中国電力島根原発３号機増設計画で、県は９日、中電に原発敷地とする鹿島町片句沖の海面埋め立ての免許を交付した。

　菅原信二県土木部長は、中電島根調査事務所の横田徹所長に公有水面埋め立て免許書を交付するとともに、工事中に水質監視などを行い、汚濁防止対策に万全を期すことや、岩ノリへの影響が発生した場合には誠意をもって対応することを求めた。また、ノリの胞子が海中を漂う１０〜１１月の間は海中をコンクリートで埋め立てる工事は禁止するとの条件をつけた。

　埋め立て免許については、埋め立て予定地そばの半島部「宮崎鼻」のノリ漁業者らが、「工事に伴い出る汚濁水などがノリに悪影響を与える」として、中電に求めている漁業補償交渉がまとまるまで交付しないよう県に訴えていた。県は審査の結果、中電が対策を講ずることでノリへの影響は出ないと判断したが、事前に予期できない悪影響が出る可能性はゼロではないとし、その場合の対応を中電に要請した。　【安藤大介】

◇［解説］「金」への依存見え隠れ

　埋め立て免許の交付について県は、国の安全審査、ノリ漁業者と中電の漁業補償交渉の行方を見極めるとしてきた。しかし、１次審査も終わらず、ノリ漁業補償交渉も中断中と中途半端な状況での免許交付には、原発がらみの金に大きく依存する地元３市町の強い要望が見え隠れする。

　今回の埋め立て免許交付により、国の電源立地地域対策交付金として、鹿島町が約７２億円、松江市が約４３億円、島根町が約２９億円を来年度から受け取る予定だ。

　３市町の財政は厳しい。市税、町税の落ち込み、高いハコ物の維持管理費などの出費。そして地方交付税の大幅減。現在編成中の来年度予算にも何とか電源立地交付金を組み込み、しのぎたかったのが本音で、免許を交付する側の県でも「自治体の予算に穴を開ける訳にはいかない」と語る幹部がいた。

　しかし、「迷惑施設の見返り」「安全の代償」といわれる金で作ったハコ物が財政を圧迫し、また新たな金を欲求するというのは、全国の原発立地自治体に共通している。今回の早期の免許交付も、金が影響したとの見方は否定できない。　【安藤大介】

http://www.mainichi.co.jp/area/shimane/news/20040210k0000c032001000c.html

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