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映画に見る陰謀の現実
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投稿者 戦争屋は嫌いだ 日時 2003 年 11 月 16 日 09:30:39:d/vusjnSYDx0.


昨日のガーディアンに公職秘密法に違反したかどで、ロンドン警視庁公安部に逮捕されたGCHQ ( Government Communication Headquarters: 通信傍受諜報本部 )勤務の29才の女性翻訳者、Katherine Gunなる29才の女性が、逮捕の真相を暴露した話が報じられている。
(GCHQ whistleblower charged ガーディアン14/Nov/03) http://www.guardian.co.uk/uk_news/story/0,3604,1084904,00.html

GunさんはGCHQに勤務中の今年初め、米国の諜報機関がイラク侵略の国連決議を取り付けるため、浮動票とされた国連安保理理事国(アンゴラ、カメルーン、チリ、ブルガリア、ギニア、パキスタン)の関係者に、盗聴などの不法な工作(dirty tricks)を行った事実を、職務を通じて知りこれを暴露したもの。「自分にはこんな違法な行為をみすみす見逃すことはできず、全く良心からの行動だった」としている。この記事のタイトルにあるWhistleblower(ホイッスルを吹くもの)は内部告発者の意味。

The Whistleblower (影の軍隊:1986年度サイモン・ラングトン監督)

この記事で思い出すのが、アカデミー賞俳優マイケル・ケインが出演したサスペンス映画で、その名もズバリThe Whistleblower(日本語では「影の軍隊」とよく意味のわからないタイトルがついていた。劇場公開されなかったので見た人は少ないかもしれない)である。マイケル・ケイン扮する元海軍軍人の息子で、GCHQに勤務するロシア語翻訳者(炎のランナーにLindsay卿の役で出演したナイジェル・ヘイヴァースが好演)が職務を通じて知った、米国による殺人も含めた違法な謀略工作に辟易して内部告発を決意した結果、自身も米国の諜報関係者に殺されるという話である。

全く映画を地でいく話が現実に起こっているのである。Gunさんは幸い殺されないで済んだが、同様に政府の関係者だったケリー博士は、これもおそらくはwhistleblowerとみなされたのであろう、いやこれ以上事実をばらされてはまずいという判断からかもしれないが、明らかに殺害されたと見られる。これも手をくだしたのは英国の関係者でなく、米国ないしイスラエル関係者である可能性が高い。)

劇中、内部告発の相談を受けた左翼系ジャーナリスト(これも交通事故を装った暗殺の犠牲者となる)の、「俺も色々調査して分かったんだが、CIAにしろMI5にしろ、精神異常に近い連中だ。公式に責任を問われない秘密行動が前提だから限界を知らない。どんな違法行為でも平気だ。連中は「政府に対する反論」はすべて「国家に対する反逆」と見なすんだ。」というセリフが実に印象的であった。

Three Days of the Condor (コンドル:1975年度シドニー・ポラック監督)

もうひとつ例を挙げよう。ロバート・レッドフォードが主演した「コンドル」なる映画を御記憶の向きもあるかと思う。ニューヨークの片隅にあるCIAのある支部に勤務するコードネーム「コンドル」(レッドフォード)は、本や雑誌の内容を読んで、国家の安全に関連するような情報が含まれていないか分析する地味な仕事に従事している。たまたま分析した推理小説の中に油田奪取のための中東侵略計画があることに興味をいだき、ルーチンとしてCIA本部に報告したところ、翌日コンドルの支部は襲撃を受け皆殺しになる。たまたま昼飯を買いに裏口から外出していたコンドルだけが生き残り、事件の真相を究明するという話である。

実はCIAの最高首脳部に実際に油田を狙った中東侵略計画が存在し、本当の計画がリークしたと勘違いした中東担当局長から身内の皆殺し指令が出ていたことを突き止めたコンドルは、その情報をニューヨーク・タイムズに流し、そのことをクリフ・ロバートソン演じるCIA幹部に告げる。この幹部の返事はこうである。「とんでもないことをしたな。取り返しのつかない損害を国家に与えたのだぞ。考えても見ろ。アメリカの原油埋蔵量は先がしれている。石油が底をついた時に、自動車も動かず暖房がなくて凍えた国民が我々に何と言うと思う?「俺達のために手に入れろ!」というに決まっている。そのために体制変更(この時点で既に言っている!)も含めて計画を練っているのだ。何が悪い。」

今回のイラク侵略の動きが始まった時真っ先に思い出したのがこの映画であった。イラクでは少数派であるスンニ派のサダムに梃子入れしたのは、イランのシーア派イスラム原理主義に対抗させること(実際に毒ガスを売り付けてイラン・イラク戦争をけしかけた)、当然少数派が多数派を支配するのであるから不可避的に暴虐な独裁支配になり、民衆の敵意を買うことも必定だろう。用済みになったら、言いがかりをつけて体制変更と油田奪取のための戦争を仕掛ける。という壮大な長期戦略だったとも考えられる。考えてみればフセインが政権を奪取したのが1979年で、「コンドル」の製作年度と時代的にも符合するのが実に不気味である。

Under Siege(沈黙の戦艦:1992年度 アンドリュー・デービス監督)

さらに例を挙げよう。空手アクション俳優のスティーブン・セガールが出演した「沈黙の戦艦」。これはトミー・リー・ジョーンズ演じるCIAの実行部隊エージェントが、CIAから疎んじられた末にあやうく暗殺されそうになって、怒り狂って米海軍の戦艦を乗っ取り核弾頭巡航ミサイルをホノルルに撃ち込もうとする話。何やらCIAの手先で対ソ軍事テロ工作を請け負っていたオサマ・ビン・ラディンを思い起こさせるではないか。(9・11を本当にオサマ・ビン・ラディンがやったかどうかは疑わしい部分も多いが)

おまけに劇中スティーブン・セガール演じる元Seals(海軍特殊部隊員)が、ジョーンズ演じるCIAエージェント転じてテロリストに対して、「所詮お前も俺もおんなじ黒幕に動かされている操り人形に過ぎないのがわからないか」とたしなめる場面がある。これは劇中のコンテクストとは全く無縁・唐突に出てくるセリフなのが非常に興味深い。どうも映画の作者の本音か、いやもしかすると実際に米軍特殊部隊で豊富な実戦経験を持つセガールの実感が吐露されたもの、とも見られる。要はテロリストもそれを鎮圧しようとする当局も、陰謀を企む支配者に操られた使い捨ての将棋の駒にすぎない、と言っているのである。ちなみにセガールの他の刑事映画(ハード・トゥ・キル、1990年度:ブルース・マルムース監督)では、CIAの麻薬流通ビジネスを暴露しようとする上院議員に対する、組織的暗殺プロットが描かれており、なかなか鋭い告発を行っている。ただの空手アクション映画ではない。

たかが映画だと侮ってはいけませんよ。全く根拠のないストーリーは映画のシナリオにはならない。一抹の真実を含んでいるからこそ真実味のある興味深いfictionとして成立するのである。上で触れた映画の原作者たちもどこか(ネオコン系 のシンクタンクや、元諜報関係者など)から取った実際の情報をベースにしたものではないかと推察する。

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