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Re: 高速道路公団〜動態的会計による企業価値算定〜(経済コラムマガジン)
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投稿者 Rui 日時 2003 年 10 月 26 日 23:59:33:AYNzdmodJWwnU

(回答先: Re: 高速道路公団〜財務諸表の怪〜(経済コラムマガジン) 投稿者 Rui 日時 2003 年 10 月 26 日 23:53:01)

経済コラムマガジン03/10/27(319号)

動態的会計による企業価値算定

財務諸表の要件
従来の会計では、仮に二つの会社の貸借対照表(B/S)が同じ内容なら同じ価値を持つことになる。例えばどちらの会社も、借方が資産100で、貸方の負債70と資本30のケースを考える。資産が生産設備、負債が借入金とすれば話が具体的になり分りやすい。つまり両社とも借入金と自己資本で生産設備を購入している。そして先週号で説明した静態的な会計、つまり清算を前提にした会計では、両社は同じ価値になる。

しかし会社の本当の価値を算定するには、静態的な会計だけでなく、将来の収益力を見越した価値計算が必要になる。これを明らかにするのが動態的な会計である。しかし日本では、会計と言えば、静態的会計を指すのが普通であり、会計士の仕事もより正確に資産や負債の実態を精査することである。道路公団の「債務超過の財務諸表」問題がこれだけ騒がれたのも、会社の静態的価値が必要以上に重視され過ぎている日本の風土が反映したものと考える(道路公団の内部告発者は巧みにこれを利用した)。


まず動態的会計で重要なことは、資産や負債の簿価ではなく、これらの実態である。会社の将来の収益力を中心に価値計算するには、会社の本当の実力を知る必要がある。同じ簿価の資産でも、一方の会社の資産は収益力の劣るケースがある。また同じ額の借入金でも、一方は低金利、残りの一方が消費者金融並の高い金利かもしれない。これらの違いは、当然、両社の将来の収益力に差を生む。このように全く同じ数字の貸借対照表(B/S)の会社同士でも、動態的な価値が大きく異なることは十分あり得る。

さらに顧客や従業員の質や信用と言った貸借対照表(B/S)に表示されない要素の違いもある。当然、これらによっても将来の収益が違ってくるケースが考えられる。そしてこのような違いは静態的会計だけでは把握できない。

動態的な会計には、静態的な会計にあったような法的な縛りや基準と言ったものはない。動態的な会計は、機関や人によって色々な手法がある。動態的な会計の手法が開発されたのは、企業のM&Aが昔から盛んな米国である。企業の合併や買収を行う時には、どうしても会社の価値をより正確に知る必要がある。最近、企業の買収や合併が盛んになった日本でも、M&A関連の書物が本屋に並ぶようになった。

しかし日本は、企業のM&Aの資産算定(企業の価値計算)で実績のあるコンサルタント会社や証券会社はまだまだ少ない。02/11/4(第272号)「外資系ファンドの実態」で述べたように、長銀の買収劇でも、資産算定を行ったのは外資のゴールドマン・サックスであり、この時の手数料は55億円であった。長銀の売却額はたった10億円であったのに対して、企業の鑑定には55億円も出費したのである。


動態的な企業の価値計算の手法を詳しく知るには、M&A関連の書物を参考にしてもらえば良い。前述したように、価値算定の方法はいくつもあり、本誌は、その中の代表的な手法について簡単に記述することに止めたい。その一つは将来の収益やキャッシュフローを求め、これを金利で現在値に還元する方法である。

企業が活動すれば、収益やキャッシュフローが生まれる。この収益やキャッシュフローの何年間分かの合計が企業の価値と言うことになる。例えば100万円の投資を行って、一定期間に100万円の収益を得ることができれば、その投資はペイすることになる。ただ今日の100万円と1年後の100万円では価値が違う。市場金利が2%ならば、今日の100万円に見合うのは1年後の102万円である。2年後なら100万円に(1+0.02)の2乗を掛けた数値であり、10年後なら(1+0.02)の10乗を掛けたものである。

逆に1年後の収益を(1+0.02)で割り返せば、現在値に還元できる。たとえば1年後の102万円は、市場金利が2%ならば、(1+0.02)で割り返して、現在価値の100万円を求めることができる。同様に10年後の金額なら(1+0.02)の10乗で割り返せば、現在値を求めることができる。

毎年発生する収益やキャッシュフローを、それぞれ市場金利の累乗で割り返して現在値に還元し、一定期間合計したものがその企業の価値ということになる。もし投資家が100万円を投資した企業が、100万円以上の収益(現在値に還元したもの)を一定期間に得るならばペイする。反対にこれ下回るなら、投資家は年利2%の債券を買う方が有利なので、この投資は行われないことになる。

通常、金利は長期国債の利回りにリスクプレミアムをプラスしたものである。また期間は、通常10年間くらいが一般的という話である。それ以上だとどうしても不確実性が大きくなるからである。しかし中にはペイアウト期間をもっと短く、例えば5年くらいに設定されているケースも当然あると思われる。たしかに技術進歩の激しいハイテク関連の投資案件は短いと考えられる。反対に将来に安定的な賃貸収入が見込まれるオフィスビルでは、もっと長い期間を想定しても良いと思われる。

動態的会計は、予想損益計算書(P/L)を作成することと同じと言える。想定する期間の損益計算書(P/L)を作成し、その収益(現在値に還元したもの)を合計するのである。道路公団の債務超過問題では、過剰に貸借対照表(B/S)が注目された。しかし本当の道路公団の価値を知るには、財務諸表の一つである損益計算書(P/L)が重要なのである。

道路公団の価値算定
次に前段で述べた方法によって、道路公団の価値の算定を検討してみよう。収益を現在値に還元するために用いる市場金利は、基本的に同じと考えで良い。もっとも極めて長い期間を想定するので、金利変動のリスクを加味することも考えて良い。

一方、どの程度の長さの期間を想定するかは、意見が別れるところと思われる。一般の企業は10年位であるが、業務の内容からも道路公団の場合、相当長い期間で良いであろう。最も長くても良いと考える投資家なら、100年くらいを想定するかもしれない。

収入が主に高速道路の利用料と言った不動産収入とすれば、類似業種としてオフィスビルなどの不動産業が参考になる。しかし例えばオフィスビルの場合、老朽化と共に賃料が下がることがある。また再開発などによって、オフィス街そのものが移動するリスクもある。

このように高速道路ほど将来のリスクが小さい業種は、他にはないと言って良い。同じ基幹産業の鉄道や電力でも、将来の収益を脅かすライバルの存在がいくつもある。ところが高速道路には、競争相手らしいものがない。

実際、将来の収入減の要素として考えられるのは、儲け過ぎよる料金値下げ圧力ぐらいである。もっともこれも値下げ幅がある程度に収まれば、これまで一般道を通っていた車が高速を利用することも考えられ、むしろ収入増さえあり得る。とにかく高速道路ほど長期の安定的な収入が期待できるような業種はない。したがって50年を越える期間を想定することも可能と考える。まさに永遠の独占企業である。そしてこのようなものを民営化しようと考える人々の頭がおかしいのである。


収益については、収入と費用で決まる。収入については、説明した通りであり、「交通量が現在のまま」「増える」「減る」の三つのパターンくらいを想定することができる。この場合、変動要因として考えられるのは、今後の日本の経済成長率である。

次は費用である。維持管理費、事務管理費などは、過去の実績を元に比較的予想が容易と考える。減価償却費は、耐用年数と償却方法(低率、定額)によって違ってくる。しかしこれは「決め」の問題である。ここで先週号で予告した、改革派の片桐氏の指摘「道路資産の中でもウエートの大きい土工(土盛など)の耐用年数を税務上の耐用年数の40年ではなく、70年にしている」の妥当性を検証する。結論から申せば、耐用(償却)年数を40年にしようが、70年にしようが、道路公団の価値には変わりはない。

40年にすれば、静態的会計による自己資本は小さくなる。これは償却年数が短くなるので、前倒しで減価償却費が膨らむからである。そのかわり動態的会計においては、償却の負担がそれだけ軽くなるので、将来の収益はその分大きくなる。償却年数を逆に70年と長くすれば、最近公団が作成した財務諸表のように自己資本は膨らむが、将来の収益はその分圧縮される。そして道路公団の全体の価値は、静態的会計と動態的会計のそれぞれの算定値を合計したものである。つまりどちらの償却年数を採用しても、道路公団の全体の価値算定の結果は同じことになる。

ただし道路公団に法人税がかかるとしたなら、話は少し違ってくる。この場合には、やはり償却年数が少ない方が、企業の価値は多少大きくなる。前倒しで経費を増やせば、最初の頃はそれだけ法人税は少なくて済み、法人税相当分の金利だけ儲かるからである。しかし民営化後の道路公団の税金については、まだ結論は出ていないと思われるので、今のところ税務については考慮する必要はないであろう。


しかし費用の中で最も重要なものは金利である。これは市場金利のことではなく、道路公団の借入金の金利である。これをどの程度に想定するかによって、将来の収益予想はまるで違ってくる。数カ月前の日経新聞の報道によれば、民営化推進委員会事務局(片桐氏の異動後)の想定では新会社は、金利4%なら40年間で累積利益が6兆円、金利5%なら利益がほぼゼロになる。つまり金利が1%違えば、40年間で収益が6兆円も違ってくる。2%違えば収益が12兆円である。もちろん40年ではなく、50年や70年を想定すれば、収益予想の違いはもっと大きくなる。

このようにほんの少しの利率の違いで、大きく将来の収益は違ってくる。つまり動学的会計による企業価値算定で、いかなる金利を採用するかによって、結果は大きく異なる。しかしこれだけ重要な数値であるのに、猪瀬氏を中心にした民営化推進委員会では、事務局(片桐氏がいた頃)の用意した4%という金利に対してはほとんど議論した形跡がない。将来も今日の金利水準である4%でずっと続くという想定で議論をしていたと言うのである。本当に杜撰なばかな話である。筆者が、この委員会に大きな疑惑を感じるのは、このような点である。

しかし道路公団の大半の借入金は財政投融資であり、この源泉となっている郵便貯金の今日の金利はほぼゼロである。つまり今後、金利がどんどん下がることは明らかである。さらに不採算な会社を分離し、新たな道路を建設しないなら、将来、道路公団が莫大な利益を生むことは確実である。今日問題になった、財務諸表のわずかな債務超過うんぬんはとるにたらない問題である。ちなみに民主党の高速道路の無料化案では、2%の金利を想定している。以前本誌も03/2/10(第284号)「小泉首相の「もっと重要なこと」」では、現実的な金利として2.5%くらいを想定していた。

このように民営化推進委員会の猪瀬氏や事務局の片桐氏(猪瀬氏の紹介で藤井総裁を中傷する文章を文芸春秋社に書いた人物)は、金利といった一般にはなじみの薄い数値を操作して、マスコミや国民の目をくらましていたのである。週刊文春の藤井総裁のインタビュー記事によれば、片桐道路公団四国支社副支社長を東京に戻すよう、小泉首相の秘書官の飯島氏から、恫喝めいた電話が何回も藤井総裁に来ていたという話である。どうみても猪瀬、片桐、飯島の各氏は繋がっている。ちなみに四国支社副支社長というポストへの異動は、左遷ではなく、確実に栄転である。

来週号は、やはり総選挙に触れたテーマを取上げたい。

本誌は、道路公団に派閥があることを述べたが、国土交通省にも派閥があるようである。簡単に言えば、事務系と技術系である。他の官庁なら、主流派と言えば事務系である。ところが旧建設省は、技術系が結構発言力を持っている。この派閥争いが道路公団問題にも強く影響している。藤井道路公団総裁は技術系である。村瀬現副総裁は、同様に建設省出身であるが、事務系である。この村瀬氏と先週号で触れた元建設省事務次官・小野邦久元氏は、青木参議院幹事長と極めて近い人物である。

一頃道路公団の会議費(交際費みたいなもの)が2,000万円もあると騒がれた。しかし週刊文春の藤井総裁のインタビュー記事によれば、藤井総裁が就任する前は会議費は20億円もあり、藤井氏が100分1に減らしたと語っている。この他にも藤井総裁はバッサリ経費を切っている。これが反対派から煙たがられた可能性がある。また藤井氏はアイディアマンで、ユーロ債の発行も行なったという話もある。

さかに藤井総裁「自分が本当の改革派だ」と発言していた。ところがマスコミはそのような受け取り方をしていない。むしろ改革を阻む黒幕、悪人という報道の仕方である。しかし筆者は、藤井総裁の方が正直な人物という認識になっている。たしかに「道路行政に何十年も携わってきた私にしか改革はできない」と言うセリフは正しいかもしれない。例えば問題になっているファミリー企業は、さらに子会社をどんどん作っている。それらには道路公団でさえ目が届かないのである。またそれらのファミリー企業には外部の利権を持った人々が食い込んでいる。もしこのまま藤井氏が抜ければ、他の人々の影響下にある職員だけが残ることになる。この状態で民営化したらとんでもないことになると思われる。

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