業活動のみならず、政治、防衛、社会福祉、環境政策においても絶大な影響力を持っている。
■ カーライルの宴
10月26日、米AP通信は、ビンラディンの親族関係者の話として、ビンラディン家は軍需産業と関係の深い米投資会社カーライル・グループに行っていた202万ドル(約2億4600万円)相当の投資を引き揚げることを決めたと報じた。
サウジアラビアの中東有数の建設会社を経営するビンラディン家は、米国を含む世界の大企業に幅広く投資しているが、同時テロ以前からサウジアラビアを追放されていたウサマ氏とは既に絶縁していると表明している。
カーライルは、カールーチ元国防長官を会長とし、上級顧問にはジェームス・べーカー氏、諮問委員会にはブッシュ元大統領(以下ブッシュパパ)やイギリスのメージャー元首相も名前を連ねるなど米英政権と太いパイプを持っている。
昨年もブッシュパパとメージャー氏は、サウジアラビアの実業家と会談を行うためにリヤドを訪問している。また9月には、ワシントン・モナーク・ホテルで豪華なパーティーを主催し、この時にはコリン・パウエル現国務長官とパウエルが取締役を務めていたAOLタイムワーナーのステファン・ケース会長が講演者として雇われて壇上に立った。
このカーライル・グループの宴は、世界中を巻き込みながら新たなステージを演出していく。

■ ジェームス・ベーカーとEDS
ジェームス・べーカー氏は、1985年から1988年まで、レーガン政権の財務長官としてプラザ合意をまとめ上げ、1989年から1992年までは、ブッシュパパ政権の国務長官として湾岸戦争を指揮した。
また記憶に新しいところでは、ブッシュVSゴアの最終決戦の場となったフロリダ州での再集計作業でも、ブッシュ陣営を代表して現地に乗り込み、勝利の立役者となる。
フロリダ州は、ブッシュ大統領の実弟のジェブ・ブッシュが知事を務めているが、現在全米を揺るがす炭疽菌問題で最初に被害にあった場所でもある。
このあたりに何かが隠されているのかもしれない。
ジェームス・べーカー氏は、カーライル・グループ以外に1996年からエレクトロニック・データ・システムズ(EDS)の社外取締役も務めている。
このEDSは、総売上高192億ドル(2000年度)の世界最大の情報処理サービス会社である。大統領選にも出馬して旋風を巻き起こしたことのあるロス・ペロー氏が1962年に設立した。1994年にはペロー氏がゼネラル・モーターズ(GM)にEDS株を売り渡し、GMの子会社となる。この時にGMの世界的ビジネス・ネットワークをフルに活用することにより世界戦略構築の基礎が作られる。1996年にGMから分離独立するが、現在でもGMは、EDSの大株主として強い影響力を維持している。
また1995年には世界有数の経営経営コンサルティング会社、A・T・カーニーを買収し、コンサルティング事業とアウトソーシング事業を強化している。
今年の入ってEDSは再び買収戦略を開始する。5月23日にストラクチュラル・ダイナミクス・リサーチ(SDRC)とユニグラフィックス・ソリューションズ(UGS)の買収を発表し、SDRCの買収手続きを9月4日に、またUGSの買収手続きを9月28日に完了する。
そして10月1日には、両社を統合し、プロダクト・ライフサイクル・マネジメント(PLM)事業への本格的な参入を発表する。抱える製品は三次元CAD/CAM「アイディアズ」「ユニグラフィックス」「ソリッドエッジ」、製品データ管理ソフトの「メタフェーズ」「アイマン」など多岐にわたり、包括的なサービスを提供する唯一のプロバイダとなる。とりわけ日本の製造分野への影響は計り知れないものとなるだろう。
このEDSの1996年以来の大手販売先にロールス・ロイスがある。
2000年度の契約額は21億ドルとなっているが、このロールス・ロイスはすでに自動車部門をフォルクス・ワーゲンに売却しており、戦闘機を含めた航空機エンジン部門を中核にした企業となっており、世界の旅客機エンジン市場の三分の一を占めている。
また買収したSDRCも航空宇宙産業トップ10企業のうちのボーイング、ロッキード・マーチン、ノースロップ・グラマン等大手7社をサポートしている。また今年3月には、ロールス・ロイスと並ぶイギリスの軍需大手BAeシステムズとも提携しており、軍事面における強力なリーダーシップを構築しつつある。
現在のチェイニー副大統領とそのチェイニーがCEOを務めていた石油関連サービス会社ハリバートンの社外取締役、ハントオイルのレイ・ハントCEOがジェームス・ベーカー氏と仲良く並んでいるのである。なおチェイニー副大統領もブッシュパパ政権では、国防長官としてパナマにおける「大義作戦」、そして中東における「砂漠の嵐作戦」という、近年の歴史上最大の2つの軍事作戦の指揮をとった。ブッシュパパの果たせなかった夢を実現すべく、時には忍者のように姿を隠しながら陣頭指揮にあたっているようだ。
そして、「ロッキード・マーチン」「ロールス・ロイス」「BAeシステムズ」が、揃って登場するニュースが飛び込んできた。

■ JSF(ジョイント・ストライク・ファイター)
米国防総省は、10月26日、空軍、海軍、海兵隊、及び英空軍向けの次世代主力戦闘機「JSF」の発注先企業に米大手航空機メーカー、ロッキード・マーチンを選定したと発表した。JSFは合計3000機製造される予定で、総契約金額は2000億ドル(約24兆6000億円)となり、米軍の契約額としては過去最大となる。
また27日付の米紙ワシントン・ポストは、米国外からさらに3000機を受注する可能性があると報じている。同紙は2040年まで生産予定のJSFを「今後半世紀にわたり、世界を支配する最後の有人戦闘機」と指摘した上で、各国軍隊の発注を予想している。当然のことながら、日本に対する導入圧力がかかってくるだろう。
また、JSFの生産拠点となるロッキード・マーチンのフォートワース工場は、ブッシュ大統領の地元、テキサス州にあり、新たな雇用は約4500人との見方さえある。
今後50年間でみると、補修備品なども含め1兆ドル(約120兆円)を超えるビックビジネスになるとの予測もある。この計画が発表された1996年当時には、計画そのものに対する見直し論も議論されたが、今回の同時多発テロはそうした反対勢力をも吹き飛ばしたようだ。
このJSFの開発には、BAeシステムズとロールス・ロイスが加わっている。「BAeはロッキード・チームの一員であることを誇りに思う」と間髪入れず声明を出した。BAeはJSFプロジェクトで開発・生産の10%を担い、米GEエンジンが主導するエンジン開発ではロールス・ロイスが40%を分担する。
今回の報復作戦において常に行動を共にしたイギリスの狙いがここにあったようだ。
また、テキサス州フォートワース所在のロッキード・マーチン・タクティカル・エアクラフト・システムズは、JSFを開発するノースロップ・グラマンやBAeシステムズ等から成るチームを指揮していたが、1999年5月にSDRCの「メタフェーズ」を共通PDMツールとして選択していたのである。

■ カール・オットー・ぺール
1998年6月1日に発足した欧州中央銀行(ECB、本部ドイツ・フランクフルト)は、ドイツ・ブンデスバンクをモデルにしており確固たる独立性を有している。このECBの規約作りに貢献した人物こそが、1980年から1991年までドイツ連邦銀行総裁を務めたカール・オットー・ぺール氏である。
現在カール・オットー・ぺール氏は、ドイツの投資銀行サル・オッペンハイムとその親会社であるスイスのサル・オッペンハイム銀行の取締役である。また、アメリカでバリュー株投資で著名なマリオ・ガベリ氏が率いるガベリ・アセット・マネジメントの取締役でもある。
かつては、J・P・モルガンの国際諮問委員会のメンバーを務め、1992年から1997年まで世界的な食品・日用品メーカーであるユニリーバと石油メジャーロイヤル・ダッチ・シェルの取締役を務めた。またフレッド・バーグステン所長率いる国際経済研究所所長(IIE)の役員も務めている。
そしてこのカール・オットー・ぺール氏もカーライル・グループの諮問委員会のメンバーとなっている。さらに2000年7月25日にロールス・ロイス・ドイツは、戦略的な諮問会議である「ヨーロッパ諮問委員会(本部パリ)」の新設を発表し、そのメンバーにカール・オットー・ぺール氏を選任しているのである。
ロールス・ロイスは、買収拒否権のある「黄金株」をイギリス政府が保有する国策的重要企業と位置付けられており、今なお外国人出資規制(上限49、5%)も残るだけあって、「ロールス・ロイス・ヨーロッパ諮問委員会」には、元フランス空軍のヴァンサン・ラナータ将軍やシラク大統領の側近中の側近ベルナール・ポンス元設備・運輸・住宅・観光大臣等の大物と並んでビッグ・リンカー達が集っている。

■ ウォーレンバーグ・ファミリー
「ロールス・ロイス・ヨーロッパ諮問委員会」のスウェーデン代表として名を連ねるピーター・ウォーレンバーグ氏は、スウェーデンのロックフェラー家として注目を集めるウォーレンバーグ(ヴァーレンベリ)一族にあたる。
スウェーデン3位の大手銀行であるSEB(スカンジナビスカ・エンスクリダ・バンク)と持ち株投資会社インベスターを中核に、国内の通信機器大手エリクソン、家電・厨房機器大手エレクトロラックス、航空機大手サーブ、産業機材大手アトラス・コプコ、ヘルスケア大手ガンブロ、素材エンジニアリング大手サンドビックや国外ではスイス本社のエンジニアリング最大手ABB(アセア・ブラウン・ボベリ)、イギリスとスウェーデンに本部を置く世界3位の製薬会社アストラゼネカなどを傘下に持つ巨大企業グループである。
また一族の資産を管理するナット・アンド・アリス・ウォーレンバーグ財団は、ノーベル賞で知られるノーベル財団の最大のスポンサーのひとつでもある。
ジャコブ、マーカス、ピーターの一族三人に加え、ビッグ・リンカーがここに集う。

● ヨーラン・リンダール
※ABB前社長兼CEO、現取締役。デュポン(米国、化学最大手)、※エリクソン、※ソニー(日本)取締役。※ソロモン・スミス・バーニー・インターナショナル(米国)国際諮問委員会メンバー

● ピーター・サザーランド元WTO事務局長
BPアモコ(英国、石油大手)会長。ゴールドマン・サックス・インターナショナル会長。※エリクソン、※インベスター、スコットランド王立銀行取締役。日米欧委員会欧州議長。※ワールド・エコノミック・フォーラム財団(ダボス会議主催)役員。ヨーロピアン協会ディレクター。

● ドナルド・ラムズフェルド現国防長官(米国)
ギリアド・サイエンス(米国)元取締役会長、※ABB、アミリン製薬(米国)元取締役。※ソロモン・スミス・バーニー・インターナショナル(米国)元国際諮問委員会会長。※インベスター元アドバイザー。ジェラルド・R・フォード財団、アイゼンハワー交流奨学基金、スタンフォード大学フーバー研究所、国立公園財団、ランド研究所理事。

昨年、インベスターの所有するサーブの自動車部門の株式50%をGMに売却し、サーブの自動車部門はGM資本100%となる。これに対抗し、フォードは同じスウェーデンのボルボの自動車部門を買収するが、トラック・バス・産業機器・航空機部門を有する現在のボルボに対して、インベスターは、新たに触手を伸ばし始めている。
なおGMとウォーレンバーグ・グループは、以前から密接な関係を維持してきた。
グループ中核のインベスター、ABB、アストラゼネカ、サンドビックの4社の会長を兼任するパーシー・バーネル氏が、1996年からGMの社外取締役に就任しており、M&Aを含めた政策を協調して行っているのである。
パーシー・バーネル氏は世界的に評価の高い経営者であるが、ダボス会議を主催するワールド・エコノミック・フォーラム財団の副会長を務めている。
なおワールド・エコノミック・フォーラム財団には、ウォーレンバーグ・グループからバーネル氏とサザーランド氏の2名が、ワールド・エコノミック・フォーラムの評議会には、ジャコブ・ウォーレンバーグ氏が参加している。
現在のスウェーデン・サーブには、ウォーレンバーグ・グループと並んで、BAeシステムズが33%の株式を保有している。またその取締役会は、ウォーレンバーグ・グループからマーカス・ウォーレンバーグを含めた4名とBAeシステムズからの3名が中心となって構成されている。
さて、ヨーラン・リンダール氏であるが、今年9月にソニーに続いてアングロ・アメリカンの副会長に就任している。
そして、11月7日、ワールド・エコノミック・フォーラムは、2002年のダボス会議をニューヨークで開催すると発表した。
欧州のビッグ・リンカー達がニューヨークを占領するのである。

■ パウエル卿(The Lord Powell of Bayswater)
現在イギリスのブレア政権は、貴族院(上院)に一部残っている「世襲貴族」を議員にする制度の全面廃止に向けた改革に取り組んでいる。
実現すれば、14世紀に誕生し世界有数の歴史を誇る上院は、完全に姿を変えることになる。
この上院にも「ロールス・ロイス・ヨーロッパ諮問委員会」のイギリス本国のメンバーがいらっしゃるのである。
サッチャー元首相とメージャー元首相の外交政策と防衛政策におけるアドバイザーを務めたベイズウォーターのパウエル卿(男爵)である。
イギリス貴族を代表するビッグ・リンカーでもある。
その肩書きの一部を紹介しよう。
● ジャーデン・マセソン・ホールディング元会長(英国/香港、商社、1832年設立)
● ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシーLVMH会長(英国)
● ルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシーLVMH取締役(フランス本社)
● サギッタ・アセット・マネイジメント会長(英国)
● フィリップス・ファイン・アート・オークション会長(英国)
● キャタピラー取締役(米国、重機、建設機器、戦車製造)
● テキストロン取締役(米国、航空機、産業機器、軍事用ヘリコプター製造)
● マンダリン・ホテルグループ取締役
● HCL・テクノロジーズ国際諮問委員会(インド、情報ソリューション他)
● バリック・ゴールド国際諮問委員会(カナダ、金鉱会社)
● 中国−イギリス・ビジネスカウンシル議長 
● シンガポール−イギリス・ビジネスカウンシル会長
● オックスフォード大学ビジネススクール理事長
● GEMS国際諮問委員会メンバー
● アスペン研究所理事※※
ルイ・ヴィトンとくれば、さぞかし日本女性も興味津々となるに違いない。しかし、バリック・ゴールドもあなどれない。今年6月にアメリカのホームステーク・マイニングを買収し、アングロ・アメリカン傘下のアングロゴールドに次ぐ世界第二位の金鉱会社となる。
そして、このバリック・ゴールドの国際諮問委員会の初代上級顧問がブッシュパパであり(現在は退任)、カール・オットー・ぺール氏もそのメンバーとなっている。
ゴールドに群がるようにカーライル・グループとロールス・ロイスと貴族達がなにやら不思議なサークルを構成しているようだ。
そして、忘れてはならない人物がいる。第一線から退いたはずの大物がここに復活してきたのである。そして彼もカーライル・グループのパートナーである。
彼の名はあのジョージ・ソロスである。

■ 動き始めたジョージ・ソロス
10月31日、ジョージ・ソロス氏率いるソロス・ファンド・マネジメントは、新たなCEOにウィリアム・スタック氏(54)が就任したと発表する。
スタック氏は、ドイツの銀行大手ドレスナー銀行傘下の運用会社ドレスナーRCMグローバルインベスターズ最高投資責任者だった人物である。
ソロス氏は、ヘッジファンドの第一線から退くのではないかとみられていたが、体制を整えて再び積極的な投資活動を再開する可能性が高い。
9月11日以降、外為市場では米国による軍事行動や報復テロなどの行方が読みづらいことから、銀行などの主要市場参加者が活発な取引に動けない状況が続いており、この人事によってソロス氏が債券・為替投資型の新たなファンドを準備するのではないかと予測される。
最近、ソロス氏とアメリカ政府との密接な関係が目立っている。昨年7月にクリントン政権の政府ミッションとして、ニュービジネスの開拓、拡大、再建を目的にサウスイースト・ヨーロッパ・エクイティ・ファンドが開始される。このファンドの運用には、国家安全保障担当顧問を務めたサミュエル・バーガー氏とオーバーシーズ・プライベイト・インベストメント(OPIC)社長兼CEOジョージ・ムノーズ氏と並んでソロス氏率いるソロス・プライベイト・ファンド・マネジメント(SPFM)が選ばれた。
サミュエル・バーガー氏は、ヘンリー・キッシンジャー氏も認めるアメリカで最も影響力のある国際戦略のエキスパートとして、ストーンブリッジ・インターナショナルの会長とリーマン・ブラザーズの上級顧問を務めている。
ブッシュ政権も今年3月にアメリカ合衆国国際開発局(USAID)とオープン・ソサエティー研究所(別名「ソロス財団」)が共同で設立しているバルチック・アメリカン・パートナーシップ・ファンド(BAPF)の積極的な支援を打ち出している。

■ オープン・ソサエティー研究所(別名「ソロス財団」)
1930年、ハンガリーのブダペスト生まれたソロス氏は、ロンドン・スクール・オブ・エコノミクス(LSE)在学中に出会った哲学者カール・ポパーの著書に親しみ、その後の思想形成と慈善事業活動に影響を与えた。
ソロス氏は、1979年に最初の取り組みとしてオープン・ソサエティー・ファンドを立ち上げる。1984年にはハンガリーでイースタン・ヨーロピアン財団を設立。その活動範囲は中欧、東欧、旧ソ連の全域から現在では南アフリカ、ハイチ、グァテマラ、モンゴル、アメリカなども加えて計31カ国に拡大していく。
この活動の中枢機能として1993年に設立されたのがオープン・ソサエティー研究所である。ニューヨークを本部にブリュッセル、ブダペスト、パリ、ワシントンに事務所を置き、50カ国以上にまたがるネットワークのセンターとして教育、メディア、ジェンダー、経済問題等のプログラムを作成している。
なお2000年度の総支出額は約5億ドルである。
ソロス氏は長年麻薬合法化に向けてなにやら一生懸命なのである。
ニューヨークを中心に莫大な資金を投入して、メディアを巻き込んだキャンペーンを実施してきた。そしてようやくパタキ・ニューヨーク州知事及び州議会のリーダーらは、今年になって麻薬法を見直すことに合意する。
現在の麻薬法は、1973年に当時のネルソン・A・ロックフェラー知事が作ったものでロックフェラー・ドラッグ法と呼ばれている。まだ第一歩に過ぎず、「開かれ過ぎ」との批判も多く、果たして実現できるかどうかは疑わしい。
なおロックフェラーと言えば、前述のバルチック・アメリカン・パートナーシップ・ファンド(BAPF)の役員会会長は、ロックフェラー・ブラザーズ・ファンドのウィリアム・ムーディー氏が務めている。
また1995年のボローニャ大学の同大学最高栄誉賞である「ラウレア・オノリス・カウサ」に続いて、1999年には日本でも人気の高い20世紀を代表する政治思想家ハンナ・アレント(Hannah Arendt、1906−1976)の名にちなんだハンナ・アレント賞を授けられた。この選定委員には、今年退任したロックフェラー・ブラザーズ・ファンドの前議長コリン・キャンベル氏も含まれている。
ロスチャイルドと並ぶ世界的な二大企業グループの間で巧みに泳ぎ回る術は、今でも衰えてはいないようだ。
しかし、訴訟から逃れる術はまだ身につけていない。昨年末もパリ予審判事が、ソロス氏、ナウリ元仏大蔵省官房長など4人をインサイダー取引の疑いでパリの裁判所に起訴した。これは、仏政府が1988年にソシエテ・ジェネラル株を政府系機関を通じて買い支えた際に、ソロス氏らが事前に情報を得て不正な利益を得たとの疑惑である。

■ ソロス氏とペルー、中国、日本、そしてカスピ海
フジモリ政権の崩壊以来、政治混乱が続いていたペルーでは、今年7月、先住民系のトレド大統領(55)率いる新政権が発足した。選挙ではユダヤ系であるソロス氏がトレド陣営に多額の献金をしていたようだ。その結果、第二副大統領でもあるバイスマン国防相、クチンスキ経済財政相など多くのユダヤ人脈を政権に送り込むことに成功する。
今年10月には、中国で大学を設立する準備に取りかかると発表する。
すでに教育ベンチャー事業の一環として、ソロス氏は、セントラル・ヨーロピアン・ユニバーシティーを設立しており、実現すればその第二弾となる。WTO加盟で世界中の大物が連日のように中国に押し寄せる中、得意の投資戦略で挑むようだ。
さてあまり話題にはならないが、日本にもすでに上陸している。
ソロス・リアル・エステート・インベスターズは、投資対象をホテルに絞り込み、米ホテル運営大手のウエストモント・ホスピタリティ・グループと組んで、京都ロイヤルホテルとリーガロイヤルホテル成田を取得した。
なおソロス財団の支出先として、ロシア5657万ドルも含めて、カスピ海沿岸地域への積極性が読みとれる。(グルジア537万ドル、カザフスタン490万ドル、ウズベキスタン412万ドル、アゼルバイジャン325万ドル、アルメニア191万ドル等)カスピ海地域の石油、天然ガス資源をめぐる「ニュー・グレート・ゲーム」の陰のプレイヤーであろう。

■ ソロス氏の後継者達
11月15日保険・再保険業務などを中心とする金融会社XLキャピタルは、フロントポイント・パートナーズに5億ドルの投資を行うことを発表する。このフロントポイント・パートナーズは、ソロス・ファンド・マネジメントやジュリアン・ロバートソン氏が率いたタイガー・マネジメント、モルガン・スタンレー等の出身者が集まるヘッジファンドの最強軍団でもある。
このXLキャピタル自体もバンカーズ・トラスト、J・P・モルガン、マーシュ&マクレナン、マッキンゼー、ベクテル、ロックフェラー保険等の出身者で固められた超エリート集団が率いている。そして本拠地をバミューダに置くオフショアカンパニーである。
ところで、10月に入って米証券取引委員会(SEC)は、証券ブローカーらに対して同時多発テロ直前に不審な取引が行われていた兆候があるかどうか38銘柄について取引記録を調査するよう要請しているが、その38銘柄の中にXLキャピタルの名前もある。
しかし真相は決して公表されないだろう。
なぜならソロス氏がパートナーを務めるカーライル・グループにはSEC前委員長のアーサー・レビット氏が今年5月1日付けで上級顧問に就任しているのである。
なおレビット氏は過去最長の7年半にわたってSEC委員長を務めた人物である。
なおアーサー・レビット氏は、カーライル・グループの上級顧問に就任する2ヶ月前の今年3月には、金融・経済情報メディアとして知られるブルームバーグの取締役にも就任している。そして、このブルームバーグを一代で築き上げたマイケル・ブルームバーグ氏が、今月11月に行われた市長選に勝利し、ジュリアーニ現市長(共和党)の後任として、来年1月から同時多発テロで大打撃を受けたニューヨークの復興に向けかじ取り役を担うことになる。
「ヘッジファンド」(浜田和幸著 文春新書)によれば、ソロス氏の口癖は、「エリザベス女王陛下の資産運用をお手伝いしている」ということらしい。この言葉には憧れにも似た彼の本音があるようだ。

■ ワッサースタイン・ラザードCEO誕生
11月15日、独ドレスナー銀行傘下の投資銀行部門ドレスナー・クラインオート・ワッサースタイン(DKW)のブルース・ワッサースタイン氏は、DKWの会長を辞任し、同業である米ラザードのCEO(最高経営責任者)に就任することが決まる。
ワッサースタイン氏は、自らが率いた投資銀行ワッサースタイン・ペレラを、昨年9月にドレスナーに身売りし、ドレスナーの投資銀行部門「ドレスナー・クラインオート・ワッサースタイン」の会長に就任する。同部門を分離・独立させたうえで、銀行のバランスシートと専門性を融合したディール・メーカーとして再上場を予定していたが、ドレスナー銀行自体が、今年初めに独保険最大手のアリアンツの傘下に入ったことでこの計画は中止となった。
ワッサースタイン氏は、89年に旧ファースト・ボストン時代の同僚、ジョー・ペレラ氏(現モルガン・スタンレー)とM&A専門の投資銀行ワッサースタイン・ペレラを設立。1980年代のM&A市場を席けんしたディール・メーカーである。KKRのRJRナビスコ買収やテキサコのゲッティ・オイル買収、AOLとタイム・ワーナーの合併やモルガン・スタンレーとディーン・ウィッターの合併などで剛腕を発揮する。顧客が有利になるように買収金額をつり上げる交渉術にたけていたことから、「ビット・エム・アップ・ブルース(価額をつり上げるブルース)」の異名をとった。
移籍先の米ラザードは、M&Aの仲介を収益の柱とする、知る人ぞ知る老舗の名門投資銀行である。1848年設立時のラザード創業者の家系で、非公開である同社の筆頭株主でもあるマイケル・デービッドーワイル会長は、「過去15年にわたって折に触れてワッサースタイン氏を誘ってきた」と語る。
ラザードはリーマン・ブラザーズと進めていた合併交渉が同時多発テロでご破算になったばかりであるが、この合併を推進していた前CEOのウイリアム・ルーミス氏を一年もたたないうちに更迭した経緯から、欧米メディアは、個性の強い二人の組み合わせを疑問視する記事を相次いで掲載する。しかし、少し前にはウイリアム・ルーミス氏の実力を疑問視していたこともある。
いずれにせよ9月11日の同時多発テロが世界的な企業再編を加速化させている。
再編を主導していくのは彼らである。
日本人の多くは、M&Aを単なる企業の売買として別世界の出来事のように眺めるだけだが、これは一面に過ぎない。
多くのM&Aは、政治的な意図を繁栄した中長期戦略に基づくものであり、世界的な人脈と高度なスキルが必要とされる。
特にラザードは、欧州貴族達の戦略を可憐に演出する実行部隊としての側面がある。
そしてその長い歴史にはビッグ・リンカーが数多く存在する。
ラザードの歴史を振り返る前に今年の世界のM&Aの仲介ランキングを見ておこう。
残念ながらここに日本企業の名前はない。

■ 今年の世界のM&Aの仲介ランキング     金額(億ドル)件数
1  ゴールドマン・サックス            4,520  262
2  メリル・リンチ                3,563  179
3  クレディ・スイス・ファースト・ボストン    3,213  344
4  モルガン・スタンレー             3,102  215
5  JPモルガン・チェース            2,752  284
6  シティ・グループ/ソロモン・スミスバーニー  1,851  240
7  UBSウォーバーグ              1,808  191
8  ドイチェ・バンク               1,623  183
9  ドレスナー・クラインオート・ワッサースタイン 1,172   67
10 リーマン・ブラザーズ             1,028  107
11 ロスチャイルド                 871  119
12 ラザード                    754  112
13 クアドラングル・グループ            579   2
14 ベア・スターンズ                557   57
15 グリーンヒル                  363   15

(注)2001年1月から9月末『※トムソン・ファイナンシャルセキュリティーズ・データ』調べ(日経金融新聞より)

■ ラザール3兄弟
ラザードの起源は1848年にさかのぼる。フランス人の3人兄弟、アレクサンドル、シモン、エリーの三人のフランス人がアメリカへ移住し、ニューオリンズに設立した。
そして1852年にパリ事務所としてラザール・フレール、1877年にロンドン事務所としてラザード・ブラザーズを設立し、彼らの従兄弟にあたるアレクサンダーが1880年にニューヨーク事務所としてラザード・フレールを設立する。
これまでパリ、ロンドン、ニューヨークの三つのラザードがひとつのパートナーシップのもとに別会社として運営されてきたが、昨年3月に3社を統合しグローバル戦略強化に乗り出している。現在全世界で20オフィス、約2600人の従業員を抱えている。
過去大きな事件が起こるたびに彼らは欧州と北米を股にかけて世界を動かしてきた。
歴代のビッグ・リンカーを紹介していこう。

■ ラザードとキャサリン・グラハムとマイヤー家
日本でも新聞各社が一斉に報じたが、今年7月17日「世界で最も影響力のある女性」と言われたワシントン・ポストのキャサリン・グラハム最高経営会議議長が亡くなった。
63年、夫で社主だったフィリップ・グラハム氏がうつ病で自殺した後、46歳で新聞経営を引き継ぎ、地方紙に過ぎなかった同紙をアメリカを代表する最有力紙の一つに育て上げた。特に70年代、ベトナム戦争をめぐる米国防総省機密文書を掲載し、ウォーターゲート事件の調査報道で、政府と対立しながら言論の自由を守り抜いたことは有名である。
キャサリン・グラハムの本名はキャサリン・マイヤーであり、フランスのアルザス・ロレーヌ地方に何世代も続く著名なユダヤ系一族出身である。そして、ラザードグループとの関係は、彼女の祖父、マルク・ユージン・マイヤーから始まる。
マルク・ユージン・マイヤーは、従兄弟に当たるラザードのアレクサンドルを頼って1859年にアメリカに渡り、ニューヨークのラザード・フレールのゼネラル・マネージャーを務める。
彼の息子、すなわちキャサリン・グラハムの父親であるユージン・アイザック・マイヤーもラザード・フレールに入社するが、官僚主義に失望してすぐに退社、新たにユージン・マイヤー・アンド・カンパニーを設立する。ウォール街で人脈を広げ、1913年には、ニューヨーク証券取引所の理事に選任され、1920年には化学者ウィリアム・ニコルスと共に※アライド・ケミカル・アンド・ダイ・コーポレーションを設立し大成功をおさめる。また政府の戦時軍需品・財政委員会、戦争産業委員会のポストにも起用され、1930年にはFRB(連邦準備制度理事会)の理事に就任、1931年には再建金融公社の会長に就く。そして1946年には初代世界銀行総裁に任命される。
当時の金融界の大物である。
このユージン・アイザック・マイヤーがワシントン・ポストを82万5000ドルで買収したのが1933年である。この時に金融家として軍事産業とメディアと政治とをコントロールすることに成功したのである。また、彼をサポートしていたのは紛れもなくラザードグループであり、キャサリン・グラハムを陰で支えていたのも金融界のピカソと言われたラザードのアンドレ・マイヤーであった。

■ 金融界のピカソ、アンドレ・マイヤー
20世紀を代表するインベストメント・バンカーのひとりアンドレ・マイヤーもパリで生まれたユダヤ人である。キャサリン・グラハムの高貴なマイヤー家とは関係がなく、貧しい家庭で育ったようだ。パリの小さな銀行で認められ1925年パリのラザール・フレールに入社、すぐにパートナーに迎え入れられる。
しかし、第二次世界大戦が勃発し、ナチに追われてアメリカへと向かう。そしてニューヨークのラザード・フレールで再びオペレーションを開始する。彼は、シトロエン、エイビス、ホリディ・イン、ワーナー・ランバート、エンゲルハート・ミネラルズ&ケミカルズ等を一流企業に育て上げ、不動産分野でも大きな実績を残す。
とりわけ当時を代表する政治家や財界人のプライベイト・アドバイザーとして現在のラザードの基礎となる人脈を築き上げた。キャサリン・グラハム、ケネディ家、リンドン・ベン・ジョンソン大統領、三大ネットワークのひとつCBS会長を長く務め、メディア界のゴッドファザーと言われたウィリアム・ペイリー等の厚い信頼を得ていた。
そして、ロックフェラー・グループの代表を務めるデビッド・ロックフェラーチェース・マンハッタン・バンク元会長とイタリアのフィアットグループのアニェリ家を育て上げたのもアンドレ・マイヤーである。
デビッド・ロックフェラーは、彼のことを最も創造的な金融の天才と呼んでいた。
『三人の女』『アリス・B・トクラスの自伝─わたしがパリで会った天才たち』などで知られるペンシルバニア州出身の女流作家ガートルード・スタインは、パリに渡り、当時まだ無名であったピカソと親交を深めるが、彼女の死後残されたピカソ・コレクションを購入したのは、アンドレ・マイヤー、ネルソンとデビッドのふたりのロックフェラー、ウィリアム・ペイリーとインターナショナル・ヘラルド・トリビューン誌の社主であり、駐英大使を務めたジョン・ヘイ・ホウィットニーの5人からなるコンソーシアムであった。
アンドレ・マイヤーは1979年に亡くなるが、その時には新たな金融界のスターが誕生していた。

■ フェリックス・ロハティン
合衆国移民の象徴とされている自由の女神の台座には、「あなたの国の貧困や疲労で息苦しい人たちを私のところに連れてきなさい。私は黄金の扉のそばでランプを掲げています」という有名な詩が刻まれている。女流詩人エマ・ラザルスのものである。
今年5月17日、このニューヨークのピエール・ホテルで華やかなパーティーが開催される。アメリカン・ジューイッシュ・ヒストリカル・ソサエティー主催のこの宴に登場したのが、ラザード・フレールのマネージング・ディレクターであったフェリックス・ロハティンである。
この時、ロハティンはユダヤ人であったエマ・ラザルスの名を冠したエマ・ラザルス賞を授かる。アメリカのユダヤ人社会の発展に貢献した人物に与えられる賞で、ジョージ・ソロスのオープン・ソサエティーも資金提供している。
これまでユダヤ歴史家アブラム・L・サッチャー(1986)、オキシデンタル・ペトロリアム元会長アーマンド・ハマー(1987)、現在ビベンディ・ユニバーサルとなったシーグラムのエドガー・ブロンフマン元会長(1989)、フィギュアで知られる玩具大手ハスブロを支配するシルビア・ハッセンフェルド元会長(1994)、アウトドアウェアの最高峰フリース「ポーラテック」で知られるマルデン(モールデン)・ミルズのアーロン・フュウスタインCEO(1996)、世界的なオペラ歌手ビバリー・シルズ(1998)、ヘンリー・キッシンジャー元国務長官(1999)、シティー・グループのサンフォード・ I ・ワイルCEO(2000)が受賞している。

★メモ−−マルデン(モールデン)・ミルズのフュウスタインCEOについて
なおここでマルデンミルズのアーロン・フュウスタインCEOについて少し触れておきたい。現在フリースウェアと言えばユニクロを想像する方がほとんどであろう。
努力の跡は見られるもののやはりポーラテックとは、比較にならない。アウトドア・ブランドで知られるパタゴニアが実証してきた品質は、愛用する方なら理解できると思う。
『「模範とすべき米企業のトップは」と尋ねられると、私はためらわずに、マルデンミルズ社のアーロン・フュウスタイン社長、七二歳だと答える。みんなきょとんとするが、同社が世界一のシェアを持つ「ポーラテック」というスキーウエアなどの耐寒と耐水の魔法の布地をあげると、なるほどとうなずく者もいる。しかし大半は、若くして世界一の起業家となり、パソコンの基本ソフトの「ウインドウズ95」で知られるマイクロソフト社のビル・ゲイツなのでは、という顔をする』
『そこで、マルデンミルズ社がなぜ米国第一の品格かの説明をする。九五年のクリスマス直前に自社工場が全焼した時、フュウスタイン社長は失業の不安におののく全社員の前に進み出て、工場再建まで全員の賃金は業界水準以上のまま全額保証するし、医療保険の掛け金もちゃんと払うと確約した。全社員が泣き出しただけではなく、取材中の海千山千のテレビ記者たちまで貰い泣きした。社員の大半が、ドミニカやプエルトリコからの貧しい移民だったのだ』
なおマルデン・ミルズは、古くからペットボトルや廃品プラスチックの再生にも取り組んである。

■ ロハティンとロッキードとエンロン
次世代主力戦闘機「JSF」の発注先企業に決まったロッキード・マーチンは、1994年に最大手のロッキードと第4位のマーチン・マリエッタが合併して生まれた会社である。このロッキードは、1970年代には再三の経営危機に陥ったことがある。
現在のエネルギー大手のエンロン破綻問題や同時多発テロをきっかけに世界的に始まった航空業界の再編成を見る上で参考としていただきたい。
1971年にロッキードはL−1011トライスター機の生産のため、バンク・オブ・アメリカ(現在ネーションズバンクが吸収合併し、新バンク・オブ・アメリカ−BOA)とバンカーズ・トラスト(現在ドイツ銀行により吸収合併)を共同主幹事とする24行からなる銀行団により4億ドルの回転信用枠を設定していた。
このトライスターの最大の発注先であるイースタン航空(89年破産宣告、91年操業停止)は、その購入資金と見られる3億ドルの信用協定をチェース・マンハッタン・バンク(現JPモルガン・チェース)をエージェントにファースト・ナショナル・シティ・バンク(現シティー・グループ)、ケミカル・バンク(現JPモルガン・チェース)などからなる融資団と締結していた。
しかしこのイースタン航空が経営危機に陥り、トライスターの納入延期を申し入れたことからロッキードは再び財務危機に見舞われる。
この時、慌てふためいたのがロッキードとイースタン航空の大口債権者であるバンク・オブ・アメリカ、バンカーズ・トラスト、チェース・マンハッタン・バンク、ファースト・ナショナル・シティ・バンクなどのマネー・センター・バンクであった。
ここで登場してくるのがラザードのフェリックス・ロハティンである。
ロハティンが折衝役となってそれぞれ3千万ドルの融資枠を引き受けた7行からなる「再建委員会(代表はバンク・オブ・アメリカ、バンカーズ・トラスト)」を設立し、当時の有力コングロマリットであったテクストロンにロッキードを買収させる計画を打ち出す。しかし、この計画は、テクストロンからの買収条件に銀行側が難色を示し、75年3月に挫折する。
再度ロハティンが登場し第二次ロッキード再建計画を練ることとなった。
その内容は、新たに設定した6億ドルの融資協定を75年末から77年末まで延期し、非政府保証分の一部をロッキードの優先株、普通株、転換社債に銀行側が振り替えようとするものであった。
その矢先、日本をも巻き込んだ大事件が起こる。
ロッキード事件である。
1975年8月、米上院銀行・住宅・都市問題委員会(プロクシマイヤー委員会)で、ロッキード不正海外支払い問題(2200万ドル)が明らかになり、銀行側は大きなショックを受け、足並みが乱れることになる。シカゴ・ファースト・ナショナル・バンク(現バンク・ワン)のロバート・アブド会長は、親友である米上院外交委員会多国籍企業小委員会のパーシー上院議員に実情を確認し、バンカーズ・トラストのリアリ副社長に最後通牒をつきつけた。ロッキードのホートン会長−コーチャン社長ラインを解任しなければ、ロハティンの第二次ロッキード再建計画への参加を撤回するという内容である。
そして翌年1976年2月、米上院外交委員会多国籍企業小委員会でロッキード不正暴露第二弾が出るに及んで、ニューヨーク4大銀行(バンカーズ・トラスト、ファースト・ナショナル・シティ・バンク、チェース・マンハッタン・バンク、モルガン・ギャランティー・トラスト)が一斉にロバート・アブド会長の主張に合流しはじめ、ホートン会長−コーチャン社長ラインは辞任することになる。ホートン会長は後任としてアンダーソン財務担当副社長を指名したが、失敗に終わり、ニューヨーク財界で評価の高かったロッキードの社外取締役ロバート・ハーク氏が暫定会長兼経営最高責任者に就任する。
同時にホートン、コーチャン両氏は、カリフォルニアの諸銀行との取締役兼任も解かれることになり、西部財界におけるいっさいの地位も失う。これは、両氏と強いつながりを持っていた共和党のニクソン元大統領にとっても大きな痛手となった。
結果としてロッキードにおける西部財界の影響力は弱体化し、代わってニューヨークを中心とする東部金融界の強い影響下に置かれることになる。
ウォーターゲート事件でニクソン大統領を辞任に追い込んだワシントン・ポスト紙とロッキードと東部金融界を結びつけていたのが、ラザード・フレールであり、その中心にいたのがアンドレ・マイヤーとフェリックス・ロハティンであった。
しかし、これだけではラザードを分析したことにはならない。
ロッキードとロールス・ロイスとの深いつながりは、ロンドンのラザード・ブラザーズを知る必要がある。
なおエンロンの本社はテキサス州ヒューストンにある。ブッシュ大統領の地元である。
そしてエンロンとそのケネス・レイ会長自身はブッシュ大統領の最大の献金者であった。
エンロン破綻で1050万ドルの損失を出したアマルガメーテッド銀行は、エンロンの幹部ら29人に対して、インサイダー取引の疑いで提訴したのに続き、12月11日にはエンロンの最大の債権者であるJPモルガン・チェースも対象資産21億ドルを超える債権の回収を目指し、ニューヨーク州の連邦破産裁判所で訴訟を起こす。
そしてワシントン・ポスト、ウォール・ストリート・ジャーナルなどが一斉にエンロンとブッシュ政権の関係を追及する動きを始める。
登場する名前が奇妙にも一致しているようだ。
カリフォルニアとテキサスを置き換えれば、今回のエンロン破綻問題が
「ブッシュ−テキサス包囲網」と見ることもできる。

■ 現在のフェリックス・ロハティン−
「ディナーの場には目的があるのよ」
こう言い残したのは、1997年2月に死亡したパメラ・ハリマン駐仏米国大使である。「宴」に最もふさわしい女性であった。彼女の名前はとても長いのである。パメラ・ベリル・ディグビー・チャーチル・ヘイワード・ハリマンという。英国貴族出身のパメラ・ベリル・ディグビーは、生涯3人の男性と結婚しその名に刻まれた。チャーチル英首相の息子ランドルフ・スペンサー・チャーチル、ブロードウェイのプロデューサーであったリーランド・ヘイワード、鉄道王であり、ブッシュ家と深いつながりのある名門投資銀行ブラウン・ブラザーズ・ハリマンで知られるハリマン家のW・アヴレル・ハリマンである。
また、彼女は恋多き女性としてバロン・エリ・ロスチャイルドやフィアットのジアンニ・アニェリとも浮名を流したこともある。
「大変美しい女性で、見事な大使で、おそらくベンジャミン・フランクリンやトーマス・ジェファソン以来の最高の大使の一人だ」とシラク仏大統領は、最大級の弔意を表明し、国家元首級に贈られるレジオン・ドヌール章の最高位グラン・クロワが授与された。
1997年7月、クリントン前大統領は、このパメラ・ハリマンの後任としフェリックス・ロハティンを駐仏米国大使に任命する。フランスといえば、ラザード・グループ出身の地であり、総本山であるラザール・フレールが今日でも一大帝国を築いている。
今年73歳になるフェリックス・ロハティンは、第2章で紹介したパウエル卿がいるルイ・ヴィトン・モエ・ヘネシー(LVMHーフランス本社)とこれまでに再三登場した自動車大手フィアット(イタリア)の取締役である。
また外交問題評議会(CFR)のメンバーであり、戦略国際問題研究所(CSIS)の理事にも選ばれている。
仏伊米にまたがるラザード・グループの中心に位置するビッグ・リンカーであるが、現在、ロハティンが取締役を務めるアメリカ企業は、21世紀の主戦場の渦中にある。

■ アメリカ・ブロードバンド戦争
今回の同時多発テロを契機に日本でも軍備拡充か縮小かの議論が巻き起こっている。議論の重要性は認めるものの、この種の議論を好む方に共通するのは時代認識の欠如である。急速に時代が変化する中で、安全保障上における情報通信分野での覇権確立が最もホットなテーマとなっている。もとはと言えば、湾岸危機における日本批判のトラウマも情報発信能力に致命的な問題があったためである。この主戦場の最新動向を見ていきたい。
ここでも日本勢の姿は全く見えないことを最初にお知らせしておく。
これまで見てきたとおりラザード・グループは、一貫して民主党クリントン政権を支持し、資金的な援助も行ってきた。昨年ラザードを去った元上級経営幹部スティーブン・ラトナーも民主党ゴア候補の財政アドバイザーを務め、ゴア政権が誕生していれば財務長官就任も噂された人物である。
ラトナーは、1989年にモルガン・スタンレーからラザード・フレールに転身し、メディア&コミュニケーショングループを設立、以後ベルテルスマン(ドイツ)、ニューヨークタイムス、パラマウント、AOL、タイムワーナーなど大手メディア企業を相手に実績を残してきた。そしてそのひとつが、コムキャストである。
今年1月10日、コムキャストはパリから戻ったばかりのフェリックス・ロハティンの社外取締役就任を発表する。これは、明らかにM&A戦略強化のためである。
1999年3月、コムキャストは、486.3億ドルで業界4位のメディアワンを買収すると発表する。ところが、これに待ったをかけたのがアメリカ最大の総合通信事業者AT&Tであった。「総合サービス・プロバイダー」をめざすAT&Tは、企業規模にモノを言わせて540億ドルを提示し、買収合戦が繰り広げられるが、最終的にコムキャストは敗北することになる。
CATVはAT&Tが独占するのではとの観測が流れたが、今年に入って形勢が逆転する。AT&Tはマイケル・アームストロング会長が就任した1997年以後、CATVの拡大路線をひた走り、惜しげもなく買収に費やした金額は1000億ドルを超える。しかし、巨費を投じて手にした回線の多くは老朽化が進み新たな投資が必要だった。加入世帯数1500万、シェア22%の巨大勢力は規模の利益を出す前に債務が膨張し、株価低迷と過剰負債に苦しみ、CATV事業の事業分離を決断せざるをえない状況に追い込まれる。
ここで再度登場するところが、フェリックス・ロハティンらしい。
今年7月、コムキャストは、AT&TのCATV事業を総額580億ドル(負債引き継ぎを含む)で買い取るという買収提案を行う。AT&Tがこれまでに投じた金額のほぼ半額の買収提案額に対してAT&T側は「安すぎる」といったんは拒否する。
ここから巨大オークション状態に突入する。AT&Tのアームストロング会長の威信をかけた価格つり上げ交渉の開始である。この買収に第4位のコックス・コミュニケーションズとCATV事業でも2位につけるAOL・タイムワーナーも名乗りをあげ、さらにはAOL・タイムワーナーの独占許さずとマイクロソフトも参戦する異常な事態となる。
AOL・タイムワーナーの買収が実現すればCATVで40%を握ることになる。
AOLはすでにインターネット接続でほぼ独り勝ちをおさめ、豊富なコンテンツを持っている。さらに一般家庭につながる情報インフラまで握ってしまえば、一大メディア帝国誕生となる。
マイクロソフトも家庭分野に対して並々ならぬ情熱を注いでおり、ゲーム機に参入したのも家庭との太いパイプの確保をめざしたものだ。しかし、自社でCATVを運営するノウハウに乏しいため、コムキャストかコックスのいずれかが買収を決めた場合、マイクロソフトも30〜50億ドルを出資し、共同買収の形にする戦略に出る。すでにマイクロソフトは、コムキャストに10億ドル、AT&Tに50億ドルの出資して大株主となっており、コムキャスト優勢のまま現在もその攻防が行われている。
12月7日付けの日経産業新聞は、この買収劇を「マイクロソフト」対「AOL・タイムワーナー」の代理戦争と書いていたが、ビベンディ・ユニバーサルの存在を忘れているようだ。

■ ブロードバンド戦争とFCCとパウエル親子
このAT&TのCATV事業売却をめぐり、米メディアも報じない側面を紹介しよう。
1934年の連邦通信法によって設立され、ラジオ、テレビ、通信、衛星、ケーブルテレビを用いた州及び国際間の相互的なコミュニケーションを管轄しているのが、FCC(連邦通信委員会)であり、直接議会に対して責任を持つ政府から独立した連邦機関となっている。
今回の買収劇には、このFCCが大きく関係している。これまで1社が所有する放送局の放送到達範囲は全視聴世帯の35%以内としてきたが、今年3月に下された「CATV事業者の所有規制は言論の自由に反する」という違憲判決により、この上限を引き上げようとする動きも出ている。
ブッシュ政権誕生後、通信分野でも相次いで規制緩和策が打ち出されており、こうした動向が今回の買収劇を加速させる結果となっている。
ブッシュ政権が任命したFCCの委員長はマイケル・パウエルである。AOLの取締役であったパウエル国務長官の息子である。AOLもブッシュ大統領に対して巨額の献金を行ってきた。このためこの買収劇もAOL・タイムワーナーが巻き返してくる可能性を指摘するメディアもある。ところがこのマイケル・パウエルは、父親同様不思議な存在である。
マイケル・パウエルは、確かに共和党支持者であるが、FCCの議長に任命されたのはクリントン政権時であり、民主党とも深いおつき合いがあるようだ。
出身はオメルベニー&マイヤーズ法律事務所のワシントンオフィスである。
ブッシュ・ゴア天下分け目の決戦となったフロリダ州開票作業。
ブッシュ陣営を率いたカーライル・グループの上級顧問ジェームス・べーカー(財務長官、国務長官を歴任)もベーカー・ボッツ法律事務所のシニア・パートナーである。
対するゴア陣営を率いたのが、ウォーレン・クリストファーであった。ウォーレン・クリストファーは、クリントン政権の国務長官(1993〜97)であり、マイケル・パウエルが在籍したオメルヴニー&マイヤーズ法律事務所のシニア・パートナーである。
共に国務長官を経験した弁護士の一騎打ちとなっていたのである。
オメルベニー&マイヤーズ法律事務所の拠点はロサンゼルスにあり、もうひとりのシニア・パートナー、ウィリアム・コールマン元運輸長官(フォード政権−1975〜77)もゴア候補を支持した。
ウォーレン・クリストファーは、かつてはロッキードの取締役を務め、一方ウィリアム・コールマンは、チェース・マンハッタン・バンクの取締役を務めていた。そしてふたりともパン・アメリカン航空(パンナム−1991年操業停止)の取締役であった。
従ってロハティンとは長いつき合いのようだ。
そしてもうひとりこの買収劇の鍵を握る人物がいる。

★メモ−−「日本版FCC」について
政府のIT戦略本部(本部長・小泉純一郎首相)は12月6日の会合で、FCC(連邦通信委員会)のような独立競争監視機関の設置の検討も含めた改革案の議論を行う。どうやら情報通信分野の規制・監督機能強化を行いたいようだが、これは全く時代に逆行するものである。

■ バーノン・ジョーダン
バーノン・ジョーダンは、現在のアメリカの政財界で最も影響力のある黒人であろう。1982年から務めてきた名門法律事務所エイキン・ガンプ・ストラウス・ハウアー&フェルドを離れ、昨年1月にラザード・フレールのマネージング・ディレクターに就く。
エイキン・ガンプ・ストラウス・ハウアー&フェルドの弁護士としてはとどまるものの、この実質的なラザード転身のニュースは大きな話題となった。
ジョーダンは、クリントン前大統領の親友としても知られ、モニカ・ルインスキー・スキャンダルの時には、就職の面倒を頼まれた人物として再三メディアに登場した。
これまでに何度もコラムで紹介してきたが、日本とも深いつながりがある。
新生銀行の社外取締役と富士銀行の国際諮問委員会のメンバーを務めているのである。
エイキン・ガンプ・ストラウス・ハウアー&フェルドといえば、創設者のひとりにロバート・ストラウスがいる。
カーター政権(民主党)政権時の通商(USTR)代表、駐ロ大使を務めた経験がある。テキサス出身でFBIのスペシャル・エージェントも務めたストラウスは、ブッシュ支持にまわりテキサス出身で「ブッシュ−テキサス・インナーサークル」の中枢を担う。
このあたりの関係がジョーダンの転身に大きく影響したのかもしれない。
なおクリントン前大統領自身も退任後のラザード・フレール入りも噂されたこともあった。
バーノン・ジョーダンは、アメリカを代表するビッグ・リンカーであり、取締役件数も群を抜いている。そのひとつがアメリカ・オンライン(AOL)・ラテンアメリカの取締役だとわかるとなにやら訳がわからなくなる。
つまりAT&TのCATV事業はラザードとAT&Tのブロードバンドをめぐる争いであり、勝者がAOL・タイムワーナーであろうとコムキャストであろうとマイクロソフトであろうとあまり変わりはないようである。メディア分野におけるラザード包囲網が広範に張りめぐらされており、AT&Tといえどもその存在を無視できるものではない。
そして12月19日、ようやくこの買収劇の結論が下された。AT&Tは、CATV部門をスピンオフ(分離・独立)し、コムキャストと合併させると発表する。
新会社は「AT&Tコムキャスト」となり年商190億ドル、約2200万世帯の加入者を抱える巨大CATV企業が誕生することになる。
新会社AT&TコムキャストのCEOには、コムキャストのブライアン・ロバーツ社長が、会長にはAT&Tのアームストロング会長が就く。そしてマイクロソフトは、同社が出資する50億ドル相当のAT&T優先証券を新会社の株式1億1500万株に転換することで合意を勝ち取る。
この買収劇の陰の主役を紹介しよう。
AT&Tのファイナンシャル・アドバイザーを務めたのはクレディ・スイス・ファースト・ボストン(CSFB)とゴールドマン・サックスであり、コムキャストのアドバイザーはJPモルガン・チェース、メリル・リンチ、クアドラングル・グループで構成された。
そしてラザードは単独でマイクロソフトのアドバイザーを務めていたのである。
ラザードとマイクロソフトを繋げる鍵はアスペン研究所にある。

■ ジョーダン夫妻と取締役兼任制度
バーノン・ジョーダンのこれまでの経歴をリストアップしたものが下である。
▼ 現在の取締役就任企業
● ラザード・フレール(米) マネージング・ディレクター
● エイキン・ガンプ・ストラウス・ハウアー&フェルド(米)弁護士
● アメリカン・エキスプレス(米 カード、金融大手)
● アメリカ・オンライン(AOL)・ラテンアメリカ
● クリア・チャンネル・コミュニケーションズ(米 ラジオ放送最大)
● ダウ・ジョーンズ(米 ダウ平均で知られる)
● J・C・ペニー(米 デパート最大手)
● レブロン(米 化粧品最大手)
● サラ・リー(米 食品、衣料品最大手)
● ゼロックス(米 複写機等OA機器大手)
● 新生銀行(日)

▼ 現在の国際諮問委員会メンバー企業
● ダイムラー・クライスラー(独、米、日)
● 富士銀行(日)
● バリック・ゴールド(加)
● ファースト・マーク・インターナショナル※(欧州メディア)

▼ 過去の取締役就任企業
● バンカーズ・トラスト(米 現ドイツ銀行)
● ユニオン・カーバイド(米 化学大手)
● ライダー・システム(米 総合ロジスティック・プロバイダー)
● R・J・レイノルズ(米 タバコ大手)
● セラニーズ(米 化学大手 現アベンティス)
● AMFM(米 現クリア・チャンネル・コミュニケーションズ)

▼ その他
● 米欧日三極委員会
● ビルダバーグ会議
● 外交問題評議会(CFR)
● フォード財団
● LBJ財団

日本では社外取締役を名誉職や監査役と同等に見る傾向があるようだが、実際には過去社外取締役がCEO(最高経営責任者)を更迭した事例も数多くある。また年10回程度の取締役会に出席し、この時には議事録も残されるため適切な発言が求められる。報酬は、かなりの個人差があるようだが、一企業につき年間5万ドル程度が平均と見られている。
昨年実施されたUSAトゥデイの調査によれば元労働長官でアスペン研究所の名誉会長で知られるアン・マクローリンが務めるマイクロソフトやケロッグ、AMRなど9社の報酬は、66万7000ドルであった。
ジョーダンの報酬は、ワシントン・ポストの1998年の記事によると当時で110万ドルと推定している。
しかもこのジョーダンの奥様アン・ジョーダンがこれまた凄い方なのである。
シティー・バンクで知られる全米一位のシティー・グループ、医療・健康関連用品のジョンソン・エンド・ジョンソン、情報処理サービス大手オートマチック・データ・プロセシングの社外取締役なのである。
さぞかし立派な豪邸にお住まいかと思われるが、果たして夫婦の会話を楽しむ余裕があるのだろうかと余計な心配をしてしまうのである。

■ 追い込まれるブッシュ−テキサス・インナーサークル=旧テキサス共和国
フランス・ラザール・フレール出身のジャン−マリー・メシエ会長率いるビベンディ・ユニバーサルも凄まじい勢いでアメリカに乗り込んできた。メシエ会長自らがニューヨークに乗り込み陣頭指揮にあたっている。
現在でもフランス・ラザール・フレールと同盟を組むビベンディ・ユニバーサルは、米メディア大手USAネットワークスの株式の43%を取得し完全支配しつつある。そして新たに米衛星放送2位のエコスター・コミュニケーションズに対しても総額15億ドル(約10%)を出資することで合意する。
USAネットワークスは、今年7月にマイクロソフトからネット旅行社を買収したばかりであることも見逃せない。マイクロソフトとブッシュ共和党との蜜月関係が急速に冷めてきているようだ。
エコスターは、今年10月にルパート・マードック率いる豪メディア大手のニューズ・コーポレーションを退け、同業最大手でGM(ゼネラル・モータース)の傘下にあったヒューズ・エレクトロニクスを258億ドル(約3兆2000億円)で買収した。
この買収合併により顧客数が1670万人米衛星テレビ市場をほぼ独占する規模となる。そして重要な点は、この買収資金の一部をビベンディ・ユニバーサルが提供することでも合意したことだ。
これまで見てきたようにじわじわとアメリカメディア分野が欧州勢力に追い込まれているのである。その中心にいるのは名門ラザードである。
そしてこの影響はアメリカ内部の分裂にも発展しているようだ。
顕著に現れているのがイラク攻撃をめぐるブッシュ政権内部の対立である。
ともにグローバリストであるが、新世界秩序を最優先に考えるパウエル国務長官を中心とするグループとアメリカの利益を最優先に考えるウルフォウィッツ国防副長官のグループの対立である。
ラザードに代表される「欧州・貴族系グローバル企業」は、パウエル国務長官をもり立て、ウルフォウィッツ国防副長官の背後には、テキサスの利益を最優先に考える旧テキサス共和国の「ブッシュ−テキサス・インナーサークル」の姿が見え隠れしている。
しかし、「ブッシュ−テキサス・インナーサークル」も同時多発テロとエンロンの一件で戦略の見直しを行っているようだ。
12月12日、ブッシュ大統領は、ハイテク政策に関する助言を得るため、AOL・タイムワーナーのスティーブ・ケース会長、デルコンピュータのマイケル・デル会長、インテルのゴードン・ムーア名誉会長、そしてコムキャストのケーブル・コミュニケーション部門のステファン・バーク社長、ロッキード・マーチンのノーマン・オガスチン元会長などの有力企業幹部をメンバーとする科学技術諮問委員会を新たに設置すると発表する。
ブッシュ大統領は、石油などのエネルギー分野には熱心であるが、ハイテク分野に対する関心が大きくないと指摘する声が経済界から聞かれていた。
さすがに慌てたのか有力企業幹部の囲い込みを始めたようだ。
この一報を伝えたのが世界を代表する経済新聞であるウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)だが、エンロンとブッシュ政権の関係を追及する動きを始めたのもWSJであり、その発行元は「ダウ平均」や「NYダウ」の生みの親でもあるダウ・ジョーンズである。従って1975年に提携して以来、一貫してダウ式による修正平均株価として算出してきた「日経平均株価」の生みの親ということにもなる。
現在WSJ以外にダウ・ジョーンズ・ニューズワイヤーズ、ファー・イースタン・エコノミック・レビュー、バロンズなどを発行しているが、このダウ・ジョーンズの取締役会にもバーノン・ジョーダンがいるのである。
また、ジョーダンが第2章で登場した世界第二位の金鉱会社バリック・ゴールドの国際諮問委員会のメンバーになっている点も注目していただきたい。
パウエル卿とカール・オットー・ぺールとバーノン・ジョーダンが揃ってメンバーとなっているのである。
そしてメディアからの圧力により辞任したのはブッシュパパである。

■ 戦争とメディアの関係
9月21日に全米の4大ネットワーク(ABC、CBS、FOX、NBC)が共同制作した同時多発テロ事件の犠牲者追悼チャリティ番組に登場したニール・ヤングは、ピアノを奏でながら「イマジン」を歌う。
これが大きな話題になったことは日本ではあまり知られていない。
実は「イマジン」は、放送自粛対象になっていたのである。
金融と軍事産業とメディアを操る集団が同一の方々である以上、秩序の安定を重視しながらも適度な緊張関係は好む傾向にある。また、社会的な混乱は彼らにとって最大の不安要素となる。バーノン・ジョーダンが取締役を務めるアメリカ最大のラジオ・ネットワークであるクリア・チャンネル・コミュニケーションズは、同時多発テロ発生後に同系列の約1200局に向けて、約150曲について放送の自粛を促す社内通達を出した。
「好ましくない」とされた曲のなかにはジョン・レノンの「イマジン」、ポール・マッカートニーの「007/死ぬのは奴らだ」、ビートルズの「ア・デイ・イン・ザ・ライフ」「ルーシー・イン・ザ・スカイ・ウィズ・タイアモンズ」などが含まれている。
クリア・チャンネル・コミュニケーションズでは、「全国的な放送禁止措置」ではなく、何の曲が「好ましくない」かを判断し、具体的な放送内容を決めるのはあくまでも各地のラジオ局だとしている。
ワシントン・ポスト傘下のニューズウィーク誌は、12月15日、1003人の世論調査を公表した。
この中でイラクのフセイン政権に武力行使すべきだとする回答者は78%に達していた。この数値を上げるも下げるも今後のメディアの報道の仕方によって変わるだろう。
そして、その行方は再びラザードに代表される「欧州・貴族系グローバル企業」の手中に戻りつつある。
アメリカを牽制すべく、フランス政府は10月31日にメディアを使って爆弾を投げ込む。
ウサマ・ビンラディンが今年7月にアラブ首長国連邦(UAE)の首都ドバイのアメリカン病院で腎臓病の治療を受けた際に、CIA(米中央情報局)と接触していたとする記事が世界に配信される。
報じたのはフランスを代表する新聞フィガロ紙であり、フランスを代表する石油メジャー、トタルフィナ・エルフのイラク国内の石油、天然ガス利権に絡むフランス諜報機関のリークと見られている。
そしてそのフィガロに約20%を出資しているのは、ブッシュ−テキサス・インナーサークルの中核に位置するカーライル・グループである。
フランス政府の爆弾は、その大株主にダイレクトに投げ込まれたものであった。
欧州・貴族系グローバル企業に先手を打たれて、アメリカの次なる攻撃目標が狭められていく。適度な緊張関係が続くもののイラクもソマリアもその対象にはならないだろう。
残された唯一のテロ支援国をめぐって、寄りによってこの時期に訳もわからず喧嘩を仕掛けるお馬鹿さんがいる。
またしてもこの日本は、奥深くへと引きずり込まれるのだろうか?

■ JPモルガン・チェースとニコラス・ロハティン
昨年9月26日、全米2位のJPモルガン・チェースはダグラス・ワーナー会長が年末までに引退し、後任にウィリアム・ハリソンを起用する人事を発表する。
新会長のハリソン氏は、1967年にケミカル・バンクに入社、チェース・マンハッタンの会長兼CEOを経て、合併後はJPモルガン・チェースの社長兼CEOに就任していた。
ワーナー会長は1968年にJ・P・モルガンに入社、同社の社長、会長、CEOを歴任した。モルガングループの中核企業であるである複合企業ゼネラル・エレクトリック(GE)、総合エンジニアリング最大手ベクテルの社外取締役を務め、ピアポント・モルガン・ライブラリーの理事を務めるなど生粋のモルガン人として知られる。
以前のコラムにこう書いたことがある。
「J・P・モルガン・チェース誕生によりモルガン系企業が今後離散していくことも十分予測される。なぜなら異なる文化を有した金融資本と産業資本の融合には、過去失敗例が数多く残されており、アメリカ内部での産業界の分裂にも繋がる要因ともなりえる。」
どうやら私の予測はあたっていたようである。
エンロン破綻問題もこのあたりに原因がありそうだ。
旧J・P・モルガン幹部の相次ぐ辞任に対して、10月24日には日本でも人気の高いGEのジャック・ウェルチ前会長を顧問に迎え入れると発表した。ウェルチ前会長の強い意向により中途半端な顧問になったようだが、この混乱はしばらく納まりそうにない。
なお、辞めていった旧J・P・モルガン幹部には、ワーナー会長が後継者として非常にかわいがっていた人物がいた。
彼の辞任が発表されたのは、同時多発テロ直前の9月7日のことである。
彼の名は、ニコラス・ロハティン。
そうフェリックス・ロハティンの息子である。
昨年3月、ワーナー会長はe-ファイナンス部門として『ラボ・モルガン』の設立を発表し、そのヘッドにニコラス・ロハティンを任命した。そしてその事業は合併後も『ラボ・モルガン』の名を引き継ぎながら運営されてきたのである。
これまでに何度か両社の合併の噂があったことは事実であるが、J・P・モルガンは、その前身であるロンドンJ・S・モルガン商会から派生したモルガン・グレンフェルや1903年にJ・P・モルガンより分社したバンカーズ・トラストと同様、ドイツ銀行と合併すると見られていた。
そこにチェースが強引に割り込んできた形となった。
J・P・モルガンは、古くからロスチャイルド・グループに代表される「欧州・貴族系グローバル企業」と連携してきた。
チェース色が強まる中で、欧州との関係に暗い陰を落としていく。

■ JPモルガン・チェースとテキサス
1991年にマニュファクチュラース・ハノーバー・コープとケミカル・バンクのふたつのニューヨークに本拠を置くマネー・センター・バンクが合併し、ケミカル・バンクとなり、1996年にこのケミカル・バンクとチェース・マンハッタン・コープが合併して新チェース・マンハッタン・コープが誕生する。
チェース・マンハッタン・コープは、かつて「ロックフェラー銀行」あるいは「石油銀行」の名で知られてきた。旧スタンダード石油企業である、エクソン・モービル、シェブロンなどのロックフェラー・グループを束ねる中核銀行である。
このチェース・マンハッタン・コープと名門中の名門J・P・モルガンが2000年9月に合併し、現在のJPモルガン・チェースが誕生する。
JPモルガン・チェース合併時にはすでに辞任していたが、大型合併の主導的役割を果たしたのはウォルター・シプリーである。1956年にケミカル・バンクに入社し、1983年に社長、1984年に会長になる。マニュファクチュラース・ハノーバー・コープとの合併後、1992年に社長、1994年に会長兼CEOとなり、1996年には新生チェース・マンハッタン・コープの会長兼CEOに就任する。
シプリーは、1999年に会長兼CEOを辞任するが、現在でもJPモルガン・チェースのふたつの諮問委員会のメンバーとなっている。
ひとつが国際諮問委員会であり、ジョージ・シュルツ元国務長官を会長にキッシンジャー元国務長官、デビッド・ロックフェラー元チェース会長、フィアットの名誉会長ジョバンニ・アニェリなど、これまで紹介してきた世界各国のビッグ・リンカー(日本人二名含む)37名で構成されている。
特にシュルツ元国務長官とキッシンジャー元国務長官はブッシュ政権のお目付役である
そしてもうひとつの諮問委員会は、「テキサス・リージョナル・アドバイザリー・ボード」である。
1987年にケミカル・バンクは、テキサス・コマース・バンクと合併したが、テキサス・コマース・バンクは、1866年に設立された老舗であり、合併後もその名を残してきた。
1998年にようやくその名をチェース・バンク・オブ・テキサスに変更し、2000年に完全統合される。
「テキサス・リージョナル・アドバイザリー・ボード」は、このテキサス・コマース・バンク出身者とテキサスを代表する財界人により構成されている。
ここにシプリーが参加しているのは、元会長であるためだけではない。
シプリーは、現在もテキサスに本社を構える世界最大の石油会社エクソン・モービルの社外取締役であり、エクソン・モービルを代表して参加しているのである。

■ 資格テキサス発“axis オブ evil”=「悪の枢軸」
戦後、テキサス州出身の大統領は、リンドン・ベン・ジョンソン、ブッシュパパに次いで、現在のブッシュ大統領で3人目となる。
プライドが高く、独立心が旺盛なことからテキサス魂と言われることもあるが、その背景には複雑な歴史がある。
これまでにテキサスの国旗は、スペイン、フランス、メキシコ、テキサス共和国、アメリカ合衆国と南部共和国のアメリカ合州国の6種類が掲げられ、とりわけ、有名な「アラモの砦」を経て、1836年から1845年までテキサス共和国として独立国家だった歴史と深く関係しているようだ。
京都議定書や弾道弾迎撃ミサイル(ABM)制限条約からの一方的離脱などに見られるアメリカのユニラテラリズム(アメリカ単独主導主義)もテキサス州出身の大統領とは無縁ではないようだ。特に欧州勢からすると、レーガン大統領以上に理解不能のエイリアンとみなされているようである。
エンロン破綻問題が米・英(ウェイクハム卿=ロスチャイルド人脈)中枢を巻き込む一大スキャンダルに発展する中、有力な支持基盤を失ったブッシュ政権は、今年11月の中間選挙に向けて、保守票を取り込むために、ウルフォウィッツ国防副長官を中心とするタカ派やクリスチャン連合に代表されるキリスト教右派に歩み寄らざるを得ない。
そして登場してくるのが、"axis of evil"=「悪の枢軸」発言である。
ブッシュ大統領が1月29日夜(※日本時間30日午前)、上下両院合同会議で行った一般教書演説は、戦時下ということもあり高い関心を集める。全米で5200万人がテレビを見たようだ。ここでブッシュ大統領は、北朝鮮、イラン、イラクの三か国を、世界の平和を脅かす「悪の枢軸」と位置づけ、「我々を脅かすことは許さない」と強く警告した。
この発言に対して、世界中を巻き込んで一大騒動となっている。特にフランスを中心とするEU圏では今なおこの発言を巡って緊迫した状況が続いている。
もし田中真紀子外相がいれば、日本でも大きな話題に発展していた可能性が高い。
しかし、一般教書演説の直前(日本時間1月29日深夜)に更迭が決定されており、ここでもロッキード事件を思い出させるものがある。
事前にアメリカから圧力があったのではないだろうか?
なお、イタリアでも今年1月5日、ルジェロ外相が反欧州統合路線を批判し辞任している。ルジェロ氏はWT0前事務局長を務め、フィアットの取締役及び国際諮問委員会副会長、キッシンジャー&アソシエイツ取締役も歴任した。
協調派として国際的に知名度が高いビッグ・リンカーである。
かっての枢軸国である日本とイタリアで同時期に怒った外相辞任は、来たるべき混乱に備えたもかもしれない。
右傾化を強めるイタリア・ベルルスコーニ政権でもカーライル・グループと深いつながりを持っている。
このカーライル・グループの2000年の宴が9月にワシントン・モナーク・ホテルで行われたことは第一章でご紹介した。
そして2001年の宴は、ワシントンのリッツ・カールトンホテルでウサマ・ビンラディンの親戚も同席する中、華やかに開催された。

その宴が行われた日付は2001年9月11日である。

(ビッグ・リンカー達の宴(うたげ)アメリカ編−終了)

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