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イラク「派兵」と日本(毎日新聞)
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投稿者 彗星 日時 2003 年 7 月 11 日 20:22:14:HZN1pv7x5vK0M

[イラク「派兵」と日本]/上 主体性欠いた決断 日米同盟と国際協調に揺れ

 「野球の話をすれば、よく理解されると思ってね」。イラク復興特別措置法案の閣議決定を3日後に控えた6月10日。東京都内で開かれた日米次官級戦略対話で、アーミテージ米国務副長官はこう言って相好を崩した。

 観客席から飛び出し、フィールドで試合すべきだ――。こんな比喩(ひゆ)で自衛隊のイラク派遣を歓迎したアーミテージ氏に、竹内行夫外務事務次官も「ブーツ・オン・ザ・グラウンド(陸上部隊の派遣)より今回の例えはいい方だ」と笑った。

 5月下旬の米クロフォードでの日米首脳会談から2週間あまり。戦略対話の場は、イラクへの自衛隊「派兵」が日米同盟を一層強固にするという高揚感に包まれた。

 小泉純一郎首相は「戦争前から復興に支援すると言ってきた」と、イラク新法制定は既定路線だったかのように説明している。しかし、法案化は国際情勢、国内政局ともからんで迷走した。

 ●新法口外するな

 「新法は口外しないように」。福田康夫官房長官がかん口令を敷いたのは昨年暮れのこと。官邸内には早々と「イラク戦争後」を想定した「新法チーム」が作られていたが、国連がイラク査察に乗り出し、戦争を前提にした日本政府の動きが表面化するのは避けたいという思惑があった。

 新決議が採択され、武力行使に国際的なお墨付きが得られれば新法を堂々と議論できる――。そう踏んでいた政府だが、国連安保理の分裂が決定的となり、決議なしの攻撃が確実になると、新法の追い風と当て込んでいた復興国連決議の行方も不透明になり、新法論議はいったんしぼむ。

 3月の開戦後、ベーカー駐日米大使らを通じて「復興では自衛隊に治安維持に協力を」とする米国政府の要望が伝わり、政府内には逆に警戒心も生まれた。イラク戦争の大義に世論の多くが懐疑的となり、首相官邸では「高いリスクを背負ってまで新法をやる必要があるのか」(政府関係者)という声も漏れた。

 いったん死にかけた新法が息を吹き返すのは、5月に入って国連安保理で復興決議が採択される機運が高まり、国際協調再構築に見通しがついてからだった。「米国のプレッシャーから解放された気分だった」。外務省幹部はため息を漏らした。

 その後も、政府は「沈黙」を守った。終盤国会の焦点だった有事法制審議を前に国会に無用な混乱をきたす恐れや、会期延長を意味するイラク新法をおくびにでも出せば政局に直結しかねない懸念があったためだ。

 イラク新法制定は「日米同盟、国際協調、国内政局という三つの因数がからみ合う、複雑な連立方程式を解くようなものだった」。ある外務官僚はこう振り返った。

 だがそれは、裏返せば日本外交が、イラク戦争の正当性に対する確固たる視点を持たず、戦後のイラク復興にどう主体的に貢献していくかという戦略にも欠けたままだったことを意味する。

 イラク戦争支持で突出した日米同盟の色をいかに薄め、国際協調路線とのバランスをとるか。そんなつじつま合わせの政府の本音がにじむ。

 ●暗黙の了解

 「任せてくれ」「わかった」。5月の日米首脳会談で、小泉首相とブッシュ大統領はこんなやりとりを交わした。イラク「派兵」をめぐる「暗黙の了解」(外務省筋)だったという。国会論議で小泉首相は「国連決議の要請」「平和の定着は国益」と力説したが、決断を左右したのはやはり日米同盟の存在であり、米国との約束だった。

 イラクに限らず、今後の国際紛争処理や破壊された国家の復興支援などに、自衛隊をどう位置づけるのか。揺れた新法論議から、明確な日本の戦略は読み取れない。【及川正也】

 ◇  ◇   

 イラク復興特別措置法案が7日、参院で審議入りした。今国会会期(28日まで)内に成立する見通しだ。海外での「軍事行動」に大きく踏み出すことになる決断に、政府や与党、そして当の自衛隊はどう動いたか。

 (2003年 7月8日毎日新聞朝刊から)


[イラク「派兵」と日本]/中 「危険」覚悟の国際貢献 陸自、生き残りかけ決断
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 「新たな分野にチャレンジする気持ちで取り組んでいく」

 陸上自衛隊を初めて多国籍軍支援に派遣するイラク復興特別措置法案が衆院特別委員会で可決された3日、先崎一・陸上幕僚長は記者会見で力強く語った。

 多国籍軍支援のための陸自派遣は、01年の9・11米同時多発テロを受けテロ対策特措法を制定した時も検討された。しかし、この時は陸自が「危険だ」と猛反発して見送られている。陸自の様変わりの裏に、一体何があったのか。

 ●揺らぐ主役の座

 9・11以降、自衛隊の国際貢献を求める政治的圧力は一層高まった。海外派遣に及び腰だった陸自を尻目に海上自衛隊はアフガニスタンの対テロ作戦に派遣され、存在価値を高めた。防衛庁が導入を目指すミサイル防衛は海上、航空自衛隊に配備予定だ。

 これに対し、冷戦後の今も戦車1000両を持ち、部隊を北海道に重点配備している陸自は「構造改革を拒み、海外派遣もいやなら存在価値はない」(防衛庁幹部)と批判を浴びるようになった。

 新たな防衛大綱策定作業では、国際貢献を防衛出動と並ぶ主要任務に位置づけることも検討されている。「国土防衛の主役」の座さえ揺らぎつつある陸自は、発想の転換を迫られた。「危ないから行けない、なんて言っていたら国民の期待に応えられない。新たな道に進む覚悟を決めた」(陸自幹部)

 定数16万6000人、実員15万6000人。陸自はイラク戦争開始後、防衛大綱の見直し作業にこんな要求を出した。現大綱は陸自定数を18万人から16万人に減らすことを定めている。予算上認められる実員は昨年度末で約14万8000人。要求は大綱の方針転換を迫るものだ。

 陸自は(1)国際貢献(2)テロ・ゲリラ対応(3)災害派遣――という任務多様化の3点を強調する。阪神大震災以降は災害派遣への期待が高まり、テロやゲリラへの治安出動も求められる時代。国際貢献では東ティモールとゴラン高原に国連平和維持活動(PKO)部隊を出しており、イラク派遣となれば人が足りない、という理屈だ。一方、対テロ作戦参加から1年半を過ぎた海自には撤収を検討すべきだとの声もある。国際貢献は部隊に過重な負担も強いる。

 ●「普通の軍隊」

 「無理なことはさせない。隊員が安心して任務を遂行できるよう約束する」。イラク復興特措法案の閣議決定前、防衛庁で開いた内局と陸上幕僚監部の会議の席上、守屋武昌防衛局長は居並ぶ幕僚に力説した。

 法案は自衛隊の派遣先を「非戦闘地域」に限定したが、武器使用基準はPKO協力法と同じ、正当防衛と緊急避難の場合に制約されたままだ。陸自側は国際基準に合わせ、任務遂行のための武器使用を認めるように強く求めていた。

 基準緩和は見送られたものの、内局側は部隊行動基準(ROE)の策定を約束した。自爆テロなど想定される各種場面に応じた武器使用手順。海外派遣を想定した本格的なROEは初めてだ。手順通りに武器を使えば人を殺傷しても罰せられない。ある幕僚は「政治の責任で、いざとなれば迷わず撃っていいということか」と受け止めた。

 武器使用を「普通の軍隊」に近づけることは、犠牲者覚悟のイラク派遣を陸自が受け入れる前提条件だった。危険の伴う国際貢献を政治から求められる中、組織の生き残りを懸けた苦渋の決断でもあった。【宮下正己】

 (2003年7月9日毎日新聞朝刊から)


[イラク「派兵」と日本]/下 巨大パワーに戸惑い 自民党内にも対米批判

 「先に自衛隊派遣ありきという法案を出すのは不見識」(野中広務元幹事長)、「大量破壊兵器処理を法案に明記するのは行き過ぎ」(野呂田芳成元防衛庁長官)

 6月12日の自民党臨時総務会は翌日のイラク復興特別措置法案閣議決定を前に、批判の大合唱となった。同日の堀内派総会では「日米同盟がすべてに優先するのはいかがなものか」(丹羽雄哉元厚相)という発言も飛び出し、中山正暉元建設相が13日の党役員連絡会で「反米的な論調ととられてしまう。慎重な議論をお願いしたい」と苦言を呈したほどだ。

 北朝鮮が攻撃してきたら米国に守ってもらわないといけないのだから、仕方がない――。イラク戦争を支持し、戦後の対米支援に自衛隊派遣を決めた小泉純一郎首相の決断に対する与党内の一般的な評価だ。

 法案批判には、自民党内の「反小泉」勢力による揺さぶりという側面もある。だが同時に、攻撃容認の国連決議なしに戦争へと突き進んだ米国の「単独行動主義」(ユニラテラリズム)に対する警戒感が、自民党内にさえ広がりつつあることを表してもいた。

 衆院当選12回の谷川和穂元法相は「感情的に米国を批判するなんて、これまでの自民党ではあり得なかった」と語る。当選11回の中山氏は「こんなことで、朝鮮半島がいざという時に米国は動いてくれるのか」と懸念を強めた。日米同盟を絶対視してきた自民党の変質に、ベテラン議員らも戸惑いを隠せない。

 ●自主防衛論も

 「米政府の中に1、2個なら北朝鮮の核保有を容認してもいいという考え方がある。こうした考え方は絶対に許さない、というメッセージを出さないといけない」

 6月23日、自民党の山本一太参院議員は「新世紀の安全保障体制を確立する若手議員の会」の会合で繰り返し訴えた。同会は自民、公明、民主、自由など超党派の議員で構成する組織だ。

 日米同盟は永久不変ではない、集団的自衛権の行使による同盟強化が必要だ、という考え方は、若手もベテランもなく共通している。ただ、若手は「米国が動かない場合も考えて日本は巡航ミサイル・トマホークを持つべきだ」と、自主防衛路線へと一歩踏み出すような議論も辞さない。従来の安保論議の枠にとらわれず、唯一の巨大パワー・米国とどう付き合うかを考えよう――。若い世代ほどドライだ。

 ●細る「人脈」

 超党派の安全保障関係議員団が毎年、大型連休にワシントンを訪れる。額賀福志郎元防衛庁長官を団長とする今年の訪米団(自民、公明、民主各1人、保守新2人)を迎えたのは、米国からのミサイル防衛システム売り込み攻勢だった。

 ミサイル防衛庁や軍需産業を訪問する日程が連日組まれ「イラク戦争での迎撃は百発百中だった」などのレクチャーが繰り返された。アーミテージ国務副長官は日本のイラク戦争支持に謝意を示しつつ「集団的自衛権の制約を外してほしい」と、さらなる軍事協力に期待感を示した。

 同盟の「踏み絵」を次々と迫ってくる米国。日米同盟強化は、軍事面では着々と進んでいるように見える。だが、来日したウルフォウィッツ米国防副長官は6月2日夜、東京都内の米大使公邸でひそかに会った福田康夫官房長官に「日米の人脈が細ってきているのが心配だ」と切り出した。福田氏も「同感だ。何とかしたい」と応じた。

 小泉首相とブッシュ大統領の「蜜月」が目立つ陰で、信頼関係をつなぐ知日派・知米派のパイプが小さくなりつつある現実を、イラク戦争は浮き彫りにしている。【平田崇浩】

 (2003年7月10日毎日新聞朝刊から)


http://www.mainichi.co.jp/news/article/200307/08m/094.html
http://www.mainichi.co.jp/news/article/200307/09m/101.html
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