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『イラク、イラクゲート、そして治外法権の夢』――トム・エンゲルハート、トム・ディスパッチ編集者
http://www.asyura.com/0306/war36/msg/111.html
投稿者 TUP速報 日時 2003 年 6 月 24 日 12:51:40:DlnF7rlwhj5Xo

[TUP-Bulletin] TUP速報 119 号 03年6 月24日

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ホットな戦争の終結後も継続・拡大するレジスタンスと戦闘、アメリカ本国で
燻るイラクゲート疑惑――ブッシュ政権は内憂外患に悩まされているようだ。
そして、もう一つ見逃せないのが、アメリカが世界に要求する米軍将兵の刑事
訴追免除、すなわち治外法権である。

                         TUP 井上 利男
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トムグラム時評
『イラク、イラクゲート、そして治外法権の夢』
――トム・エンゲルハート、トム・ディスパッチ編集者
2003年6月13日
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今週の車のバンパー・ステッカー(ニューメキシコ州アルバカーキで採録)

『民主主義って何だったのか、ママに聞いてみよう』

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『イラク情勢』

誰か、つい数週間前の大統領の空母着艦、あのトップガンの装い、あの空飛ぶ
『ウイニング・ラン』を憶えておられるだろうか? 『勝利』を憶えておられる
だろうか? どうやら、たった今、交戦状態に逆戻りしたようだ。

低水準の戦争であるには違いないが、つい昨日、アパッチ攻撃ヘリが撃墜され
(公式の戦争で、敵の砲撃によって墜落したヘリは1機のみ)、ジェット戦闘機
が墜落したし、他方では、米軍部隊が敵の野営陣地に対する実際の攻撃に突入
した。スンニ派優勢地域である北イラクでは、米軍部隊が巡回し、ドアを蹴破
り、暗闇に向かって射撃し、非戦闘員に手錠をかけるなど、疑いようもなく、
イラクが被占領国だという濃厚な雰囲気を醸し出していて、おそらく、しかし
ますます組織的になっていく、未知の攻撃集団が登場しつつあるということに
他ならないだろう。

イラクに漂う空気について、メディアチャンネル・サイトに日録ウェブログを
寄せているダニー・シェクターの昨日の書き込みを覗いてみよう――

『センチュリオンRAS(即時警告システム)という名称の身辺警備保障会社が
顧客に次のように警告している。「きわめて確度が高く、具体性もある情報に
よると、連合軍将兵およびバグダッドに滞在する一般西洋人に対する差し迫っ
た大攻撃の危険性が高くなっております。

「クライアントの皆様には、夜間、自室に防弾着およびヘルメットを用意なさ
るようにご忠告いたします。建物からの避難が必要になった場合、落下物およ
び突き出した障害物の危険を避けるために、これら防具の着用が必要になりま
す。ご自身の安全保障意識を高いレベルで保つことが求められており、特にホ
テルの出入りの際には、用もなくメインロビー区域に居続けることのないよう、
ご忠告いたします。

「状況を見ますと、攻撃の頻度は、4件、8件、11件、12件、14件、1
8件と日毎に上昇する傾向にあり、昨日、個別の攻撃が26件という新しい水
準に跳ね上がりました。当初こそ、個別的で、散発的な攻撃に過ぎないと見ら
れておりましたが、今では、組織的に連携をもって攻撃が行われていることが
窺われます。米軍の緊張と警戒が高まっているのは、確かに明白であります」

バグダッドから帰国したばかりのインディペンデント紙のロバート・フィスク
が、デモクラシー・ナウ!のアミー・グッドマンとの対談において、イラクでレ
ジスタンスが高まりつつある様子を迫真的に語っている――

『今度の米軍以上に明白な、解放軍を自称しながら、占領軍になってしまった
実例を他に見たこともありません。憲兵任務を担当した第3歩兵師団に配属さ
れた兵たちのかなりの数の者が、例えばロードアイランド州の警官といったぐ
あいに、ごく普通のアメリカの警察官で、彼らは、これからの成り行きがどう
なるのか、実に抜け目なく見通していました。

『ある兵が私に言いました。自分たちがここの河へ下りて行けば……それはフ
ァルージャを流れるティグリス河支流でしたが……あっちはソマリアのような
有様だ……いつでも、銃弾を食らうし、投石されるのだ。つまり、兵たちをね
らって石を投げるのです。

『ある男が私に言いました――「皆が言うには、今では、夜のバグダッド空港
は狙撃に晒されています。滑走路の周りからイラク人が撃ってくるのです。あ
まりにも度々狙われるので、開けた田園地帯上空を正常な水平姿勢で接近して
くる代わりに、昔のベトナム戦争時代の着陸テクニックに逆戻りして、高空か
らぎりぎりまで錐揉み状態で急降下して滑走路に接地する米軍パイロットもい
ます」

『米軍は、公的には、サダムの残党あるいはテロリストといまだに呼んでいま
す。だが現実には、組織化したレジスタンス集団の明らかな増加が見られ、し
かも彼らは必ずしもサダム軍団の残党でもなく、バース党員あるいはサダム・
フェダイーン(ゲリラ)でもありません』

ところで、占領と『公共事業』の資金の出所について、私が見た限りでは初め
ての優れた分析記事『イラク向け資金、石油生産遅延をよそにを米が調達』を
ロサンジェルス・タイムズのウォーレン・フィート記者がものにした――

『資金の相当部分が、大統領の座を追われたサダム・フセインとその側近の4
0億ドルに達する隠し資産から引き落とされている。凍結海外資産と押収され
た収奪金がそれに当たる。残りは、国際募金団体、『国連食料石油交換プログ
ラム』、それにアメリカの納税者負担に頼って、イラク駐留軍維持費と第一段
階の再建事業立ち上げ資金が賄われることになる。

『議員たちが納税者の負担上限の保証を求めているアメリカ本国では、現時点
までは、ブッシュ政権が資金の流れをなんとか増強しても、国民の怒りに火を
点けずにすんでいる。…』

ところで、石油に浮かぶイラク占領の夢にまつわって、AFP通信がショッキ
ングな情報を伝えている――

『イラク産原油が世界市場への復帰に向かおうとする時に、しかも、占領体制
に敵対する勢力に対して米軍主導で軍事攻勢が展開しているさなかに、破壊活
動があり、パイプラインが燃えていた。トルコを経由する輸出の妨害を意図し
た爆弾攻撃が、地元住民の話によると2ヵ所であり、イラク北部油田地帯から
の幹線パイプラインが炎上した』

次は予想できる類のショックだが、イラク経済の民営化を請け負うアメリカ企
業について考察してみよう。これもAFP通信によれば――

『アメリカ企業10社――ベアリングポイント社、ブーズ・アレン&ハミルト
ン社、ネーサン・アソシエイツ社、IBMグロ−バル・サービス社、ディベロ
プメント・オルタナティブス社、キャラナ・コープ社、アブト・アソシエイツ
社、ケモニクス社、デロイト&トゥーシュ社、フィナンシャル・マーケッツ・
インターナショナル社――が、イラク経済を民有化計画に基づく自由市場体制
に作り直すための入札に応じるように求められた。…… 関連資料によれば、
落札企業は、「税制、財政、為替レート、金融政策、銀行改革を中心に、マク
ロ経済的改革の助言を提供する」ことになる。請負企業は、「また、民間部門開
発、貿易、投資の妨げになる政策、法律、規制の改廃に努める」ことになる。
さらに、企業は、「国営産業・会社を民営化すると共に、民営事業体を設立する
ための計画案策定に助力する」ことになる』

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『イラクゲート』

あぁ、まだイラクゲートがあった。どうか、注目して欲しい。まだ、世間を騒
がしてはいないが、その可能性はある。CIAは、これまでパウエルが国連で
語ってきた嘘半分の弁舌の信頼性を保証してきたが、テネット長官が放った一
撃は、いつか、歴史的なエピソードとして語られるかもしれない。ホワイトハ
ウスが何と主張しようとも、すでにCIAは、ニジェール産ウラニウム情報は
偽造だったというお知らせを広範囲に触れ回ってしまったと明言している。

今週のミネアポリス・スター・トリビューン紙に、(ニューヨーク)タイムズの
本物のスキャンダルについての特集記事が掲載されていて、ジュディス・ミ
ラー、アーメド・チャラビ、ポール・ラムズフェルドの与太話にもなっている。
もちろん、WMDスキャンダルの深層には、まだ解明の手が届いていない。実
際問題として、本当にサダム・フセインが熱心にWMDを備蓄し、実戦使用し
ていた時期に、われわれは彼をあらゆる面で支えていたのであり、この『われ
われ』とは、もちろん抽象的概念ではなく、ドン・ラムズフェルドのレーガン
政権時代の前身とその友人たちなのである。サダム・フセインが同盟国クウ
ェートに軍を差し向けるまでは、われわれは彼の侵略戦争を紛れもなく喜んで
いたのだ。

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『治外法権の夢』

ブッシュ政権は、すでに大西洋両岸の間に流れる水をじゅうぶんに濁らせてし
まっているのに、将来の帝国的な悪行に備え、世界的免罪符を得るために強気
の外交姿勢で押しまくっている。今週、ドン・ラムズフェルドは、ベルギー政
府が、国の内外を問わず、戦争犯罪の訴追を広く認める法律を何とかしない限
り、NATO司令部の本拠地である同国を排斥すると脅迫した。(最近、ベル
ギーで、トミー・フランクス米中央軍前線司令官を被告とするこの種の訴訟が
提起されたばかりである)

一方、アメリカ政府は、国連平和維持軍で活動する米兵の国際刑事裁判所への
訴追の、国連安全保障委員会による免除の1年間延長をに精力的に働きかけ、
勝ち取った。同時に、米政府は、外国で罪を犯した自国民を国際刑事裁判所の
審判に委ねる当該国の権利を放棄する協定を締結するように、貧しい国々に圧
力をかけてきた。ガーディアン紙のイアン・トレイナーの記事『米、戦争犯罪
免責確約に援助カード』を見てみよう――

『米政府は……バルカン諸国に対して、今月の末までに、国際刑事裁判所に関
する二国間協定の合意に達しなければ、1000万単位のドル援助を打ち切る
と脅しをかけた。

『アメリカの外交攻勢は、諾否入り混じった結果を生んでいるが、威圧の矛先
が向けられた国々、とりわけ、ナチス以来最悪の戦争犯罪の舞台になった旧
ユーゴスラビア諸国の敵意と冷笑を買った。……先週、スロベニア共和国がア
メリカの圧力をはねつけ、交渉を中断したが、ボスニアは、7300万ドル規
模の米援助を失うのを怖れ、特別免責協定に署名した』

続けて、ワシントン・ポストの記事『米、戦争犯罪法廷でEUと対立』――

『ブッシュ政権は、アメリカ国民を国際司法裁判所による訴追手続きから守る
アメリカの外交努力を積極的に妨害しているとして、ヨーロッパ連合を非難し、
EUが思いとどまらなければ、大西洋両岸関係は「大きく損なわれる」であろう
と警告した。……

『アメリカは、世界の個々の政府が、2002年7月1日に発足した国際刑事
裁判所にアメリカ国民を引き渡すことを防ぐ協定を求めて、この1年間、懸命
な努力を重ねてきた。これまでに、アメリカは、アフリカ、アジア、南アメリ
カ、東欧の貧しい小国を中心に37ヶ国と特別免責協定に署名した』

ブッシュ政権が、(北朝鮮、イラン、シリアに対する)さらなる攻撃と戦争を考
慮している今、このような備えは、帝国の先見の明ではある。いずれにしろ、
治外法権は帝国の特質なのだ――違うだろうか? (署名)トム

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【原文】
http://www.nationinstitute.org/tomdispatch/index.mhtml?emx=x&pid=750
Iraq, Iraqgate, and dreams of future crimes
By Tom Engelhardt, TomDispatch, the Nation Institute
June 13, 2003
Copyright C 2003 Tom Engelhardt TUP配信許諾済み
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                 抄訳 井上 利男 / TUPスタッフ
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