★阿修羅♪ 現在地 HOME > 掲示板 > IT1 > 814.html
 ★阿修羅♪
次へ 前へ
プロテクトされたコンテンツを気持ちよく買えますか?
http://www.asyura.com/0306/it01/msg/814.html
投稿者 クエスチョン 日時 2003 年 9 月 04 日 00:00:10:WmYnAkBebEg4M

[2003/09/03]
プロテクトされたコンテンツを気持ちよく買えますか?
http://itpro.nikkeibp.co.jp/free/ITPro/OPINION/20030902/1/

 日経バイトの2003年9月号で著作権保護に関する技術を取り上げた。著
作権がカバーする範囲は広いが,今回は,音楽や映画などのデジタル・コ
ンテンツを著作権侵害から守る技術にフォーカスした。

 不正コピーは古くからある問題だし,これに対してコピー・プロテクト
をかけるというのもまた古くからある対策だ。ところが一ユーザーとして
は,コピー・プロテクトが施されたものを買わされることに,ある種の不
満というか,窮屈で釈然としない思いを持ってしまう。そこで,こうした
ユーザーの気持ちをどうにかする技術的な解決策はないものか,調べてみ
たいと思ったのが,今回の特集の動機だ。

 取材して感じたことは,DRM(Digital Right Management)やコピー・
プロテクトなどの技術を前面に打ち出して著作権保護を推し進めることは,
結果的に市場を狭めることになるのではないかという懸念だ。「不正コピ
ーは絶対許さない」というアプローチは,イソップ物語の「北風と太陽」
で言えば北風の手法といえるだろう。筆者は,北風の手法を強めていくと,
コンテンツを求めるニーズそのものまでも弱めてしまうように思えるのだ。

エア・チェックがヘビー・ユーザーの下地を作った

 ちょうど20年ほど前になる。当時,高校から大学にかけての間,筆者は
FM番組のエア・チェックに励んだ。部活の帰りに買い食いするパンや飲み
物にほとんどの小遣いは消えていったので,レコードやCDを買う余裕がな
かったからだ。FM番組の情報誌を詳細に調べ,ラジカセのポーズ・ボタン
の押し離しに命を賭けていた。それ以外に,聞きたい曲を手元に残す方法
がなかったからだ。1曲をフル・コーラスで流してくれる番組は,神のよ
うな存在だった。

 ラジオ番組を通じて音楽をカセット・テープに録音し,それを自分で楽
しむのは私的複製の範囲とされており,著作権の侵害には当たらない。私
的複製は,著作権が及ばない例外(著作権法で規定されている)であって,
ユーザーの権利ではない。だから,大っぴらに振りかざせるものではない
が,この範囲であればカセット・テープに録音(コピー)した音楽を堂々
と楽しめた。

 でも,いつしかそんなことはしなくなっていた。大学に入ってアルバイ
トを始めて可処分所得が増えてからは,目に見えてエア・チェックなんか
しなくなった。半面,所蔵する音楽CDは増えていった。最近では,1回に5
〜6枚をまとめ買いし,「昔のオレなら卒倒するような買い方だな」と思
うようになっていた。

“欲しい”という気持ちを萎えさせたCCCDのメッセージ

 昨年夏,いつものようにレコード店で自分の好きなバンドの新譜を見つ
けたとき,これまでに味わったことのない,何ともいえない窮屈な,釈然
としない気持ちに襲われた。その新譜がCCCD(Copy Control CD)だった
からだ。

 CCCDはコピー・プロテクトをかけたCDであり,2002年3月に登場した。
その前後には,多くのメディアがCCCDを取り上げたが,筆者自身はあまり
切実なものとは考えていなかった。音楽CDからデータを吸い上げて,パソ
コンに保存することにまったく興味がなかったからだ。

 CD-Rドライブがパソコンの周辺機器として急激に普及し始めた1996年こ
ろ,筆者は,当時所属していたパソコン雑誌でよくCD-Rの記事を書いた。
その際,音楽CDからのリッピング(データの吸い上げ)も何度か試してみ
たが,意外と時間がかかる。データの音量レベルがまちまちだったり,ラ
イブ演奏だと拍手や歓声が途切れたりと,ちゃんとした音楽CDとしてCD-R
に焼こうと思っても,意外とできないか,できても手間がかかるのだ。

 このような経験があったため,音楽CDをパソコンにコピーする自体がと
ても面倒なこと=仕事でもなければとてもやってはいられない(考えてみ
れば不思議な認識だ)ことと,モノグサな筆者の頭には刷り込まれている。
だから,音楽CDからコピーできなくなると言われても,世の中が騒いでい
るのを野次馬として眺めるという心境だった。

 だが,そのパッケージを見たとき,そうしたノンビリした気持ちは吹っ
飛んでいた。パッケージには「パソコンでコピーできません」という強烈
なメッセージが踊っている。筆者はパソコンにコピーするつもりはないの
でCCCDだからといって特に何が変わるというわけではない。だが,このメ
ッセージからは,パソコンにコピーしようとする行為や人が悪であるとい
うだけでなく,そのCDを所有しようとする筆者自身もそうした行為をやり
かねない人間であると決めつけられているような感じが伝わってきた。

 結局,そのCDは買わなかった。このイヤな感じばかりが理由ではないの
かもしれない。だが,やっぱりパソコンではコピーできないというメッセ
ージを見た瞬間,「ならいらない」と平積みされた山に戻してしまったの
である。いらないと思えるCDだったからではないか,と問われればそうな
のかもしれない。でも,CCCDでなければ買っていたはずという気が今でも
する。このように,CCCDであるがために売り逃しているケースは,結構あ
るように思う。

 果たして,買う側に“釈然としない気持ち”を感じさせる商品が,長期
に渡って購入者から支持を得られ続けることができるのだろうか。購入者
に「ああ,いい買い物をした」と思わせることと,著作権をしっかり守る
プロテクトの実現は,けっして両立できないことではないだろう。コピー
・プロテクトは,もっと購入者の目線や感情を意識し,反発なく受け入れ
られるような手法で実施すべきではないだろうか。

 私は著作権を守るべきと考えている。だがそれ以上に,おもしろいコン
テンツを気持ちよく買って,楽しみたいのである。

(仙石 誠=日経バイト)


<“著作権,DRM”関連>
■無力な法律――DVDのコピー防止機能を破るソフトが堂々と市販される (2003/09/01)
■インターネットで海賊版を漁る人たちの心理 (2003/08/25)
■「教員研修でソフト著作権教育」,ACCSがセミナーを全国展開 (2003/06/16)
■セキュリティ法律相談室---著作権 (2003/08/22)
■セキュリティ法律相談室---著作権 (2003/08/08)
■データ利用を制限するDRM,イージーシステムズが普及狙いASPに (2003/04/15)
■米Microsoft,著作権管理技術のベータ版をまもなく公開 (2003/02/25)
■MS vs ソニー,デジタル・メディアを巡り新たな戦い始まる (2003/02/01)
■米マイクロソフト,著作権保護技術を含むCD/DVDコンテンツ作成ツール・キットを発表 (2003/01/21)
■米レコード協会とハイテク業界団体がデジタル・コンテンツの海賊行為対抗で協調 (2003/01/16)

 次へ  前へ

IT1掲示板へ



フォローアップ:


 

 

 

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。