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災害救助現場や戦場で使えない? 無線システムの現状 Wired News
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投稿者 エンセン 日時 2003 年 9 月 22 日 05:16:20:ieVyGVASbNhvI

 
災害救助現場や戦場で使えない? 無線システムの現状
Michelle Delio


2003年9月11日 2:00am PT  2001年9月11日午前9時27分(米東部夏時間)、ニューヨーク市の消防副署長、ジョセフ・カラン氏は、世界貿易センター(WTCビル)の北棟が震えているのを感じた。その瞬間、110階建てのビルが崩れ落ちようとしていることがわかったとカラン氏は後になって述べている。

 9時32分にカラン氏は無線で伝えた。「第1ビル(北棟)にいる全部隊とも脱出せよ。全員、玄関ホールへ下りろ」

 北棟には数百人もの消防士がいたにもかかわらず、返答はわずかだった。カラン氏は再度命令を繰り返したが、やがて、ニューヨーク市消防士が携帯している無線がまたもや機能していないことがはっきりとしてきた。

 ニューヨーク市消防局の無線機は、1993年に起きた世界貿易センター爆破事件の際、ツインタワーの内部では機能しなかった。ニューヨークに林立する高層ビルの内部ではどこでもほとんど使えなかったのだ。今年8月に起きた大停電でのニューヨーク市の緊急通信システムに関する最近の調査によると、このときも警察や消防の無線機能は、急を要する場面や高層ビルの内部では信頼できなかったとされている。

 同じような通信の問題――他の信号によるノイズの中ではっきり聞き取れる周波数を見つけられない無線機や、使用する相手との間に互換性のない無線システムなど――は、今年のイラク戦争中の軍隊をも悩ませた。米海軍研究局(ONR)が開発中の新しい完全デジタル式無線受信技術は、これらの問題を解決しようとするものだ。

 ONRの電子機器部門でプログラムを担当する、デボラ・バン・ベクテン氏によると、ONRが開発中の新型デジタル無線受信機は、これだけで米軍のすべての無線システムと通信できるうえ、交信能力も大きくなるという。

 イラクに配置された米海兵隊は、使用すべきものとされた通信装置の多さに当惑してしまった(日本語版記事)とバン・ベクテン氏は語る。

 「海兵隊が挙げている事例はいろいろあるが、たとえば、部隊がある無線システムを使って相手側の無線機に通信が受信されたことを確認しようとすると、相手部隊では、ちょうどそのシステムの受信機を脇にどけて、問い合わせのあったデジタル写真の受信を別の無線システムでモニターしはじめたところだったというようなことが頻繁にあったのだ」

 デジタル受信機は、米軍全体で利用する共通無線システムを開発するために米国国防省が進めている『共同戦術無線システム』(JTRS)プログラムの一環となるものだ。

 現在の各種無線システムは相互の互換性がなく、他のシステムと通信するには高価な機器の交換が必要となる。

 JTRSシステムではソフトウェア制御による無線機を利用するため、複数のミッションに対して容易にカスタマイズできる。ソフトウェアの変更やアップグレードは、デジタルカメラに使われるスマート・メディア・カードに似たカード式のモジュールを挿入して行なう。新型無線機は旧型のシステムにも統合できるとバン・ベクテン氏は語る。

 この新型無線機は、多機能に使えるアンテナを作成するという目的に向けた軍隊の包括的な取り組みの一環だ。たとえば、レーダー用と通信用の送信を少ない数のアンテナで処理し、各システムにそれぞれ専用のアンテナを立てる必要をなくす取り組みなどが行なわれている。こういった多機能アンテナは、敵のレーダーや兵器の検知や妨害、誤作動の誘発などといった電子戦争のシステムを統合するものだ。

 ONRの監視・通信および電子戦部門の責任者を務めるジョー・ローレンス氏によると、現在、海軍の船舶にはさまざまな機能を行なうために膨大な数のアンテナを別々に搭載する必要があり、船が「アンテナ林」になりつつあるという(写真)。

 絶えずアンテナを増やす必要があることから、重量の追加に耐えられるように船の設計を変更することも必要になっているとローレンス氏は指摘する。

 米海軍宇宙技術センターのデビッド・デリュー氏によると、軍の開発によるデジタル通信技術は、民間の緊急救出サービスでも確固たる評価を得ており、互換性のない通信システムによって発生する問題の排除にとりわけ役立っているという。

 9月11日の通信障害の多くは、互換性がなく機能不足だったことが原因だ。警察の無線は十分に機能していた。だが警察には、消防士たちに無線を使って情報を伝える方法がなかった。組織間で相手の無線システムを受信できるようになっていなかったからだ。

 南棟が崩壊した直後、北棟の状況を調べるために警察のヘリコプターが北棟上空を飛んでいた。このときの通信を記録したテープは2002年に発表されたが、その中で1機のヘリコプターのパイロットは、北棟の状況について次のように報告していた。「屋上から15階ほど下のフロアが真っ赤に輝いて見える……崩壊する……。間違いない」

 10時9分には別のパイロットが言った。「もう時間がない、北棟一帯から全員避難させろ」

 この情報は、ビルが崩壊する21分前に北棟にいた警官たちに伝えられた。警官たちがこの警告を受信し、多くがかろうじて脱出したことは、公式な報告書によって示されている。

 しかしコンサルティング企業のマッキンゼー・アンド・カンパニー社と『ニューヨーク・タイムズ』紙が別個に行なった2つの分析によると、早く脱出していれば助かった可能性がある消防士121人が、北棟の崩壊で命を落としたという。

 犠牲者の保障訴訟の多くに関わったマンハッタンの弁護士、エドワード・ヘイズ氏は次のように述べている。「9月11日には警官と消防士が協力して作業をすることができなかった。要するに両者は連絡を取れなかったのだ」

 「9月11日は純然たる、揺るぎない勇気というものが示された素晴らしい例なのだから、こんな言い方はしたくない。だがあの出来事は、技術と組織が引き起こした惨事でもあったのだ」

 市議会に提出された報告書によると、消防局で使用されている無線は、現在なお、高層ビルにおける通信の信頼性が低いという。現場責任者たちは高層ビルの玄関ホールに指令本部を設置してその電話番号を消防士に伝え、消防士は携帯電話を使って連絡することが多いというのだ。

 1993年に起きた世界貿易センター爆破事件では、爆弾が地下に開けた煙のくすぶる穴の消火作業にあたるビル内部の消防士に、外にいる隊長からの指令を伝えるためには、仲間の消防士が自ら伝達係になって中に入らざるを得なかった。

 ニューヨーク市長執務室によると、市の緊急時対応職員への新しい通信システムは、2004年前半に設置される予定だという。軍用に開発されたものを含めた各技術の試験プログラムやテストの結果は、まだ評価段階にある。

 弁護士のヘイズ氏は「きちんと機能する通信システムがいまだに設置されていないというのは信じ難い。警官や消防士たちが必要とするものを与える必要がある……今すぐに」と語った。


[日本語版:平井眞弓/高森郁哉]
 
http://www.hotwired.co.jp/news/news/technology/story/20030917304.html

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