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Re: イラク日本人外交官殺害事件に思う [日本戦略研究所] 【予想通りの見解・・・】 
http://www.asyura2.com/0311/bd31/msg/982.html
投稿者 なるほど 日時 2003 年 12 月 09 日 08:27:48:dfhdU2/i2Qkk2

(回答先: イラク日本人外交官殺害事件に思う [日本戦略研究所] 【予想通りの見解・・・】  投稿者 なるほど 日時 2003 年 12 月 04 日 05:44:32)

「新聞批判」第6号=2003年12月3日(水)
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 筆者・発行者=田中 良太
 メールアドレス=gebata@nifty.com
 URL=http://www.gebata.com/
 [敬称・呼称略]
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 ◆外交官2人死亡事件=21世紀版軍国美談の垂れ流し
******************************************************
 日本の外交官2人がイラクで襲撃され、死亡した。その一人、奥克彦参事官
は外務省のホームページで「イラク便り」を連載していた。日本の外交官は、
「発言しないこと」(silent)が特徴だとされるが、異色の熱血漢であったら
しい。
 毎日2日付朝刊「発信箱」で政治部の与良正男が以下のように書いている。
 <イラクで殺害された奥克彦さんが外務省国連政策課長だったころ、何度か
話をしたことがある。
 クールなタイプが多い外務省の中で、奥さんは、なぜ国連改革と日本の常任
理事国入りが国益にかなうのか熱っぽく説き、時に交渉の裏話も明かしてくれ
るような人だった。仕事に自信と誇りを持っていた。
 外務省ホームページに掲載した彼の「イラク便り」を昨日読んだ。
 テロの犠牲になった知人の国連職員の名刺を拾った彼は、その名刺が「『何
をためらっているんだ』と語りかけてくる」と自らを鼓舞し、「犠牲になった
尊い命から汲(く)み取るべきは、テロとの闘いに屈しないという強い決意で
は」と書いた。
 涙がこみ上げてきた。
 だが一方で、「ためらうな」の言葉が、「彼の遺志だ」という形で、自衛隊早
期派遣の理由づけに体よく利用されないか、とも私は危惧(きぐ)する。
 今回明白になったのは「非戦闘地域に自衛隊を派遣するのだから安全」とい
う政府の説明が事実上破たんしたことだ。むしろ、小泉純一郎首相がすべきこ
とは、「危険は承知」と正直に語ることだろう。そして「それでも自衛隊を派
遣することが国益にかない、イラク国民も歓迎する」ときちんと説明ができる
かどうか。できなければ計画を練り直すほかない。
 奥さんは「テロは世界のどこでも起こりうるものです。テロリストの放逐は
我々全員の課題なのです」とも書いている。
 私たち国民は今、感情的な論議に陥るのを努めて抑えようとしている。首相
もまず、国民と現実を共有する努力を。でないと、「次」には到底進めない。

 いま政治の焦点となっている自衛隊のイラク派遣に反対する論理としてはこ
れで十分かもしれない。しかし「テロリストの放逐は我々全員の課題だ」とい
う奥の論理は、あまりに率直なブッシュ路線の肯定である。テロの拠点である、
アフガニスタンやイラクを攻撃するのは当然ということになる。
 テロの問題を考えるとき、まず第1に、現代社会は制度の支配の下にあるこ
とを認識しなければならない。フランス革命やロシア革命は、国王を殺害する
ことによって成立した。そのころの国王にあたるものが、いま制度なのである。
「革命勢力」が、制度の総本山を撃とうとすることは、一定の正当性を持つ。
 グローバル化した国際経済の総本山・WTC(「世界貿易センター」が誤訳
であることは、過去何回か書いた)ビルが9・11で撃たれたのは、地下鉄サ
リン事件のような無差別攻撃ではない。サミット(主要先進国首脳会議)やW
TO(世界貿易機関)の総会が欧米で開かれるとき、必ずといっていいほど大
規模なデモ隊が会場を包囲するようになった。アンチ・グローバル化勢力の行
動であることはいうまでもない。その延長線上に9・11のWTC攻撃があっ
たのである。
 政治的な目標を、投票で達成できると考える議会制民主主義の権化みたいな
人はいる。街頭行動が必要と考える直接民主主義者もいる。より過激に、どん
な「支配」でも、それを終焉させるには、その「司令塔」を物理的に破壊しな
ければ不可能だと考える人もいる。
 いま世界を支配しているのは「グローバル経済」という制度だから、その本
拠地であるWTCを撃ったのは、フランス革命・ロシア革命で、王や皇帝を殺
害したのと同じことである。
 WTCで働いていた日本人やその家族には、どうやらほとんど加害者意識は
ないらしい。しかし彼らが各国通貨や証券を売買して、一瞬のうちに何億ドル
も稼ぎ出す(ことが可能だ)という制度が、じっさいにモノを生産する、農民
や町工場の経営者・従業員を苦境に陥れていることはまぎれもない事実なので
ある。
 問題はそれだけではない。9・11がテロであったとしても、ブッシュはそ
れを敢行したテロリストたちを「戦争の相手」に格上げしてしまった。もはや
アルカイダは、米国と対等に戦っている疑似国家なのである。
 戦争は、勝つか負けるかしかない。勝つためには何ごとも許容される。「国
家」であったなら、生物・化学兵器の使用など、非人道的な行為を禁じる国際
条約を批准しているかもしれない。しかしテロ集団に、そのような制約はない。
9・11から始まった戦争だけに、テロの現場こそ、アルカイダ等にとっての
戦場なのである。
 唯一のスーパーパワーのトップとなったブッシュは、国際社会を動かすのは
軍事力だと考えているらしい。だからアフガン戦争、イラク戦争を仕掛けた。
とくにイラク戦争について、先制攻撃(国際法上の概念でいえば武力行使によ
る侵略にほかならない)の正当性を構築することを軽視していた。
 むき出しの軍事力によって世界を制覇しようとしているブッシュが、むき出
しのテロ的行為(それが戦闘の一環なのであるから、「テロ」と呼ぶのは不適
切である)によって報復を受けるのは当然のことにすぎない。
 日本の小泉純一郎政権は、ブッシュ全面支持である。小泉政権の下で、米国
のイラク統治に協力していたのが奥、井ノ上ら日本の外交官である。イラク人
ゲリラに狙われて当然であろう。戦地では「中立」を貫くことなどできない。
赤十字の旗がなければ、どちらかの陣営に属する以外ないのである。奥、井ノ
上に「イラクは戦地」という認識がなかったとすれば、外交官としての現実感
覚に欠けるものだと言わざるをえない。
 奥はもちろん、「復興支援と人道援助」のために活動していたと自己主張し
ていたのだろう。しかし現実は全く違う。奥と井ノ上は戦地にいたのであり、
戦争の一方の当事者であるブッシュの側に立った「戦士」だったのである。当
然ながら他方の当事者、イラク人ゲリラの側にとっては、攻撃の対象でしかな
い。
 「イラク便り」できれいごとを書き、日本国民に訴えるのも、外務省の優等
生として必要なことかもしれない。しかし自分の活動している任地は、きれい
ごとですますことのできない戦場であるという冷徹な認識を持つことは、外交
官としての「基礎」にすぎない。自分の書くきれいごとに自らだまされ、その
心の隙が死に直結したとすれば、悲劇なのか喜劇なのか疑わしいという気持ち
になる。
 高校時代ラグビー選手だったという奥と対照的な外交官が、前レバノン大使
の天木直人(56)だろう。開戦の前後、公電で「イラク戦争反対」の意見を
送り、8月末に事実上「解雇」された人物である。
 天木は「週刊朝日」10月17日号のインタビューで「小泉首相と外務省は国
を売った」と、ブッシュ全面支持路線を批判している。その中で天木は
 <お役人というのはポストがすべてだから人事に弱い。その人事権は首相以
下、各省の大臣が握っているから、官僚は政治家に逆らえない。政府の政策に
異を唱えれば出世を棒に振ることになる(中略)。
 中身の薄い構造改革を絶叫し続けるだけの小泉首相は政治と国民をなめてい
ます。国民に圧倒的な人気があり、自民党総裁再選の勢いを足がかりに、総選
挙に打って出ます。私は、その首相の外交政策に唯々諾々と従うだけの外務省
と外務官僚に絶望感を抱いています。>
 と外務省の体質を批判している。
 天木と私は多少の面識があるが、根っからの平和憲法信奉者である。アフリ
カ2課(南ア担当)の課長時代、アパルトヘイト政策をとり続けていた当時の
南アに対して「日本は経済制裁をすべきだ」と主張し続けた。発想そのものが
外務省の本流とほど遠いので、人事では冷遇され続けた。レバノン大使の辞令
をもらった後も、「準大使」扱いだったという。大使の月給は、最低でも10
2万円だが、天木の場合は80万円。「物言えば唇寒し」の典型のような生き
方をしたのが天木だろう。
 死んだ奥は、天木のいう「首相の外交政策に唯々諾々と従うだけの外務官僚」
の典型だったのではないか。外交政策のあり方を自分で考えることこそ外交官
の使命だと考えた天木という実例がありながら、奥は思考放棄状態で、ブッシ
ュ=小泉枢軸に忠実な行動をとり続けた。その死は「当然」と言い切る勇気こ
そ、いま必要なのである。
 それなのに「二人の夢は凶弾によって無残に奪われた」(2日付毎日朝刊「余
録」)といった書き方は、あまりに情緒的にすぎる。軍国美談を流し続けた日
中15年戦争期の新聞を笑えないだろう。
 新聞が意味ある存在であろうとするなら、天木を紙面に登場させ、「小泉と
外務省の無思考外交が奥と井ノ上を殺した」といったことを語らせたらいいの
ではないか? 私が新聞社の編集局にいたなら、そういう紙面作りを提案する。
 あまり注意深く読んでいるわけではないが、2人の死亡事件以後、天木が登
場している記事は、「朝日」12月1日付朝刊2社面の
 <貢献で犠牲、現実に 自衛隊員「ショック」 イラクで外交官殺害>
 という記事だけだ。しかも天木の関連部分は、
 <8月までレバノン大使を務め、イラク戦争に反対する公電をきっかけに外
務省を退職した天木直人さん(56)は、レバノン大使館から貸し出されてい
て今回襲撃を受けた四輪駆動車をよく使っていた。「重宝され、在任中もイラ
クへしばしば貸し出されていた」と話した上で、「警備要員などの面で機動的
に対応するべきだ」とも語り、護衛の必要性を説いた。>
 というだけなのである。
 天木にこんな話をさせるだけというのは、大変失礼なことだということに朝
日の記者は気づいているのだろうか。あまりにばかばかしすぎる報道である。

http://www.melma.com/mag/86/m00053086/
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★関連

「読売新聞社」と「産経新聞社」は主権国家の尊厳を投げ捨て国民(自衛隊員)を人身御供に差し出せと叫ぶ“アカ新聞社”
http://www.asyura2.com/0311/war44/msg/150.html

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