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実は武士階層内部がさらに3階層に別れ、武士階層間で激しい差別構造があった。美意識を理由としては武士階層を弁護できない。
http://www.asyura2.com/0311/dispute15/msg/387.html
投稿者 4958 日時 2003 年 11 月 05 日 02:46:12:qN5rUjyhBZCOk

朝日新聞10月31日付け日本史研究者の磯田道史氏(慶応・宇都宮大で非常勤講師)が「一様でなかった武士身分」というタイトルの論文を寄稿している。彼は著書「武士の家計簿」(新潮社)でヒットを放ち、この9月、東大出版会から「近世大名家臣団の社会構造」を上梓。日本各地の生の古文書を読み説いてきた。彼の今回の論文の論旨を以下にまとめた。

1 戦後、江戸期庶民(商家・農民)の研究は進んだが、意外なことに、今日まで武士については謎だらけで来た。
2 武士身分というのは「かなり空虚なものであることが分かった。」
3 武士クラスはさらに三クラスからなっていた。
この「武士身分の中にこそすさまじい差別構造があった」。またそれぞれの階級ごとに生活スタイルは大きい違いがあった。


a エリート武士:侍(士分)クラス=家老・番頭・物頭・平士=(袴がはける。私服勤務)(結婚は20歳代前半で子沢山で長寿)(家督相続なのでボンクラでかまわない。)

b 非エリート武士:徒士(かち)クラス=(袴がはける。私服勤務)(結婚は30前後で子が少ない。貧困であるため)(事務員仕事なので、相続の際に、読み書きソロバンの能力が要求された。)

c 最下層武士:足軽とそれ以下の奉公人クラス=(袴も足袋も許されない。外出は裸足が強制された。制服勤務)(百姓・町人から「も」採用されたが、a,bクラスに昇進はほとんどできなかった。)(農村に住み、牛馬を飼い、農業をするのが普通であり、兵農分離という実態ではなかった。)

a,bはcに対し土下座をさせるのは当たり前だった。熊本藩などではa,bは威光が強く、cを「切り捨て御免」する法令をもっていた。

4 近代革命
欧州=被支配者が支配身分を打倒
日本(明治維新)=支配身分内の潜在的対立(これが日本史の流れを左右したというのが磯田氏の見方)

5 現代日本の組織文化と江戸の藩組織と通底すること

ア エリートと非エリートの差の待遇が大きい。非エリートの出世は「鉄の天井」が容易されている。現代でも国家公務員のキャリアとノンキャリアの壁は強固
イ 現代社会でも総合職は私服、一般職は制服。


3 江戸初期は藩主や家老会議が物事を決めていたが、時代が下ると、藩主は家老会議に出席せず、決定実務は家老会議(最高意思決定機関)が担っており、しかしそれも形式化した。藩主は象徴にしかすぎなかった。「おぼっちゃん家老」が下から来る案件書類にひたすら判子を押すだけとなった。有能な非エリート武士が毎日毎日規則・慣例にしたがって膨大な書類を製作し、それを上(「何もしない空っぽの頂上会議」)にあげた。(「膨大な無駄書類がまるで真空ポンプに吸われるように、猛烈に上がっていく。」)(「藩がどうなるかは自分の仕事ではない。それはエリートの仕事。今日提出する書類が大事だよ」ーそんな感じで、つつましく暮らしを守っている。これが私(磯田氏)に見えてきた「藩」組織の姿だ。)


「藩も武士もなくなった現代だが、こういう組織文化は現代の我々の政府,我々の社会,我々の学校に受け継がれていないか。」

このような形で論文は結ばれている。

日本風俗図会集から大名行列の絵が引かれているが、たしかにcクラスは裸足だ。時代劇を見ることがあったら、cクラスである足軽の足を見て欲しい。もし、わらじなどを履いていたとすると、時代考証がまちがっていることになる。足軽以下は裸足だったのだ。

注目すべき指摘のひとつは日本の近代革命の本質が、支配者層内の対立が主力となっていたという点。また、現代の組織文化は江戸の藩組織文化の延長線にあるのでは、との指摘だろう。つまり藩という官僚組織のシステムが、今日のあらゆる組織の母系(matrix)になっているという点だ。

士農工商というクラス構造の中でさらに武士階層が厳しい3クラスに分かれていた。もちろんトップに天皇がいた。事ほど左様に、日本のヒエラルキー構造は厳しく構築されていた。武士が武士以外の階層の人間を問答無用で殺傷できるだけでなく、武士が武士を問答無用で切り殺すことが法令上許されていた。なんと、非人間的な社会原理なのだろうか。

わたしは、戦後に生まれ育ったことのありがたさを死ぬほど思う。切り殺される恐怖から逃れているからだ。権力の発生は武力を持つものと持たないものというクラスを誕生させ、人間と人間の間には真の意味での信頼や協力の関係は発生しない。信頼や協力の原理が存在しない社会は、心底寒々しい。実際、武力の脅威に晒されて生活するのは到底耐えられない。

阿修羅で天皇制や武士といった支配層を、美学がある、またはノブレス・オブレージなどといって美化する人たちには強い疑問を感じる。たとえば、ノブレスなんとやらは、あくまで、権力ヒエラルキーを容認する立場のものの見方である。もし仮にこうした権力ヒエラルキーないし特権階層を病理と見定めているなら,このノブレスなんちゃらの概念それ自体を否定する必要があるだろう。これは一つのセットの考え方なのだ。ノブレスの考え方など持ち込むから、特権階層を思い上がらせ、ひずんだ美意識をよりもたせるようになるのである。また、人に一方的に他人に土下座を強要したり、外を歩くのに裸足を強制したり、問答無用で切捨て御免などという人間として倣岸不遜・夜郎自大の態度に生きる人間に美学を感じるという人は根本から精神が腐敗しているとしかいいようがない。それがいかに根腐れした考えか自覚ができないなら、人間をやめることをおすすめする。餓鬼なのだ。そしてこの倣岸不遜さ・夜郎自大さで、アジア進出を図ったものである。アジアを襲った日本の軍人は「武士」ぶった餓鬼である。アジア・アフリカを襲い苦しめた白人の餓鬼ぶり・傲岸不遜ぶりと、同質のものであり、何の違いもない。

またトップが無責任化し、意思決定機構が空洞化する傾向をもつことは、官僚制において不可避の病理であることを改めて、確認させられる。

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