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住宅バブル崩壊・米経済【島崎光晴】
http://www.asyura2.com/0311/hasan32/msg/761.html
投稿者 愚民党 日時 2004 年 1 月 16 日 03:22:35:ogcGl0q1DMbpk
 

http://www.zenshin.org/f_zenshin/f_back_no04/f2132c.htm#a14_1

 ●イラク戦争突入下で住宅バブル崩壊・米経済恐慌へ

 (1)3年連続百万人のリストラ小売・サービス業も雇用減
 アメリカでは今、「ペニー・ピンチャー」が広がっている。ペニーとは1k銅貨の通称。日本円では1円に相当する。その1kですら「ピンチ」=「切り詰める」しかない人が激増している。

 失業者はますます増えている。米企業の人員削減は、バブル崩壊以降の01年、02年、03年と3年連続して100万人を超えた。100万人というのは仙台市や広島市の総人口に匹敵する。企業倒産の結果ではなく、計画されたリストラとしての削減だ。年間100万人もの人員削減は29年大恐慌の時にもない。失業率は、03年5月に6・1%と、94年6月以来の高水準となった。6%というのは“失業問題への社会的な不満が急速に高まる”とされる水準だ。
 
しかも、従来は、製造業の失業者の多くを流通・サービス産業が吸収してきた。ところがこの間、「構造変化が起きている」(ニューヨーク連銀)。小売業やサービス業でも雇用が減少しているのだ。今では、労働集約的だった業務でも極限的な合理化が行われている。スーパーのレジや空港・鉄道の発券窓口などさまざまなところが無人化され、セルフサービス化されつつある。

 かりに再就職できても、基本は派遣社員、パートタイマー、請負労働者など非正規雇用だ。若年層ほど非正規雇用が多い。90年代後半には非正規職で働く560万人のうち、約30%が25歳以下だった。03年9月の統計では、「非自発的な」、つまり意に反してのパートタイム労働者は全体で500万人に達した。非正規雇用者は、仕事を掛け持ちしなければ生活できない。

 賃金も下がり続けている。正規職の男性のホワイトカラーですら、73年から97年の25年間で名目上わずか6kしか増えていない。25年間で6円増というのは実質マイナスだ。特に18歳から29歳の未婚男女の収入は、過去25年間で平均約11%減った。

 労働強化もすさまじい。過去10年間で労働時間は平均して年58時間ずつ増えてきた(ビジネスウィーク誌)と言われる。単純計算すると、10年間で580時間、24日丸々増えたことになる。今では、全労働者の20%強が週に49時間以上働いている(『窒息するオフィス』)。

 しかもさまざまな社会保障制度が、80年代レーガン政権以来の規制緩和・民営化と財政の州への移管・縮小で次々解体されてきた。例えば病院に入院すると1日で4000jもかかる。なんと44万円だ! 労働者が払えるわけがない。民間の健康保険にも公的保険にも加入していない無保険者は4357万人(02年)で、前年比237万人も増えた。解雇されて保険を失う人が激増している。本当に貧しい者は死んでしまう。

 貧富の格差は新植民地主義体制諸国並みに拡大している。富裕層に対する減税に加え、90年代後半のバブルで資本主義史上例のないほど億万長者が増えた。保有資産100万j(1億円以上)の家計は、90年の420万から98年には880万へと倍増した。しかも01年には相続税が廃止された。バブル下で億万長者になった層が固定される。一方で貧困層(3人家族で年収162万円以下)は3460万人で、全体の12・1%にも及ぶ。

 (2)1千兆円も借金して消費に 住宅公社中心の最終バブル

 第2次大戦後の基軸帝国主義国であるアメリカで、すでに労働者人民はまともに生活することができなくなっている。そこに今、本格的な大恐慌が襲いかかろうとしている。

 米バブル経済は00年春の株価暴落以降、崩壊しつづけてきた。米国の株式時価総額は02年までに8兆j減り、GDP(国内総生産)比ではすでに大恐慌時代を上回る暴落となった。鉱工業生産は01年、02年と2年連続でマイナスだ。GDPも01年初めからマイナスに転じた。デフレも始まっている。消費者物価はかろうじてプラスを維持しているが、モノだけをとると02年からマイナスである。

 ただし9・11後に恐慌対策がとられたこともあって、米経済は01年末から再浮上してきた。しかしそれはバブルを極限的に引き延ばすものでしかない。このバブル引き延ばしは次のような構図になっている。

 @まず、金融緩和と減税が実施された。01年初めから短期金利の誘導目標を13回も引き下げ、03年6月には金利が3%強と45年ぶりの低さになった。金融面からも財政面からも最大の恐慌対策がとられてきたのである。

 Aこうした低金利下で、家計部門は借金をさらに膨らませて消費をなおも増やしてきた。自動車販売では、ローン金利がゼロにされてきた。03年からは1台当たり5000j(約59万円)もの大幅な値引きも行われている。さらに、住宅ローンを借り増しして、それを消費に充ててきた。住宅ローン借り換えで02年は3千数百億j(35兆円強)のカネが家計に入ったと推計されている。この額は通常の個人所得に匹敵する。つまり、借金を増やしながら、所得の倍以上のカネを消費に向けてきたわけだ。これがいわゆる住宅バブルである。

 米国債よりも巨額の住宅ローン担保証券

 Bでは、この住宅ローンを貸し増ししているのは誰か。大手銀行の住宅ローン専門子会社や各種の金融会社である。大手銀行は、大企業倒産で不良債権を増大させながらも、住宅ローンや個人ローンを増やして切り抜けている。バンクオブアメリカの貸し出し残高では法人向けより個人向け貸し出しの方が多く、その中でも住宅ローンが多い。各種の金融会社には、自動車メーカーの子会社もある。米ビッグスリーは、それぞれの金融子会社をとおして自動車ローンや住宅ローンを手がけている。GMもフォードもその金融収入が01年も02年も本業を上回っている。大幅値引きができるのも、この金融子会社の利益があるからこそだ。

 Cところが、銀行も各種金融会社も、この住宅ローン債権のかなりの部分を住宅公社(ファニーメイ、フレディマック)に転売している。銀行の住宅ローンの貸出残高は02年で1兆6500億j(約181兆円)、うち自社の帳簿についていないのが7100億j強。後者のほとんどが住宅公社に買われているとみられる。

 D住宅公社が住宅ローン債権を買い取っているわけだが、そのカネはどうやって工面するのか。主に証券=住宅ローン担保証券や債券を発行して資金を調達する。住宅公社は政府支援機関だから、信用されて証券や債券が買われる。住宅ローン担保証券の発行残高は3月末で3兆8600億j(424・6兆円)にも上り、なんと米国債の発行残高3兆6700億jより多い(03年3月末)。住宅公社両社の借入残高も1・5兆j(約180兆円)と巨額だ(02年末)。

 Eこの住宅公社の出した証券や債券は誰が買っているのかというと、内外の金融機関だ。大手米銀123行のうち、住宅公社の出した証券・債券を自己資本以上に持っているのは62行で、全体の半分に上る。住宅公社の経営が崩れると「危機はものの数時間で広がる」と言われる。国外の金融機関もこの住宅公社の出した証券・債券など政府機関債を大量に買っている。国外金融機関の保有する政府機関債の残高は1900億j(21兆円弱)にも及んでいる(02年)。バブル崩壊後、株式に代わって米国債と米政府機関債が買われてきた。この国外から政府機関債への資金流入が、米国の住宅金融を支えるとともに、巨額経常赤字を補填(ほてん)するものとなってきた。

 以上が、バブル最末期の構図である。単に住宅価格上昇で住宅バブルが起きているというような話ではない。家計のむちゃくちゃな住宅ローン=借金、借金による消費の増加、自動車メーカーの金融収入依存、住宅公社による膨大な証券発行、内外金融機関によるその証券購入、それによる経常赤字の補填――これらすべてが一体になっているのだ。かつてのITバブルや株式バブル以上に根が深く、範囲も広い。家計、製造業企業、住宅公社、内外金融機関のすべてが関係している。この構図がどこかで少しでも崩れると、すべてが吹き飛ぶのだ。

 (3)29年上回る企業の経営破綻家計のローンも不良化する

 実際、このバブル最末期の構図は行き詰まり、すでに崩れ始めている。

 @まず、財政・金融政策を極限的に使い切ってしまった。財政赤字は、03年度(02年10月〜03年9月)は過去最大の3742億jと、前年度の2・4倍にもなった。歳入は1959年以来の最低レベルに落ちこんでいる。一方で、春と秋にはイラク戦費など計1660億j(約18兆円)もの補正予算が組まれた。また、金融政策でも、金利を低く誘導しているにもかかわらず、春から夏にかけて市場金利が急騰した。財政赤字膨張への懸念が原因だ。

 A家計債務の膨張も限界に達している。9月末の家計の負債は過去最高の9兆j。日本円で1000兆円だ! 02年1年間だけで8000億jも増加、うち住宅ローンが7000億jを占めた。年間可処分所得に占める家計の負債比率は115%(03年6月)と、第2次大戦後の最悪記録を更新中だ。個人の破産件数は年間162万件を突破、過去最高を更新している。こんな借金がどこまでも続けられるわけがない。

 B自動車販売は小売売上高の4分の1を占めるほど大きいが、これも行き詰まらざるをえない。自動車ローン金利ゼロ・大幅値引きは、自動車の需要の先食いであり、必ず需要の大激減をもたらす。しかも、住宅バブルが崩壊すると金融子会社の収入が減り、本体の収益悪化がむき出しになる。米自動車産業には大不況が待ち受けているのだ。

 それは、今でも深刻な過剰資本状態を増幅して大恐慌をもたらさずにはおかない。すでに02年の上場企業の経営破綻(はたん)は、資産額では3680億jと過去最大となった。設備稼働率は03年7−9月期は75%を切っており、20年来の低水準にある。生産能力の過剰によって過剰資本状態が続いているのである。

 この過剰設備と一対とも言える企業の過剰債務もケタ外れの額だ。米企業の簿外債務は米GDPの99%にも上るとのデータもある。02年には粉飾会計が劇的に露呈したが、粉飾は今も続いている。債務が簿外に隠れているのなら、それが表面化した時の衝撃は29年大恐慌の比ではない。米資本主義史上、最大規模の企業倒産となるだろう。企業年金の積み立て不足も“隠れた巨額債務”だ。

 金融スキャンダルはバブル崩壊の本番だ

 C住宅バブルの中心にいる住宅公社には今後、膨大な不良債権が発生すると見てまちがいない。03年にはフレディマックの粉飾決算が発覚した。この詳細は隠されたままだが、この発覚自体、住宅バブル崩壊の予兆と言える。実は、住宅ローンの借り換えで、借り手側は低金利の借り換えで利益を得ているが、これに対応して貸し手側に損失が発生しているはず。フレディマックはその損失を後年に繰り延べることで、利益を過大に見せかけているとみられる。この会計操作には、モルガン・スタンレー、シティーグループという金融資本の中枢が関与している。しかし米議会もFRB(米連邦準備制度理事会)もこの粉飾決算の調査に早々と幕引きをした。

 住宅公社は政府支援機関であり、その経営内容は闇(やみ)に包まれている。かつて日本のバブル崩壊期に、大手銀行は一番悪質な不良債権を実質子会社の住宅金融専門会社(住専)に移し入れた。それと同じように、いやそれよりはるかに大規模に、米国の不良債権は住宅公社に集中する可能性がある。

 D住宅バブル崩壊は、内外の銀行にも大打撃を与える。日本の銀行は、バブル期に不動産・建設・流通の3業種に無謀な貸し付けを拡大した結果、解決しようのない不良債権を抱えた。これに比して米銀の場合、家計部門に対する住宅ローン・カードローン、住宅公社の証券・債券の購入が野放図に増大している。この間の企業倒産には持ちこたえられてはいるが、住宅バブルが崩れると本格的打撃を受ける。すでに02年末に、金融サービス大手のコンセコが経営破綻し、米金融機関としては過去最大の破綻となった。これは悪質な住宅ローン大手会社を買収したのが原因だった。 

 また、この間、投資信託での不正取引が発覚し始めている。投資信託の運用会社の5割が不正取引に加わったとされる。バブル崩壊で株価は暴落し、投資信託にも損失が生じている。しかし、ヘッジファンドや特定の投資家だけは不正取引で優遇されてきた。バブル崩壊期に特有な金融スキャンダルそのものだ。かりにこうした優遇がなければ、ヘッジファンドなどの損失が膨らむわけだ。米金融の中枢の一角を占めるヘッジファンドが今後、破綻していく可能性もある。また、米国の株式市場は株式投資信託を中心にしており、投信への不信が拡大すれば株式市場がメルトダウンしかねない。

 いずれにしろ、02年の企業の粉飾会計に続いて、03年は住宅公社の粉飾決算、投資信託での不正取引と、ついに金融面でもバブル崩壊が表面化し始めた。これこそバブル崩壊の“本番”だ。00年春のバブル崩壊からすでに4年近くがすぎた。もはや米帝がどうあがこうと、これ以上バブルを引き延ばすのは無理だ。04年、ついに米経済は本格的な恐慌に突っこんでいくだろう。29年大恐慌を上回る世界大恐慌がいよいよ現実になる。

 
http://www.zenshin.org/f_zenshin/f_back_no04/f2132c.htm#a14_1

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