★阿修羅♪ 現在地 HOME > 掲示板 > IT4 > 283.html
 ★阿修羅♪
次へ 前へ
米Amazonの全文検索は“デジタル万引き”と同じ?  賛否両論が渦巻く【ITPro 記事)】
http://www.asyura2.com/0311/it04/msg/283.html
投稿者 クエスチョン 日時 2003 年 11 月 07 日 19:34:57:WmYnAkBebEg4M

[2003/11/07] 

米Amazonの全文検索は“デジタル万引き”と同じ?  賛否両論が渦巻く【ITPro 記事)】
http://itpro.nikkeibp.co.jp/members/ITPro/USURA/20031106/1/

 みなさんはもう米Amazon.comの書籍全文検索サービス「Search Inside
the Book」を利用されただろうか? 同社がオンライン販売する書籍のう
ち,12万冊以上,総ページ数3300万ページを対象とした検索サービスであ
る。

 これまでAmazonでの書籍検索は題名や著者名くらいでしかできなかった
のに対し,同サービスでは文字通り,本の中身の全テキストを対象に検索
できる(関連記事)。

 その目的は書籍販売の促進。利用料は無料で,もちろん日本のユーザー
でも利用できる。10月23日に始まったばかりだが米メディアなどを見てい
ると,すでに「書籍版Google」「真のリファレンス・ツール」といった言
葉で賞賛されいる。

 その一方で,出版社や作家などの間では懸念が広がっている。同サービ
スでは検索結果の一節だけを表示するのではなく,該当するページとその
前後数ページも閲覧できる。これで用が足りてしまう人がいるので,本が
売れなくなるというのだ。

 日本では書店などで本の中身をカメラ付き携帯電話で撮影する,いわゆ
る“デジタル万引き”が問題となっているが,それと同様の懸念である。
しかしAmazon.com社はそうは考えていない。逆に本が売れたと言っている。
はたしてどちらが正しいのだろう? 今回はこの新サービスについて検証
してみたい。

■特別な知識は一切不要

 サービスを利用するにはクレジットカード番号などの個人情報を登録す
る必要があるが,特別な知識はいらないし,難しいことは何もない。手順
を表示画面ごとに見てみると,(1)Amazon.comのトップ・ページで,通
常の検索ボックスに任意の単語を入力して,ポップアップ・メニューで
「Books」を選択,「Go」ボタンを押す。(2)該当する単語を含む書籍の
リストが表示される。その中で表紙の縮小画像の上に,「SEARCH INSIDE」
アイコンが付いているものが中身を閲覧できる本である。

 次に,その本のところにある「See more references to xxx in this
book」(xxxにはあなたが入力した検索語が入る)をクリックすると,(3)
その本の中で検索語が入っているページがリスト表示される。ここではペ
ージ番号と検索語の前後の文章の一節が表示される。ページ番号はリンク
になっているので,これをクリックする。

 (4)実際の本のページをスキャンした画像が表れる。本の中身そのも
のを閲覧できるのだ。さらに,画像の左右にある三角マークをクリックす
ると前後のページに移動できる。1つの該当ページに付き,該当ページと
その前後2ページずつ,合計5ページを閲覧できる。

■Amazon.comは気前良過ぎ?

 実際にあれこれ検索してみるとすぐに分かるのだが,手順(3)の画面
(検索語が入っているページのリスト表示)で該当ページがいくつも表示
される。1つの該当ページに付き計5ページを表示できるのだから,例えば
10の該当ページがあれば最大50ページを閲覧できてしまう。該当ページが
多ければ多いほど当然ながら閲覧できるページも増えるのだ
(SiliconValley.comの記事によれば1人のユーザーが1カ月以内に閲覧で
きるのは全ページの20%までという制限があるというが)。

 さらに(3)や(4)の画面には,「目次」や「索引」のページを閲覧で
きるリンクもある。これらをうまく利用すれば,目的のページが見つけや
すくなる。「Amazon.comは気前が良過ぎ。これでは顧客の本を買う気持ち
が薄れてしまう」という出版社/作家の文句がよく理解できる仕様である。

 New York Timesオンライン版の記事によると,米国の作家協会である
Authors Guildのスタッフが,単語を変えながら検索を繰り返したところ,
いくつかの書籍で,連続した100ページを閲覧・印刷できたという(掲載
記事:閲覧には無料登録が必要)。

 実はこうした懸念に対し,Amazon.com社ではいくつかの対策を講じてい
るのだが,それが有効かどうかについては少し疑問がある。

■対策は有効なのか?

 同サービスの最大の“功績”は,ユーザーに見せるページをスキャン画
像にしたことといってよいだろう。検索サービスを提供していることから
全文はテキスト化されているはず。しかし検索結果にはそれを表示しない
で,あえてスキャン画像を提供している。こうすることで,ユーザーは安
易にコピー&ぺーストできない。著作権侵害の手助けにならないよう配慮
しているのだ。それにしても1枚1枚の画像をスキャンするのは大変な労力
だったと思うが・・・。

 実はサービス開始の当初,Webブラウザ上で印刷が可能だったのだが,
11月1日以降はできなくなった(MercuryNews.comの記事)。具体的には,
Webブラウザから印刷を行った際,本のページ画像部分だけ表示されない
ようになった。ただしこれはスタイルシートでmedia規則を使ってそのよ
うに記述しているだけの話。何も特別な技術を使っているわけではない。

 ページ画像をユーザーのパソコンに保存されるのではないかという懸念
にも対処した。画像の保存やコピーをできないようにしたのだ。Webペー
ジを「名前を付けて保存」(あるいは「別名で保存」)することはできる
が、ファイルを開いてもスキャン画像の部分だけは表示されない。また画
像上でマウスを右クリックしてもコンテクスト・メニューは表示されない。
よってクリップボードへのコピーは不可。

 しかし,これについても特別な技術は使っていない。Windows版のIE
(Internet Explorer)でそのようなことができないようなJavaScriptを
記述しているだけだ。例えばOperaを使えばコピーは可能だ。Macintoshで
はIEでもSafariでもコピーやデスクトップへのドラッグなどができてしま
う。つまり,ブラウザで直接印刷できなくてもダウンロードは可能,また
パソコン画面のスクリーン・ショットを取ることもできる。ユーザーがパ
ソコンで保存したり印刷することはいとも簡単なのだ。

■犠牲者は誰?

 Amazon.com社は今後どのようにしてこれらの問題に対処していくのか明
らかにしていない。ただし,出版社などの要請を受けて,同サービスに適
さない書籍を対象から外していくという。これには詩集,料理本,旅行本
など,単ページあるいは数ページで1つの内容が完結してしまうものや,
大学の参考図書などがあるという。

 その一方で対象書籍を増やしていく計画もある。同社の発表資料によれ
ば,同サービスを開始して以来,新たに37の出版社がサービス参加の意向
を示しているという。また同じ資料で,サービスを開始して以来,対象と
なっている書籍の売り上げの伸び率が,非対象のものに比べ9ポイント多
くなったとも述べている(発表資料)。

 これは,あながちウソではないだろう。確かに利便性が向上したからだ。
この新サービスは,実店舗に対抗する同社の策として,自然な流れとして
出てきたものと思う。これまで実店舗で可能で,Amazon.comで不可能だっ
たこと,それは好きなように本の中身を見ることである。そこで同社は,
全文検索という離れ技を組み合わせてそれを可能にした。そうすることで
実店舗をはるかにしのぐ利便性が生まれた。「探している本も見つかるが,
探していなかった本も見つかる」(同社)というのは,すでに多くの人が
体験していることと思う。

 ただし,Amazon.com社がいくら売上げが伸びたことを証明してみても,
それで問題が解決したわけではない。前述のような技術的問題から,“デ
ジタル万引き”と同様のことが依然可能だからである。このサービスによ
って本を買う人も増えるだろうが,本を買わない人も増えると筆者は考え
る。前者はAmazon.com社を潤す。後者はAmazon.com以外の米国の書店に損
害を与える。そんな気がする。

◎関連記事
■米Amazon.com,販売書籍を対象とした全文検索サービスを開始
■Amazon.com,2003年Q3決算報告,売上高が前年比33%の8億5100万ドル
■米Amazon.comのWebサービスを新Officeから直接利用可
■Webサービスで販売チャネルを拡大する
■米Amazon.comが2003年Q2決算を発表,「値引きと送料無料サービスが奏功し前年同期比37%の増収」
■アマゾンが日本でもWebサービスを開始,外部サイトからの顧客誘導を強化 
■米Amazon.Com,2003年Q1の決算を発表,価格低下と送料無料で売上高が28%増加
■米Barnes & Nobleの2003年Q2決算,オンライン販売の赤字は減少
(小久保 重信=ニューズフロント)

■著者紹介:こくぼ しげのぶ
ニューズフロント社長。1961年生まれ。98年よりBizTech,BizIT,IT Proの「USニュースフラッシュ」記事を執筆。2000年,有限会社ビットアークを共同設立し,「日経MAC」などに寄稿。2001年,株式会社ニューズフロントを設立。「ニュースの収集から記事執筆・編集など,IT専門記者・翻訳者の能力を生かした一貫した制作業務」を専門とする。共同著書に「ファイルメーカーPro 職人のTips 100」(日経BP社,2000年)がある。

 次へ  前へ

IT4掲示板へ



フォローアップ:


 

 

 

 

  拍手はせず、拍手一覧を見る


★登録無しでコメント可能。今すぐ反映 通常 |動画・ツイッター等 |htmltag可(熟練者向)
タグCheck |タグに'だけを使っている場合のcheck |checkしない)(各説明

←ペンネーム新規登録ならチェック)
↓ペンネーム(2023/11/26から必須)

↓パスワード(ペンネームに必須)

(ペンネームとパスワードは初回使用で記録、次回以降にチェック。パスワードはメモすべし。)
↓画像認証
( 上画像文字を入力)
ルール確認&失敗対策
画像の URL (任意):
投稿コメント全ログ  コメント即時配信  スレ建て依頼  削除コメント確認方法
★阿修羅♪ http://www.asyura2.com/  since 1995
 題名には必ず「阿修羅さんへ」と記述してください。
掲示板,MLを含むこのサイトすべての
一切の引用、転載、リンクを許可いたします。確認メールは不要です。
引用元リンクを表示してください。