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水利権の支配:イスラエル対パレスチナ戦争の見過ごされた一面【リチャード・タンター/京都精華大学 人文学部 環境社会学科 環境雑学マガジン126号 】
http://www.asyura2.com/0311/war42/msg/1160.html
投稿者 荷電粒子 日時 2003 年 11 月 21 日 11:03:11:hlbym6ZH.OUDI

(回答先: バスに乗り遅れるなTBSニュース23「水で読み解く中東紛争」特集のしたり皺顔似非紳士 投稿者 木村愛二 日時 2003 年 11 月 20 日 13:18:57)

★ 木村さん、いつも貴重な情報の紹介、ありがとうございます。
  昨年のものですが、大学の研究者の情報を紹介します:

http://www.melma.com/mag/93/m00058893/a00000004.html
■イスラエル−パレスチナの環境戦争 [2002年5月11日]

 中東についての報道で、日本のマスメディアは、アメリカや西欧のメディアよりは少しはバランスがとれている。また、日本によく見られるユダヤ文化についての妄想にも関わらず、パレスチナの声も届くし、イスラエルの政治についても、理性的に、また正直に報告されている。

 しかしながら、この戦争の1つの側面については、日本でほとんど報告されていない。それは水の支配をめぐる戦いである。イスラエル政府にとって、アラファトのパレスチナ暫定自治政府にとって、また、隣国のヨルダン政府にとっても、水へのアクセスはとても重要な問題なのだ。

 1967年の戦争で、イスラエルはヨルダン川西岸(ヨルダンの領域)およびゴラン高原(シリアから奪い取った)を征服し、地域の川および地下帯水層の対する支配をとてつもなく拡張した。イスラエルは、その後のヨルダンまたはパレスチナとの交渉においても、水についての支配を緩めることはなかった。イスラエルは水へのアクセスの政治的支配を利用し、占領したヨルダン川西岸とガザ地区でとてつもなく不公平な環境問題を発生させたのだ。

 恐ろしく不平等な水へのアクセスと、水資源に対するイスラエルの不法な搾取が、パレスチナ人の苦しみを生み、深い憎悪につながったことは、驚くにはあたらない。

 1967年にイスラエルによって奪われたヨルダン川西岸とガザ地区から構成されるパレスチナ人の地域の降雨量を見てみよう。年平均でパレスチナ地域中部では約400mm、また、南部で約275mmと一般的に降雨量の低い地域である。アメリカのアリゾナと同じほど、乾燥した地域といえる。(京都の年平均降水量は1580mm。)

 もちろん、この降雨量のほとんどは蒸発して失われるが、いくらかはこの地域の主要な河川系、特にヨルダン川とヤルムック川に流れ込む。イスラエルの最も重要な地下水はガリラヤ湖にたくわえられる。しかし、その湖の主要な集水地の1つはゴラン高原であり、イスラエルは1967年にシリアからここを奪い取っている。 ほとんどの雨は3つの大きな地下帯水層へしみ込む。北東の帯水層、東の帯水層、西の帯水層である。

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 メディアが水利用においてのパレスチナとイスラエル間の戦いを、おおよそ無視したという事実は驚くべきことである。というのも、このことについては、多くの専門家による研究があるからだ。イスラエルの、またパレスチナの研究があるだけでなく、国連による詳しい研究、また、個人の研究家、それに水の技術専門家による研究もある。たとえ政治的な結論が変わっても、それぞれの
 研究の中味はあまり違わない。つまり、事実は単純であり、真剣に反論するなど誰もいないのだ。
 短く言えば、産業先進国であるイスラエルは発展途上国である隣国より多くの水を使用する。輸出志向のイスラエルの農業は、灌漑用水に極度に依存している。イスラエルは、入植者に水を提供するためにヨルダン川西岸を不法に軍事占有している。イスラエル政府のパレスチナ人地域における水道設備投資額はきわめて小さい。パレスチナの農場水設備−井戸および灌漑用水路−は、イスラエルの軍隊がヨルダン川西岸侵攻の際、イスラエルの兵士によって繰り返し破壊された。パレスチナ人の町および農場では、法律によって、十分な深さで井戸を掘ることを規制され、下水からの病気伝染の危険を回避できない。対照的に、イスラエルの入植者は、帯水層の安全で水の豊富な、より深いところへ井戸を掘ること許可されている。

 ・1967年のヨルダン川西岸侵攻後につづき、
  −イスラエルの政府当局は西岸地区の井戸の多くを閉鎖した。新しい井戸を掘る許可はめったに与えられず、深さ制限に従がわなければならなくなった。
  −イスラエルはヨルダンとの合意に反してヨルダン川から水を流用しはじめた。
  −イスラエルのレバノン南部侵攻は、リッタニ(Littani)川およびハスバニ(Hasbani)川上流の水資源を支配することが一つの目的だった。
 ・ヨルダン川西岸地域に侵攻したイスラエル政府は、多くの新しい入植地の建設を促進した。それらの多くはエルサレムのベッドタウンとして機能するものだ。これに加え、農業の入植地もある。1980年代でさえ、国連の研究によれば、イスラエルの入植者による一人当たりの水使用量はパレスチナ人の8倍にのぼる。
 ・したがって、山の帯水層−その多くはヨルダン川西岸の下に位置する−への圧力は増加している。このことが意味するのは、イスラエルのナショナリストにとって、パレスチナ人にヨルダン川西岸を返還すれば、水供給が制限され、イスラエルの存続に脅威となる可能性が高まることである。

 イスラエル人の建築家で人権活動家のエイヤル・ワイツマンは最近重要な研究を発表したが、「垂直性の政治」と彼が描写するパレスチナとイスラエルにおける政治についてである。
 >>link to Weizmann, Episode 5: From Water to Shit.
http://www.opendemocracy.net/forum/document_details.asp?CatID=127&DocID=1253

 イスラエルによるヨルダン川西岸支配作戦を地域の外の多くの人が見すごしているとワイツマンは論じている。イスラエルが、西岸の入植地とそこへつながる高速道路の支配を強く要求して、西岸地域を垂直に切り取ったことを多くの地図が示している。のみならず、イスラエルはさらに、西岸地区を水平に分割してしまったと、ワイツマンは論じている。これでイスラエルの長期にわたる西岸支配がよりいっそう確実になり、ほとんどの人が考えているより圧政的なものになる。そうワイツマンは主張している。

 ワイツマンのフォト・エッセイには,驚くべき実例が数多く写しだされている。谷間にある従来からのパレスティナ人の町を見下ろす,丘の上につくられたイスラエル人入植者の住居地。コンクリートのトンネルや橋が,パレスティナ人の土地の上を,またその地下を,複雑に走るのは,あちこちに点在するイスラエル人入植者の住居地を結ぶためであり,ますます怪奇な様相を呈しつつある。
 しかし,ワイツマンの写しだす,この「垂直性の政治」の最もすさまじい例は,文字通り「垂直性」のものだ。西岸地区では,パレスティナ人の井戸を掘る権利が制限されているだけではない。なんと,より深い,きれいな水へのアクセスは,イスラエル人のためにとっておかれているのだ。パレスティナ人は,浅い井戸を掘ることしか許されていないので,汚染された水を飲む危険をおかすことになる。じつに,環境アパルトヘイトにほかならない。

 参考記事:

 エイヤル ワイツマン The Politics of Verticality, 
 http://www.opendemocracy.net/forum/document_details.asp?CatID=127&DocID=1253&DebateID=238
 Episode 5: From Water to Shit.

 Sharif Elmusa, Negotating Water:
 http://www.ipsjps.org/html/water3.htm
 Israel and the Palestinians, Institute for Palestine Studies, Washington,
1996
 Jad Isaac, A Sober Approach to the Water Crisis in the Middle East,
 http://www.arij.org/pub/sober.htm
 Applied Research Institute, Jerusalem

 Mostafa Dolatyar, Water Diplomacy in the Middle East,
 http://www.netcomuk.co.uk/~jpap/dolat.htm
 Newcastle University

 国連: Water Resources of the Occupied Palestinian Territory,
 http://www.un.org/Depts/dpa/qpal/dpr/DPR_water.htm
 United Nations, New York, 1992 

 Samer Alatout, Water Balances in Palestine:
 http://www.idrc.ca/books/focus/907/chap04.html
 Numbers and Political Culture in the Middle East, International Development
 Resource Centre, Canada.

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