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質問への簡単な回答です
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投稿者 あっしら 日時 2003 年 10 月 21 日 18:54:50:Mo7ApAlflbQ6s

(回答先: あっしらさんへ 投稿者 イラクの子供はもうパレスチナの子供のように米に投石 日時 2003 年 10 月 21 日 12:27:23)


「イラクの子供はもうパレスチナの子供のように米に投石」さん、レスありがとうございます。

Q1:プロバガンダを語るなら、日本の旧体制よりもサダムのほうが勝るのでは…
 (日本の国体論や皇国史観は具体的にどう国民に受け入れられていたまたは浸透してい  たのでしょうか.イラクのバース党はシーア派含めた全ての国家公務員を強制的にバ  アス党党員に名簿登録させていましたが…)


A1:学校教育で素養は培われていたとはいえ、日本で国体論や皇国史観が声高に叫ばれそれが国民多数派の心を捉えたのは満州事変以降だと考えています。(対外領土や対外支配(指導力)の拡張の大義や支えとして)
それが国家総動員体制というかたちまで結実した契機はシナ事変です。

イラク・フセイン政権と戦前日本のプロパガンダ(価値観及び政策の浸透)の優劣比較ですが、イスラムという別の価値観体系が基底としてあるイラクのほうが汎アラブ&社会主義のバース党的価値観は浸透しにくかったはずです。
(日本の多数派が属していた農村共同体の価値観や規定は生活の中で自然に培われるもので、啓示宗教や近代イデオロギーのような理論体系にはなっていないため、国家社会が変容するなかで支配層に打ち出される理論体系に対抗する力はそれほど強くありません)

バース党的考えは、価値観というより、宗派や民族が異なるイラクの統合性維持=接着剤のための政策として受け入れた側面が強いと思っています。

全部の国家公務員を強制的にバース党員にしたというより、幹部をバース党員にしたとか、幹部としてバース党員を重用したというものです。国会議員にも、非バース党員が少なからず当選していました。

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Q2:刀狩令から現在まで日本人は個人用としての武器を一切禁止されているのでしょうか.

A2:徳川幕藩体制は支配層自体が軽武装志向で、帯刀も象徴的意味合いが強いものでした。(有力な町民が帯刀を許されたのもその現われだと思っています)
農機具や台所用品には武器となりうるものがありますから、刀狩令は、農村共同体の意識的な軍備(武装)をやめさせるものであり、兵農分離にその本質があると考えています。
今でも非合法の武器を保有する人たちはいるわけで、戦前も、革命家浪人などはピストルを携帯していたようです。(中国革命に参加して戦った人たちもけっこういます)

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Q3:何故アメリカは天皇制及び官僚組織を存続させたのですか.(そして何故財閥組織や華族制度を否定したのですか.)


Q4:天皇制及び官僚組織を存続させたのは、スムーズな占領支配と長期的な囲い込み(従属)を達成するためで、天皇制及び官僚組織は、米国が築こうとした戦後世界構造にとって別に敵対するものではないという判断があったからだと思っています。
要は米英に逆らって対外拡張を行うための支えとなる価値観さえ払拭すればいいという合理的な考えです。
(英国・オランダそして北欧を見ればわかるように立憲君主制は「近代」と背反するものではありません。また、官僚組織は、どこの近代国家も重要な位置を占めています。フランスや英国は官僚国家の典型です)


財閥組織の解体は、財閥が通商産業で強大な対抗力になることを押さえるためだと思っています。(米国は財閥国家ですから、それはよく理解できていたはずです)
財閥解体は、良し悪しの判断は別として、経済活動に対する官僚統制の強化や官僚に差配された銀行の産業統御を強めることになりました。

華族制度の否定は、GHQ初期の主流であったニューディール派(中道左派リベラル)の価値観の反映であり、華族制度の解体が“反乱”につながることはないという判断があったからだと思っています。

戦後高度成長に大きく寄与した占領政策は、いわゆる農地解放とシャウプ税制だと思っています。

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Q4:師団や連隊レベルの反乱とはどこに向けられどの程度の規模・期間だったのですか.
A4:実際にあったということではなく、天皇制廃絶の占領政策あったとしたら、国体護持意識が強い指揮官が個別部隊を率いて抵抗したかもしれないというもので、それもあまりリアルティはないと説明をしています。

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Q5:GHQの政策が一般国民に対して非道でなかったとおっしゃられていますが、個人レベルでの兵士の態度はどうだったのでしょうか.現在でも問題が起きていますレイプですとか… イラクでも市民の家に押し入ってお金をそのままネコババしてしまったり…


A5:レイプや横暴な振る舞いはありました。支配層も、レイプの頻発を防止するために“挺身隊”をつくることを企図したくらいです。


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Q6:岸信介は2つの原爆後にどうやって「米国は寛大」と言えたものでしょう.


A5:岸信介氏に訊ねるしかない問いですが...
大蔵省革新官僚として満州国育成や開戦時商工大臣だった岸氏は、自らが支配層(指導層)に対する占領軍の処罰をもって寛大さを感じ入ったに過ぎません。
支配層が一般国民の犠牲を真摯に考える志向を持っていたら、開戦そのものや昭和20年8月まで戦争を長引かせることはなかったとも言えます。

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Q7:1932から45年の治安維持法では何が禁じられたのですか.言論?そういえば今ある創価の青年から借りている本に、戸田(先生)の監獄についてよく池田大作氏が語られておりますが、神道以外の宗教の禁止などがあったのでしょうか。(話題が異なりますが、創価学会の日本における実態とその役割、そしてその未来に付いてあっしらさんのご意見をお聞き致したい.私は題名で読む本を決めるのですが池田氏と外国の云々氏の会談禄を読む機会があり本から池田氏はなんと平和的で素晴らしい人物だという印象を持っておりましたので阿修羅さんのクリックで被害の会のサイトを目に通したときは驚きました.池田大作氏とは誰か.諸外国からいろいろな名誉ある地位を与えられておりますが…)


A7:治安維持法は1925年に制定されたものです。治安維持法は、「国体の変革」や「私有財産制度の否認」を目的とした結社の組織・加入・扇動・財政援助を罰するものですから、それに抵触しない範囲であれば、宗教や思想が取り締まられることはありません。
ただ、対米戦時体制に入ってからは、治安維持法を超えた言動に対する弾圧が横行します。
記憶は定かではありませんが、創価学会の初代会長である戸田氏が刑務所に入れられたのは戦時中のことで、そのときの指導体制では戦争に勝てないという言動をしたからだと覚えています。(日蓮正宗ないし創価学会そのものの教義を弾圧したわけではありません)
戦後首相となった吉田茂氏も、「この戦争は負ける」と発言したことで刑務所にぶち込まれています。

「創価学会の日本における実態とその役割、そしてその未来に付いて」は語るほどのものはありませんが、池田大作氏一派に対して快く思っていません。
池田氏の著作を読んだことはありますが、薬にも毒にもならない当たり前の内容で心惹かれるものではありませんでした。
日蓮の教えを信仰を基礎に広宣流布を達成し国立戒壇を実現しようとしている人は、外国から勲章や名誉職をもらうことで自己の権威や尊大性を強化するようなことはやめるべきです。(お金をばらまいてということはことさら言いません)

法華経にも心惹かれるものはありませんが、石原莞爾氏(国柱会)・井上日召氏(血盟団)・宮沢賢治氏(国柱会)・北一輝氏といった戦前の思想家が法華経及び日蓮の教えを信仰していたことで、日蓮の教義には関心を持っています。
(戦後の宗教団体で活発で能動的なところは法華経及び日蓮に連なるところですからね)

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Q8:反フセインの動きは反近代化=イスラム擁護とありますが、近代云々より人権問題であったと思います.クルドの問題も宗教とは一線を画しますし…(クルドもシーアも、人権団体などの報告と比べ物にならないくらいの死者を主張していますが、実態はどのくらいサダムに消されたのでしょうか.)


A8:フセイン問題を人権問題及び大量破壊兵器問題に収斂させたのは、イラク国民ではなく、米英を中心とするいわゆる西側諸国家や国際人権組織です。
(人権問題を取り上げるなら、イラクよりもサウジアラビアのほうが問題ですし、現状の米国はそれらを超えた人権問題を現出させています)

クルド人は根強い独立志向があり、それは、フセイン政権に限らず、誰がイラクの統治者であってもぶつかったはずですし、イラク中央政府は誰であれ、クルドの独立に向けた活動は弾圧したと予測します。フセイン政権は、イラク統合を絶対視したとはいえ、クルド問題ではけっこうまともな政策を採ったと思っています。
(イラクの国境線を引いたのは英国やフランスであり、英国は北アイルランドの独立運動を今なお武力で弾圧しています)

シーア派の反フセイン政権の根っこは、反近代化=イスラム擁護だと思っています。
シーア派内部が中央政府としてのフセイン容認派と否認派で対立しており、多数派は、中央政府の介入が限度内であれば、気に入らないフセイン政権もひとまず認めるというものです。
湾岸戦争後の経済制裁による困窮も、湾岸戦争後の反フセイン運動が米国に見捨てられたことと相俟って、フセイン政権の責任というより、米英の暴虐と受け止められていました。

フセイン政権によって政治的・宗教的事由で殺戮された数はわかりません。
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Q9:(阿修羅さんのどこかで目にして妙に納得したのが「スパイとして送り込まれた者   は組織内で一番過激となりやすい(ばれないため)」。その思考法で行くと…)
 殉教者サドル師の息子、ムクタダ・サドル師は強い反米路線を打ち出し、シスタニ師
 支持者の人たちと撃ち合いになったという事件までおきましたね(サドル師本人は誰か がシーア派同士を争わせるために仕組んだことだと発表しました).サダムに勇気をも って発言しつづけ殺された父親を持つ息子ですから正義感も人一番強く反米路線を強く 打ち出すことは必至のことだとは思いますが、彼に上の思考法が当てはまると思われま すか.鋭い視察力をお持ちのあっしらさんのご意見を是非お聞き致したい.


A9:サドル氏には「スパイとして送り込まれた者は組織内で一番過激となりやすい」という匂いを感じていません。

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Q10:(学生運動について…)何故占領軍は共産主義開放政策を実施したのですか.反共なのに…


A11:GHQ民生局の主流であったニューディール派の意向もあったのでしょうが、日本が価値観的に統合されて強力な国家になることを防ぐという目的もあったと考えています。(また、平和主義を掲げる政党がそれなりの力をもって存在することは、米国が危惧していた再軍備を抑制してくれます)

対立と分裂を持ち込むことで、支配がスムーズにできるようになります。

戦後90年までの対米従属政策が、反共(ソ連に擁護された革命の阻止)を建前に継続されたことを考えれば、共産主義開放政策の効果は大です。
国民が一致した価値観で統合されていれば、対米従属という国家の在り方が問題視されたはずです。危機意識も、目に見える異様な政治集団が存在することで醸成されるものです。

もちろん、それなりに成功を続ける近代国家で共産党が政権を採ることはないという見通しや、そのような動きが現実化しそうになれば、なんやかんやと理屈を付けて駐留米軍を出動させることも考えていたでしょう。

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