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先月２０日午後、福岡市東区の衣料販売業、松本真二郎さん（４１）一家４人が博多港で他殺体で見つかった事件で、松本さん宅は事件当夜、内側からしか開かないカギが開けられていたことが、１５日までの東署捜査本部の調べで分かった。事件直前には、松本さん宅に不審な中年女が入るのが確認されている。捜査本部では５人以上の犯人グループの中に松本さんの親族か親密な知人がいる疑いが強いとし、ヤミ金融などで金銭トラブルにあった暴力団関係者十数人との接点解明を急ぐ。
【空き巣経験】
問題のカギは松本さん宅玄関に取り付けてある。玄関はサッシの引き戸。内外から施錠できるカギもあるが、このカギは内側専用のものだった。松本さん宅では数年前に空き巣被害にあったことがあり、約十万円の現金が盗まれている。知人によると、この事件をきっかけに取り付けられた可能性があり、松本さんの妻、千加さん（４０）も日ごろから戸締まりには人一倍、気を使っていたという。
【中年女】
これまでの調べで、事件当夜の先月１９日午後１０時半ごろ、高級国産車に乗った大柄な４０−５０歳の女が松本さん宅を訪問。この車は男が運転していたことが目撃されている。午後１１時ごろ、犯行グループが中年女の手引きで、２階で就寝中の長男の海君（１１）、長女のひなちゃん（８）を絞殺。入浴中の千加さんに続き、翌２０日午前１時半すぎに帰宅した松本さんも襲ったとの見方が強い。
【大麻栽培】
松本さんは自宅から約４キロ離れた自分のマンションに行き、大量に栽培していた大麻に水をやって、帰宅していたことがすでに判明している。大麻は水不足になると枯れるため、数日置きに水をやるという松本さんの日常の行動でパターン化していたらしい。犯行グループは松本さんの行動を熟知し、妻子だけが残された自宅をまず襲い、待ち伏せをして帰宅した松本さんを襲ったとみられる。
【入浴のナゾ】
女を招き入れた千加さんがなぜ、その後に入浴したかがナゾである。捜査本部は中年女について、千加さんが風呂に入っている間を待たせても気兼ねしないほど親しい人物だったのではないか−と分析している。「深夜に内カギを開けてまで招き入れた来訪者を風呂で待たせるのは、知人といえども気後れするするはずだ。気の置けない親族なら別だが」（捜査関係者）
現場検証の結果、松本さん宅には、家人とは別の男ものの足跡が３種類以上も残されていた。犯行グループは千加さんの入浴中、子供２人を殺害し、その後に千加さんを襲った可能性がある。
【暴力団ずくめ】
ヤミ金融やフーゾク嬢派遣のデリヘルなど、松本さんの「裏ビジネス」と金銭トラブル、残忍な犯行手口から、捜査本部では暴力団関係者が関与した疑いがあるとみる。もともと松本さんは暴力団とのつながりが深く、父親と父の弟も元暴力団員。千加さんの親族にも元暴力団員がいる。松本さんは、遠縁にあたる暴力団関係者が経営する高利のヤミ金「０９０金融」に約７００万円を融資したが、返済トラブルが起きていた。
昨年、ＢＳＥ狂牛病騒動で、経営する焼肉店が廃業に追い込まれて以降、裏ビジネスに傾斜。ヤミ金融やデリヘルなどの経営では、借金の取り立てを暴力団に依頼したことからトラブルが絶えなかったという。「松本さん夫婦の周辺は暴力団関係者ずくめ。金銭トラブルは日常茶飯事で、交遊関係も複雑すぎる」（捜査関係者）
このほか、衣料品販売会社立ち上げでも借入金約４０００万円をめぐり、譲渡会社の元オーナーともめていたという。
【十数人リストアップ】
手引き役の中年女、事件直後、松本さん宅に入った遺体運搬役の別の女、事件前日に近くの量販店で手錠とダンベルを購入した２０代男。３種類以上の男の足跡。遺体遺棄の際、ひなちゃんを松本さんの背におんぶさせて重りにし、父子３人に手錠とダンベル。千加さんだけは約３０キロの下水道工事用の特殊工具「ストラット」。
捜査本部では、残忍な手口から暴力団関係者との金銭トラブルが事件の引き金になったとみて、松本さん夫婦の周辺にいる十数人の暴力団関係者や知人、親族のリストアップを終えている。そのうえで、事件当日のアリバイや動機の有無などについて、慎重に捜査を進めている。
犯人グループが５人以上とみられる複数犯であることから、捜査本部では暴力団関係者との接点解明を重点に犯人の絞り込みに全力を挙げる。
ZAKZAK 2003/07/15
題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。