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遺伝子治療を受けたフランスの患児2例がいずれも白血病を発症したのは、レトロウイルスヴェクターの仕業だった
http://www.asyura2.com/0311/health7/msg/169.html
投稿者 佐藤雅彦 日時 2003 年 10 月 19 日 13:37:50:FnBfYmHiv1JFs

●遺伝子治療というのは、産学の実験推進者側から喧[かまびす]しい宣伝が
 繰り返され、軽佻浮薄で“新しもの好き”の知恵足らずマスコミはあたかも
 最新の“奇跡” ででもあるかのようにこのテクニックを宣伝して、
 バカ医者と不埒なバイオ企業を喜ばせてきました。

●遺伝子治療や臓器移植が「先端的」どころか科学的方法論としては
 杜撰で狂信的な野蛮にすぎないことは、拙著『現代医学の大逆説』(工学社)
 で具体的に、そしてある程度徹底的に批判したつもりです。
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『現代医学の大逆説』紹介: http://www.kohgakusha.co.jp/books/detail/4-87593-230-8
 amazon.jp の掲載記事: http://www.amazon.co.jp/exec/obidos/ASIN/4875932308/
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●日本で最初に遺伝子治療の公式人体実験を行なったのは北海道大学医学部の
 崎山チームでしたが、レトロウイルスを外来遺伝子の「運び屋」(ヴェクター)
 に用いるその方法は白血病や癌を起こす恐れのある危険で未熟なもので、
 アメリカの遺伝子治療製剤メーカーの下請け実験以上のものではない、という
 本質的な批判を、私は10年ほどまえに『SAPIO』誌上で行ないました。

●北大の公式人体実験は「成功」と報道されましたが、既成の生物製剤と併用
 しながらの成績だったので、厳密に成功したかどうかは怪しいところです。
 たとえば効果が確立した医学的治療手段と、お祈りを「併用」して、それなり
 に患者の症状が軽快した場合、これを「お祈りのせいで治った」と言い募る
 のは科学というよりご都合主義の狂信ですが、北大で行なわれたのはそういう
 愚かしい行為だったわけです。しかし日本のバカマスコミは、北大“大本営”の
 発表を真に受けて“勝利の翼賛報道”に精出したわけです。
(このあたりの偽慢性、非科学性についても『現代医学の大逆説』で嘲笑して
 おきました。)

●一種のハイテク詐欺として大手を振るっていた遺伝子治療ですが、昨年
 フランスで予想されていた通りの発癌事故が起きて、同種の人体実験は
 中断されていました。日本で北大が行ない、東北大学が企てていたのも、
 まさにその種の“遺伝子組換え細胞移植”に他なりません。
 (遺伝子治療実験では、それ以前にも米国で被験者に死者が出ています。
  ウイルスヴェクターによる副作用……という非常にわかりやすい
  事故です。こんなものは20年前から指摘されていました。今回の
  フランスの事故もレトロウイルスヴェクターの“暴走”による発癌事故
  といえるもので、これも20年前に起こりうるシナリオとして予想されて
  いました。)

●フランスの医師が起こした一種の“バイオハザード”と、それに対する
 各国の対応を見ていると、科学的な危険性の想定を無視して、じっさいに
 犠牲者が出ないと「学べない」という、本質的に知恵の足りない野蛮人
 なのではないかと思ってしまいますね。

●この事故の原因についての調査概略が、このたび米国科学振興協会(AAAS)発行の
 週刊『サイエンス』に掲載されました。その件について、CNNニュースが
 次のように報じました――

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http://www.cnn.com/2003/HEALTH/10/16/leukemia.study.ap/index.html

Study: 'Bubble boy' gene therapy caused cancer
【事後調査によって「ふうせんぼうや」の遺伝子治療が癌を引き起こしたことが判明した】
Thursday, October 16, 2003 Posted: 2:00 PM EDT (1800 GMT)


WASHINGTON (AP) -- Gene therapy that corrected an inherited immune system disease in two French children also activated a cancer-causing gene in the youngsters, leading to leukemia, according to a new study.
【ワシントンDC発――免疫システムの遺伝病を治すための遺伝子治療がフランスの2人の患児に実施されたが、どちらの患児もこの遺伝子治療そのものが原因で発癌遺伝子が起動し、白血病になっていたことが、新たな調査で判明した。】


The incident last year led to the suspension of some gene therapy studies in the United States and prompted an international team of scientists to analyze the cases to find out what went wrong.
【この医療事故は昨年発生し、そのせいで米国では遺伝子治療の治験がとりあえず中止され、国際的な科学者チームが結成されて、白血病の原因究明にむけた事例解析が急きょ行なわれることになった。】

In a study appearing Friday in the journal Science, the researchers concluded that genetically manipulated bone marrow cells injected into the two young patients somehow turned on a cancer-causing gene called LMO2. This, in turn, caused the patients to develop leukemia.
【10月17日に『サイエンス』誌に掲載された調査結果では、この調査チームは、遺伝子操作を施されたうえで二人の患児に注入された骨髄細胞が何らかの理由で“LMO2”という発癌遺伝子を起動させ、その結果、いずれの患児も白血病を発症することになった、と結論づけている。】

The patients were among a group of 11 boys born with a severe form of immune deficiency who were successfully treated using gene therapy by Dr. Alain Fischer, a Paris medical scientist. They were the only two to develop leukemia from the therapy, but that was enough to cause U.S. medical officials to suspend 27 gene therapy studies.
【パリの医学研究者アレン・フィーシェール博士は11人の先天性重症免疫疾患の患児に遺伝子治療を行なって成功していたが、白血病を発症させたのはこのうちの2人だった。11人中の2人しかこうした事故は起きなかったわけだが、米国の厚生当局は事態を重く見て27件の遺伝子治療の治験を中止させた。】

All 11 of the boys inherited a disorder called severe combined immune deficiency. Patients with this disorder have virtually no defenses against germs. Most such patients must live in a sterile environment until the inherited condition is corrected. The disorder is often called the "bubble boy disease" because a well-known Houston victim, known only as David, lived for years in a plastic bubble filled with filtered air. About one in 50,000 babies are born with SCIDS.
【アレン・フィーシェール博士が遺伝子治療した11人の患児は「重症複合免疫不全症(SCID)」という疾患に罹っていた。この病気に罹ると、微生物への生体防御作用が事実上失われてしまう。患児はこの遺伝病の治療が完了するまで、無菌環境で生活せねばならない。この病気はしばしば「ふうせんぼうや(バブルボーイ)病」と呼ばれているが、それはこの病気に罹ったヒューストンの「デイヴィッド」という男性患児が、長年、フィルター付きのプラスチック製“ふうせん”のなかで暮らしていたことに由来する。SCID患児はおよそ5万人に1人の割合で生まれてくる。】

The condition can be treated with an injection of compatible bone marrow, which will make the missing immune system factors and provide patients with protection from infection. This is frequently not possible because doctors are unable to find a matching bone marrow for transplantation.
【SCIDは、患児に移植しても拒否反応を起こさないような骨髄を与えることで治療しうる。患児に注入された外来性の骨髄が、欠落している免疫システムの因子を作りだし、患者に感染症への防御をもたらすのである。だがこの方法は医者が患児に適合する外来牲骨髄を見つけだすことができずに、失敗することが多い。】

Fischer successfully treated his patients with a technique that restored the immune system genes that the boys lacked. The doctor did this by removing some of the boys' bone marrow and inserting the missing genes into these blood-making cells. The bone marrow was then returned to the patients where the genetically manipulated cells made the normal complement of immune system factors to provide normal protection from infection.
【アレン・フィーシェール博士は患児に欠落している免疫システム遺伝子を修復することで、治療に成功していた。つまり、まず患児の骨髄を摘出して、その造血細胞のなかに(SCIDによって欠落していた)遺伝子を新たに組み込んで、この遺伝子組換え骨髄組織を患児に戻してやる。すると、遺伝子組換え骨髄組織は、患児に欠落していた免疫因子を生産するようになり、健常者なみの感染症防護を患児に与えることができる、というわけである。】

In the two boys who got leukemia, the researchers found that the manipulated cells also turned on a gene that caused the disease.
【アレン・フィーシェール博士の遺伝子治療を受けたSCID患児のうちの2人は白血病を発症したが、調査チームは遺伝子組換え骨髄細胞が白血病を引き起こす遺伝子を起動させていたことを突きとめた。】

The leukemia in the two boys was treated with chemotherapy and bone marrow transplants. Both patients are now in remission and considered healthy, the researchers report.
【2人の患児に生じた白血病は、化学療法と骨髄移植で治療した。調査チームの報告によれば、2人とも今は緩解に向かっており、健康だと考えられている。】


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●ちなみに、アレン・フィーシェール医師が起こした“医原性バイオハザード”
 について、関西医科大学の法医学教室の“見方”を紹介すると――

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関西医科大学法医学教室:生命倫理学資料
http://www3.kmu.ac.jp/~legalmed/ethics/wadai4.html

遺伝子治療臨床研究に関する指針
2003/03/07
《中略》
○その他、トピックス

 2002年9月、フランスで1994年にX連鎖重症複合免疫不全症 (X-linked Severe Combined Immunedeficiency; X-SCID) の遺伝子治療を受けた患者 (治療時1歳の男児) に白血病が発症。2002年12月に同じ遺伝子治療をした3歳男児にも発症 (2例目)。
 これを受けて、フランスでは遺伝子治療を全面凍結、国内では同様の手法で行われる予定だったいくつかの遺伝子治療計画が延期された。
 発病の原因は、造血幹細胞に入れて投与した遺伝子 (レトロウィルス・ベクター使用) が、造血幹細胞の増殖に関与するLMO-2遺伝子の近傍に逆向きに挿入され、増殖能が異常に活性化されたためと判明 (治療用の遺伝子は、細胞のDNAのあらゆるところにランダムに入り得るが、特にアクティブな遺伝子 [LMO-2遺伝子など] のそばに組み込まれ易く、白血病などの異常が起きる確率は決して低くない)。
 このため以下の対応が迫られることとなった。

1.インフォームド・コンセントのための説明内容の見直し:よりリスクが高くなったことの説明を追加。
2.遺伝子治療に関する基礎研究のやり直し:臨床応用を急いではならないという警鐘となる。
  具体的には、より安全なベクターの開発、治療遺伝子の導入部位をコントロールできる新しいテクニックの開発など。
3.安全な細胞の選別法の開発:治療遺伝子が安全な部位にうまく導入された細胞だけが増殖するようなシステムの開発が必要。


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●東北大学は、アレン・フィーシェールに先を越されたという焦りがあるようで、
 そうした下卑た根性を念頭において、今回の事故に対する態度を見ると、
 嘲笑と怒りが込み上げてきますね……

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東北大学加齢医学研究所
http://www.idac.tohoku.ac.jp/dep/po/topics.html

● X連鎖重症複合免疫不全症(X-SCID)に対する遺伝子治療

X連鎖重症複合免疫不全症(X-SCID)は生まれながらにして重症の免疫不全があるため、骨髄移植などの治療が行わなければ、乳幼児期に重症の感染症を起こし死亡する重篤な疾患です。家族内にHLA一致同胞が存在する場合には骨髄移植の成績は良好ですが、それ以外の場合は予後が不良です。

1999年にフランス、パリのNecker小児病院でこの疾患に対する遺伝子治療が開始されました。これまでに5例の患者さんが遺伝子治療を受け、うち4例は順調に経過し、特に初期に治療を受けた3例は遺伝子治療後、自宅で普通の生活を送っていると発表されました。残る1例は遺伝子治療前に施行された生ワクチンによる感染症のため生着が不十分であったと報告されています。同様のワクチンによる感染症の報告は従来の骨髄移植でもみられるため、遺伝子治療の副作用ではないと考えられました。

現在までに行われた遺伝子治療のうちで、先天性の疾患を完治できる可能性が示されたのは、このX-SCIDに対する遺伝子治療が初めてです。この遺伝子治療は、造血幹細胞(血液を作る大元になる細胞)に、生まれながらにして欠損している遺伝子を導入することによって病気を直す、いわば免疫系の再生医療です。

この疾患の原因遺伝子は、γc鎖遺伝子で、東北大学医学部、免疫学教室の菅村和夫先生たちのグループによって発見されました。そこで我々は、本遺伝子が発見された東北大学医学部で、Necker小児病院のAlain Fischer博士との共同研究として遺伝子治療を計画し、平成14年6月に厚生労働省の許可を得ました。しかし、その直後にフランスで行なわれたX-SCIDの遺伝子治療後の患者さんに白血病が発症したと報告されました。このため我々は現在本遺伝子治療臨床計画を保留しております。

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日本免疫学会(シリーズ;日本からの発信)
http://jsi.bcasj.or.jp/Newsletter/JSI_Newsletter_vol8no2_p22.htm
発信できなかった裏話

《引用者注記:投稿者名は省略します》 東北大学大学院医学系研究科免疫分野

 さて,日本からの発信ということですが,発信できるチャンスがありながらできなかった例として,われわれのIL-2受容体研究があげられるかも知れません.その点を踏まえた平野編集長から私への原稿依頼かとも思います.したがって,何の足しにもならない失敗談でも披露しながら,この稿を埋めるしか能がないようです.

 話は,14年前のIL-2受容体β鎖の単離同定の時期に遡ります.何故IL-2受容体研究かという点から話すべきかと思いますが,長くなりますのでこの点は省略します.われわれは,当時未同定であったβ鎖に対する単クロン抗体の調整に約1年間掛けて成功しました. その抗体を用いてβ鎖を精製し,さる企業の研究所にアミノ酸配列決定を依頼したところ,すぐに未知分子のアミノ酸配列が返ってきました.早速,cDNAのクローニングに着手しましたが, 何度tryしてもcDNAクロンを得ることができません.われわれのもたつき振りを知った米国の研究者からクローニングを手伝うという提案があり,日本と米国とで手分けして作業することになりました.しかし,いくらやっても同じです.焦燥感にとらわれていたところ,谷口先生のグループからβ鎖の遺伝子単離の報告がありました .しかし,驚いたことに,β鎖はわれわれが有していたアミノ酸配列とはまったく別ものでした.

 その後,われわれはβ鎖に見切りをつけて,β鎖と会合するγ鎖の遺伝子単離に移りましたが,米国では,β鎖とは異なる分子であることが分かった後でも,クローニングを続けておりました.それから半年後に,ライブラリーを代えたことによってcDNA単離に漕ぎつけたという報告を受けました.ところが,単離されたものは思いもしなかったHGFです.米国での驚きは大変なのもだったと思われます.われわれにもこの結果が俄には理解できませんでした.

 しかし,その後分かったことは,われわれがアミノ酸配列を依頼した研究所において,当時独自にHGF遺伝子が単離され,HGFが研究所のトップシークレットであったということです.組み換えHGF産物がβ鎖のシークエンスの時に混入したのではないかと推察されました.ちょっとした混入ミスが,われわれと米国の研究者にとってはいいようのない打撃になったということです.このようにしてわれわれのβ鎖遺伝子単離の幕は降りました.これ以後,無駄なことだと分かっていても,アミノ酸配列決定は自前で行うように心掛けております.

 β鎖を逃したわれわれは,幸いにも,β鎖に会合するγ鎖の遺伝子単離に成功しました.β鎖の遺伝子単離に先陣を切っていたら,γ鎖に辿りつく余裕があったかどうか分かりません.γ鎖がIL-2受容体の必須なサブユニットであることを明らかにするとともに,γ鎖遺伝子の染色体マッピングを他研究室に依頼しました.しかし,何カ月経ってもマッピングの結果は出てきません.そうしているうちに,今度は,米国において,γ鎖遺伝子がX染色体上にマップされ,X連鎖重症複合免疫不全症(XSCID)の原因遺伝子であるいうことが報告されました.われわれは,当時,染色体マッピングに感度のいいFISH法が確立していたことも知らずに,のんびりと結果を待っていたという訳です.γ鎖遺伝子の染色体マッピングが速やかにできていればと悔はありましたが,大変な驚きでした.IL-2機能不全による免疫異常は予想できても,SCIDとの因果関係は思ってもいませんでした.手にしたγ鎖を落としてしまった心境です.他人任せの共同研究は失敗するという教訓かも知れません.

 ご存じのように,最近,γc鎖を用いたXSCIDの遺伝子治療の成功例がフランスのAlain Fisherらのグループによって報告されました.正直言って,このように早く実現するとは意外でした.マウスでの研究成果を踏まえてからのヒトへの応用と踏んでいたからです.しかし,見事な治療成績です.早速,Fisher先生の助けを借りて,遅ればせながら日本でも試みようと動き出したところです.まさに二番煎じはできるけど,という声が聴こえてきそうです.しかし,γc鎖への思い入れがあるので,黙っていることができません.血液幹細胞への遺伝子治療を確立させていくためにも,早急に日本に導入すべきだと小児科研究室と組んで準備をしているところです.

 遺伝子単離から10年足らずで,γc鎖の研究は遺伝子治療への応用まで発展してきました.われわれのサイトカイン研究を今後免疫学領域のなかで,どのような方向へ発展させていくべきか,新たな岐路に立たされている現状です.これから模索しながら方向性を定めなければなりません.今年は,仙台において,免疫学会のお世話をさせていただきます.皆様方のすばらしい研究成果が数多く発表されることを期待しております.
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●そしてこれがフランスの遺伝子治療“医原性バイオハザード”に対する
 学術植民地的な対応―― (笑)

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厚生労働省・厚生科学審議会
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2003/01/s0120-3.html

連絡先 厚生労働省大臣官房厚生科学課
担当 赤川(3803)
広瀬(3807)
日向(3813)
電話 03-5253-1111(代表)
03-3595-2171(直通)
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平成15年1月20日
(情報提供)
厚生科学審議会科学技術部会
小児免疫不全疾患遺伝子治療臨床研究作業委員会・
がん遺伝子治療臨床研究作業委員会 合同委員会の議事概要
1.日時 平成15年1月20日(月) 15:00〜17:00

2.議事概要
 これまでに、フランスにおいて実施されていたX連鎖重症複合免疫不全症(X−SCID)に対しレトロウイルスベクターによりγc遺伝子を造血幹細胞に導入する遺伝子治療臨床研究において2例の有害事象に関する報告がなされている。本作業委員会は、国内で実施又は計画されているレトロウイルスベクターを用いた遺伝子治療臨床研究について現状を確認し、取り扱いについて審議した。
 審議結果の概要は以下のとおり。

(1) 東北大学医学部附属病院において、X−SCIDに対しレトロウイルスベクターによりγc遺伝子を造血幹細胞に導入する遺伝子治療臨床研究(フランスで実施された遺伝子治療臨床研究のベクターを用いたもの)は、フランスにおける2例の有害事象に関する報告を踏まえ、保留のまま据え置くこととしたとの当施設の方針について確認した。

(2) フランスにおける1例目の有害事象に関する報告を踏まえ、免疫不全を引き起こすADA欠損症に対しレトロウイルスベクターを用いてADA遺伝子を造血幹細胞に導入する遺伝子治療臨床研究に関し提出された北海道大学医学部附属病院遺伝子治療臨床研究実施計画変更報告書については、その後、フランスにおける2例目の有害事象に関する報告を踏まえ、再検討することとしたとの連絡が総括責任者からあり、当作業委員会として、この件について妥当と判断した。

(3) フランスにおける1例目の有害事象に関する報告を踏まえ、免疫不全症ではないが、乳癌に対しレトロウイルウベクターを用いてMDR1遺伝子を造血幹細胞に導入する遺伝子治療臨床研究に関し提出された癌研究会附属病院遺伝子治療臨床研究実施計画変更報告書については、その後、フランスにおける2例目の有害事象に関する報告を踏まえ、今後実施するものについては当面差し控えること、既に実施したものについては経過観察を続けており、異常は認められていないとの連絡が総括責任者からあり、当作業委員会として、この件について妥当と判断し、既に実施したものについては、関連する遺伝子治療臨床研究における有害事象の発生状況について患者に知らせるとともに引き続き慎重に経過観察するよう指示することとした。

(4) 上記有害事象に関連して、その他のレトロウイルスベクターを用いた遺伝子治療臨床研究についても検討を行い、既に実施したものについては、今後も慎重に経過観察を続けるものとし、今後実施するものについては、有用性と有害事象との関係において慎重に取り扱う必要があるものとされた


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●北大の「日本最初の遺伝子治療」は、アメリカの遺伝子治療製剤メーカーの
 人体実験の片棒担ぎで科学性のない危険な“お遊び”を行なったとも言えるほど
 ですから、ほめられたものじゃないのですけどね――

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サッポロタイムズ
http://www.sapporotimes.co.jp/kaigo/0216.html

ヒトゲノム
札幌最前線3
北大病院・国内で初の遺伝子治療

 日本初の遺伝子治療は一九九五年、北大病院で行った。アデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損症患者の治療だった。
 ADA欠損症は、免疫機能に関わるADA酵素を作り出す遺伝子が、生まれ付き正常でなく、重症複合免疫不全症(SCID)となる。ADA欠損症で生まれた子供は、感染症やがんなどにかかり、一歳前後で亡くなることが多い。治療方法は、骨髄移植、酵素補充療法、遺伝子治療とされている。

 日本初の遺伝子治療は一九九五年、北大病院で行った。アデノシンデアミナーゼ(ADA)欠損症患者の治療だった。
 ADA欠損症は、免疫機能に関わるADA酵素を作り出す遺伝子が、生まれ付き正常でなく、重症複合免疫不全症(SCID)となる。ADA欠損症で生まれた子供は、感染症やがんなどにかかり、一歳前後で亡くなることが多い。治療方法は、骨髄移植、酵素補充療法、遺伝子治療とされている。

 北大医学部の崎山幸雄客員教授は六年前、ADA欠損症の男児(六つ)に日本初の遺伝子治療を行っている。
 遺伝子治療の歴史は浅く、八〇年に米国のクライン博士が、イスラエルとイタリアでサラセミア患者に遺伝子治療を実施した。だが、この治療は失敗している。九〇年には米国のブレーズ博士らがADA欠損症患者にリンパ球を標的にした遺伝子治療を行っている。

 崎山氏は当時、ADA欠損症の男児にとって骨髄移植は危険性が高いと判断し、酵素補充療法で患者の免疫力を維持していた。だが、補充療法の予後は長期的な効果が予測しづらく、遺伝子治療に踏み切った。日本初の治療であったために、同氏は治療実施前に米国のブレーズ博士の元へ留学し、正常なADA遺伝子を細胞に運ぶレトロウイルスベクターの研究やADA遺伝子導入細胞の試験管培養、体内への導入方法など一連の遺伝子治療を学んできた。

 ADA欠損症の遺伝子治療は、正常なADA遺伝子を体外で患者の血液細胞に導入する。レトロウイルスベクターにADA遺伝子を運ばせて細胞に導入する方法をとる。その細胞を培養して増やし体内に戻す。

 同氏は当時、こうした遺伝子治療のほかに、骨髄の造血幹細胞へADA遺伝子を導入する方法を検討していた。幹細胞は寿命が長く、またあらゆる血液細胞に分化する。つまり、骨髄の幹細胞に正常なADA遺伝子を導入できると、骨髄移植と全く同じ効果を発揮すると期待されていた。

 ところが当時、造血幹細胞への遺伝子治療で成功例は世界にまだ無かった。厚生省(現・厚生労働省)は、幹細胞への遺伝子治療を認めず、酵素補充療法と臨床例のある遺伝子治療を併用するプロトコル(治療計画)に変更させている。
 崎山氏は、「遺伝子治療を受けた男児は現在小学四年だが極めて健康だ」と言う。遺伝子治療の後は、免疫機能を通常人の九〇%まで維持している。だが、現在も定期的に酵素補充療法は続けている。二者併用したプロトコルに従っているからだ。だが「その子は遺伝子治療だけで現在の体調を維持しているとは考えていない」と言う。正常なADA遺伝子を男児の全ての細胞に導入できた訳ではないからだ。

 日本初の遺伝子治療から六年がたつ。その間、九九年にはフランスで骨髄の造血幹細胞に遺伝子治療を行い成功している。同国の成功例を検討した崎山氏は「同じ男の子に第二の遺伝子治療を行う計画がある。一年以内に治療計画書を申請できるはず」と言う。第二の遺伝子治療とは、当然、仏と同じに骨髄の造血幹細胞に正常なADA遺伝子を導入することを指す。幹細胞を標的にした遺伝子治療が成功すると、難病とされた単一遺伝子病のADA欠損症がついに完治することになる。

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【写真】崎山北大客員教授は第2のADA欠損症遺伝子治療を計画している
http://www.sapporotimes.co.jp/kaigo/0216.jpg
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●今回の『サイエンス』に載ったアレン・フィーシェールの遺伝子治療
 “医原性バイオハザード”に関する調査報告の概略――


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SCIENCE誌(アレン・フィーシェールのSCID遺伝子治療から
      白血病が生じた事故の原因究明論文についての紹介文)
http://www.sciencemag.org/content/vol302/issue5644/twis.shtml

Defective Correction in SCID Patients

The successful correction of X-linked severe combined immunodeficiency by gene therapy unfortunately also led to the development of a leukemia-like syndrome in two patients. Hacein-Bey-Abina et al. (p. 415; see the Perspective by Williams and Baum) have now characterized the condition and identified the lymphocyte subsets involved and the site of integration of the retroviral vector. In both cases, integration occurred near the promoter of LMO2, a transcription factor responsible for regulating cellular proliferation and differentiation. The resulting up-regulation of LMO2 apparently stimulated unchecked clonal T cell proliferation

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SCIENCE誌(アレン・フィーシェールのSCID遺伝子治療から
      白血病が生じた事故の原因究明論文のレジュメ)
http://www.sciencemag.org/cgi/content/short/302/5644/415

LMO2-Associated Clonal T Cell Proliferation in Two Patients after Gene Therapy for SCID-X1

S. Hacein-Bey-Abina,1,2* C. Von Kalle,6,7,8 M. Schmidt,6,7 M. P. McCormack,9 N. Wulffraat,10 P. Leboulch,11 A. Lim,12 C. S. Osborne,13 R. Pawliuk,11 E. Morillon,2 R. Sorensen,19 A. Forster,9 P. Fraser,13 J. I. Cohen,15 G. de Saint Basile,1 I. Alexander,16 U. Wintergerst,17 T. Frebourg,18 A. Aurias,19 D. Stoppa-Lyonnet,20 S. Romana,3 I. Radford-Weiss,3 F. Gross,2 F. Valensi,4 E. Delabesse,4 E. Macintyre,4 F. Sigaux,20 J. Soulier,21 L. E. Leiva,14 M. Wissler,6,7 C. Prinz,6,7 T. H. Rabbitts,9 F. Le Deist,1 A. Fischer,1,5 M. Cavazzana-Calvo1,2
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We have previously shown correction of X-linked severe combined immunodeficiency [SCID-X1, also known as chain (c) deficiency] in 9 out of 10 patients by retrovirus-mediated c gene transfer into autologous CD34 bone marrow cells. However, almost 3 years after gene therapy, uncontrolled exponential clonal proliferation of mature T cells (with + or s+ T cell receptors) has occurred in the two youngest patients. Both patients' clones showed retrovirus vector integration in proximity to the LMO2 proto-oncogene promoter, leading to aberrant transcription and expression of LMO2. Thus, retrovirus vector insertion can trigger deregulated premalignant cell proliferation with unexpected frequency, most likely driven by retrovirus enhancer activity on the LMO2 gene promoter.

1 INSERM Unit 429, Cedex 15, France.
2 Department de Biotherapie Assistance Publique?Hopitaux de Paris, Cedex 15, France.
3 Laboratoire de Cytogenetique, Cedex 15, France.
4 Laboratoire Central d'Hematologie and CNRS Unite de Recherche Associee 1461, Universite Paris V, Cedex 15, France.
5 Unite d'Immunologie et d'Hematologie Pediatriques, Hopital Necker, 75743 Paris, Cedex 15, France.
6 Department of Internal Medicine, University of Freiburg, Freiburg, Germany.
7 Institute of Molecular Medicine and Cell Research, University of Freiburg, Freiburg, Germany.
8 Children's Hospital Research Foundation, Cincinnati, OH, USA.
9 Medical Research Council, Laboratory of Molecular Biology, Hills Road, Cambridge CB2 2QH, UK.
10 University Medical Center Utrecht?Wilhelmina Kinderziekenhuis, Utrecht, Netherlands.
11 Harvard Medical School and Genetics Division, Brigham and Women's Hospital, Boston, MA 02115, USA.
12 INSERM Unit 277, Institut Pasteur, 75730 Paris, France.
13 Laboratory of Chromatin and Gene Expression, Developmental Genetics Programme, The Babraham Institute, Cambridge CB2 4AT, UK.
14 Department of Pediatrics, Louisiana State University Health Sciences Center and Children's Hospital, New Orleans, LA 70112, USA
15 Medical Virology Section, Laboratory of Clinical Investigation, National Institute of Allergy and Infectious Diseases, Bethesda, MD 20892, USA.
16 The Children's Hospital at Westmead, Sydney, NSW 2145, Australia.
17 University and Children's Hospital, Lindwurmstrase 4, 80337 Munich, Germany.
18 Service de Genetique, Centre Hospitalo-Universitaire et Equipte Mixte INSERM 9906, Faculte de Medecine et de Pharmacie, 76183 Rouen, France.
19 INSERM Unit 434, Institut Curie, Paris, Cedex 15, France.
20 Department of Oncology Genetics, Institut Curie, Paris, Cedex 15, France.
21 INSERM Unit 462, Hopital Saint Louis, Paris, France.


* These authors contributed equally to this work.
These authors contributed equally to this work.
To whom correspondence should be addressed. E-mail: fischer@necker.fr

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Related articles in Science:

MEDICINE:
Gene Therapy--New Challenges Ahead

David A. Williams and Christopher Baum
Science 2003 302: 400-401. (in Perspectives) [Summary] [Full Text]


Volume 302, Number 5644, Issue of 17 Oct 2003, pp. 415-419.
Copyright c 2003 by The American Association for the Advancement of Science. All rights reserved.

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http://www.sciencemag.org/cgi/content/summary/302/5644/400

MEDICINE:
Gene Therapy--New Challenges Ahead
David A. Williams and Christopher Baum
The successful use of retroviral gene transfer to treat 10 patients with X-linked severe combined immunodeficiency (SCID-X1) has been welcomed as evidence of the therapeutic potential of gene therapy. However, as Williams and Baum suggest in their Perspective, the discovery that 2 of the 10 patients developed leukemia within 3 years of gene therapy (Hacein-Bey-Abina et al.) reinforces the need to develop even more specific gene therapy interventions.

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D. A. Williams is in the Division of Experimental Hematology, Cincinnati Children's Hospital Medical Center, Cincinnati, OH 45229, USA. E-mail: david.williams@cchmc.org C. Baum is in the Department of Hematology and Oncology, Hannover Medical School, Hannover, Germany. E-mail: baum.christopher@mh-hannover.de

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SCIENCE誌(アレン・フィーシェールのSCID遺伝子治療から
      白血病が生じた事故の原因究明論文についての解説記事)
http://www.sciencemag.org/cgi/content/full/302/5644/400

MEDICINE:
Gene Therapy-- New Challenges Ahead

David A. Williams and Christopher Baum*

Therapeutic gene transfer for treating certain human diseases, so-called somatic gene therapy, has had some limited successes (1, 2). Chief among these is the treatment of patients with X-linked severe combined immunodeficiency (SCID-X1). In a clinical trial, 10 SCID-X1 patients were transfused with a population of their own bone marrow-derived progenitor and stem cells transduced ex vivo with a retroviral vector carrying a transgene. The transgene encoded the common chain of the interleukin-2 receptor (c), the protein that is defective in these patients, leading to a compromised immune system. Of the 10 patients treated, nine showed clinically significant, long-term improvements in functional immunity for a disease that would otherwise be fatal (1). Limited alternative therapies, such as unrelated or haploidentical hematopoietic stem cell transplantation, offer lower correction rates with higher morbidity and mortality. However, as with all new therapies, side effects should be expected. On page 415 of this issue, Hacein-Bey-Abina et al. (3) report that the two youngest SCID-X1 patients receiving gene therapy have developed T cell leukemia due to insertion of the retroviral vector near the promoter of the proto-oncogene LMO2.

Previous studies in animals predicted that retrovirus-mediated gene transfer poses a potential, but remote, risk of insertional oncogenesis (4, 5). The surprising finding reported by Hacein-Bey-Abina et al. is the repeated occurrence of this side effect (2 out of 10 patients) and the independent insertion of the recombinant retrovirus at the same LMO2 gene locus (which encodes a transcription factor required for hematopoiesis). Until this report, retroviral insertion in the context of gene therapy has been considered an untargeted and largely random event.

Indeed, disease- and protocol-specific issues may have played an important part in the evolution of the T cell leukemias. The two young patients, aged 1 and 3 months at the time of gene therapy, received large numbers of genetically modified, undifferentiated hematopoietic cells, with each cell carrying a different vector insertion site. The c transgene carried by the vector encoded a potent antiapoptotic product that was expressed in an unregulated fashion. The young age of the patients, a theoretical expanded pool of target precursor T cells, and the initial presence of immune deficiency leading to selection and forced expansion of transduced cells may all be relevant to the higher than expected frequency of the insertional mutagenesis event and subsequent clonal dysregulation.

All gene-transfer methods that lead to integration of DNA into the chromosome carry a risk of mutagenesis. The integration of retroviruses, including lentiviruses, could lead to inactivation of tumor suppressor genes or activation of a proto-oncogene (see the figure). The former is likely to be of less clinical relevance because loss of heterozygosity (inactivation of both alleles of the tumor suppressor gene) is required for tumorigenesis to proceed. Activation of a proto-oncogene is potentially a greater risk because only one allele needs to be activated for tumor formation to be initiated. The physical and biological properties of the target DNA and the retrovirus life cycle appear to generate a preference for insertion in or near active genes (6, 7). Retroviruses can up-regulate cellular genes over large distances (more than 10 kb). Considering the presence of more than 100 proto-oncogenes in the human genome, oncogene dysregulation may occur in about 0.1 to 1% of all retroviral gene-transfer events (4). Thus, additional patients in this or other clinical trials may have been treated with cells carrying retrovirus-vector insertions near oncogenes even though the patients themselves have remained healthy over prolonged periods of observation (5).

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【図】Turning up at the wrong location. Mutagenesis through retrovirus insertion.
A retrovirus vector typically carries transcriptional enhancers (E), promoters (P), and polyadenylation signals [p(A)] in terminal repeats, a splice donor (SD) site, and a splice acceptor (SA) site. Insertion of a retrovirus vector into or near a cellular gene appears to take place preferentially in an accessible region close to the gene promoter (star) or in regions of transcribed nucleotides (wavy box). These types of insertions have the potential to alter expression of the cellular gene.

http://www.sciencemag.org/content/vol302/issue5644/images/medium/400-1-med.gif
[Spectral karyogram courtesy of B. Schlegelberger and C. Rudolph]

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The LMO2 gene encodes a transcription factor that is required for normal hematopoiesis. Aberrant expression of this factor has been implicated in de novo childhood T cell acute lymphoblastic leukemia. The insertional activation of this locus in two independent leukemias suggests an essential event that is required for the initiation of a malignant cascade. Such insertional leukemogenesis without widespread viral replication has been reported in only one mouse experiment (8). Given the lack of similar side effects in previous human trials and animal studies, a combinatorial process seems to be the likely culprit. Indeed, one cannot exclude the possibility that the potent antiapoptotic effects of the c transgene, leading to enhanced cell survival, may have conferred an abnormal proliferative advantage on some mature T cells. This possibility needs to be addressed in animal studies, particularly as introducing a selective advantage is key to the potential success of many gene therapy strategies.

In addition to the identification of disease-specific risk factors, there are three ways to limit the possible deleterious side effects of genetic interventions. The first is to develop vectors with improved safety profiles, including a reduced propensity for insertional "genotoxicity." The second is to define "safe integration sites" in the genome and to design integration vectors that are targeted to these sites. The third is to reduce the number of vector-exposed cells (and thus vector integrations) that are infused into the patient, for example, by correcting a very small number of stem cells ex vivo and genetically characterizing them before they are infused back into the patient. Molecular insertion site analysis, which uses the transgene as a tag to identify neighboring cellular sequences, is a powerful tool that should help with these three strategies (9). This technology is also crucial for determining the extent to which different types of integrating vectors are differentially attracted to particular areas of the genome (6, 7). Combined with functional studies, such investigations will provide an important basis for future development of the gene therapy field.

It would be unrealistic not to expect genetic therapies to produce side effects. Gene therapy continues to require informed use in controlled clinical studies with a clear consideration of the risks and potential benefits. Current vector systems may need to be modified, and additional efforts are required to better understand the biology of the diseases that are candidates for therapeutic genetic intervention. Together this information will enable risk classifications for specific vectors and transgenes, as well as assessment of the risk factors that are unique to each clinical trial. With this approach, the therapeutic potential of somatic gene transfer may be realized through the application of appropriate prevention strategies.


●References and Notes

1.S. Hacein-Bey-Abina et al., N. Engl. J. Med. 346, 1185 (2002) [Medline].
2.A. Aiuti et al., Science 296, 2410 (2002).
3.S. Hacein-Bey-Abina et al., Science 302, 415 (2003).
4.C. Baum et al., Blood 101, 2099 (2003) [Medline].
5.D. Kohn et al., Mol. Ther. 8, 180 (2003) [Medline].
6.A. R. Schroder et al., Cell 110, 521 (2002) [Medline].
7.X. Wu, Y. Li, B. Crise, S. M. Burgess, Science 300, 1749 (2003).
8.Z. Li et al., Science 296, 497 (2002).
9.M. Schmidt et al., Blood 100, 2737 (2002) [Medline].
10.Supported by the Deutsche Forschungsgemeinschaft (KFO 110) and European Union (QLRT-2001-00427 and QLK3-2001-01265) (C.B.) and NIH (HL53586) (D.A.W.).

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D. A. Williams is in the Division of Experimental Hematology, Cincinnati Children's Hospital Medical Center, Cincinnati, OH 45229, USA. E-mail: david.williams@cchmc.org C. Baum is in the Department of Hematology and Oncology, Hannover Medical School, Hannover, Germany. E-mail: baum.christopher@mh-hannover.de 10.1126/science.1091258


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●そしてついでに、アレン・フィーシェールの遺伝子治療“医原性バイオハザード”
 には日本の宝酒造も一枚噛んでいるみたいですね。タカラが宣伝しているこの
 技術は、医療のほかにも生物戦に応用可能かもしれませんね。

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http://www.takara.co.jp/news/2000/04-06/00-i-002.htm

細胞医療の世界的リーダーであるアメリカのNexell社と遺伝子治療の基盤造りを目指して提携2000年5
月9日


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 宝酒造株式会社(社長:大宮 久)のバイオ事業部門は、4月28日付で、細胞医療の世界的リーダーであるアメリカのNexell社(N社)の全製品を日本、韓国、中国、台湾において独占販売する権利を獲得しました。 また、遺伝子治療技術の世界的標準となっている当社が開発したレトロネクチン(RetroNectin)と、N社が開発したガス透過性の高いプラスチック製の細胞培養バッグを組み合わせた、臨床用の遺伝子治療技術を両社で共同開発する事にも同意しました。

●当社のバイオ研究所とNexell社が開発した技術を用いた遺伝子治療が、世界最初の遺伝子治療成功例となった
米国科学雑誌サイエンス4月28日号に、生後11ヶ月と8ヶ月の男児の免疫不全症に対する遺伝子治療の世界で初めての成功例が、フランスの研究者達によって発表されました。 この免疫不全症はSCID-X1と呼ばれ、サイトカインの受容体の遺伝子が変異を起こした結果、免疫に必須なT細胞やNK細胞が産生されなくなり、免疫不全で死に至る病気です。 したがって、この患者達は病気の感染を防ぐために、透明なカプセルのような中で居住し、常に外界から隔離された状態でしか生活は不可能であり、アメリカでは“Boy in a bubble disease”とも呼ばれています。
フランスの国立衛生研究所(INSERM)の研究者達は、レトロウイルスベクターに組込んだγC遺伝子を患者達の造血幹細胞に導入しました。 その際、通常の方法では遺伝子導入効率が低いため、当社が開発したレトロネクチン法が採用されました。 当社が開発したレトロネクチンを、N社が開発した気体を良く透過させる細胞培養バッグ(Lifecell, X-FoldTM)の内面をコートしておいた状態で、造血幹細胞への遺伝子導入を実行しました。 二人の患者は治療後約10ヶ月を経過していますが、特別な補助治療が全くない状態で普通の日常生活をおくっています。 数年前に報告されたADA(アデノシンデアミナーゼ)欠損症の遺伝子治療が成功例に挙げられることもありますが、欠損しているADAを常に投与しながらの結果であり、本例が本当の意味での最初に成功した遺伝子治療といわれ、CNNニュースなどをはじめ、世界のあらゆるニュースメディアを通じて報道されました。
当社は国家機関から正式な遺伝子治療の許可を得た臨床グループに対してのみ、当社が製造した臨床用レトロネクチンを無償供与してきています。 現在までに供与したグループは米、独、仏、伊、蘭、日の6ヶ国13施設にわたっています。

●Nexell社の細胞培養バッグをレトロネクチンでコートすると、遺伝子導入効率が飛躍的に増大する
気体の透過性が高い細胞培養バッグX-FoldTMの内面をレトロネクチンでコートしておいてから、造血幹細胞(CD34+)に治療用遺伝子を入れたレトロウイルスベクターを感染させると、その効率は、レトロネクチンがない場合の12倍に跳ね上がることが示されました。 この成果はアメリカ国立衛生研究所のマレック博士が、当社ならびにN社との共同研究で明らかにしたものです。 当社とN社は今後更なる共同研究をつづけることによって遺伝子治療用のシステムを改良していきたいと考えています。

●Nexell社の主力製品は血液細胞分離装置である
遺伝子治療を行う前に、標的となる細胞をすべての血液細胞の中から選び出す必要があります。 レトロウイルスをベクターに使って、血液細胞の根源をなす造血幹細胞に遺伝子を導入するためには、まずこの造血幹細胞を選び出しておく必要があります。 この操作はN社の分離装置“Isolex 300i”で抗体カラムを用いて行います。 この装置は医療用器具として臨床用にヨーロッパでは1996年に、カナダ、アメリカでは1999年にそれぞれ認可されています。 日本とオーストラリアでは現在申請中であり今年度中に認可される見込みです。
目的とする細胞を選択分離したものに、特定の遺伝子を導入して患者の体内に戻すのが遺伝子治療です。 遺伝子を導入しないまでも、造血幹細胞をそのまま白血球抗原の適合した患者に戻す治療がいわゆる“骨髄移植”または“末梢血幹細胞移植”と呼ばれ、悪性の白血病や再生不良性貧血や免疫不全症に対する有効な治療法となっています。 また選び出した特定の細胞を増殖させてから患者の体内に戻す治療なども考えられています。 上記の治療法はすべて体外細胞治療法とよばれています。

●この戦略的提携が意味するもの
宝バイオではアジアを中心にして遺伝子治療の商業化を狙っています。 今回のN社との提携は、この目的の達成のためには必須のステップです。 一方、今後遺伝子治療や末梢血幹細胞移植などを含めた細胞医療がますます拡がっていくと考えられ、Isolex 300iのような血液細胞分離装置の需要も増大すると考えられます。 付属している消耗品の販売を含めて5年間で30億円程度の売上げを期待しています。
なお、当社はレトロネクチンの物質特許と遺伝子治療に利用する応用特許を保有しています。


<Nexell社の概要>
社 名:  Nexell Therapeutics Inc.
代表者名: Richard Dunning
設 立:  1997年
所在地: 9 Parker,Irvine,CA 92618-1605,USA
従業員数: 約120人
事業概要: 細胞医療用の装置および消耗品などの製造販売

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