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もりまる(はじめに) ver2 (韓国の映画について、いろいろ)
http://www.asyura2.com/0311/lunchbreak2/msg/988.html
投稿者 乃依 日時 2004 年 3 月 23 日 01:07:58:YTmYN2QYOSlOI
 

http://www.bea.hi-ho.ne.jp/nishigaya/k-moviessub.htm

もりまる(はじめに) ver2

 人生に影響を与えるような映画に出会うことは、まれである。


 だが、誰しも多感な頃には、後に思い出したら馬鹿馬鹿しいような映画に感動して、人生が変わったりする。
 私も高校2年の時、その後の人生に甚大な影響を及ぼす、否、トラウマといってもいい、とんでもなく、ぶっとんだ作品にであってしまった。
 それは、性教育の映画2本だてだった。
 学校が山口県教育委員会主催で、「時計仕掛けのオレンジ」よろしく、強制的に見せたものだった。
 こういう映画に期待する人間がいるだろうか。
 私もまったく期待していなかった。
 どうせ、ありきたりの「もしキミの下半身が固くなったら、スポーツで発散しよう」といった、つまらないアジテーション映画だろうと思った。
 頭の中では早くも、夏休みに子供向けに図書館で上映される「セミの一生」のような、催眠映画の類がかってに先行ロードショーされていた。

 さて、幕が開くと、1本目は、寒いギャグを並べた作品であった。
 これはこれで、それを観た全校生徒にバカ受けだった。

 そして、この後、当時学級委員長を勤めるほど純真まっすぐに育ってしまったあわれな私の瞳に、こんな映像が映された。
 まず、地球の生物とは到底信じられないほど、不細工な女の子が登場する。
 まさか、こいつが主役とは、思いたくなかったが、どうやら話しの流れからするとそうだろうと分かった時の、私といったら。
 神様。
 どうか、二度とあんな残酷な仕打ちを、哀れな子羊に加えないでくださいまし。
 次に、おれが女だったら絶対に、鈴木ヒロミツとこいつだけは、相手にしたくないというほど、すさまじい形相の男が登場する。
 ストーリーからすると、二人とも高校生だという設定になっていた。
 男は受験勉強と言い訳しつつ、女の子のスカートをめくります。
 さあ、戦闘開始です。
 艦長、前方に巨大な障害物が!おそらく敵の新種のバリゲードだと思われます。
 落ち着け。ひるむな。ゆっくり攻めろ。よし、そこだ。ミサイル発射!
 
 そんなことばっかりしているから、母親に告白するはめになる。
 
 ねえねえ、ママ。ほめてほめて。子供できちゃったよ。ボク上手にできたよ。
 まあこのコったら、一人じゃなにもできないくせに。
 そうだよ、共犯者はこいつだよ。
 てな具合に、もうどうしようもなく強引にストーリーが展開する。
 
 この作品は、間違いなく我々のスクール・ライフを充実させてくれた。
 我々は駄作という言葉の代わりに、この映画のことを口にした。
 そして、このかわいそうな私を、B級映画への長く果てしない旅へと誘いたおしてくれた。
 神様、ありがとう。

 というわけで、以下の映画は実際に見るとあなたは私と違う感想をいだくだろうが、人間そうそう分かり合えるものではない。
 なお、韓国語のタイトルについては、まだ未入力である。すまんなあ。
ハラギャテイ(日本版あり)
男を不幸にする女
1998年製作 日本公開作品
監督:イム・グォンテク 主演:カン・スヨン チン・ヨンミユ・インチョン
ビデオ:日本語字幕あり ジャンル:時代ドラマ

 いきなり、一般的にも名監督の誉れ高い「イム・グォンテク」監督の作品である。
 韓国にはなぜか、こういう仏教もの映画というジャンルが存在する。しかも、まじめな作品が多い。ちなみに、いちおうキリスト教ものも、あるが、そっちはちょっとコメディっぽいのが多い。なんでかな。
 カン・スヨン主演。若い。女子高生の役をやっている。生意気そうな女をやらせたら、彼女の上を行く女優はあんまりいない。
 なんとも、ヘビーな映画である。色調も暗めである。
 ある日、女子高生の主人公は、担任の男の教師と旅に出る。教師には子供があったが、妻はいなかった。ある日、駅で二人は会って、気まぐれに女子高生は、教師の旅についていく。
 教師は百済の運命に同情したり、東学党で殺された農民の身になって生徒にガイドする。二人は宿の同じ部屋に泊まる。だが、夜は何も過ちを犯させなかった。
 闇の中で、教師は自分の妻の話をする。彼女は光州で銃弾に倒れた。彼女は詩人で、百済の運命と東学党で殺された農民たち、弱い立場の人間の抵抗を叙情詩にする夢を持っていたという。
 教師は、この旅行がばれて、学校を辞める。
 
 その後、彼女は仏門に入るが、仏教の教条主義的な部分に反発を覚える。
 独裁政権も庶民の抵抗も、それぞれが業を負っている。デモを繰り返す男子学生が自殺しようとしたところを救ったが、この男に惚れられ追い回される。
 人を救うこともまた業である。一切は空。一切は無。

 とまあ、こういう映画で強烈な印象を与えた女優が、その後次のような映画に出たわけだから、南無阿弥陀仏。

 
爛れた愛
離れがたい男と女
1996年製作 日本公開作品(文化院)
監督:イ・ミョンセ 主演:カン・スヨン キム・カプス
ビデオ:韓国語 ジャンル:ドラマ

 ある日、作家先生がひとめぼれした。
 相手はセクシーな独身編集者。たまごのようなつやつやの顔のカン・スヨンに思わず、「うーん。寝てみたい」。
 先生、雨宿りしていこうとホテルに連れ込み、ことにおよんでしまう。
 それが癖になって、もうサル状態。

 女と結合することしか考えられない。奥さんに隠れては、はめはめは。
 女がやっている雑誌の取材旅行と称して、ギャラまで貰って田舎ではめはめは。
 喧嘩して別れては、またまた、はめはめは。
 海辺で小説書きのカンヅメって嘘こいて、Hばかりしていました。そんなHなセイカツを小説にして、それをまた映画にしたのがこれ。
 という、聞くからにB級映画であるが、結構見せる映画である。面白かった。
 なんでかなあ。二人の仲は、別れてはひっついて、しつこくてしつこくて、うんざりしてくるけど、女優の魅力でぐいぐい観客を引っ張っていく。
 ちなみに韓国内でも一部の映画評論家から高い評価を受けている。女優次第でどうにでもなるタイプの映画。


 やっぱりカン・スヨンは最高だ。


従軍慰安婦
お笑い国辱映画の最左翼
1991年製作 日本未公開作品
監督:チ・ヨンホ 主演:カン・ヘジ カン・ヒョンスク ムン・テソン
ビデオ:日本語字幕あり ジャンル:戦争ドラマ

 偽善的な素晴らしいタイトルです。
 決して、この映画で従軍慰安婦の悲惨さに涙する人はいないと思う。
 私も爆笑したシーンこそあれ、同情心はまるでわかなかった。
 こういうヒサンなテーマにしたら、善良な市民が観てくれるぜっていう安易な発想がみえみえ。

 でも、韓国のオリジナルタイトルは「かあちゃんの名は朝鮮ピーだった」だ。日韓のタイトルでは差があるよな。
 せっかくの海外ロケだし、早く撮影して、あとはぱーっとやろうぜ。というのが主なテーマか。
 低予算の悲しさか、従軍慰安婦の相手は、フィリピン人だったのか!と誤解させてくれる。俳優の大半を現地調達したらしく、日本軍だけでなく、女性も主役級意外は、現地人。なにしろ、主人公にからむ準主役からして現地調達。
 この低予算な配役のため、観ていてストーリーを理解するのに、混乱してくる。
 どうでもいいが、従軍している韓国人の主役、顔が私の友人にあまりにも似ていて笑えた。
 見所は、フィリピン人の皇軍が「シンピン」など日本人には初耳な、韓国でしか通用しない日本語をたくさん喋りまくるところか。
 結局、伝えたいことはよく分かるんだけど、表現力がないんだよなあ。
 しかし、「朝鮮ピー」なんて知っているかフツー。日韓ともにだ。のりピーみたいなもんかと思わないか?ってそういや、のりピーって、まじで「海苔ピー」のCMでていたよね。ちなみに、意味は従軍慰安婦の蔑称である。
 なんてことは、ともかく。香港の名画「黒い太陽 731部隊」のような高い問題意識を期待して観てしまった私は、とてもカッカりしたね。

 蛇足ながら、「従軍慰安婦2」なんてのもある。香港映画だが。どうでもいいが、韓国でもビデオになっていて、タイトルは「挺身隊」である。これには、韓国内の挺身隊=従軍慰安婦という誤った認識が背景にある。
 小生、韓国映画だと思って、騙されて借りてしまいました。
 こいつは、みごとにごみのようなポルノだ。
 ポルノといっても、Hシーンで日本風の音楽が流れて、まるでアメリカのポルノみたいでしらける。
 日本人は、女と見れば言いがかりをつけて、たとえ日本人であろうと慰安婦にしていたそうだ。しかも、用済みになったら「マルタ(731部隊の人体実験材料のこと)」にしたそうだ。
 あきれました。戦争というのは罪深く悲惨なものですなあ。こんな、素敵な映画を後生の人に撮らせるんだから。
 

さいの角のように一人で行け
1995年制作 日本公開作品
監督:オ・ビョンチョル 主演:カン・スヨン シム・ヘジン イ・ミヨン
ビデオ:韓国語のみ ジャンル:友情もの
女たちの友情

 学生時代に出会った友人は、一生の友人という言葉がある。仲良し3人組の女の子たちは、同じ会場で同じ日に合同結婚式(統一教会ではない)をあげるほどの仲だった。やがて、彼らのうち、一人の子どもを交通事故で失う者がでる。またある者は、夫婦関係が冷え切っており、ある者は発狂してしまう。それからは、残りの二人の人生に、彼女の人生が割り込んでくる。
 韓国の女同士の友情のすさまじさがわかる。
 主演女優の3人がすばらしい。小説が原作の名画である。 


祝祭
あなたが韓国で死んだら
1996年製作 日本公開作品
監督:イム・グォンテク 主演:アン・ソンギ オ・ジョンヘ
ビデオ:韓国語 ジャンル:ドラマ

 作家の母親が死ぬ。
 いろいろやっかいな親戚が集まる。いろいろやっかいな行事を仕切る。
 一方で作家は、この頃、小説でおばあちゃんの死に接する少女の童話を書き始める。この童話が各シーンに挿入されます。
 これ見たら、韓国の葬式の専門用語に詳しくなれること請け合い。韓国で葬儀屋をやりたいあなたは必見です。
 最後、みんなでハイ・キムチ(ハイ・チーズの韓国語バージョン)。にこにこ笑って写真撮ります。
3人の友達
人生の新緑の頃 
1996年製作 日本未公開作品
監督:イム・スルレ 主演:イ・チャンウォン チョン・ヒソク キム・ヒョンソン
ビデオ:韓国語 ジャンル:ドラマ

 三人の煮え切らない青春を送る高校生が、卒業してから自分の夢を探したり、うまくいかなかったりする映画。
 簡単に挫折したり、立ち直ったり、若いっていいなあ。
 この映画に出てくる若者は、しらけてもいないけど、燃えてもいない、普通の若者で、そこがやけにリアルなんだなあ。

銀杏のベッド
これも料金に含まれていますか
1996年製作  
監督:カン・ジェギュ 主演:ハン・ソッキュ シン・ヒョンジュン シム・ヘジン
ビデオ:韓国語 ジャンル:アクション+ホラー

 ベッドの骨董品をやすく買った男が、ベッドに憑依した女の幽霊や、女の幽霊を追いかける男の幽霊に悩まされる迷惑な話。

 まさにIMF時代(ようするに、節約節約の時代)を迎えたかの国では、続発しそうなプロットである。

 そういえば、私も洗濯機は中古で買って、2ヶ月で壊れた。あれも怨霊のなせるわざだったろうか。そういえば、ゴミとして捨てられていたのを修理して使っている小さいTVには、うっすらと人の顔のようなムラが見えるが、あれもそうだろうか。あ、そうだ。昨日スーパーで夕方6時30分に半額に値引きになったから買ったテンプラにあたったのも、きっと怨霊のせいだ。

 明らかに香港ムービーを意識したとこがある。
 女優は見とれるほど美しく、まさに優麗である。
 「うーん、寝てみたい」

クソったれな日の午後
ああ、暑い。ああ、殺っちゃった
1995年製作 日本未公開作品
監督:イ・ミンヨン 主演:ハ・ユミ チョン・ソンギョン イ・ギョンヨン キム・ボヨン
ビデオ:韓国語 ジャンル:ドラマ

 もう暑くて死にそうだぜ。
 ふとしたことが重なって、殺人して殺人を隠そうとして大事件になる映画。
 みゃーみゃーぎゃーぎゃーうるさいこと、この上ない。うるさい女がたくさんでる。
 この映画、韓国ではヒットしたが、私にはうるさいばっかりだった。
ちぇんじ
大きくなった?国歌を斉唱すればいいんだよ
1997年製作 日本未公開作品
監督:イ・ジンソク 主演:チョン・ジュン キム・ソヨン イ・ギョンヨン イ・スンヨン
ビデオ:韓国語 ジャンル:ドラマ

 ちぇ・じんしるではない。チェンジつまり、交替だ。
 一言でいうと、転校生ってやつ。男と女が入れ替わっちゃったアル。こっちは入れ替わる前のことをあんまり知らないから、もともと男勝りの女と、女っぽい男なのかと、オモテシマウ。
 これの見本は映画の方じゃなくて、TV版の方だな。
 俳優がなかなかいい。日本では観月ありさだったが、あれよりも雰囲気がいいよ。豪華なゲストが客寄せパンダ的な脇役ででる。
敗者復活戦
美女と野獣医
1997年製作 日本未公開作品
監督:イ・グァンフン 主演:チャン・ドンジン キム・ヒソン
ビデオ:韓国語 ジャンル:恋愛

 たまには、ほのぼのしたラブ・ストーリーもいい。
 主演はとってもかわいい、キム・ヒソン。
 ある日、獣医が仕事から帰る途中、真っ赤なスポーツカーに乗ったイケテル若い美女(キム・ヒソン)から「乗ってかないー?」と声をかけられる。断る理由もない。
 途中で、市外へ車が向かう。「予定がある?」ないからドライブに付き合う。
 だが、女から聞かされた話にびっくり!なんと、獣医の彼女が浮気をしているんだそうだ。相手はその女の恋人だという。
 という、出だしの7分ですべての展開が読める、安心して楽しめるエンターテイメントに徹したプロの作品です。頭を使うコ難しい映画にうんざりしている人に。
 最後、獣医が、獣ならぬ美女を手なづけて終わります。ってわざわざ書かないでも分かるっての。だいたい、獣医の彼女より、キム・ヒソンの方がいい女だから、惜しくもなんともないっての。
接続
嘘から出たまこと 
1997年製作 日本未公開作品
監督:チャン・ユニョン 主演:ハン・ソッキュ チョン・ドヨン
ビデオ:韓国語 ジャンル:ラブ+パソ通

 韓国で日本の「(ハル)」に似ているという意見がでた映画である。
 どこが似てるかなと思ったが、主人公の女性の雰囲気かな。まあ、その程度にしか似ていません。
 女優が個人的に好みの顔。それに、女の子らしい嫉妬の表情や照れの表情が実に愛くるしい。たまんねえぜ。って、なんかおれの評論ってそんなんばっかしやな。
 映画のスジもいいし、ハンソッキュの演技も相変わらずはずさない。そういや、韓国での通信のイメージって日本よりいいよね。「ハッカー」なんていう歌手グループもいたし、JUJUCLUBにも通信を歌った歌があるし、ヤンパにもインターネットって歌があるし。
 どうでもいいが、日本では、ともちゃんがプロバイダーのCMやっているが、彼女がインターネットやるようにはどうしても思えないんすけど。
花びら
社会変革と犠牲
1996年製作 日本未公開作品
監督:チャン・ソヌ 主演:イ・ジョンヒョン ムン・ソングン
ビデオ:韓国語 ジャンル:ドラマ

 痴呆と思われる少女がいた。そこにつけこんで、男は少女を強姦する。ことが済んだ男は少女を追い払う。脅す。それでも、付いてくる。何回追い払ってもついてくる。殴る。蹴る。でもついてくる。
 ついに、男の住処までついてきた。それからは、毎日、酒によって殴っては、性欲の捌け口にするような慰み物にする。
 少女は時々、大声でなにかに脅えて発作を起こした。何を脅えているのか。何かの社会運動の映像がフラッシュ・バックする。具体的には光州の民主化運動のものであることがやがて分かる。そこで、少女は中年女性が軍隊の発砲によって倒れるのを目撃する。何度かの発作の際のフラッシュ・バックによって、その中年女性が彼女の母親であることが分かる。
 社会の底辺に生きる男と少女の心の交流を、圧政の時代のやりきれない雰囲気の基に描いてある。
 一般的な韓国人(光州以外の韓国人)が、光州運動の細かい背景を知るようになったのは比較的最近のことである。だからこの映画も、韓国内では遥か昔の出来事として受け取られはしなかった。
 しかしながら、この映画の主人公の少女の世代は、直接この運動を知っているわけではない。若い世代にとっては、この映画は非常にインパクトが強かったようである。
 ただ、日本人がこの映画を観るとき、社会的なメッセージよりも、人間が持つ、生きることへの否定しがたい意志を感じるだろう。この映画は、むしろ韓国の歴史などをハンパに知っている者よりも、知らない者のほうが素直に観れるかもしれない。
 光州運動というと、私などは「T.K.生」の世界誌での連載(といっても、岩波新書でずっと後に読んだのであるが)を思い出してしまう。岩波といえば、親北的な論説で知られるように、この連載は一貫して韓国の軍政を生き地獄のように描いている。
 確かに当時のマスコミは解説こそ、おおっぴらにはしかったかもしれない。しかし、デモがあって何人負傷者がでたということは連日報道されていたという。
 ソウルの街角で、偶然、旅行中だった私は、この映画のポスターを見たのだった。セピア色で、チマチョゴリを着た少女と、背景に小さく見える大極旗。
この美しいポスターにすべてが表現されていたと思う。 
 
桑の葉 1・2・3
艶笑むかし話
1985年製作=桑の葉
監督:イ・ドゥヨン 主演:イ・ミスク イ・デグン
ナ・ジョンオク
ビデオ:日本語字幕 ジャンル:ドラマ
1988年製作=桑の葉2
監督:イ・ドゥヨン 主演:カン・ムンヨン キム・ドンス イ・ムジョン チョ・ヒョンギ
キム・ソンス
ビデオ:日本語字幕 ジャンル:ドラマ
1985年製作=桑の葉3
監督:イ・ドゥヨン 主演:ユ・ヨンシル ハン・テイル イ・ムジョン
ビデオ:日本語字幕 ジャンル:ドラマ
1996年製作=桑の葉1996
監督:キム・ドンミョン 主演:イ・ユジョン チョ・ヒョンギ チェ・ジュボン チェ・ジョンウォン 
ビデオ:韓国語 ジャンル:ドラマ

 乱暴だが、まとめて書いてしまおう。どれも、ところどころちょっとだけ違った同じような話だったと思う。
 というわけで、私は『桑の葉1996』は旅行中のソウルで観たが、みんなストーリーを知っているので、これから滑稽なことをすることになる登場人物が出るなり笑うのだった。
 『桑の葉1996』の主人公は20代前半で、まだあどけなさが残る少女だったが、個人的にはほとんど同じ顔の知人がいるので、どうもその人を連想してしまって、いまいち映画の世界に入り込めなかった。ただ、濡れ場で夫婦愛を表現しようとしたシーンに関しては、踊りながら一体化するという体操演技を見ているような展開で、つい笑ってしまった。
 このシーンひとつでも分かるように、基本的に、お色気喜劇である。喜劇作品としても一級のシリーズだし、お色気シーンも、ところどころスゲーと思える。ソツがなく楽しめる。
 しかし、まー。とりたてて名画とは思えない。が、1と2と3は邦訳版があるんだよ。
 どうして、こういう映画はちゃんとビデオで邦訳版が出るのかなあ。日本でビデオ化されているのって、大半こういう、お色気映画じゃないかい。コリアン・エロスって言葉があるもんね。
 しかも、お色気に詳しい人によると(私も、たしなむ程度には詳しいかもしれないが)、たいしたことのない作品群で片づけられてしまう。
 だが、こういうジャンルばかり攻めてみるのも、また一興かもしれない。おれはやらないけど。
産婦人科
ある意味、ホラー映画
1997年製作 日本未公開作品
監督:パク・チョルス 主演:ファン・シネ パン・ウンジン
ビデオ:韓国語 ジャンル:ドラマ

 主人公の産婦人科の女医は、恐いくらい顔立ちが整っている。
 それもそのはず、コンピューターが弾き出した、理想的な美人であるファンシネだ。
 妊娠、出産を中心に描くという、ありそうで、あまり取り上げないテーマだけに、B級映画ファンには堪えられない1本。
 いろんな事件が、オムニバスのように過ぎていくが、それぞれ軽いめまいと、ある意味生理的な恐怖を感じさせてくれる。
 女は弱し、されど母は強しというが、妊婦は恐しという感じだ。
 それに、これは驚き映画だ。
 ネタをばらすと、せっかくこのHPを頼りにビデオを選ぶ人がいたら悪いので書かないが、まさか、あんなものをあんなところに入れるなんてなあ。とっても心臓に悪い。
アダダ
土曜の午後に一番似合わない映画
1987年製作 日本公開作品
監督:イム・グウォンテク 主演:シン・ヘス イ・ギョンヨン
ビデオ:日本語字幕 ジャンル:悲劇

 ほんとうに救いようのない、女の悲惨な人生を描いてある。徹底的に陰気な気分に浸りたい時、観れば、抜け出しようのないくらい暗い雰囲気に浸れること請け合いである。
 時は李朝の後期、両班の娘(日本でいうと、江戸末期の位の高い武家といったところか)に生まれた美しい少女。しかし、彼女は耳が聞こえなかった。
 いい縁談を探したが、同じ階級の家にはなく、人のいい庶民の家に嫁ぐことになる。しかし、この家ですら嫁の持ってくる金が目当てだった。
 やがて、男はまじめな働きのすえ、ある程度成功した。そして、ここからが地獄の始まりだった。
 これから彼女の人生にはたまに希望の光が見えることもあるが、それらはことごとく、べつの大きな苦痛の始まりだった。
 とはいうものの、部分部分では印象的なユーモラスな場面もあれば、人間の持つ根本的なやさしさに触れる場面もある。それがあるから、観続けられるわけだが。
 しかし、それらすら、結局は彼女の人生を変えるほどもものではなく、そういったシーンに登場する人々も意図せず、結局は、彼女を不幸のズンドコに叩き落とす悪役になってしまう。悪役と書いたが、よく考えてみたら、誰も悪くは描いていない。ただ、その時代の風習に忠実であろうとしただけに描いてある。だからこそ、いっそう救いのない話になっている。
 主演女優がまた、はまり役。
 さぞこういう不幸な身の上の女性はかくあったであろう、と思わせる強い説得力を持った、不幸を一身に背負ったような顔をしている。
 李朝時代の女性は人間ではなかった、というよく聞く言葉を実感できる、感動的な社会派映画。
 ああ、こうして書いている端から、また陰気な気分が侵食してきた。土曜の午後なんかに観てはいけません。
成功時代
サラリーマン賛歌
1988年製作 日本公開作品
監督:イ・ミョン・セ 主演:アン・ソンギ イ・ヘヨン
ビデオ:日本語字幕 ジャンル:コメディ

 アン・ソンギ主演のコメディ。
 ある成功指向の男が、日本でいう味の素のような会社で、売って売って売りまくり、出世して出世して出世しまくる映画。
 非常にテンポがよく、笑えるシーンが多く、一級の娯楽映画である。
 
 アン・ソンギの名声は広く世界に知られており、日本でも「眠る男」という映画に出演している。内容は眠るほどつまらないということである。私はまだ見ていないが、友人の話である。
ボーン・トゥ・キル
殺すために生まれて、即死した不幸な作品
1996年製作 日本未公開作品
監督:チャン・ヒョンス 主演:シム・ナ チョン・ウソン チョ・ギョンファン
ビデオ:韓国語 ジャンル:アクション+バイオレンス

 日本で公開される韓国映画には、確かに名画が多い。公開されず、ビデオだけで入ってくる場合は、セクシー映画が多い。
 このため、本作品のようなバイオレンスやアクション映画というジャンルもあるということは、意外に感じられるらしい。
 あるのだ。
 アクションの部分はともかく、バイオレンスというジャンルは、はっきりとある。しかし、なぜか理由は分からないが、あまり面白いものはない気がする。
 チェ・ジンシルは別格だが、私が好きな女優にシムナがいる。日本のカタカナで書くとシム・ウンハとなってしまい、間抜けな感じがするが、幅広い層に受けている女優だ。
 TVドラマでは「愛がために」「美しい彼女」「1・5」など、いい作品ばかり出ている女優である。どことなくさびしそうな顔立ちが特徴的である。
 この女優、ところが映画ではロクな作品に出ていない。
 最近公開された「8月のクリスマス」ではようやく、代表作に上がりそうな評価を受けているが、まだ私は観ていないのでなんともいえない。ハン・ソッキュが主演ということだし、病気でやがてこの世を去る男が、残り短い人生で恋愛をするというプロットからも、外した作品でないことは想像つく。しかし、観ていないものは評価できない。 
 脱線したが(これは、脱線しないと何も書けない作品につく枕詞である。これがつく映画評論の対象になる映画は、普通かそれ以下の映画が多い)、このシムナの主演映画ということで、つい観てしまったわけである。
 観るんじゃなかったと思った。
 せこい特撮。ぬるいアクション。ちんぷな台詞。ただただ意味もなく暗い、ボーリョク。どれをとっても、だめだめである。
 B級映画の評論では、女優のスタイルと露出度が大きな基準となる。そっちで観ても、シムナのふとももが観れるという程度である。
 一番の見せ場は、冒頭シーンのくり貫かれた目玉か。殺しただけでは飽き足らず、目玉を取り出してしまいました。
 よいこはマネしちゃダメだよ。
301 302
料理が好きなかわいい女
1995年製作 日本公開作品
監督:パク・チョルス 主演:ファン・シネ パン・ウンジン
ビデオ:日本語字幕・吹き替え ジャンル:推理+ホラー+友情

  拒食症の女と過食症の女が、マンションのとなり同士の住人という、いかにも面白そうな設定の映画。
 しかも、わざわざ日本で公開されたからには、つまらない映画であることは考えにくい。
 そうした期待通りに、映像的にも、音響的にも、スタイリッシュとしかいいようのない映画。
 女が料理を作る。男のために作ることの心理を、これほど説得力のある映像で描いた映画も珍しい。いや、これが中心テーマではないけれど。中心のテーマは、孤独な女の友情といったものか? 
 このような韓国の普通の映画が日本で上映されるとは、非常に喜ばしいことだ。名画やエロや政治とは関係のない韓国映画、そういう映画こそ、日本で上映するにふさわしいと思う。
 ファン・シネといえば、多くの人にとってはTVドラマ「シンデレラ」の姉役、私にとってはB級映画「産婦人科」の女医に過ぎない。そしてまた、こんなにも素敵な映画に主演してしまった。
 B級街道まっしぐらで、いい女優だな。
風の丘を越えて
韓国映画文化の土壌に花咲いた韓国文化映画
1993年製作 日本公開作品
監督:イム・グォンテク 主演:キム・ミョンゴン オ・ジョンへ キム・キュチョル
ビデオ:日本語字幕あり。韓国語 現題のタイトルは「西便制」 ジャンル:文化ドラマ

 韓国人の友人とタクシーに乗った時、二人で話をしていたら、運転手に韓国の方ですかと聞かれた。
 運転手は、映画が好きで、韓国の映画で一番感動したのは「風のなんとか」だといった。
 あの映画が韓国でどう受け止められたかという話をすると、運転手は意外そうな顔でバックミラーから覗き込んだ。
 韓国で若者が、自国の伝統芸能の存在に目覚め、パンソリのCDやテープが売れはじめたという話である。
 運転手はそれなりに、韓国の社会にも知識があり「韓国では自国の文化に国民すべてが誇りを持っている」ことから「韓国固有文化の知識も豊富」と思っていたようであった。
 日本には司馬遼太郎のエッセー「韓の国紀行」などに代表されるような、古い国、韓国というイメージがある。
 これは一面、確かにそうなのだが、反面、同時代の韓国の若者も日本の若者とそれほど、差はないという視点に気づきにくくしてしまう恐れがある。
 この映画は確かに面白いが、私にはいまいちピンとこない映画だった。やはり、私にとっての韓国は古くもなく新しくもないのだろう。
わな
息子は恋人
1997年製作 日本未公開作品
監督:キム・ソンホン 主演:チェ・ジウ ユン・ソジョン パク・ヨンウ
ビデオ:韓国語 ジャンル:サスペンス

 こんな面白い作品が観れるから、韓国映画はやめられない。
 母親と息子の関係が異常な家庭に嫁いだ、ある女性の話。
 端から観たら恋人同士にしか見えない母親と息子。
 一見ありがちなストーリーだが、優れて現実感がある。
 おどろくほど違和感がない。実話じゃないかと勘違いするほどだ。いや、今でも私は、実話を元にした話ではと疑っている。
 こういう話のドラマは東アジアだけかというと、けしてそんなことはない。私はフランスに旅行滞在中に似たようなTVドラマを観た。子どもの少ない国の間では、いうなれば、現代的なテーマなのである。
 たぶん、感情をストレートに出す国ならではの、周囲を憚らない態度がこのテーマにあっているからだろう。日本では感情を押さえた演技が普通だが、韓国の映画(ドラマ)は、日本人から観たらわざとらしいほどストレートに演じる。
 女同士の嘔吐を催すほど醜い争い。執念とも呼ぶべき母親の息子に対する溺愛。
 もう一歩で、日本のひと昔前の昼下がりののバラエティ並みに派手な演技で家庭内戦争が展開する。最高にスリリングな映画だ。

「ラブ・ラブ(Rub Love)」
芸術の時代の恋愛
1997年製作 日本未公開作品
監督:イ・ソグン 主演:アン・ジェウク イ・ジウン
ビデオ:韓国語 ジャンル:ラブ+SF

 時は2026年ソウル。

 なんでか知らないが中国が好きな殺し屋の女の子と、なんでか知らないがその女にひとめぼれした漫画家の恋愛を描いたウルトラ・ポップな作品。
 自分の好みの外見の女に、自分の好みの恋愛ストーリーを植え込みたい。そんな男のわがままな欲望は、2026年では不可能ではない。
 韓国映画の常識をいろんな側面から破りまくってくれる、突出してノーテンキなそれでいて映画的な造りはしっかりした作品である。
 主演の漫画家は韓国のキムタクといわれる(とはいえ、異常に狭い世界で呼ばれているだけのことだ)アン・ジェウクであるが、殺し屋の女の子はそれほど有名ではないな女優だ。
 こういう場合、だいたい単なるアイドル映画とみなされがちであるが、この作品は、そういう俳優に頼り切ったおざなりなレベルの映画ではない。
 キャスティング、セット、音楽、シナリオどれもすばらしいレベルだが、そのどれもがほどよいバランスで作られていて、不自然な感じがない。

 この映画の雰囲気は、殺伐という言葉が似合う。一見、誰もが誰もに無関心に見える。しかし、どこか現代とは違った形で他人に興味をもっているようにも見える。

 この女の子の殺し屋は、死のコーディネイターといった風情だし、主人公は漫画家、隣に住む男は彫刻家なのではないだろうか。これは、未来は芸術の時代であり、同時に超個人主義の時代であるということをあわらしているように思える。芸術というものは、基本的には個人主義的なものだが、芸術の表現は常に誰かの表現を模倣することから始まる。この映画には未来社会でやがて失われる個々人の絆は、芸術という形でつながっているという世界観が見える。

 監督は若干23歳の女の子だそうだ。べつにこういう情報を前面に押し出して宣伝していたわけではなく、私は偶然新聞で読んで驚いたのである。韓国映画はほとんど見ないし、SF映画にも興味がない、主に見るのはアクション(カンフー)ものということだ。なるほど。
 まだNYの映画大学3年に在学中だということだ。こういうぶっ飛んだ監督が増えてくると、韓国映画も私のようなマニアだけでなく、フツーに人にとっても面白くなるんじゃないか。後生おそるべしとはよくいったものだ。

  

娘、それは最後の恋人
1997年製作 日本未公開作品
監督:チャン・ギルス 主演:パク・クンヒョン チャン・ミヒ ホン・リナ
ビデオ:韓国語 ジャンル:生と死


 こういう単純明快なストーリーの映画を観ると、つくづく韓国人のメンタリティと日本人のメンタリティの大いなる違いを感じる。
 家庭を顧みないわがままな男が、ガンに罹ってから世を去るまでの数ヶ月を描いた作品である。
 よく、TVの2時間ドラマであるような話だ。(日韓どちらでも)
 それが、韓国特有の感情を押さえない演技(日本人から見た場合)で進行するものだから、日本人は妙にしらけてしまうのである。
 私も、なにもここでこういう演出しなくていいだろう、と気になったシーンが多々あった。韓国のドラマを日本のドラマ以上に多く観ている私ですらそうなのだから、フツーの日本人なら笑い出すのではないか?
 だが、この作品は実はそれだけで片づけられる映画ではない。
 というのが、この作品の真のテーマはおそらく次のようなことだと思われるからである。
 この映画は、いわゆる生と死を見つめた作品と思って観はじめると、途中で何か心に引っかかる特徴があることに気づく。
 それは、父親と娘の関係を、フロイトばりにわかりやすく説明した部分がサブ・ストーリーとして進行するからだ。つまり、父親にとって娘は最後の恋人ということである。娘自身もそうだが、娘の象徴として登場する女(ホン・リナ)は、際立って美しく(言動も、そこから連想される性格も)はかなく、それでいてどこか不思議な現実感を持ち、まるで夢の中の人物のような感じがする。この女は、あまりにも主人公の男にとって、都合よく登場する。この女の存在があるからこそ、この男の人生の最後は救いがあるのである。この女がいなければ、家族との和解もなかったかもしれない。それゆえ、はっきりとは描かれていないが、本当は男の最後の願いが生み出した幻想だったのかもしれない。
 
コルセット
フラレタリアートの密かな楽しみ
1996年製作 日本未公開作品
監督:チョン・バンカク 主演:イ・ヘウン イ・ギョンヨン キム・スンウ 
ビデオ:韓国語 ジャンル:コメディ?

 ちょっと太った女の子が、職場のプレイボーイに言い寄られてなびき、やがて捨てられる話し。
 太っていても、かわいいって、あなた言ってくれたじゃないの。
 いや、ボクは誰も愛したことなんかないんだぜ。
 え、嘘だったの。ひどい。私、あなたを愛していたのに。
 いやあ、たださ、君が職場で一番太っているだろ?だから、太った女ってどういうもんか試してみたくてさ。ただそれだけさ。
 もし、ここで映画が終わっていたら、結局、女は太っていたらダメなんだという救いようのない話しになってしまうが、そんな救いようのない映画ではない。
 結局は心根のやさしい男が彼女を見守っていました。という、ハッピー・エンドに終わるのだが、だが、その前にダイエットをしている。これが関係あったかどうかははっきりとは描かれていない。
 もっとも、オールド・ミスの話しとして受け取ってもいい。
 いずれにせよ、この映画で一番描きたかったのはたぶん、働く女は美しいということじゃないかと思う。女の子は下着メーカーのデザイナーである。そのデザイナーとしての姿と恋愛が中心に描かれる。恋敵は同時に、職場のライバルでもあったりする。また、恋愛論としては、無理して美しく見せるより(コルセットをつけて外見を繕うより)自然に振る舞ったほうが、恋はうまく行くという教訓が読み取れる。
 そういえば、チェ・ジンシルのTVドラマ「星は胸の中に」も、主人公の女性の働く姿をよく描いていた。
 韓国では、女性の職場の地位は日本と比べると、ひどく低いといわれる。韓国で働いた経験がない私には実感がないが、かの国について書かれた本ではそういうふうによく書かれている。国連の調査でも、毎年、アジア最下位であるようだ。
 ところで、私には4つ年上の姉がいる。
 この姉が読んでいた雑誌を見て「OL向けの女性雑誌って、なんでこんな、遊びとファッションしかないんだろね」と感想をもらしたことがある。姉は冷酷にこう言い切った。
「OLからその二つをとったら何が残るっていうのよ」
 ガーン。そうか、OLにはその二つしかないのか。
 そんな姉に送りたい1本。姉は韓国語は、ひとことも分からないが。いや、そもそも韓国が38度線の北にあると33歳まで信じ込んでいたという立派なお方です。

神の視点で眺めた売春婦の半生 
1997年製作 日本未公開作品
監督:イム・グォンテク 主演:シン・ウンギョン ハン・チョンヒョン チョン・ギョンスン
ビデオ:韓国語 ジャンル:ドラマ

 イム・グォンテク監督作品。
 幼い頃に故郷を追われたため、故郷の名前も知らず、本名も知らない女が、騙されて娼婦に身を落とす。
 その女の半生を描いている。
 女には蜘蛛の糸のごとく細い幸せのきっかけが、何度か訪れる。彼女の最大の望みは結婚することだ。
 しかし、何度も過去が原因で、男に捨てられる。
 主人公の女性に限らず、自分の人生の「理由」というものは全く描かれない。何か悪事を働いたり、愚かだったりしたから、そうなったというような理由付けがなされない。ただ、それぞれのシーンで人生の選択を行う人々の行動が淡々と表現されるだけである。これは、残酷というのとも違い、もっと突き抜けた感覚、いうなれば人間ではない何か別の生物が眺めた世界のような雰囲気を映像に与える。

 私はイム・グォンテクの作品を観ると、なぜか手塚治虫の漫画が思い浮かぶ。映画と漫画と表現方法は異なるが、描かれた視点には、どこか共通のものがあるように思える。また、イム・グォンテクのメロドラマを乱発していた時代を知らないので、ここ10年の作品数点から感じただけだが。

 手塚作品は、特に「火の鳥」を読むとはっきり感じるが、どの登場人物も、作者からすべて等距離に描かれる。
 彼らは人間とは見えず、作者の意図したストーリーに沿って、それ意外の動作を禁じられた、操り人形に見える。

 イム・グォンテクの作品にも、こうした点が見受けられる。
 いわば、人間の営みのどこにも偏らない、誰にも肩入れをしない神の視点で描いていく。どの登場人物にも感情移入することは難しい。
 自然と映画を観るものは神の立場で観るようになる。闇から生まれ、闇に消えゆくはかない我々よ。
 
ミスター・コンドーム
避妊を否認する男の物語
1997年製作 日本未公開作品
監督:ヤン・ユンホ 主演:キム・ヘス キム・ホジン
ビデオ:韓国語 ジャンル:コメディ

 スチュワーデスは男のロマンだ。

 しかも、韓国人男性の羨望の的、テッコンドーもばりばり強い韓国美人のキム・ヘスが演じるのだから、しんぼー、たまらんち会長。
 そのスチュワーデスと、同じく空港で働く絶倫男が結婚している。

 毎晩、楽しいフライトの時間です。ボクの操縦間を握ってごらん。
 いいわ。でも、今日は何色のコンドームにする?新型、試して見る?
 いやだよボク。ナマでしようよ。ナマでしようよ。
 実は男にはナマでしたい理由があります。

 そろそろ僕達も子供が欲しいよ。
 いやよ私。

 わがままな奥さんに隷従する男の、説得の日々が淡々と描かれます。時にはコンドームにわざと細工をしてまで、なんとかしたいという男の涙ぐましい努力が見るものの涙すら誘います。・・・いや、あきれるだけか。 

 映画としては、まあまあの佳作といったところ。
 だが、主演の二人が実に楽しそうにイタシテいて、夫婦セイカツはセイセイカツが基本という、あたかも結婚式のオヤジ・スピーチのような立派な思想が感じられる。

 ところで、去年3月にプサン郊外のしけたなんでも屋さん(クモンカゲ)でこの映画のブロマイドが大量にあるのを発見した。べつに、さしてHな内容でもないが、韓国のお子達にはショッキングといってもいい、ちょっとセミ・ヌードなやつもあったりした。
 タイトルがタイトルだけに、よい子が買うのは勇気がいると思うよ。
玉の湯
ダサイズムの究極
1997年製作 日本未公開作品
監督:クワン・ギョンテク 主演:キム・ウィソン パン・ウンヒ イ・ソクチュン
ビデオ:韓国語:原題は「おくすたん」直訳不可能だ ジャンル:ドラマ

 銭湯っていいね。気持ちがいいね。(ドラえもんの節で)
 あんなこと、こんなこと、いっぱいあるけど。
 みんなみんなみんな、映画にしょうか。
 映画にしーたら、きーっと、B級ー。
 おーんなの裸を、みーたいなー。
 はい、できました。

 というノリで一本撮ってしまいました。こいつあ、一本取られちゃったなあ。

 プサンの銭湯を中心に展開する人間模様。(当然、全編プサン語)
 裸、裸、裸。
 裸を出しておけば、少なくとも最低数の観客が動員できるだろう。そう、企画・製作者は考えましたとさ。(想像)
 韓国人の裸をたくさん拝みたい人だけには、お勧めだ。ただし、裸と言っても若い女の裸以上に、男や老女やコドモの裸が多いが。
 この監督はダサさを、尻、もとい知りつくしている気がする。ほとんどすべてのシーンがダサく、眠くなること請け合いである。
 たとえば、男が女湯に女装して潜入して逮捕される。女湯を除くガキがいる。脱衣室に現れるコソ泥がいる。すべての女の羨望の的になる、スタイルのいいロシア人女性(西洋人の象徴)が肉体を大開帳する。(ここ、弦楽曲が流れる)禁欲坊主が男の肌に欲情する。肥満死寸前に肥大化した肥満児が垢を親父に磨らせる。
 そのすべてが、ダサイズムの究極型といえるでしょう。ちなみに監督は新人だ。ある意味、すごい新人なのかも。でも、おれはもう、いいです。
 ただ、ほとんど終わりになって、一点だけ美しいシーンが唐突に現れる。主人公の写真家の女性が、服を着る途中で、浴場を幸せそうに眺めるシーンがそれである。この笑顔だけが突出している。あとは、アダルト・ビデオでの女優のおしゃべり程度の価値しかない。
悪い映画
精緻に構成されたドキュメンタリー風映画
1997年製作 日本公開作品
監督:チャン・ソヌ 主演:決められた俳優はなし
ビデオ:韓国語 ジャンル:ドキュメンタリー


 シナリオも俳優も何にも決めないで撮りました。ということを、表現するために「決められた音楽は、なし」「決められた美術は、なし」などと、いちいち延々とテロップを出して始まる。
 そういうドキュメンタリー風映画である。

 ところが、このウリ文句はあくまで演出で、実際は緻密に構成された作品であることが分かるようになっている。

 撮りはじめた動機も冒頭できちんと述べられる。ある日、ある少女の葬式に出る。火葬場で、死体が焼けるのを待っていて退屈したガキどもが、踊り始める。あいつらは、いったいどういう存在なのか?

 追った素材は基本的には、アウトロー達のようだ。また、アウトロー達について、彼らの周辺にいる市井の人々に語らせもする。

 つまり不良のガキ、チーマー、暴走族などの若者達。彼らが水商売のバイトをしたり、ケンカしたり、破壊して歩いたり、道で踊ったり、寝たりしている様がオムニバスのように撮影されている。
 それと、街でぼーっとしているルンペンなんだか、ただの暇な男なんだか分からない中年男達である。この中年男達の存在は、本でいうと「ディープ・コリア」で描かれているあの男達のようだ。
 そうかと思うと、街で讃美歌を唄っている健全な若者グループが撮影されたりもしている。
 編集のテンポがよく、いいタイミングで別の挿話に変わる。
 ドキュメンタリーにありがちな、間延びした退屈なシーンも少なく、1・2倍速でのフィルム回し、TVゲーム風のCGシーンなどの斬新な手法を用い、観客の目を引き付ける。俳優も使っており、本物のドキュメンタリーではない。手持ちカメラで撮影してライブ感を演出してもいる。
 面白い映画だとは思ったが、映画という表現方法の限界を感じもした。
 冒頭で述べられた撮影動機の答えは、私には結局は映像だけでは伝わってこなかった。
 この映画は何かと話題になった。不良のガキどもを撮ったということで、韓国内では問題視されたし、東京国際映画祭のアジア映画賞を受賞したりした。
 これは、相当に頭の切れる男が作った映画だと思う。「いい映画」とは言わないが、興味深い映画である。おっと、エンディング・テーマは「チャンポン・モクチャ(ちゃんぽんを食べよう)」じゃないか。
 なるほどねえ。ちゃんぽんか。
 こいつぁ、いいや。
おれんとこへ来い
金がないなら、おれんとこへ来い。犯してやるから心配するな。
1996年製作 日本未公開作品
監督:キム・ヨンビン 主演:パク・サンミン キム・ジョンヒョン チェ・ミンス オク・ソリ
ビデオ:韓国語 ジャンル:ドラマ

 あっしは、ムショから出て来たばっかりでげす。

 あっしのやくざな暮らしぶり、暇なあんたは見て下せえ。
 あっしのことをアニキと呼ぶかわいい弟分がおりやす。こいつでげす。こいつと二人、ちんぴらもんも結構、忙しいんでげすよ。そりゃ毎日、カツアゲしたり、レイプしたり、レイプしたり、カツアゲしたり、大忙しで。弟分が言うことききやがらねえときはぶったおすし。
 こんなあっしでも、かわいい女がおります。ええ女でげしょ。ええ声で泣きますでげしょ。夜の泣き声の方もええんでげすよ。げふ。
 あっし、こう見えて、心は腐ってませんでげす。女が犯されそうになっているのを見て、その男の野郎を追い払ってやりやした。いやいや、誉めてくださらんでええでげす。しっかり、お代は女のカラダでいただきやした。いやあ、気持ちええ女やったなあ。
 え、あんたもう行きなさる。いやいや、ええでげすよ。どなたさんも忙しいでげすから。さて、あっしも趣味と実益を兼ねて、ちょっくらその辺をうろついている女でも誘拐して、アオカンでもしますか。
殺人物語
いわゆる俳優主導型映画の限界
1997年製作 日本未公開作品
監督:ヨ・キュンドン 主演:ムン・ソングン ファン・シネ イ・ギョンヨン チョン・イダ
コ・グマ キム・ピョンホ
ビデオ:韓国語 ジャンル:ドラマ

 B級映画を作ろうとする人々が、なかなか意見が合わなくて空転ばかりしているというコメディ。
 主演の女優は、B級ポルノ女優(韓国語でいう、「エロ映画女優」)であるが、この映画でそのイメージから脱却を図りたい。
 監督は名作を撮ってあわよくば一発名作をとねらっている。男優は演技研究と称して自分の部屋を盗撮している。ようは、自分が部屋に連れ込んだ女とのベッド・シーンの研究ですな。
 こういった人々の想像する映画が、それぞれの頭の中で勝手に先行ロードショーされます。
 という、うまく行けば面白くなりそうなストーリーだが、実際は残念ながらB級映画になってしまっています。
 ただ、最後に数分印象的な映像が流れます。このファン・シネはいい。どうみてもいかがわしい女優なのに、一生懸命演じているという雰囲気を演じている。
 この劇中劇だけでも、観る価値はあると思う。まあ、機会があればね。
学生府君神位
飲めや歌えやの大宴会、人生は祭りだ(フェリーニ)
1996年製作 日本公開作品(文化院)
監督:パク・チョルス 主演:パク・チョルス パン・ウンジン キム・イル
ビデオ:韓国語 ジャンル:ドラマ

 ア・イ・ゴー、なんでお客はん、うちを残していかはりましたのん?アイゴー、きっとうちのせいやねんなあ。
 お客はんが「あんた抱いたら、わし10年、若返るんやけどなあ」って誘惑しはった時、いややわ、いうたからやねんなあ。
 などと、喫茶店の女の子すら泣きじゃくるという、一癖ありそうな男の葬式を題材にした映画。喫茶店の女の子といっても、韓国のソレをご存じないかたにはピンとこないと思うので、日本ではバーの女の子を想像してください。
 葬式の映画というと、日本の「お葬式」や韓国の「祝祭」が思い浮かぶが、雰囲気はそのどちらからも遠い。
 実際、私も自分が葬式に参列した時のことを思い出した。いろんな事件が多少の誇張的表現を交えて、リアルに描かれている。もっとも、韓国の葬式には参列したことがないので、そっちは分からない。たぶん、映画の中で描かれているユーモアの一部は、韓国の葬式を知らない人には分からないような性質のものだろう。というのも、映画を観ていた人の一部では受けまくったシーンでも、私は何がおかしいのかわからなかった時もあったからだ。
 私が一番笑ったのは、この文章の冒頭に書いたシーンから始まる宴会であった。喫茶店の女性3人を調子にのらせて、葬式参列者たちも悪ノリしまくる。登場人物の誰もが、なるべく生きることを楽しもうとすることが伝わってくるシーンであった。 
 見終わった後、人々のアイゴーという言葉が頭の中に反響しつづけていた。アイゴー、チュッケッター。
だるまさんが転んだ
韓国が日本に原爆を落とす日
1995年製作 日本未公開作品
監督:チョン・ジヌ 主演:チョン・ポソン ファン・シネ パク・クンヒョン
ビデオ:韓国語 ジャンル:推理

 原題は「ムクゲの花が咲きました」だが、韓国人がこの言葉を聞くと「だるまさんが転んだ」を連想する。日本のそれとまったく同じ遊びを指す言葉だからだ。
 この作品は同名の小説が原作になっていて、これは韓国でベストセラーになった。日本でも翻訳が出ており、タイトルが「ムクゲの花が咲きました」になっている。それでは、微妙なニュアンスが伝わらないと思うが、翻訳者としては「ムクゲの花」を愛国の象徴として表現したかったのであろう。
 私は原作の小説(翻訳)を読んでいたので、ここはイメージが違う!などとつっこみを入れながら観たが、映画として単体で観ても楽しめる映画である。
 これは原作が世界を股にかけているからだが、いろんな国が登場するし(実際にロケしたかどうかまでは不明)、いっぱい人が死ぬし、変に似た朴大統領や、ギャグのように似た金正日や、映像的なインパクトは強い。
 しかし、日本人がこの映画を観ると、情けない気分になること請け合いである。情けなさを通り越して、身体から力が抜ける。ダルな気分になる。
 日本が悪役として登場するのは、韓国映画の基本として、誤解しまくったようなセットや、エセ日本的な音楽や、日本人とは思えない名前の日本人や、韓国映画にありがちな下手な日本語が、その寂寞とした気分をいやがおうにも盛り上げてくれる。
 おまけに、戦闘シーンはエド・ウッドの「プラン9」ばりで、やけに几帳面に作ったコラージュ+CGで笑うにも笑えない。たぶん、米軍のフィルムに日の丸を合成しただけなのだろうなあ。
 なあ、おれたちのこと、嫌いでもいいから、少しは知ろうとしてくれないかな。
 嫌です。嫌いだから、知りたくもありません。
 そういうガンコな韓国人のストレートな感覚が、あなたの知らぬまに、深層意識の下に静かに浸透して来ます。
 だるまさんがあ。。。。転んだっ。
最後の試み
師のたまわく、四十にして立たず。
1998年製作 日本未公開作品
監督:キム・ジョンチョル 主演:トッコ・ヨンジェ ノ・ヒョンジョン パク・チュヨン ホ・ジュノ キム・ジュヨン
ビデオ:韓国語 ジャンル:壮年の危機

 中年が性の衰えを意識する時、彼に見える世界はどういうものか、という問題に真剣に取り組んでいる。
 正統的な映画の造りが、かえって中年男の意識を観客に擬似体験させることに成功している。
 最近、妻が色っぽくなってきた。でも、おれは妻を満足させられなくなってしまった。なぜか、精神注入棒が言うことを聞いてくれないのだ。それに反して妻は実においしそうに見える。いや、最近、周囲の女たちがみんな軒並み色っぽく見え始めた。みんな、食べてしまいたい。仕事場で女の着替えを覗いた瞬間、おれの血潮は下半身に集中した。おれは、息子を奮い立たせるため、金で買える女をホテルに呼んでみた。
 相手が変われば、できるかもしれぬ。
 だが、どうしたことだ。おまえというやつは!
 主人公が自分自身をコントロールできなくなったことが、世界をエロチックに変えてしまう。
 この映画を観た私は、年齢が中年までいたっていないので、実感は湧かないが、確かに身体が言うことをきかない状況というのはあるように思える。 
 この作品は、下世話になりがちなテーマをまともに扱った異色作である。予想に反して、非常に重い作品だ。性の衰えというテーマを超えて、生の、肉体の衰えというテーマをも描くことに成功している。
 男の拳銃というのは、複雑な装置である。裸の女がベッドに横たわっている。それだけで、実弾装填完了というほど、男の拳銃は単純にできていない。安全装置を外さなければ。
 この映画は、韓国のカルト・ムービーになるかもしれない。
 見終わった後、自分のネギ坊主に、「長生きしてくれよ」と話し掛けてしまう、そんな映画です。
 ちなみに、映画界の喜劇王チャップリンは生涯現役だったそうな。

 ヤッテ、ヤレナイコトハナイ。
ネオンの中に陽が沈む
キャリア女の哀しみ
1995年製作 日本未公開作品
監督:イ・ヒョンスン 主演:チェ・シラ ムン・ソングン
ビデオ:韓国語 ジャンル:ドラマ

 出版界から広告業界に転職し、出世していく女性の話し。この女性は演技派美人女優のチェ・シラが演じている。完成度の高い映画である。
 出てくる広告も本物の広告を見ているようなクオリティで、よくあるこういう映画で登場する広告のような、わざとらしさがない。
 ストーリーも説得力がある。俳優もよい。映像的にも透明感があって、美しい。
 だが、何か感想を言いたくなるかというと、何もない。
 ようするに、心の琴線に触れるものがない。私にとっては、そういうタイプの映画である。
 社会に出て、一度でも挫折を経験した女性であれば、この映画の主人公に感情移入もできようが、男である私にはそれもない。
 また、チェ・シラが自分で路を切り開く女性の役を上手に演じすぎているため、色気をほとんど感じさせない。チェ・シラと言えば、50歳の女性の役を演じても色気を感じさせることのできるほど、演技派の女優だと思っているが、その演技力が逆に災いしている格好になっている。
 ずいぶん昔に観た映画なのだが、映画の中のシーンが時々、ふと思い出される。それぞれのシーンは、非常に印象的だ。そして、美しいが色気を感じさせない女を見ると、この映画の中のチェ・シラを連想する。
ビート
現代的な映像ながら、テーマは意外にも義理と人情
1997年製作 日本未公開作品
監督:キム・ソンウ 主演:チョン・ウソン コ・ソヨン ユ・オソン
ビデオ:韓国語 ジャンル:バイオレンス

 義理を重んじ、義理に生きる若いチンピラとその彼女の人生を中心に描く、喧嘩シーンの多い、バイオレンスな映画。
 この男の高校時代の夢もチボーもやりたいこともないガキの時分から、物語はスタートする。
 清純派女優のコ・ソヨンが、ええとこのお嬢ちゃんから、男に伴い崩れていくという汚れ役をやっている。実はこの映画を観るまでは、顔しか好きな女優ではなかったが、こういう役もさらりとこなすようだ。
 チョン・ウソンの演技も、シャイな感じのチンピラという感じで好感がもてる。
 タイトルの通り、全編、ビートの効きまくったロケンロールでかましてくれる。シェキナベイベー。
 映像的にも斬新な方法を用い、(っていっても、今、流行の手法ではあるけれどね。フィールターの多用。手持ちカメラの多用とか)ロケンロールな、いかにもヤングにバカ受けしそうな映画である(だから、97年に実際にヒットした)。
 アイドル映画だと思って観たが、よくできた映画だと思うし、観ていて飽きなかった。ラブ・シーンも、最初は男が拒絶しているが、やがて自然に二人がひとつになって、良かったね。というリキの入ったものとなっています。
 ただ、いろいろ盛り込もうとして欲を出しすぎている点もある。男が義理堅いのは分かるが、その為に友人の夢に協力し、挫折するシーンなどテーマをかえってぼかしてしまっている気がする。
プアゾン
セックスは食事だ
1996年製作 日本未公開作品
監督:パク・ジェホ 主演:イ・スア パク・シニャン
ビデオ:韓国語 ジャンル:エロ

「ねえ?わたしとスル?」と男を誘惑し、男の金をスルという知的職業の女性と、まじめで堅実なタイプの男の出会いを描いている。女はその清純な美貌と、抱けば折れそうなセクシーな肉体を武器にしている。
 エロなシーンが満載だ。エロなシーンは、予想できないくらい唐突に出現する。エロ・シーンお楽しみ福袋という印象を受ける。しかも、あまり意味もない。全般的には、ダルな映画だが、そこだけは秀逸である。
 なにしろ主演女優はモデル出身で、この映画で主演するためだけに958倍の競争を潜ってきただけあって、ストーリーのダルさとはうらはらに、男であれば肉体のいち部分が我知らず映画に高い評価を与え、「部分的」には支持してしまいます。
 顔も綺麗だし、いい身体しています。ストーリーでは、刑事がヤラせることを条件に釈放してしまうほどです。
 特に後半は、ヤリヤリのみの印象が濃い。白目を剥いて男と同期通信をする女性の姿に、劣情以上に、あるいは恐怖に近い感情を抱くかもしれません。ともかく、独身者をターゲットにした実用本位映画のケツ作になっています。 
 また、一見たんなるエロ映画に見えて、実は性と人間社会に対する深遠な思想があるのではないかと思わせぶりな映画でもある。
 でも、ウリは明らかにHシーンにあるけどね。
 見て損はない映画。ただし、女優を見て劣情を催さなかったらゼロであるという点はあるも。
 

ユリ
意味の分からない印象的な映像。パク・シニャンが裸で走りまくる
1997年製作 日本未公開作品
監督:ヤン・ユノ 主演:パク・シニャン
ビデオ:韓国語 ジャンル:前衛

 前衛な映画である。
 お坊さんの修行における煩悩・苦悩を映像化していることから、しいて言えば、宗教映画になるのか。このお坊さんの役をやさ男のパク・シニャン(「手紙」のだんな役)が演じていて、ちょっと意外な感じがするが、顔の表情と演技には説得力がある。
 はっきりいって、何回観ても「分かった気分」になれない難解な映画だ。Hシーンも、ゲロゲロなグロいシーンも多く、おまけに、全体の雰囲気は陰気で、退廃的とくれば、気色悪いと感じる人もあるだろう。いや、私もそう思ったが、それ以上に難解という印象が濃かった。
 また、まじめな作品なのかと思って観ていると、ふざけた台詞やシーンも散見され、すかされた気分になる。
 学生だと、こういうの好きな人多いと思うな。前衛でありつつも、見せ場が多いというフランス映画のようなエスプリ満開な雰囲気が充溢しているし。
 どこか、蛭子漫画の背景に似た果てしなく広がる世界。
 前衛的で意味は分からないが、印象的な映像である。そういうところも、蛭子漫画的である。
因縁
お気楽極楽娯楽映画
1998年製作 日本未公開作品
監督:イ・ヒョンリム 主演:パク・チュンフン キム・ジホ
ビデオ:韓国語 ジャンル:コメディ

 気楽な娯楽映画である。 
 パク・チュンフンが、女という獲物を落としまくる、愛の狩人を演じている。その最後の標的になるのが、キム・ジホ演じるキャリアなOL。
 男は言葉巧みに、笑顔で女達に近づき、少々強引な方法で最後は必ず落としてしまう。
 そんな腰の軽い男が、キャリア・ガールと現実にはありそうにない出会いを経て、お互いにイヤなヤツと思うようになる。
 そこに女の親父が来て、結婚を迫るから、仕方なく偽装BFに仕立て上げるけど。
 なあんだ、いじわるは愛の裏返しなのね。。。というよくあるやつ。
 双方それなりに、トラブルを抱えていますが、凄惨な場面を体好く清算して結局は、ほのぼのモードに入ります。
 見所は、男が見込みミスでいたしてしまい、後に付け回されることになる執念女の存在。この女の眼には狂気が入っていて、まじすごく恐いです。とてもコメディとは思えないほど、恐いです。この女優で一本「わな」ばりの恐怖映画撮って欲しいです。
 台詞が気が利いている。細かいところで笑える。
 女によって、アクセス方法を変える、この男の話術はすべての男性のバイブルとなることでしょう。まさに芸術的なレベルにたらして、じゃない、達しています。
 また美人ばかり相手にしていることから、必然的に映像的にも濡れ場が多くなっています。やったね。パパ良かったね。
 最後に超流行歌「マンナム」が流れてほのぼのムードに拍車をかけます。
バイ・ジューン
気持ちの悪い青春映画
1998年製作 日本未公開作品
監督:チェ・ホ 主演:ユ・ジテ キム・ハヌル ハ・ラン ハン・ジユン
ビデオ:韓国語 ジャンル:セイ春

 ジュンちゃんサヨウナラってタイトルの映画。
 高校時代の仲良しグループ(韓国では珍しく共学である)のジュンちゃんは、お星さまになったんだよ。そのジュンちゃんの死にかこつけて、残された男女が、青春の苦悩をします。たまに、その苦悩を忘れるという大義名分の元にハメを外してハメまくる。
 いかにもB級ポルノなシーン満載だが、露出度は低い。だがとーっても退廃的な雰囲気にあふれているのである。このヘン、テクのある、すごい映画だと思う。
 むかし、うちで飼っていた愛犬タロウ君は、自分の小屋にメス犬をかこっていましたが、妊娠したら蹴たぐりを入れて追い出してしまいました。
 この映画でも、苦悩するバカい男が、内緒で赤ちゃんをおろした女めがけて、蹴りの嵐を降らせます。
 そんな時、彼はジュンちゃんを見てしまう。それまでにもジュンちゃんは、不良なおふざけをする度に彼の前に出現していたのだったが。
 おー。ジュンちゃん、久しぶりい。そっちはどうだい。
 ちょっと、さみしいよ。
 なんじゃ、こりゃ。と思いました。
 全体的に、夜のシーンが正常な映像で、昼のシーンはシャがかかってぼんやりしている。ナイト・クラブの騒々しさと、薄暗く不健康な雰囲気が全体のトーンとなっている。
 斬新でどこかシニカルな映像が、独自の思想を感じさせる。赤ちゃんおろすシーンなんて、医学的とも言えるほどドライだし、バカい男女の業を背負ってしまった生命の悲惨さを、シニカルな台詞やテクノな音楽が逆照射していて感動してしまった。気持ちの悪い感動であります。
 他にも何を考えているのか分からないような、不気味なシーンがいくつかある。またラップを映画にしたような、流れるような映像は一見の価値ありといえる。
 このノリで、老人福祉映画撮ったら、はまると思う。
 モク吸ってパーっとなっちゃってメガ・マート(巨大なスーパー)でふざけるシーンなど、呆けたじいさんの眼に映る世界まんまといった雰囲気があった。
 絶対、クールだと思うぜ。
 
モーテル・サボテン
HITEが飲みたくなる映画
1997年製作 日本未公開作品
監督:パク・キヨン 主演:チョン・ウソン チン・フィギョン パク・シンヤン イ・ミヨン
ビデオ:韓国語 ジャンル:ドラマ

 おしべとめしべが、ラブな行為をいたす安いホテルのお話。
 ほとんどの話しが部屋の一室で展開し、3組の男女が泣いて笑って結合する様を人間ではなく、味気ないオブジェのように映し出す。
 見終わった後は、それをいたすマシーンのように男女が交わる姿と、協賛のHITEビールのラベルが最も印象が深いです。こんな映画ですが、一部の評論家は絶賛しています。やっぱりそれも、HITE協賛なんでしょうか。
 昔、ソウル一人旅で、ミョンドン近くのホテルの、こういう雰囲気のとこに泊まっていたことがある。夜になると、アンアンアンとっても大好きー、な行為をする時の音が、隣の部屋から響いていた。
 はあ、ぺったんこー、ぺったんこー。餅つきの音。
 あの時のむなしい、情けない気持ちをほうふつとさせる。
 こんな作品だが、エンディング・テーマだけは、いいのが救いでした。
インシャラー
愛は砂漠を駆け抜ける
1997年製作 日本未公開作品
監督:イ・ミンヨン 主演:チェ・ミンス イ・ヨンエ
ビデオ:韓国語 ジャンル:ドラマ

 なんとなく雰囲気のいい作品である。ストーリーは劇画チックで、ナニであるが。
 砂漠の街アルジェを舞台にした、ゴルゴ13風の劇画を連想すればいい。そこに朝鮮半島の分断の悲劇が味付けしている恋愛とか、もろもろが加わったメロなドラマって感じだ。
 悪い輩と誤解され、出国許可が降りなかった、主人公の女。 
 そこに、ウリマル(母国語)を話すイイ男がご登場ときた。
 やった。助かったと思った女であった。
 この女は、愛らしい童顔だが、いい身体してそうなイ・ヨンエが演じている。で、本貫(一族の祖先)はどちら?と聞かれてソウルよん。と喜んで答えたが。男はなんと、北から来たと言った。がごーん。
 それで、まあ、いろいろあって、男は国から裏切られ、やけのやんぱちになる。祖国に絶望しつつ、女の逃避行を強力に手助けする。その内に愛の逃避行に変わってしまいましたとさ。
 ちなみに、韓国語とフランス語が同じくらいの比率の珍しい映画である。その他、英語、アラビア語(だと思うよ。よくわかんないけど)も使用するので、異国情緒満載だ。
 見終わった後、思わず砂漠が見たくなった。


緑の魚
惚れたが因果
1997年製作 日本未公開作品
監督:イ・チャントン 主演:ハン・ソッキュ ムン・ソングン シム・ヘジン
ビデオ:韓国語 ジャンル:ドラマ

 兵役を終えた若く正義感の強い男が、何の因果か女にひと目会ったその日から、恋の花咲くことになった。
 その女に歩調を合わせるため、やくざな世界に足を踏み入れ、思想的な広がりをもたらされるという話。
女はやくざの親分(とはいっても、ナイト・クラブを任されている小さい集団の)の愛人だったのだが、この親分の男気に触れて、女を目的とした熱い初心をそのうち忘れてしまう。
一時は女と懇意になり、愛の逃避行までしようと企てたりもしたが。
ついには、シマを荒らした野郎のタマをとってしまう。包丁でぐさぐさ刺しまくり、便所にホトケさんを隠す。もちろん、血痕は両手で水をすくって奇麗に隠さなきゃね。それから、故郷に電話をする。ここの表現は、実に情けなくてリアル。
やくざな世界を描くというよくある話(映画としては)なのだが、映像表現方法が面白くて何故かひきつける。俳優も台詞もセットも音楽も撮影もよい。ようするに、映画的によく出来ているまっとうな作品。
ラスト・シーンでは、故郷の家族の生活が描かれる。ここは、フツーの若者が、陥ってしまった地獄を逆に連想させ、映画の内容に深みを与えている。


バリゲード
外人労働者から見た韓国人
1997年製作 日本未公開作品
監督:イ・ソッキ 主演:ソン・チャンミン イ・ヘスク パク・チャンファン
ビデオ:韓国語 ジャンル:ドラマ

 外国人労働者2名、その他、洗濯屋で働く社会のテーヘンな人たちの生活を淡々と映し出している映画。
 というと、いかにも社会派映画のように思えてしまうが、そんなコムツカシイ映画じゃない。トゲトゲした関係(バリゲード)が改善されて、いつの間にか、ほのぼのして心が通いましたよ。バリゲード突破。良かったね。といった人情映画として十分楽しめる。
 外国人労働者を描いていることから、韓国人という民族が、外国人労働者の目から捕らえられている瞬間がある。そういう場合のかの民族の態度が、ある程度よく表現されていると思う。「韓国人は確かに親切だ。しかし、それは身内にだけ。その他の人間は、韓国人は人と見なさない」という、かの民族を評したイギリス人の言葉を思い出す。ただ、そういう部分を除いて観ると、確かにそれなりによく出来た映画だとは思うが、何か、物足りないところが残る。また、やけに古臭い雰囲気も、映画の内容とそぐわなく、現代の韓国という感じがしないのである。それは、時代がかった音楽のせいもあるかもしれない。
かわいそうな韓国人の主人公の境遇や、外国人労働者の若者のご苦労な心に感情移入していけると、いいのだろうが。
 それが出来れば、それなりに楽しめると思うが、私にはついにできませんでした。普通は感情移入できなくても、申し訳ない気分にはならないが、テーマがテーマだけに、つい謝ってしまいたくなります。
 ラスト・シーンは感情移入できていたら、涙もんなのでしょうが、私はわざとらしさを感じて、ドッチラケ(ド白けるという意味、いにしえの流行語)してしまいました。
 一体全体、韓国人は自分の母親に「さらんへよ(アイ・ラブ・ユー)」と言うものでしょうか。
 あ、あなたは、言いますか。謝るよ。ごめんなさい。この通りだ。

8月のクリスマス
何気ない日常に見出す感動
1998年製作 日本未公開作品
監督:ホ・ジンホ 主演:シム・ナ ハン・ソッキュ
ビデオ:韓国語 ジャンル:ドラマ

 死を身近に意識せざるを得なくなった男が、淡々とした生活の中で、何気ない日常的なできごとに感動を見出す。そういう静寂を感じさせるテーマに取り組んでいる。ほとんど事件らしい事件が起こらず、ただ男のやっている写真館の客との交流、少女のようなあどけない女性との淡い恋愛、家族との淡々とした生活などを描く事で、男のそれまでの半生が語られるように作られている。
 まるで、日本映画の叙情的な作品を観ているかのような、落ち着いた映像が全体のトーンになっている。
 台詞もこなれていて、どうってことない言葉に、この世界に対する主人公の愛しい気持ちが表現されている。
 私の愛する女優シムナが、主人公が最後に関わるあどけない女性の役をやっている。男が女に抱くひとつの理想が、そこにある。
 あの、永遠に純粋なるものという。そんな役には、彼女のピュアなイメージはマッチしていて、いいシゴトになったと思う。ファンも大喜び。若い女の子特有の、気まぐれでせっかちで、執心していても、いつも揺れている心があますところなく演じられている。でも、個人的には彼女の同僚のメガネの女の子の存在にも、ちょっと興味があったけど。
 余談ながら、主人公がスイカを食べるシーンがあるね。日本人はスイカに普通は塩をかけるが、韓国では砂糖をかける。
 というわけで、日本映画のようだとは言ったけど、そういう文化の小さな違いも、点在している。だから、たぶん韓国映画をあまり知らない人にとっては、この映画全体にどことなく違和感を感じることだろう。あまりに似すぎていると、かえって変に感じてしまうのです。

錦紅や!錦紅や!
短命な詩人の軽妙な一解釈
1995年製作 日本未公開作品
監督:キム・ユジン 主演:キム・カプス キム・スチョル イ・ジウン
ビデオ:韓国語 ジャンル:文芸

 李箱(イ・サン)という短命にして、高名な詩人がいる。
 時には小説家でもあったし、評論も物したが、その小説は散文詩のごとき様相を見せていて、時折ひどく難解になったり外来語(日本語含む)を混ぜて、インテリしか分からないように符牒を入れたりもする。
 この映画を観てから、おそらく下敷きになったであろう、小説を読んでみた。タイトルは「つばさ」であり、彼の27年短い生涯でもっとも安定した関係にあった錦紅という女との生活をつづっているとされる。(「つばさ」学院社・韓国)売春婦の妻と暮らす男の旺盛な探求心を、神経症のような微細な意識で描いている。
 しかし、映画の内容とはまたぜんぜん印象が違った。そこには、芥川のようなインテリぶった、その実、才能にあふれた(いや、あふれすぎた)沈痛な面持ちの男の横顔が見て取れた。(実際、韓国の芥川と呼ばれているらしい)
 さて、この映画。これはこれで、ひとつの李箱の解釈として、興味深いものだと思う。
 彼が残した詩と小説を数編しか知らない私には、まだ李箱の横顔すら見えてこないが、今までに私がそれらから感じたものとは、これはまったく違う。
 この映画には韓国人が芸術家に対して望むひとつのキャラクターが見て取れる。そしてまたこれはこれで、私が李箱に感じたのとは異なるが、魅力的な人物に描いてある。
 主演の李箱は、キム・カプスが軽妙に演じている。人の神経に障るような時に、もっとも人が神経に障るようにバカ笑いする。しかも、言っていることは正論でもあり、言い返しがたい。また、人生を楽しむコツを知っている。いつもユーモアを忘れず、女にもてる。こういう人物の生き方を、彼の親友の目から眺める。その視線は時として、羨望の眼差しであり、時としてただ無理解に呆れるばかりである。この親友がまた、李箱とはまったく異なる性格であるがゆえに、主人公の性格が際立っている。また、錦紅は「ラブ・ラブ」のイ・ジウンが演じている。こういうピュアな悪女を演じさせたら、なかなか絵になる女優だ。
 李箱は日本で没しているが、日本での生活は描いていない。たいそう悲惨な、打ちひしがれた滞在生活であったようだ。
 朝鮮総督府で、建築技師として社会人生活をスタートした李箱であるから、日本生活には大いなる希望を描いていたようである。日韓関係から見ても興味深い人物といえよう。
 映画の中でも、日本語で作品を書く事について冷やかされ、イヤミを言ってケンカになるシーンが出てくる。
 結局、履歴からして、絵になる人物であるともいえようか。

水上のひと夜
コリアン・エロスのニュー・ウェイブ
1998年製作 日本未公開作品
監督:カン・ジョンス 主演:イ・スンヒ、ユ・ジハ
ビデオ:韓国語 ジャンル:エロ

  場所はアメリカ。全編英語で、韓国語字幕の映画だ。
 ベイビーなどという、安易な源氏名の売春婦が一人。
 この売春婦、クラスは低いらしく、飲み屋のお便所で、お手軽におショーバイしている。まるで、コギャルが、カラオケ・ボックスで、マイクを肉のマイクに持ちかえて、援コーしている様を連想させる。
 地下鉄の駅で客引きしてたら、不精髭を生やした男が一人。
 女が「あ」とつぶやき、男が「い」と答え、そして愛が生まれた。
 HのあとにIがある。エッチしてから、愛しちゃったのよんらららんら。
 あんた、韓国人でしょ。ピンポーンってな具合で、二人はアレの具合でルーツを知ってしまう。そうして、アレ中心の二人のラブな物語が、やさしいタッチで丁寧にメイクされていく。
 この映画、とにかくラブをメイクするシーンが凝っていて、幻想的で、ソフトで、無意識の領域にしみいります。
 韓国(エロ)映画史上空前の、感じさせる映画といえましょう。笛みっつでございます。
 いいオンナ、いいオトコが出ているというだけでなく、行為をただ写すというだけでなく、繊細な表現方法で幸せなラブ(メイク)の世界を描こうとしている。象徴的なイメージ・シーンで、しばしば水が使われる。
 ああ、私もう、ぬれぬれよお。ぬれぬれのびしょびしょよお。びしょびしょ。
 フロイト的に解釈すれば、そういうことになる。
 またイタシテしまった。おれのフロイト解釈。
 主演女優は、世界的に有名なプレイボーイ誌を賑わした在米韓国人にして、モデルのイ・スンヒだ。韓国に来韓して、いろんなTV番組に出ていた。その時は、ほとんど韓国語だった。
 浅黒い日焼けした肌の上を、、ミルクを口からだらしなく垂らしたグラビアで、世界中の男たちのミルクを搾り取ってしまった過去があります。彼女は、インターネット史上もっとも有名なヌード・ギャル(だれがつけたキャッチ・フレーズだ)でありました。韓国内でもヌード写真集を発行していて、内容はよくは知らないが、オケケもオッケーというんで、すんごいらしいです。

ツー・コップ 3
女は弱し、されど婦警は強し
1998年製作 日本未公開作品
監督:キム・サンジン 主演:キム・ポソン、クォン・ミンジュン
ビデオ:韓国語 ジャンル:アクション・コメディ

 疑わしいやつは、ぜってえなんかやっているに違いないんだよ。容疑者の段階だろうが、なんだろうが、どんどん蹴り倒して連行すりゃいいんだよ。
 とばかりに、B級映画にありがちな、バイオレンス慣れしたワイルドな刑事と、やる気だけは十分な、頭の硬そうな新入りの、か弱い女の子のコンビの妙を楽しむ映画。
 強がってみても、女の子だもん。先輩刑事だけではなく、連行されて来た悪い奴らからもなめられまくる。
 おうーい、コーヒー(コピ)たのむ。こっちもコーヒーひとつ。おお、こっちも。こっちも。にっちもさっちも。おい、おれにもと、ワッパをはめた男にまでいわれて、おもむろに、ぶんなぐる。そして、鼻血(コピ)だ。おお、確かにコピだ。と、逮捕された男はつぶやく。
 韓国の、古典的なだじゃれギャグであります。
 このなめられているというシーンの、最低水準のギャグが、この女の子の情けない状況を偶然にも、よく説明してしまう。
 その後、約2分間ジムに通っただけで、ご都合主義的に一気に強くなる。
 という、日本でよくあるVシネマのような、期待さえしなけりゃ、それなりに楽しめるコメディ作品。俳優、ストーリー、音楽と、どれもそれなり。でも、内容とは関係なく、今のソウルの街並みが綺麗に撮れていて、つい見入ってしまう。ようするにカメラ・ワークが、いいんだな。
 ついでに、彼女からシャワー・シーン、入浴シーン、もひとつついでに激しいベッド・シーン等の視聴者のみなさまへ、ビッグなボーナス・シーンもご用意してみなさまのお越しをお待ちしています。
 観始めたころは、なんか、いまいちな女優だと思っていたが、終わる頃はラスト・シーンの混浴シーンで見せた肌に、思わずおれの銃が獣化してしまいましたとさ。

静かな家族
人を殺めて深まる家族の絆
1998年製作 日本未公開作品
監督:キム・ジウン 主演:パク・インファン、ナ・ムンフィ、ソン・ガンホ、チェ・ミンシク、コ・ホギョン、イ・ユンソン、チ・スウォン、イ・ギヨン、キ・ジュボン、チョン・ジヒョン
ビデオ:韓国語 ジャンル:ホラー・コメディ

 アメリカのB級ホラー映画のパロディのような、驚いて、怖がって、笑える作品。きっちり、怖くて笑える。
 ほとんどの舞台は、ペンションから移動しないし、出演者が全身の表情で語るところなど、演出に演劇を意識したところが、散見される。
 とある、家族経営のペンション(山荘)。ぜんぜん、客が来ない。
 登山客が目当てだったが、登山をする人々は、ただ通り過ぎていく。
 陰気な雰囲気のペンションが、ますます、殺伐としてくる。頭のおかしいオバさんが、ペンションに来てなにか叫ぶ。どうやら、このペンションには何かが取りついているように見えるらしい。
 ある日、中年男のお客様がいらっしゃる。ちょっと、変な客だ。家族がじろじろ見て珍しがるから客も変な反応を示したのか?などと思っていたら、翌朝、自害なさっておられた。ところで、財布がない。まずい。警察に届けたら、疑われるのはうちらだ。という安易な考えから死体を遺棄してしまう。
 次に、若いがアナクロなペア・ルックを着たカップル客が来る。彼らも、ひとしきりHした翌朝、睡眠薬を飲んでぐっすり永遠の眠りについておられた。もちろん、死体はきちんと片付けます。途中、男の方が息を吹き返しましたが、スコップで殴り殺しました。
 そんなこんなで、いろいろ事件があって、死体が山積みになっていく。
 彼らを山送りにする様をコミカルに描いている。小さな罪が大きな罪になって行く、そんな人間の業をお笑いにしてしまった作品。
 台詞や演技がおかしくて、すごく笑えるんだけど、笑うたびに何か心がすさんでしまう気になる。その理由のひとつは、死体や傷などの特殊効果がよくでき過ぎているからかもしれない。
 個人的には、お兄さん役の俳優が、すばらしいと思う。なにか言う度にやけにオカシイ。
 ところで、この姉妹は学校に通っていないのかな?それが一番ホラーだったりして。

土曜日、午後2時
君の瞳に乾杯
1998年製作 日本未公開作品
監督:イン・ピョンジン 主演:キム・ミンジョン、イ・スンヨン
ビデオ:韓国語 ジャンル:ラブ

 映画「カサブランカ」に憧れる、まだどこかあどけなさの残る二十代半ばの女のコ。映画を観ては「君の瞳に乾杯」とつぶやく。男なら誰もが守ってあげたくなるような、かわいい性格だ。
 いつか、こんな台詞を言ってくれる人はいないかしら。そんな夢見る彼女の職業と言えば、スリであります。
 ホテルの客にスリより、スリまくりです。でも、ホテルのボーイさんの間では、在日のお得意さんな娘さんとして、顔パスです。
 でもさあ、あんな固い発音の、文法的にもヌルイ日本語で、ナジェ、パレないのですか。ホントニ、在日タチニ対してシチュレイ、ジャないのですか。こんなん、アリなのデスカ。あーりらんありありらん、すーりらんすりすりらん。
 彼女は恋をしている。好きな男の部屋に、彼のいない隙に侵入。まるで「恋する惑星」のフェイを思わせる。
 一方、女たらしを職業にした詐欺師の男が登場する。対象者は絵画に興味のある女性たち。オーストラリアでお会いしませんでしたか?え、違う。私の友人にそっくりだったものですから。いやあ似ているなあ。あなたの存在は、まさにアートそのものです。などと、すけこます。
 男は女スリにも、目をつける。そして、「君の瞳に乾杯」。この言葉が決め手となりまして、二人は共同で事業を始めます。もちろん、窃盗の。
 男にも夢がある。オーストラリアで素敵な女のコと、あんなことやこんなことをいたすことだ。ちなみに、そこの映像では、背の高い西洋人の女のコが登場する。
 仕事上のパートナーが、人生のパートナーになるという、どんな職業でもよくある話ですな。君のハートを盗んじゃうぞ。
 最後に、2人は結ばれます。もちろん、場所はオーストラリア。
 君の瞳に乾杯。
 観終わった後、主演女優イ・スンヨンの可憐さと、オーストラリアの美しい景色(ほんの数秒なのだが)がなぜか頭に残る。ストーリー的には、まあよくあるやつだし、映像的にもさして言うことはないのだが。
本当にどうでもいいことだが、「カサブランカ」のこの「君の瞳に乾杯」という台詞だが、日本では誰でも知っているような言葉なのに、韓国人はあまり知らないようだ。
やくざ授業
韓国のやくざが日本で研修を
1998年製作 日本未公開作品
監督:キム・サンジン 主演:パク・チュンフン、パク・サンミン、チョ・ウンスク
ビデオ:韓国語 ジャンル:ドラマ

  韓国人のヤクザが、日本に留学に来る。もちろんヤクザなことを日本のヤクザさんから教えを乞いに。
 本当かどうかはしらないが、これは昔から聞くうわさである。日本のヤクザ組織関係の書籍をよく読むとたまに書いてあることもある。
 ほとんど、韓国語を知らなくても、話しのスジがばっちり分かる、珍しい映画である。
 日本人の役は大半は、日本人が演じていて、韓国映画には珍しく、まっとうな日本語だなあと感心した。
 のもつかの間、やはりところどころおかしな日本語の発音が聞けて、安心させてくれる。惜しいなあ。なんか、これに限らず、いろいろとツメの甘い映画である。韓国人の舎弟にしてくれと懇願した在日のヤクザ青年は、何故か韓国語も、日本語も、発音がおかしいし。ひょっとして、スパイなんじゃないか。あやしすぎだぞ。と、思っていたがちゃんと役を全うした。どうやら、それは私の深読みに過ぎなかったらしい。
 喜劇俳優として、私が尊敬しているパク・チュンフンだが、なんか、この映画ではいまいちなんである。精細が欠けていて、どこかまぬけな感じで、演技がダサいのだ。言葉が不自由だからなんだけど。でも、見た目もヤクザって感じじゃない。もしかして、そういう役作りなのかもしれないが。
 面白かったのは、そのパク・チュンフンがのどかな恋愛をする相手の日本人女性の存在である。なるほどなあ。韓国人が抱く日本女性のイメージが、よろしく映像化されている。いわゆる、ヤマトナデシコ七変化、じゃなかった、大和撫子というやつ。しかも適当に開放的で、この程度なら、あながち外れてもいまいと思う。
 韓国の女性に比較すると、日本の女性の美というのはそういうところにあるんじゃないかねえ。え、どこにそんな女がいるかって?君の周りにいないだけなんじゃないの。

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