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わが感傷のベトナム旅行【東京外語会 青山保】『美しい昔』(ジェム・スー)の故郷を訪ねる旅
http://www.asyura2.com/0311/ishihara7/msg/256.html
投稿者 エイドリアン 日時 2004 年 1 月 09 日 00:13:09:SoCnfA7pPD5s2
 

[フーン川 対岸にティエン・ムー寺の7層8角の塔(1601年建立)を望む]
http://www.is-tours.com/japan/InterestingLandscapesVN.asp

■ ―東京外語会恒例の海外ツアーに参加して―

 ▼ 極限のバイクの排ガス
 「帰ってきたの?無事でよかったわね」2002年11月下旬、東京外語会ベトナムの旅(大阪外語同窓会も参加、総勢19名)を終えて成田空港からケータイで自宅に電話したとき、連れ合いが発した「お帰りなさい」の言葉だった。
 私にとっては30年ぶりのベトナムであった。第2次インドシナ戦争(いわゆるベトナム戦争)中の1970年代初め、新聞社の特派員としてサイゴン(現ホーチミン市)に駐在した。
 サイゴン赴任を命じられた当時は、日本の報道記者たちがつぎつぎと戦争の犠牲になっていたさなかだった。そんな戦地に行くのが怖かった。両親や妻子に「決して来て欲しくない」瞬間が来るかもしれないと諭して羽田を飛び立った。だから今でも妻にとっては「ベトナム」「サイゴン」というと、当時新聞記者の留守家族が強いられた覚悟がよみがえってくるのであろう。「無事に帰ってきたの?」には、平和な時代なのに、まだ30年前の国から無事帰任した夫を迎えるトーンがあった。
 「ベトナムは変わったよ」と聞いてはいたが、何もかも度肝を抜かれることの連続だった。季節はずれのスコールが襲ってきたホーチミン市タン・ソン・ニャット空港からホテルに向かうバスの窓から目にする市内は、往時からは想像もつかない様変わりであった。
 どの商店街も鮮やかな看板、店には商品が溢れ、町並みは整然として、戦時下の荒れて寂れた市内の面影は見出せなかった。
 道路には相変わらず「ホンダ」が代名詞になっているバイクが洪水のように走っていたが、乗っている者の大半が、バンダナなどでマスクをしている。バイクの量も騒音も何倍にも増え、排ガスが極限に達していると見た。

 ▼ 交流立国で賑わいが一層
 外語会海外ツアーの主目的が訪問先の海外支部との交流だ。だが、旅装を解いて直ぐホーチミン市内の海鮮料理店で催した懇親会には、残念なことに、 ホーチミン支部の本田浩一さんが出席できただけで、ハノイ支部から空路駆けつける予定だった方々も見えず、淋しい交流夕食会となった。
 ツアー2日目は空路、中部の古都フエに向かった。フエは私にも初めてだった。戦時下のベトナムでは観光などおぼつかなかった。雨空が、グエン朝の王宮や数々の帝廟の苔むす遺蹟に潤いを与えていた。崩れかかっている建物など、日本のODAで修復されつつあるそうだ。
 フエの夜は、郊外の海浜リゾートのホテルに宿泊。潮騒が子守唄代わりになりそうな渚に無数に建てたバンガロー群と広い庭はハネムーン向きのデザインではないか。開店後まだ1年とか。ホーチミン市といわず地方といわずベトナムの観光開発の意気込みが伝わってくる。
 夜明け前にホテルを出てダナン空港へ向かう専用バスは2時間ほど、海に迫る険しい断崖のハイバン峠を通った。有名な難所だ。峠から眼下に見る南シナ海も山頂もときに鮮明に、ときに霧でぼやけて定かでない。峠の名前のとおり(ハイ海・バン雲)の景色だった。
 かつて米軍機で取材に訪れたことのある一大空軍基地ダナンも今は平穏でこざっぱりとした空港だ。ホーチミン市に戻ると、空は抜けるような青さを取り戻していた。私の記憶にあるまさに乾季の熱帯の空だった。
 戦時下のサイゴンでは、目抜きの通りには前線から帰還した傷病兵たちで溢れていたものだが、今はレストランの前や観光スポットで外国人旅行客にしつこく付きまとうのは土産物売りたちだ。子供たちも多く、「安いよ。1ドル、2ドル」と日本語で呼びかけてくる。
 ツアーが遠出でホーチミン市から繰り出したメコン川の"水の都"ミートー、またツアー参加者の半数が訪れた高原の保養地ダラットでも、どこも観光施設のインフラがよく整備されていた。観光を中心とした"交流立国"へ力を入れているためだろう。
 さらにベトナムならではの観光資源もある。戦争時の記録写真や武器の残骸などを展示しているホーチミン市内の「戦争証跡博物館」や、南ベトナム民族解放戦線が戦闘と生活の拠点としたクチのトンネルなどだ。私がいたサイゴンから65キロの近さにゲリラの大トンネルがあったとは!観光で知って肝っ玉が縮んだ。

 ▼ 忘れられていなかったあの名歌

 三十余年前に私が事務所で使っていたサイゴン市の大地図と現ホーチミン市の同様の地図と比べて見ても大差はない。東京・銀座に相当する中心街ツドー通りがドンコイ通りに名前が変わり、市民劇場前は兵士の銅像が取り払われて市民憩いのスクエアになっていたが、大きな違いはあまたの高級レストランや立派なショッピングセンターの出現だった。 20階あるいはそれ以上の高層ビルが林立して、サイゴンのスカイラインが一変していた。ホーチミン市の摩天楼はもちろん新しいオフィスビルやホテル、フランス植民地時代に建てられた一流ホテルの増改築によるリニューアルなど。
 通りに植えられている街路樹もさすがにこの30年間に背が伸びていた。日差しが強かったドンコイ通りは生い茂った木の葉のトンネルの中で店が昼間からともすネオンなどの照明がまばゆかった。
 食事した大きなレストランは、どこでも歌舞音曲のサービス付きだった。ミートー市では小舟でわたったメコンの川中島でさえも、ニッパ椰子の屋根に土間の茶店で一休みしたところ、子供たち5、6人出てきてベトナムの俗謡を聞かせてくれた。
 ホーチミン市内のレストランで舌を巻いたのは、ミュージシャンたちがベトナム古来の弦楽器で演奏する歌曲の大半が「星影のワルツ」「酒よ」「花」など日本の歌謡だったことだ。
 外国人観光客の7、8割が日本人。店の中も日本人客で一杯だ。観光交流立国の立役者をもてなす精神からか。ベトナム歌謡風のアレンジなのが奇妙にエキゾチックであった。 一夜、ホーチミン市の波止場から客席が3階もある船上レストランに乗ってサイゴン川を上り下りした。例によって食事中は音楽攻め。演奏が中休みしたとき、若いバンドマンに語りかけた。
 「30年前、ここに住んでいたけど、その頃チン・コン・ソンというシンガー・ソング・ライターが評判でね。その悲しい調べのギターの弾き語りが反戦をあおるといって、禁じられもしてた。去年死んだそうだが、知っている?」
 「知ってますよ」
 「そうですか。昔ね、彼のこんな歌が私たち日本人の心も掴んだものだった。"ディエム・スア"(日本語曲名 "美しい昔" )という曲だけど」。
 小さな舞台の袖の陰での、私たち二人の会話だった。
 辺りは客たちのざわめき。下手なノドを聞かれる心配はない、と私は小声で歌いだした。日本語訳しか知らないから日本語でだが、彼は私に合わせてきた、むろん原語のベトナム語で。気持ちよく歌い終えた。予期せぬハプニングに私はときめきを押さえることができなかった。
 このあと船上でシャッターを押したメコン両岸の写真は20コマほど、帰国後現像してみるとすべてが二重写しになっていた。歌の興奮でカメラの操作を間違えていたらしい。
 チン・コン・ソンはベトナム統一後も一時、逆境にあったとか。しかし現在では、フエのガイドブック文芸欄に、同市出身の誇るべき音楽家として写真入りで紹介されている。
 この船上の歌の出会いで私のベトナム体験30年間の空白が一挙に消えた思いだった。ベトナムの世相は幾重にも変わったが、良い歌は生きつづけている。
 この発見に満足して私は帰国の途につくことができた。
http://www.path.ne.jp/~t-gaigo/09-2003-6.pdf


■ 『美しい昔』(Diem xua)
http://www1.linkclub.or.jp/~yaksa/trinhcongson/diemxua.ram
(歌:カイン・リー/作詞・作曲:チン・コン・ソン/訳:鈴木 康央)
          Diem(美しい)という名の少女への過ぎた恋の想いを歌った。

雨は降り続いて古い塔の上を濡らす
懐かしい君のひとみの輝き
秋の木の葉が雨に打たれて、小さいかかとを擦る
遠い道のりは目を遠くへと誘う
雨は降り続いて小さい木の葉に打ち当たる
雨が過ぎるのを待った午後
君の行った道に静かに木の葉が落ちる
不意に心が痛む
今日もまた雨が降るのに、君は戻ってはこない
心の痛みの中で懐かしみ、なぜ一緒になり、
心の傷を疼かせるのか
急いで帰ろうとする君の歩み
雨が荒波の様な人生に降り注ぐ
石碑が痛みを知らないとなぜ君にはわかるのか
広い大地に雨を降らせておくれ
いつかは小石が互いに必要とする時も来る
http://www1.linkclub.or.jp/~yaksa/dai1.htm


■ 『美しい昔』(NHK ドラマ人間模様『サイゴンから来た妻と娘』挿入歌)
http://ww35.tiki.ne.jp/~tukasa/mukashi.mp3
歌:天童 よしみ/作詞・作曲:TRINH CONG SON/訳詞:高階 真/編曲:島 健
http://www.teichiku.co.jp/teichiku/artist2/tendo/disco/ca11613.html

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