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NSA、ヴァチカン、オプスデイ…気になる本「ダヴィンチ・コード」
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投稿者 アムリタ 日時 2004 年 6 月 24 日 15:35:10:phve3OdiRKKCY
 

ダヴィンチ・コード
http://www.kadokawa.co.jp/sp/200405-05/index2.html

著者インタビューより抜粋

■この本の紹介文には“過去二千年間で最大の陰謀”と書かれていますが、その陰謀とはどのようなものですか。

 それを明かすと読者の楽しみをすべて奪ってしまうことになりかねませんが、古今を通じて最も有名な歴史物語にまつわるものだとは言っていいでしょうね。現代でもよく知られている伝説です。何世紀にもわたって、美術、音楽、文学などなど、数えきれないほどの形でこの陰謀の噂はささやかれつづけてきました。最も劇的な証拠のいくつかはレオナルド・ダ・ヴィンチの絵画に見ることができ、そこには不可解な象徴、奇妙な事実、そして暗号が満ちあふれています。美術史家たちも、ダ・ヴィンチの絵には表に現れた図柄の下に隠れた意味がひそんでいるという点で見解が一致しています。
多くの学者が、ダ・ヴィンチは恐るべき秘密の手がかりを作品にわざと残したのだと考えています。そして、ダ・ヴィンチ自身も所属していたある謎めいた宗教結社が、その秘密を今日に至るまで守りつづけている、と。

■『ダ・ヴィンチ・コード』の着想はどこから得たのですか。

 物語のほうがずっとドアをノックしつづけていて、ようやくわたしがそれに答えたという感じですね。ダ・ヴィンチの絵に謎が隠されているのをはじめて知ったのは、スペインのセビリア大学で美術史を学んでいたときでした。数年後、『天使と悪魔』のためにヴァチカン記録保管所について調べていたとき、ふたたびダ・ヴィンチの謎と出会いました。そこで都合をつけてルーヴル美術館へ行ったのですが、幸いにもダ・ヴィンチの最も名高い作品の実物をいくつか見ることができ、また美術史家からも話を聞けたおかげで、それらの絵の不可思議な特徴の背後にあるものを深く理解できました。それを機に夢中になり、一年にわたって下調べをしたのち、『ダ・ヴィンチ・コード』を書きはじめました。

■この本に書かれている内部情報はどうやって手に入れたのですか。

 情報のほとんどは、一見そう思えるほど“内部”のものではありません。この小説で扱われている秘密は歴史を通じて書き継がれてきたもので、情報源は数千をくだりません。そのうえ、これにはわたしも驚いたのですが、歴史家のかたがたが専門知識を進んで提供してくださいました。ある学者は、『ダ・ヴィンチ・コード』に熱い期待を寄せる理由のひとつは、“この古来の謎をもっと多くの人にぜひ知ってもらいたい”という思いが自分にあるからだと教えてくれました。

■秘密結社に魅了されていらっしゃるようですね。

 秘密結社に関心を持っているのは、さまざまな経験に基づいており、ひとことでは語れません。もちろん、NSA(国家安全保障局)、ヴァチカン、NRO(国家偵察局)、オプス・デイといった組織を調べていくうちに、どんどん構想がふくらむのはたしかです。しかし、もっと根本的には、自分がニューイングランドで育ったことがきっかけになっています。この土地は、アイビーリーグの大学の秘密クラブ、建国の父である政治家たちが所属していたフリーメイソンの支部などに囲まれていたからです。ニューイングランドには、上流階級の秘密クラブや友愛会といった秘密主義の長い伝統があります。ロバート・ラングドン・シリーズの第3作(現在執筆中)はこうしたテーマを扱っており、史上最古の友愛会に深く関連したものになります。フリーメイソンの謎めいた秘密結社が登場するでしょう。

■この小説は女性にとって大きな励みになるものになっていますね。

 二千年前、わたしたちは男性神と女性神が混在する世界に住んでいました。現在は男性神ばかりです。ほとんどの文化で、女性はその霊的な力を剥奪されました。この小説では、そういった変化の原因や過程を説明するとともに、未来のためにどんな教訓を導けるかを考えています。

■この小説のテーマは議論を呼びそうですが、反響が恐ろしくはないですか。

 だいじょうぶです。前に申しあげたように、わたしが明らかにした秘密は何世紀にもわたってささやかれつづけてきたものです。わたしがひとりで考えたのではありません。たしかに、この秘密が一般向けのミステリー小説という形で広く世に伝えられるのはおそらくはじめてでしょうが、まったくの新説が提示されているわけではありません。『ダ・ヴィンチ・コード』が読者を楽しませるとともに、みなさんが知的探求の扉を開く一助となればと心から望みます。

■この小説で語られている歴史は学校で教わったものとちがうのですが、どちらを信じればよいのでしょうか。

 文字による記録がはじめられて以来、歴史を記してきたのは“勝者(敵に打ち勝って生き延びた社会集団や信仰体系)”です。こうした形の記述は当然偏ったものになりますが、現存する記録と照合することによってはじめて、教えられてきたものがどれだけ“歴史的に正確か”を測ることができます。わたし自身もそうですが、多くの歴史学者は、正確さを測るためにはまずおのれに非常に深く問いかけなくてはならないと考えています。歴史とされているもの自体がどれほど正確なのか、と。

■あなたはキリスト教徒ですか。

 そうですが、最も伝統的な意味におけるキリスト教徒とは言えないかもしれません。キリスト教徒とはどういうものかと3人に尋ねたら、三者三様の答が返ってくるはずです。洗礼を受ければそれでじゅうぶんだと感じる人もいるでしょう。聖書の記述は歴史的にも完全に正しいと確信している人もいるでしょう。キリストを自分の救世主と見なさない者はすべて地獄に堕ちる、と考える人もいるかもしれません。信仰はいわば一本の連なった線で、人はそれぞれ自分の段階に応じた地点にいるのです。信仰のようなあいまいな概念を厳密に定義しようとしたら、ことば遊びに終始して、明白な真理を見失ってしまう結果になりかねません。その真理とは、わたしたちのだれもが人生の大きな謎を解き明かそうとしており、啓示へ至るそれぞれの道をたどっているということです。わたしはいまも多くの宗教について学んでいますが、学べば学ぶほど、疑問は増すばかりです。わたしにとって、霊的な探求はこれからも生涯にわたってつづくことでしょう。

■『ダ・ヴィンチ・コード』に“反論”しようとする本や講演がにわかに増えてきたのをどう思いますか。

 増えれば増えるほどうれしいですね。この重要なテーマを精力的に話し合うほど、わたしたち自身の霊的な部分への理解も深まります。論争と対話は概して宗教に有益です。宗教の真の敵は無関心のみであり、熱心な議論こそ最良の対抗手段でしょう。

■なんらかの宗教組織に所属する人物がこの小説の執筆を支援したのでしょうか。

 ええ、宗教組織に所属する多数の人が執筆を応援してくれましたが、もちろん批判した人もいます。反対する人はたいがい厳格なキリスト教徒で、“イエスの結婚”をその神性を貶めるものと見なしています。この考え方にわたしは賛成できませんが、それ自体は重要ではありません。というのも、こうした対話こそが、関心のある人すべてを積極的に動かす力となっているからです。非常に多くの人が急に思想上の重要なテーマを熱心に議論しはじめました。それぞれがどのような結論を引き出したにせよ、それらの論争はまちがいなくわたしたちの信仰の理解に役立ちます。宗教組織の内部の人で、肯定的な反応をしてくださったのは、修道女のかたがたが多かったようです(全人生を教会に捧げているのに、いまだに祭壇の後ろでつとめを果たす“資格がない”と見なされているのをわたしが指摘したことで、感謝の手紙をいただきました)。何百人という敬虔な司祭のかたからもご意見が寄せられました。その多くが、小説に書かれている考えの一部には賛同なさらないものの、信徒が宗教について情熱的に話すようになったことに感動していらっしゃいます。それに関して、メンフィスにあるセント・ジョーンズ聖公会のジョン・シュウェル師は、新聞につぎのような説得力に富む文を近ごろ寄稿してくださいました。“この小説は脅威ではない。これは好機である。われわれは文化に創造的にかかわるよう呼びかけられたのであり、それこそわたしが望んでいることだ。わたしはダン・ブラウンに感謝すべきだと思う。この重要な問題について話す機会を与えてくれたのだから”。

■ご自分のことを陰謀マニアだと思っていらっしゃいますか。

 とんでもない。それとは正反対で、懐疑論者に近いですね。地球外生命体が訪れているとか、ミステリー・サークルとか、バミューダ・トライアングルとかの話や、大衆文化にひろがっている“謎”のたぐいは、まったく真実だと思っていません。しかし、『ダ・ヴィンチ・コード』に隠された秘密には、作り話だと切り捨てられないほどじゅうぶんな裏づけ史料があり、しかるべき重みもあります。

■これほど多くの情報を物語に織りまぜながら、どうしてこんなに軽快に話が進められるのでしょうか。

 多くの情報を盛りこみつつも簡潔にまとまったミステリーを書くのは、メープルシロップのキャンディーを作るのとよく似ています。何百本もの木に刻み目をつけ……樹液を入れた大鍋をいくつもいくつも沸かし……水分を飛ばし……エキスを閉じこめた小さなかけらになるまで煮詰めなければなりません。もちろん、そのためには、惜しみなく削除キーを使う必要があります。いろいろな意味で、自分で推敲に推敲を重ねることは作家として何よりも重要です。物語を水晶さながらの明晰さで読者の前に示せるまで、よぶんな文章を削りとらなくてはなりません。『ダ・ヴィンチ・コード』のどのページも、十回はごみ箱行きになりました。

■この小説は、どのくらい事実に基づいているのですか。

 小説に登場する絵画や史料や組織はすべて実在します。絵画や建物の写真は、美術書やわたしのウェブサイトで見られます。言うまでもなく、登場人物や筋立ては架空のものです。

■『ダ・ヴィンチ・コード』にはオプス・デイという宗教団体の活動を述べた個所がありますが、オプス・デイはこの小説にどんな印象を持っているのでしょうか。

 オプス・デイを公正かつ公平に描くために綿密な調査を重ねました。とはいえ、記述に不快を覚えている人は少なからずいるかもしれません。オプス・デイは多数の人々の生活にとって非常に大きな励みになっていますが、オプス・デイに加入したことがきわめてつらい経験になったという人もいます。小説内の記述は、オプス・デイを扱った十冊以上の本と、わたし自身が現会員や元会員を個人的に取材した結果に基づいています。

■あらすじを簡単に言ってもらえませんか。

 わかりました。高名なハーヴァード大学の象徴学者が警察によってルーヴル美術館へ呼び出され、ダ・ヴィンチの作品にまつわる暗号めいた象徴を調べるよう依頼されます。その学者は暗号を解読し、史上最大の謎のひとつを解き明かす手がかりを発見するのですが……追われる身となります。

■お気に入りの作家はだれですか。

 ジョン・スタインベックはその表現力ゆえに……ロバート・ラドラムはその構成力ゆえに……シェイクスピアは軽妙な語り口ゆえに。

■毎日の執筆に際して奇妙な習慣をお持ちだという噂を聞いています。ほんとうですか。

 それは何を奇妙と思うかによりますね。わたしはずいぶん朝早くに執筆しています。午前4時までに机に向かっていないと、最も生産的な時間を棒に振っているような気がするんです。また、年代物の砂時計を机に置き、一時間ごとに小休止して腕立て伏せや腹筋運動、簡単なストレッチをおこないます。こうすると血のめぐりが(頭のめぐりも)よくなるんですよ。ぶらさがり運動用のブーツも大好きです。頭を下にしてぶらさがっていると視点が一変して、構成上の難題を解決するのに役立つんです。まあ、たしかにどれもちょっと奇妙かもしれません。

■つぎの小説が出るのはいつごろですか。

 わたしの小説は徹底的な調査を必要とするので、書きあげるのに二年ほどかかります。つぎの小説ではまたロバート・ラングドンが活躍し(実は『ダ・ヴィンチ・コード』の話が終わったところからはじまります)、いまのところ2005年の夏に出版する予定です。


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