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投稿者 愚民党 日時 2004 年 1 月 24 日 02:43:30:ogcGl0q1DMbpk
 




  デーヴィッド・アイク 訳・本多繁邦 【究極の大陰謀】三交社
http://www.davidicke.com/


ブッシュ政権に集う悪党ども

コリン・パウェルとリチャード・アーミテージ。この二人は非常に近い関係で、現在の「テロと
の戦争」でも二人して国務省を率いているので、まとめて扱うことにする。ジョーシ・W・ブッシュは
コリン・パウェルを国務長官に任命し、パウェルがアーミテージを副長官に指名した。コリン・ルサー・
パウェルは、大部分のアメリカ人からある種の「戦争英雄」と見られていて、信用できる男と考え
られている。だが実際は、ブッシュ政権の他の連中と同じく、どこから見てもテロリストだ。

コリン・パウェルが「テロをやめさせる」必要性を説くのは、ビル・クリントンが貞潔をテーマに講
演するようなものだ。パウェルはブッシュ家を後ろ盾にキャリアを積み重ね、一九九一年に父ジョージ
とディック.チェイニーが湾岸戦争を始めたときには、統合参謀本部議長としてアメリカ軍を統率した。

二〇〇一年の初めにブッシュ親子とチェイニーとパウェルが再び合体し、ボーイ・ジョージを父親のス
ピーカー役とした段階で、アメリカが再び戦争に向かうのは明らかだった。

ブッシュが大統領に就任した二〇〇一年一月二十日、私は白分のサイト

(http://www.davidicke.com)

にこう書いた。


---------------
パウェルはブッシュ親子やチェイニーと同じ「血族」の一員だ。だから新国務長官になれたので
ある。この顔ぶれと彼らの精神構造とアジエンダとを考え合わせれば、この政権下でアメリカが再
び操られた戦争に突人しても、何ら驚くには当たらない。国民の心の中に、そんな行動を正当化す
る「怪物」が形作られようとしているのである。
----------------

私の言葉が現実となったのは、わずか数カ月後のことだった。


◎右肩上がりの悪行キャリア(イラン=コントラ、グレナダ、パナマ、湾岸)を重ねたバウエル

一九八九年、パウェルは父ジョージから、国防総省の統合参謀本部議長に任命された二当時五二歳の
パウェルは、史上最年少かっアフリカ系アメリカ人として最初の議長就任だった。在任中のパウェルは、
イラクだけでなく、パナマ、ソマリアなど各地での作られた「戦争」で、ブッシュ=イルミナティのア
ジェンダに奉仕した。

パウェル神話は多くの研究者によってすでに叩き潰されている。章末に挙げた(本訳書では省略)資
料や出典はほんの一部だが、それでもイラン=コントラ事件、一九八三年のグレナダ侵攻、一九八九年
のパナマ侵攻、そして湾岸戦争など、パウェルの重ねてきた国際人権法規違反やそれ以上の悪行の数々
が暴露されている。

しかしそれも、パウェルの親しい友人やパトロンの顔ぶれを見れば、なるほどと思える。父ジョージ
以外にも、キャスパー・ワインバーガーとフランク・C・カールーチの両元国防長官、リチヤード・
L・アーミテージ、ヴァーノン・E・ジョーダン・ジュニア、ディツク・チェイニーなどがいる。

ワインバーガーはイラン=コントラ事件で訴追され、大統領任期間際の父ジョージから恩赦を受けた。
カールーチは元CIAのナンバー2で、現在はブッシュとベイカーが牛耳るカーライル・グループの会
長だ。ディック・チェイニーについては今さら何も言うことはあるまい。

ヴァーノン・E・ジョーダンはビル・クリントンとモニカ・ルウィンスキーの友人で、エイキン・ガ
ンプの弁護士だ。エイキン・ガンプは、オサマ・ビンラディンの後援者でブツシュ・ファミリーのビジ
ネスパートナーでもあるハリド・ビンマフフーズやモハマッド・フセイン・アルアモウディを顧客にし
ている。

ジョーダンはエール大学やハーヴァード大学を含む全米五〇以上の大学の名誉博士号を持ち、ビルダ
ーバーグ・グループ、三極委員会、外交問題評議会、政治経済研究合同センター、ブルッキングス研究
所、フォード財団、アメリカン・エクスプレス、バンカーズ・トラスト、ダウ・ジョーンズといった
数々のイルミナティ組織と繋っている。

アーミテージについては、パウェル自身が白伝『マイ・アメリカン・ジャー二1』で、「私の兄弟で
あり、ボディガード」だと語っている。ジョン・ブローダーは『ロサンゼルスタイムズ』で、「パウエ
ルヘの各方面からのアドバイスは、かなりの数がアーミテージを通っている。したがってパウエルは、
本来ならばアドバイザーとなるはずの人々から孤立している」と書いた。要するに、パウエルとアーミ
テージはほとんど一体だということだ。


◎クン・サーの麻薬密輸に関わるもう一人のディック、アーミテージ

パウエルと一心同体と言えるアーミテージも、やはりブッシュ・ファミリーのクローンであり、腹心
の部下として父ジョージとロナルド・レーガンの政権に奉仕し、心底胸の悪くなるような活動に幅広く
関わってきた。アメリカ政府(=イルミナティ)のために、麻薬密輸や殺人チームやCIAの汚い計画
に関わったとして、アーミテージの責任を問う声は各方面にある。

元グリーンベレーの作戦大佐ジエームズ・「ボー」・グリッツは、ベトナム戦争での戦争捕虜が終戦後
十数年以上経っても勾留されているという声を聞いて調査してみた結果、一九九一年の著書「徴兵』
(ビデオ付)で、リチャード(ディック一・アーミテージの名前を挙げている。

パウエルの親友で現在は「テロとの戦争」を進める国務副長官のリチャード・アーミテージが、当時
黄金の三角地帯で国際アヘン取引をおこなっていた最有力「将軍」であるクン・サーとアメリカ政府の
主な仲介役だったというのである。


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政府がクン・サーが認めたような麻薬密輸を裏でおこなっていて、リチャード・アーミテージが
その中心メンバーだとしたら、戦争捕虜救出の努力が何度やっても不可解な失敗に終わったことも説
明がっく。……それが本当なら、アーミテージが戦争捕虜の生還を望むことなど絶対にないはずだ。
---------------


グリッツによればクン・サーは、一九八九年に供給したアヘンおよそ九〇〇トンはすべてアメリカ政
府が購入したと語ったという。五カ月後にビルマに戻ったグリッツに対し、クン・サーは、ビデオ・イ
ンタビューに応じ、一緒に仕事をしたアメリカ政府エージェントの名前を出すことに合意した(ただし
名前は以前の工ージェントのもので、その時点のものではないということだった)。

クン・サーによると、収穫アヘンの買い付け担当はリチャード・アーミテージで、フロリダ州のマフ
ィアのボスとして悪名高いサントス・トラフィカンテとも仕事をしたそうだ。

クン・サーが受け取った金は一トン当たり三〇万ドルで、アメリカ政府のエージェントがアメリカの
街角その他で売りさばく値段は、一トン当たり一〇〇万ドルになっていた。このようにしてイルミナテ
ィは、足のつかないところから秘密計画の資金を調達するのである。

グリッツは、当時の父ブツシュ大統領に接近して自分の発見を暴露しようとしたが、ブツシュは聞こ
うともしなかった。理由は単純、ブツシュ自身が深く関わっていたからだ。アーミテージが麻薬や武器
の密輸に関わっているという説を裏付ける人物がバンコクのアメリカ大使館にいるという話だったが、
その人物は当時の駐タイ大使モートン・エイブラモヴィッツによって解任されてしまった。

アーミテージの陰惨な行動を暴露するものは多いが、なかでも優れた研究をしているのは作家のデー
ヴィッド.ガイヤットだ。彼のサイトを見れば、ブッシュ、アーミテージ、CIAをバックに東南アジ
アに広がるコカインとヘロインのネットワークについて、包括的な記事を読むことができる。ガイヤッ
トは書いている。

---------------
見えないところで仮想戦争(バーチャル・ウォー)が進行中で、法務省とFBIは、
アーミテージを麻薬およびその他の
犯罪行為で訴追しようと奮闘している。司法長官のソーンバーグはブッシュ大統領が政治的に任命
した人物で、こうした動きに頑強に抵抗している。一方これも重要なことだが、アーミテージは大
統領直轄の組織犯罪委員会からも、連邦捜査官による調査を受けている。こちらは賭博と麻薬密輸
に関する海外での組織犯罪が焦点だ。

その一方で、アーミテージは「汚れている」と信じるある捜査官が、フランク・カールーチ国防
長官(現在はカーライル・グループ会長)その他の有カパトロンによって、捜査を断念させられて
いる。一九七五年にアーミテージがCIAの仕事でベトナムを回ったとき、カールーチはCIAの
ナンバー2だった。トップレベルからのさまざまな妨害により、アーミテージの犯罪活動について
の捜査は打ち切られたが、それでも集まった情報はかなりの痛手となった。

…集まった情報はかなり強力なもので、アーミテージは陸軍長官就任を始め、公式の政府ポス
トをすべてあきらめざるを得なくなった。それを受けて国防総省関係者は非公式ながら、アーミテ
ージは二度と国防総省の敷居をまたぐことはできないだろうと語った(代わりにコリン・パウェル
の国務省の敷居をまたいでいる)。

ベトナム地元民の間で「ミスター・ピュー(ミスター・リッチ)」と呼ばれたアーミテージは、
その汚れた経歴にもかかわらず、現在も政界パトロンの巨大権力を頼りに犯罪訴追を免れている。
過去三十年にわたるアメリカ政府の「汚れ」を知り抜いていることが、監獄行きを逃れる手っ取り
早い「免罪符」になっているのである。
--------------


◎ClA大量殺人チームでべトナム「フェニックス作戦」にも

アーミテージは一九八九年、父ジョージからの陸軍長官指名を辞退した。理由は、さまざまな退役軍
人組織がアーミテージの陸軍長官就任に反対し、認証のための公聴会に向けて、アーミテージの東南ア
ジアでの活動に光を当てた報告書を準備していたためである。また、アーミテージはセオドア・シャッ
クリー、トマス・クラインズとともに、ベトナムでの「フェニックス作戦」にも関わっていた。第二章
で述べたとおりこの二人は、東南アジアにおけるCIAの大量殺人チームである。

退役以来、CIAの真実を多少なりとも語ろうとしている元CIA将校ラルフ・マクギーによれば、
一九六六年から一九七九年の時期、フェニツクス作戦(別名「フーン・ホアン作戦」)によってベトナ
ム人数十万人がかり集められ、「尋問(=残虐な拷問)」のためにベトナム警察に引き渡された。フェニ
ックス作戦によって少なくとも数万人が殺されたが、その大半はまったくの一般市民だった。

一九七五年暮れ、アーミテージはバンコク郊外に勤務中だったと言われ、一九七六年から一九七九年
の時期にはシャックリー、クラインズ、そしてイラン=コントラ事件のリチャード・セコードとともに、
レイク・リソーシーズ、スタンフォード・テクノロジー・トレード・グループ、カンパニー・ド・セル
ヴィス・フィドゥシアリア、CSFインベストメント、ユーダル・リサーチ社といった数多くの企業、
子会社を世界各地に設立するのに関わったと考えられる。この時期のセコードはイランにいて、中東諸
国へ向けたアメリカの軍用機、武器販売の責任者だった。

石油と麻薬と政治のトップはいつも重なっている。アーミテージを陸車長官にできなかった父ブッシ
ュは、こんどはアーミテージを大使格の大統領特使とし、その肩書きで一九八九年、「経済開発」支援
のために旧ソ連へと送り込んだ。これはソヴィェト共産主義が「崩壊」し、カスピ海地域の石油天然ガ
ス支配をめぐる争いが始まったばかり頃のことで、アゼルバイジャンを含めた新たな麻薬ルートが組織
されつつあった時期だ。ちなみに、アーミテージのいたアメリカ合衆国アゼルバイジャン商工会議のメ
ンバーには、もう一人興味深い人物がいた――ディック・チェイニーである。この二人は、同じくイル
ミナティ機関として私が以前の著作で取り上げたアスペン研究所という「シンクタンク」のメンバーで
もある。

また、アーミテージは一九九七年にビルマ(ミャンマー)・フォーラムの主催旅行でビルマを訪問し
たと言われているが、ワシントンを本拠とするこの組織の最大スポンサーは、ユノカルである。このリ
チャード.アーミテージが現在、国務副長官として大親友のコリン・パウェルの側にいて、世界に向か
って《九・一一》の犯人は誰だ、そのために爆撃され殺されるべきは誰だと叫んでいる。

アーミテージはアフガニスタン地域にも詳しい。ムジャヒディーンとソ連が戦い、CIAからの金と
武器によってオサマ・ビンラディンのネットワークが生まれた頃、現地でアメリカ人「顧問」をしてい
た。

アーミテージとパウエルが出会ったのは、一九八一年のようで、一九九三年の『USAウィークエン
ド』に掲載されたパウェルのプロフィールによると、ブッシュ政権下で統合参謀本部議長となってから
のパウエルとアーミテージは、「毎日電話で情報交換し、考えを述べ合うようになった。……二人は何
でも包み隠さず話し合える仲になっていた。日に二、三回、たとえ短い時間でも話すことが多かった」
という。『ニュースウィーク』は、アーミテージは「パウェルに最も近い友人ではないか」と述べてい
る。

◎コンゴとタンザニア首相暗殺にパウェルの「師」カールーチの影

アーミテージが東南アジアとアメリカの街角での人類に対する犯罪で訴追されそうになったとき、彼
を守ったのは、ジミー・カーター政権のCIA副長官で、ロナルド・レーガン(=ジョージ・ブッシュ)
政権下で国防長官と大統領補佐官(国家安全保障担当一を務めたフランク・C・カールーチ三世だった。

現在のカールーチはカーライル・グループの会長だ。コリン・パウェルはカールーチのことをたびたび
「師」と呼んでいる。しかし、カールーチの背景を知り、パウエルがぜひとも二人の関係を保ちたいと
願っているのを知れば、少しも驚くには当たらない。

前述したが、カール・エヴァンズは著書『ユダの遺伝子マルコムX暗殺計画』で、カールーチがス
タンレーヴィル(コンゴ)のアメリカ大使館に領事兼二等書記官に任命されたのは、就任問もないパト
リス・ルムンバ大統領の暗殺(一九六一年)を含むCIAの活動を隠蔽するためだったと言っている。

ルムンバ暗殺の五カ月後、カールーチは逮捕され、コンゴを追放されてアメリカに戻った。そして
一九六五年、こんどはタンザニアから追放されるが、このときは、CIAによるブルンディのピェール・
ンゲンダンドゥムウエ首相暗殺に関わったことが理由だった。後にカールーチは、レーガンとブッシュ
から国防長官を含む要職に任命されるが、これは明らかに、カールーチがまさに彼らの計画に必要な人
物だったからだ。この男をコリン・パウェルは「師」と呼び、世界にテロの残虐さと危険とを説いてい
るのである。


◎「戦争の英雄」コリン・パウエル民間人大量虐殺(グレナダ、パナマ、イラク、ハイチ)に関わる本当の経歴

これだけの面々が支えているのだから、コリン・パウェルが「血族」の一員であることは明白だし、
当然のことながら、彼にも興味深い経歴がある。コリン・パウェルは一九三七年、ジャマイカ移民の一
家に生まれ、ニューヨーク市のサウスブロンクス地区で育った。陸軍で身を立てようと決心し、一九五
八年に中尉に昇進した。そしてこのパウエルが「調査」したのがマイ・ライ村(ソンミ村)の虐殺事件
である。これは一九六八年三月十六日、南ベトナムの小村マイ・ライに入った米国陸軍アメリカル師団
の兵士が村人数百人を拷問、殺害し、少女を含めた女性多数をレイプしたという事件だ。

自身もマイ・ライ付に入った兵士トム・グレンは、ベトナムの駐留アメリカ軍司令官クレイトン.エ
イブラムズ宛てに手紙を書いてこの恐ろしい事件を報告したが、訴えは退けられ、隠蔽された。このと
きアメリカル師団本部で作戦参謀顧問補佐を務めていたコリン・パウエル少佐が、訴えを調査して「三
日以内にグレンヘの返答案を示す」よう命じられたと『ニューリパブリック』誌は述べている。

パウェル報告は、グレンの話は複数の「孤立した事実」を除いてほとんど真実ではないと断じ、「アメリカル
師団兵とベトナム人民の関係が良好であるという事実が、この報告に対する直接の反論である」とした。

『ニューリパブリック」の記事は結論として、トム・グレンの訴えを適切に調査していれば、それがマ
イ・ライ村の虐殺事件への公正な調査に繋り、さらに「一九六八年三月十六口にトム・グレンと行動を
共にした者が、その後マイ・キー村でも九〇人を殺害して、今日まで誰も何の処罰も受けていない事件
も含めて」他の事件にも捜査が及んだだろう、としている。

しかし、パウエルはマイ・ライ村の虐殺事件を調査する道を選ばず、後になって二人目の兵士ロン.
ライデンアワーが詳細をある下院議員に報告してようやく、軍はやむなく公式調査に乗り出した。こう
して、パウエルの「調査」が嘘っぱちであり、ベトナム市民に対する残虐行為を隠蔽するものだったこ
とが明らかになった。しかしパウェルは、泥のなかに倒れても汚れずに立ち上がってくる術を知ってい
た。それどころか、ライデンアワーの調査期間中に勲功章までせしめている。こうして見るとコリン・
パウエルは、その軍歴の初めから、正義をおこないテロリストを罰するということを導きの光としてき
たとはとても思えない。

アメリカヘ帰ったパウエルは、ワインバーガーやカールーチといったイルミナティ・メンバーの後押
しを受け、急速にキャリアを積み上げていった。ジョージ・ワシントン大学でMBAを取得し、強力な
後ろ盾を得て国防総省の階級を駆け上がり、一九八七年にはレーガン―ブッシュの国家安全保障担当補
佐官となった。パウェル以前にこのポストに就いたヘンリー・キッシンジャーやズビグニュー.ブレジ
ンスキーは、どちらもイルミナティのクモの巣における最重要人物だ。

このポストは統合参謀本部議長や国務長官と同じ、イルミナティの主要人事であり、パウエルはこの
三つすべてを経験している。レーガン時代にはワインバーガー国務長官の上席軍事補佐官として、グレ
ナダ侵攻やリビア空爆一根拠となった「証拠」は偽物だった)作戦などで中心的な役割を果たした。ワ
インバーガーについていたこの時期のパウエルは、イラン=コントラ事件にも関わっている。

当然ワインバーガー自身は事件に深く関与していて、イランヘの違法な武器輸送の詳細を個人用の日
記に書き留めていた。ワインバーガーはその日記を国家安全保障会議の席でまとめていたから、当然パ
ウェルは日記の存在を知っていたはずだ。にもかかわらずパウエルは、日記はないというワインバーガ
ー発現を支持した。しかも後になってから、日記の存在を認めざるを得なくなっている。イラン=コン
トラ事作での初めの宣誓供述はこうだ。

--------
長官は、私の知る限りでは、貝記をっけてはおられませんでした。仮に何らかのメモをつけてお
られたとしても、それを何にどう使われたかは知りません。長官は日記をつけてはおられません。
--------

ところが後の宣誓供述はこうだ。

--------------
その時期、私はワインバーガー長官のもとにおりました。……長官の机に白い紙のパッドがある
のを見ました。……個人用の日記だと思いました。……ワインバーガー長官のことはよく知ってい
ますし、普段の行動パターンから見て、そのパッドにちょっとしたメモ書きをしておられたのだと
思いました。……私はそれを個人用の日記だと思いました。
---------------


イラン=コントラ事件を担当したローレンス・ウォルシュ特別検察官は、パウエルの証言は「少なく
とも誤解を招くもの」だったが「起訴を認めるほどのものではなかった」とした。吹き山したくなるが、
イラン=コントラ事件特別調査委員会は、パウェルの無二の親友リチャード・アーミテージについても
ほとんど同じ報告を出している。「独立委員会はアーミテージヘの起訴を却下する。当委員会はワイン
バーガーに対する件に精力を集中しているため、またアーミテージに対する証拠は、重要なものではあ
るが、合理的な疑いを越える証明という水準には至っていないためである」。国家安全保障会議の
記録保存館には、パウエルの関与について次のような文書がある。


-----------
ワインバーガーは委員会(上院情報選択委員会)で、その日のうちにポインデクスターから電話
があり、大統領の行動(イランヘ武器を送ること一について教えられたと証言した。ワインバーガ
ーは……車事補佐官のコリン・パウエル少将に……CIA向け武器輸送の手配を指示し、また、そ
の件が大統領の命令に忠実におこなわれるように指示した。パウェル少将はこの計画およびイスラ
ェルヘのTOWミサイル配備について、ノースと事前に協議を重ねていた。…アーミテージなら
びにCIA関係者によれば、パウェルは国防補給庁のヴィンセント・ルッソ少将と協力して、物資
が安全かつ軍予算の無駄なく供給されるよう努めていた。
-----------


パウェルの親友リチャード・アーミテージもオリヴァー・ノースと関わりがある。ノースの著書『ア
ンダー・ファイアー』によれば、二人はCIAの秘密「対テロリズム部隊」に所属していて、ノースが
指揮を執っていたということだ。パウエルはレーガンの国家安全保障担当補佐官として、南米でニカラ
グアのテロリスト集団コントラを支持しない国への援助をすべて打ち切るよう脅しをかけていた。

本来ならパウエルもイラン=コントラ事件調査の網にかかるはずだったのだが、大統領任期終了間際
の父ジョージ・ブツシュが、パウエルのボスであるキャスパー・ワインバーガーらに強引な恩赦を与え
たため、それは免れた。パウエルは大いに胸をなで下ろしたことだろう。

統合参謀本部議長となってからは、一九八九年に父ジョージが麻薬がらみでマヌェル・ノリエガのパ
ナマヘ侵攻し、アメリカ軍を率いた。パナマ市民数千人が殺され、民間人の居住区域すべてが破壊され
た。この事実はマスメディアを入れる地域を制限することで隠蔽された。死体は焼かれ、集団墓地も廃
棄されて、まったく身元がわからなくされた。病院や死体安置所も押さえられ、死亡者の登録もすべて
アメリカ軍の言いなりだった。

その二年後、パウエルは湾岸戦争でアメリカ軍を率い、イラク人二〇万人以上を殺した――これはレ
ーガンの元海軍長官ジョン・リーマンが戦争の直後にボヘミアの森で語った数字だ。パウエル指揮下の
イラクでは、民間人の居住区域が標的となった。兵士たちはブルドーザーで塹壕に生き堤めにされ、劣
化ウラン弾によって四〇トンを越える放射性物質が砂漢にばらまかれた。石油精製施設に火がっけられ、
市民と囚人と退却中のイラク兵数千人が、悪名高い「死のハイウェイ」で冷酷かつ組織的に殺された。

まだまだ事例を挙げればきりがない。

こうしたことのすべてが、心底から腐った連中を数々友人に持ち、現在は国務長官として「テロとの
戦争」を指揮する「戦争の英雄」コリン・パウエルの仕業なのである。パウエルは、軍人としての経歴
中に非合法な命令を受けたことは一度もないと言っている。これはまったくの大嘘だし、アメリカ軍に
よるイラク人大虐殺だけでも、さまざまな戦争犯罪で起訴されてしかるべきものだった。


コリン・パウエルはイルミナティの利益に奉仕するべくグレナダ、パナマ、イラク、ハイチなどに侵
攻し、貧しく無防備な人々を虐殺し、そのご褒美をもらってきた。この醜悪な経歴を持つ男は、ブッシ
ュ親子やチエイニーなどと一緒に自由と正義を説きながら、その一方で世界の自由と正義を組織的に破
壊しているのである。

他人を戦場に送り込んで無実な人々を虐殺させること以外に、パウエルはビジネスの世界でもキャリ
アを積んでいて、AOL(アメリカ・オン・ライン)とガルフストリーム・エアロスペース社の重役を
務めている。ガルフストリームは、クウェートやサウジアラビアの政府、さらにはハリウッドの映画
スター用の飛行機を製造する企業だ。

現国防長官ドナルド・ラムズフェルドもやはりガルフストリームの役員で、防衛関係で政府と契約し
ているゼネラル・ダイナミクス社が一九九九年に同社を買収したときには、一一〇〇万ドル相当の株式
を手に入れた。このときにパウエルがどれくらい儲けたかは知らないが、AOLがイルミナティのフロ
ント企業であるタイム・ワーナーと合併した際には、株価の上昇で四〇〇万ドル儲けたと言われている。

当時は息子のマイケル・K・パウェルが連邦通信委員会(FCC)の委員で、この合併契約を審査な
しに認めるよう主張したのは、委員会中で彼一人だった。利害の葛藤は一切なかったと言っているが、
父親が保有するAOL株は約二二〇〇万ドル相当だと、当時の新聞には出ていた。

FCCはアメリカ政府の白称「独立」機関で(すてきな言い方だ)、「全米五〇州とコロンビア特別区
ならびにアメリカ所有地域でのラジオ、テレビ、電信、衛星、ケーブルによる州際ならびに国際通信」
を規制している。

マイケル・K・パウェルは、一九九九年にイルミナティ機関であるアスペン研究所のヘンリー・クラ
ウン・フェローに選ばれた男で、実際にはメディア活動の制限を喜んでいないような態度を見せている。

いかにもあの連中らしい。二〇〇一年一月に大統領に就任したジョージ・W・ブッシュはその二日後、
FCCの委員長にこのマイケル・K・パウエルを任命した。前任者のウィリアム・ケナードはといえば
現在はカーライル・グループにいる。


  デーヴィッド・アイク 訳・本多繁邦 【究極の大陰謀】三交社
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