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問題のAFP記事【日本人外交官2名がイラク援助会合に向かう途中、停車しているときに殺された】
http://www.asyura2.com/0311/war43/msg/1394.html
投稿者 佐藤雅彦 日時 2003 年 12 月 05 日 00:13:53:FnBfYmHiv1JFs


●イラク北部での日本人外交官らの不審殺害事件について、これが
 ただの「殺害」とか「テロ」だと片づけられる性質ではなく、
 まさに「不審」な殺害事件であると断ぜざるを得ない基本的な
 データであった最初期の事件報道、特にフランスAFP通信の
 ニュース記事と、そのなかで記された米軍当局者の怪しげな「説明」
 をこの目で確かめておきたいと思い、問題のAFP記事を探したの
 ですが、ざっと調べたかぎりでは記事が見あたりませんでした。

 (ひととおりの検索テクニックは使いましたが、検索エンジンの
  キャッシュにはまだ充分な量のデータが保存されていなかった
  ようで、この記事がキャッシュデータとしても出てこなかったのです。)

  そういうわけで、これは下手すると某有名検索エンジンのキャッシュ
  からも削除されつつあるのかも知れないと懸念し、下記のような
  投稿でご支援をお願いしました。(検索エンジンのキャッシュからも
  場合によってはデータ削除が行なわれているようですから。)
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日本の2外交官が買い物で車から出て襲撃された、というAFP記事が消滅した模様……
http://www.asyura2.com/0311/war43/msg/1255.html
投稿者 証拠隠滅かな?
日時 2003 年 12 月 04 日 00:56:37
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  これに対して、「真面目くん」からまだ“生きている”ニュース
  記事のご案内をいただきました。


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転載記事のほうは、まだ生きているようですね。
http://www.asyura2.com/0311/war43/msg/1281.html
投稿者 真面目くん
日時 2003 年 12 月 04 日 08:28:50

(回答先: 日本の2外交官が買い物で車から出て襲撃された、というAFP記事が消滅した模様…… 投稿者 証拠隠滅かな? 日時 2003 年 12 月 04 日 00:56:37)

たとえば、
http://www.channelnewsasia.com/stories/afp_asiapacific/view/59751/1/.html
なんかは、まだ生きていますね。
元記事はともかく、このAFPの記事は、いろんなサイトに転載されていますので、全部消そうと思っても、無理なんじゃないでしょうか。
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 「真面目くん」、ありがとうございました。
 この記事は、米軍のインチキ発表の動かぬ証拠ですから、無視する
 わけにはいきません。そこで全文翻訳して、ここにあらためて
 紹介しておきます。


●なお、問題のAFP記事を見るだけでも、疑問がいくつか浮かんできます――

【1】現地巡察担当の米国陸軍第4歩兵師団マクドナルド報道官は「これら3人は食料と飲み物を買おうとして停車したが、そこを複数の攻撃者が小口径の銃器で狙い打ちした」と“見てきたような話”をしているが、どうしてこう断定できるのか? 

 事前に「食料と飲料を買いに立ち寄る」云々とケータイ電話でティクリットの師団本部にでも連絡を入れたのかな。(苦笑)  講釈師、見てきたようなウソを言い……。
【2】襲撃を裂けるために高速で突っ走っていた、とされる奥氏らが、なぜ目的地のわずか十数キロ手前で「食料と飲料」を買うために露店に立ち寄らねばならなかったか?
 合理的な説明が不可能ですな。

【3】きわめつけは、事件のあった現場周辺には「露店」なんかなかったということ。作り話の寿命も、ウスバカゲロウのよう短命であった……。(苦笑)


● ……というわけで、問題のAFP記事がこれです。日本のマスコミは
  このなかの都合のいい部分だけをつまみ食いしてパクリ記事を書いて
  いるにすぎないので、原記事に当たることが絶対に必要なわけです。

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channelnewsasiaに掲載された
フランスAFP通信の記事(2003年11月30日)
http://www.channelnewsasia.com/stories/afp_asiapacific/view/59751/1/.html
Time is GMT + 8 hours
Posted: 30 November 2003 1631 hrs

Two Japanese diplomats killed as they stopped en route to Iraq aid meeting
【日本人外交官2名がイラク援助会合に行く道行きで、停車しているときに殺された】


TIKRIT, Iraq, : Two Japanese diplomats killed in Iraq in a new blow to the US-led coalition were shot dead as they stopped at a food stall en route to Tikrit, Saddam Hussein's birthplace, where an aid conference was taking place, a US military spokesman said.
【ティクリット(イラク)――米国主導の“団子状”占領勢力(←だらしのない訳語として流布されている所謂「連合国」を指す)に対する新たな反撃が起きているなか、2人の日本人外交官が、サダム・フセインの出生地で援助会合の開催地になっていたティクリットに向かう途中で食品店(←stallは粗末な露店といったニュアンスの言葉)に立ち寄った際に射殺された、と米軍の報道官が語った。】

"Two Japanese were killed as they stopped at a roadside food stall, four kilometres (two and a half miles) south of Mukayshifa on the afternoon of November 29," said Colonel Bill MacDonald, spokesman for the US 4th Infantry Division, which patrols the troubled region.
【「2人の日本人は11月29日に、ムカイシファ南方4キロのところにある路傍の、食糧を売っている露店に立ち寄った際に殺された」と米軍第4歩兵師団の報道官であるビル・マクドナルド大佐が語った。同師団は事件があった地域の巡察を担当している。】


"A Lebanese national was wounded in the same incident.
【「この事件ではレバノン人も1人、負傷した。」】

"The three persons had stopped for food and drink when attackers fired small-calibre weapons at them.
【「これら3人は食料と飲み物を買おうとして停車したが、そこを複数の攻撃者が小口径の銃器で狙い打ちした。」】

"The three were taken to a Tikrit hospital. The condition of the wounded individual is unknown," said MacDonald, speaking shortly before the opening of the aid conference at the fortified 4th Infantry Division's headquarters compound in Tikrit, 180 kilometers (110 miles) north of Baghdad.
【「これら3人はティクリットの病院に運ばれた。負傷者の状態は不明である」と、バグダッド北方180キロの町ティクリットにある第4歩兵師団の本部要塞で、問題の援助会合が開かれる直前にマクドナルド報道官が言明した。】

Japan said the two were heading to an aid meeting in Tikrit, but US military officials would not say whether the two had planned to attend the gathering at the 4th ID base.
【日本側の説明では、2人の外交官はティクリットで開かれる会合に向かっているところだった。だが米軍当局者たちは、2人の日本人外交官が第4歩兵師団本部で開かれた会合に参加する予定だったかどうか、語ろうとしない。】

Mukayshifa is some 15 kilometers (10 miles) south of Tikrit.
【ムカイシファはティクリット南方15キロほどの場所にある。】

US officials said the two diplomats did not have an American military escort.
【複数の米国当局者によれば、2人の日本人外交官は米軍の同行警護を受けていなかった。】

"We did not have any of our forces traveling with that group of individuals," said Colonel James Hickey, who commands the 4th ID's 1st Brigade.
【「わが軍は、あのような個人的な集団に兵員を同行させることは一切行なってこなかった」と第4歩兵師団・第1旅団司令官のジェイムズ・ヒッキー大佐は語る。】

"That wasn't requested," he told journalists in Tikrit.
【「そうした任務の要請がなかった」とヒッキー大佐はティクリットでジャーナリストたちに語った。】

He said he did not know whether the group had a private security team with them.
【ヒッキー大佐は、日本人外交官のグループが民間の保安チームを同行させていたかどうか判らないと語った。】

Hickey said his troops were responsible for security in the area, but do not patrol it 24 hours a day. "When we patrol that area, we do it at set times based on the understanding of enemy forces being in that area."
【ヒッキー司令官によれば、彼の部隊は当該地域の保安業務を担当している。だが1日24時間ぶっとおしで巡察しているわけではない。「あの地域を巡察するときは、敵勢力があの土地にいることに警戒して、一定の時間帯に巡察を行なっている。」】

In his opening remarks at the aid conference, 4th ID commander Major-General Raymond Odierno made no mention of the violent incident.
【問題の援助会合は、第4歩兵師団司令官のレイモンド・オディアーノ少将の開会挨拶で始まったが、この暴力事件については一切言及がなかった。】

"This is about moving forward, this is about getting international participation in Iraq, this is about making Iraq a better place to live for Iraqis," Odierno said.
【「この会議は、前進にむけてのものです。この会議はイラクへの国際社会の参加をますます勝ち取っていくためのものであります。この会議はイラクをイラク人にとって住みよい場所にしていくためのものであります」とオディアーノ司令官は宣言した。】

Among those attending the meeting was Salah el Din provincial governor Hussein al-Jaburi, who on Saturday assured the visitors Tikrit and its surroundings were perfectly safe.
【同会議には、サラー・エル・ディン県のフセイン・アル=ジャブリ知事も参加していたが、同知事は土曜日(11月29日)に、ティクリットとその周辺地域は完璧に安全であると訪問者にむけて太鼓判を押したばかりだった。】

"This is a secure area ... you can walk around safely," al-Jaburi said at the opening of a guesthouse for visiting aid workers. He insisted the visitors, traveling from the US base to downtown Tikrit in a heavily armed US military convoy did not need the helmets and bulle-proof vests they were wearing.
【「ここは安全な地域です。……あちこち歩き回っても安全ですよ」とアル=ジャブリ知事は援助活動でこの地を訪れる人々のための宿泊施設の開所式で述べていたのである。米軍基地からやってくる人員は、は重武装した米軍の護衛車隊でティクリット市街に乗り込んでくるが、アル=ジャブリ知事はヘルメットとか防弾チョッキなど不要であると主張していた。】

"Contrary to rumors you have heard in the past, this is a secure area," Jaburi told the visitors.
【「これまでいろいろと噂を聞いているだろうが、実際はそれと正反対で、ここは安全な地域なのです」とジャブリ知事は訪問者たちに語っていた。】

- AFP
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● ……というわけで、米軍のウソの動かぬ証拠となったAFP記事を
  紹介したわけですが、ここであらためて、日本人外交官「不審殺害事件」
  についての日本のマスコミ報道の揺れ具合をたどっておきましょう。

  日本政府は、この事件が伝えられた最初期には小泉首相自身が「背景を
  含めて徹底的に調査し」云々と調子のいいことを言っていたくせに、
  米軍のウソがくっついたややこしい話であると判った途端に、この
  「徹底調査」の前言をひるがえしてしまったようです。

  そしておそらくは米国政府当局と綿密な連絡を取りながら、ある時点から
  これを「テロ」だとして始末するという意思一致ができたようで、
  米軍自体も当初は「イラクの警察関係が犯行に絡んでいる」などと
  お得意の阿呆まるだし嘘っぱちを放っていましたが、そのうち「テロ
  だと決まったのでCIAを出して調査(=フィクションのパッケージ作り)
  することに決めました」ということになって、いつものようなハリウッド流
  “大団円”へと着陸先が決まったという次第……。


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● なお、共同通信のこのリンク先は、イラク派兵問題と外交官「不審殺害
  事件」についての報道を時系列で一覧できるので便利です。

共同通信 イラク派兵問題(ニュース特集)
http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2003/iraq3/subs/zenmidasi.html
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● 以下は日本のマスコミが報じた「日本人外交官不審殺害事件」に
 ついての主な推移(11月30日〜12月4日)――

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共同通信(2003年11月30日)
http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2003/iraq3/news/1130-45.html

安倍氏「派遣方針は不変」 慎重論強まる可能性も 


 自民党は三十日、イラクで外務省職員が殺害されたことで「恐れていた事態がとうとう起きた」(幹部)として深刻に受け止めている。政府は自衛隊派遣へ向け準備を進めているが、来年夏の参院選への影響も考慮、与党内で慎重論が強まる可能性もある。

 自民党の安倍晋三幹事長は同日昼、自宅前で記者団に「(殺害された)二人とも非常に優秀で立派な外交官と聞いており、大変残念だ」とコメント。その上で「テロには決して屈しないというわれわれの意見がこれで変わることはない」と述べ、自衛隊派遣方針が揺らぐことはないと強調した。

 ただ派遣時期については「場所によっても違うし、しっかりと安全確保のため十分な調査の結果を踏まえ判断しないといけない」と述べ、慎重な判断が必要との認識をあらためて示した。

 また同党の久間章生幹事長代理は電話での取材に対し「日本人を特定して狙ったのかどうかなど襲撃された状況がよく分からないので、今の時点では自衛隊派遣への影響については何とも言えない」と述べた。

 一方、自民党の加藤紘一元幹事長はテレビ朝日の報道番組で「大量破壊兵器があるからという戦争の大義名分はなくなった。間違いの戦争だった」と指摘。「自衛隊派遣には反対だ。やるべきではない」と重ねて強調した。

(了) 11/30

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共同通信(2003年11月30日)
http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2003/iraq3/news/1130-46.html

痛恨の極みで許し難い 政府姿勢不変と外相 


 川口順子外相は三十日午前、イラクで外務省職員二人が襲撃され死亡した事件を受けて外務省で緊急記者会見し「イラク復興支援に日夜粉骨砕身していた二人の部下を亡くし痛恨の極みとしか言いようがない。事件は許し難い」と述べて唇をかんだ。

 しかし、今後の対応については「テロに屈することなくイラクの復興支援に積極的に取り組むという日本の姿勢が揺らぐことはない。小泉純一郎首相からもこのことについて指示を受けている」と強調。イラクの日本大使館の縮小、撤収についても考えてないことを明言した。

(了) 11/30

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共同通信(2003年11月30日)
http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2003/iraq3/news/1130-47.html

首相、徹底調査を指示 殺害事件は「痛恨の極み」 


 小泉純一郎首相は三十日午前、イラクでの日本外交官殺害事件を受けて都内の首相公邸で杉田和博内閣危機管理監らと対応を協議し、「日本はイラクの人道復興支援に責任を有する。どのようなテロにも屈しない」と述べ、自衛隊派遣を含む支援策に変更がないとの考えを示した。

 事件に関しては「痛恨の極みだ」と強調し、杉田管理監らに「背景を含めて徹底的に調査し、現地の日本人の安全確保に万全を期してほしい」と指示。米国側からの情報収集や、現地調査をさらに進めるよう求めた。同時に、犠牲になった二人の遺族に十分な配慮をするよう求めた。

 協議には外務省の堂道秀明中東アフリカ局長、岡本行夫首相補佐官らが出席。岡本補佐官は協議後、記者団に「日本が全力を挙げてイラクの人道復興支援に取り組んでいくという方針にいささかの揺らぎもない」と述べた。

(了) 11/30

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共同通信(2003年11月30日)
http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2003/iraq3/news/1130-48.html

対テロ方針不変を伝達 川口外相が米国務長官に 


 川口順子外相は三十日午前、イラクでの日本人外交官殺害事件を受け、米国のパウエル国務長官と急きょ電話で会談し「イラクの復興支援、テロとの戦いに積極的に取り組むとの(日本政府の)基本方針が揺らぐことはない。小泉純一郎首相からも指示を受けた」と強調した。

 外相は、事件の事実関係調査や治安対策、現地の日本関係者の安全確保などについて米側の協力を要請、長官は「できることはすべて行う用意があり、日本側に全面的に協力するよう現地に指示を出した」と答えた。

 会談は米側からの電話によるもので、長官は「ご遺族に心よりの哀悼の意を伝えてほしい」と弔意を表明。外相は「二人を失った悲しみは言葉では言い表すことはできない」と述べた。

 米国のベーカー駐日米大使やウルフォウィッツ米国防副長官らも、それぞれ日本側に対し電話で弔意を伝えた。


(了) 11/30

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共同通信(2003年11月30日)
http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2003/iraq3/news/1130-49.html

日本外交官2人殺害される イラクで移動中、乱射受け 
  自衛隊派遣方針を堅持 


 イラク北部のティクリット付近で二十九日午後五時(日本時間同十一時)ごろ、バグダッドの日本大使館用の車が移動中に小火器で襲撃を受け、長期出張中の奥克彦在英国大使館参事官(45)と在イラク大使館の井ノ上正盛書記官(30)が殺害されているのを地元住民が発見した。イラク国籍の運転手は意識不明の重体だったが、搬送先の病院で死亡した。

 小泉純一郎首相は三十日午後、東京都内の公邸で記者団に「テロに屈してはならない。日本はイラクの復興支援に対しやるべきことはやらなければならないと表明している」と自衛隊派遣を含めたイラク政策を変更しない意向を示した。福田康夫官房長官は同日午後、外務省の緊急対策本部で川口順子外相と安全対策などを協議。外務省は田中和徳政務官らをクウェートに派遣した。

 三月二十日のイラク戦争開戦以降、日本人が同国で死亡したのは初めてで、政府は大きな衝撃を受けている。福田氏は「(日本を狙った)テロの可能性が強い」との見方を示しており、安全確保を重視し自衛隊派遣のタイミングなど慎重な検討を迫られる。

 奥氏らは非政府組織(NGO)も参加して二十九日からティクリットで開催の北イラク復興支援の会議に向かう途中。車は黒のオフロード四輪駆動車で、窓ガラスを防弾仕様にした軽防弾車。車体には多数の弾痕が残っていた。単独行動で警備員はついていなかった。外観上、日本大使館用とは分からないようになっていた。

 外務省幹部は「食料を買うため車を降りたところを襲われ、車に乗って逃げたが追い掛けてきたようだ」と述べた。

 川口外相はパウエル米国務長官と電話会談し、協力を要請した。政府は、二人の遺体を米軍のヘリコプターでクウェートに移送できないか検討している。

 ティクリットはバグダッドの北約百五十キロに位置するフセイン元大統領の出身地で、反米感情の強い「スンニ・トライアングル」と呼ばれる一帯にある。

(了) 11/30

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共同通信(2003年11月30日)
http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2003/iraq3/news/1130-50.html

血の海の中、最後のうめき 車体左側に無数の弾痕
 ティクリットの襲撃現場 

【ティクリット(イラク北部)30日共同=上西川原淳】血の海となった車の中で、苦しそうにうめき声を上げる在英国大使館参事官の奥克彦さん(45)。助手席では、在イラク大使館書記官の井ノ上正盛さん(30)が左肩に弾丸を受け、既に絶命していた−。イラク復興支援の最前線で奮闘していた日本人外交官二人が殺害された北部ティクリットの襲撃現場に三十日、入った。

 現場はティクリットから南に約三十五キロにあるシモムの幹線道路沿いだった。道路脇の食料品スタンド店主、ハッサン・フセインさん(42)が発砲音を聞いたのは二十九日午後零時半(日本時間同六時半)すぎ。「バグダッド方向から走ってきた車がスタンドの手前で右に大きくカーブを切り、路肩を外れて畑に鼻先を突っ込むようにして止まった。すぐ後ろから米軍の車列が通り過ぎていった」とフセインさん。

 奥参事官らの黒い四輪駆動車の車体左側には無数の弾痕。「ドアを開けたら前部座席に二人、後部座席に一人が血の海の中で倒れていた。助けようと思ったが何もできず、警察を呼んだ」とフセインさんは唇をかむ。畑に残った車の轍(わだち)の脇には、生々しい血痕が残っていた。

 現場のイラク人警察官は「奥参事官は頭部と顔面に被弾しており、左の脇腹にも弾痕があったが、現場に着いたときにはまだ生きていた。井ノ上書記官と運転手は既に絶命し、手の施しようがなかった」と言って天を仰いだ後、「現場に薬きょうが落ちていなかったのはふに落ちない」と首をかしげた。

(了) 11/30

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共同通信(2003年11月30日)
http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2003/iraq3/news/1201-53.html

血の海の中、最後のうめき 車体左側に無数の弾痕 
テロ示す目撃証言

【ティクリット(イラク北部)30日共同=上西川原淳】血の海となった車の中で、苦しそうにうめき声を上げる在英国大使館参事官の奥克彦さん(45)。助手席では、在イラク大使館書記官の井ノ上正盛さん(30)が左肩に弾丸を受け、既に息絶えていた−。イラク復興支援の最前線で奮闘していた日本人外交官二人が二十九日、志半ばで凶弾に倒れた。フセイン元大統領の出身地、北部ティクリット近くの襲撃現場に三十日入り、目撃者の証言を集めると、二人はテロの犠牲になった可能性が浮かび上がってきた。

 現場はティクリットの南十数キロにあるムカイシファ近くの幹線道路沿いだった。片側二車線の直線道路。視界を遮るものはほとんどなく、三百六十度地平線が見渡せるほど見通しがよい。

 道路脇の食料品スタンド店主、ハッサン・フセインさん(42)が発砲音を聞いたのは二十九日午後零時半(日本時間同六時半)すぎ。「バグダッド方向から走ってきた車がスタンドの手前で右に大きくカーブを切り、路肩を外れて六十メートルほど畑に鼻先を突っ込むようにして止まった。すぐ後ろから米軍の車列が通り過ぎていった」とフセインさん。

 奥参事官らの黒い四輪駆動車の車体左側には無数の弾痕。「ドアを開けたら前部座席に二人、後部座席に一人が血の海の中で倒れていた。一人はまだ息があり、苦しいうめき声を上げていた。助けようと思ったが何もできず、警察を呼んだ」とフセインさんは唇をかむ。畑に残った車の轍(わだち)の脇には、生々しい血痕が残っていた。

 駐留米軍や日本外務省は、奥参事官らが食料や水をスタンドで買うため、車を降りた後に襲撃されたとの情報があるとしているが、フセインさんの証言とは食い違う。

 現場のイラク人警察官にも話を聞いた。「所持金を含め、盗まれたものは何もない」と断言する。他の目撃者の話でも、奥参事官らの車が畑に突っ込んだ後、不審者が車に近づいた様子はない。

 警察官は「奥参事官は頭部と顔面に被弾しており、左の脇腹にも弾痕があったが、現場に着いたときにはまだ生きていた。井ノ上書記官と運転手は既に絶命し、手の施しようがなかった」と言って天を仰いだ後、「現場に薬きょうが落ちていなかったのはふに落ちない」と首をかしげた。

 井ノ上書記官の両手は肩口のところまで上がったような状態で死後硬直していたという。

(了) 11/30


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読売新聞 (2003/11/30/18:06)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20031130i105.htm

米軍スポークスマン「売店に立ち寄り襲撃された」

 AFP通信によると、イラク中部ティクリートで日本人外交官2人が殺害された事件について、イラク駐留米軍スポークスマンは30日、「2人は、車を止め、道路脇の売店に立ち寄った際に襲撃された」と語った。

 2人は食料と水を買い求めようとして、何者かに小銃で銃撃されたという。

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毎日新聞  ( 2003-11-30-21:06 )
http://www.mainichi.co.jp/news/selection/20031201k0000m040058000c.html

日本外交官殺害:井ノ上書記官は即死、奥参事官は病院で

【ティクリート(イラク北部)竹之内満】イラクのティクリート近郊で銃撃を受けて死亡した奥克彦参事官と井ノ上正盛書記官は、事件翌日の30日、バグダッドの日本大使館から駆け付けたイラク人職員によって身元を確認された。井ノ上書記官は銃弾が左胸を貫通して即死状態。奥さんは頭や腹部など5カ所ほどに銃弾を浴び、病院に運び込まれた約1時間後、ベッドの上で息を引き取ったという。

 奥参事官と井上書記官、運転手のジャルジーズ・スレマ・ゾラさん(54)の3人が乗った車はティクリート南郊の片側2車線の幹線道路で襲われた。一帯は畑が広がり、わずかに民家が点在する農村地帯だ。車は既に米軍によって押収されていたが、道路の東わきには約30メートルにわたってくっきりと車のわだちの跡が残り、機関銃の乱射を受けた車が畑に突っ込んだことが示されていた。

 奥参事官らが運び込まれたティクリート市研修病院には、30日午前10時すぎ、バグダッドの日本大使館からイラク人職員4人が遺体確認と事件状況の調査のために駆け付けた。「死んだのは誰だ」。職員らは井ノ上さんの名前を聞くと「いい人だったのに」と涙ぐんだ。「用心のため同行すると申し出たが、2人は『大丈夫だよ』と……」。そう言って絶句した。

 運転手のゾラさんの息子、ジアードさんも大使館勤務。事件の状況を監察医に聞きながら「信じられない」と言ったまま、言葉が続かなかった。

 監察医によると、井ノ上さんは病院到着時には既に死亡、奥さんはまだ息があった。監察医は「輸血などをしたが手遅れだった」とうなだれた。

 ティグリス署のシャラン・アブドジャバーン署長は「署に連絡があったのは、発生から約1時間後。ここは電話も未整備だし、救急車もない。通報が早ければ1人は助かったかもしれないと思うと残念だ」と話した。

 バグダッドの日本大使館は、今年8月に国連事務所で起きたテロ事件を受け、本館に通じる路地に高さ2メートル近いコンクリート製防護壁を設置するなど警備態勢を強化。ある大使館職員が「あらゆるテロを想定して夜も眠れない」と漏らすほどの緊張の中、日常業務を続けていた。襲撃事件は、こうした厳しい警戒をいとも簡単に打ち砕いた。

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読売新聞 (2003/11/30/22:16)
http://www.yomiuri.co.jp/main/news/20031130it12.htm

「奧参事官は後部席で血まみれ」現場の警官証言 [読売新聞]


【ティクリート南郊(イラク中部)=ソブヒ・ハッダード特約通信員】井ノ上正盛書記官は助手席のドア付近で路面に崩れ落ち、奧克彦参事官は後部座席で血まみれになって倒れていた――。イラク復興の任務を担った日本人外交官を襲った29日の悲劇。一報を受け、駆けつけたイラク人警察官は現場の状況をこう証言した。

 記者(ハッダード)は30日昼、惨劇の現場に入った。ティクリートの南約15キロの村ムカイシファの近く。片側2車線の幹線道路をトラックなどがひっきりなしに通り過ぎる。奥参事官らが乗った車は、この道路を、イラク北部復興支援会議が開かれるティクリート市内へと北上していた。

 現場を管轄するディジュラ警察のマキ・ムスタファ警部らによると、井ノ上書記官は銃弾が胸を貫通しており、即死状態。奧参事官は頭と腹部に1発ずつの銃弾を受け、同市内の病院に運ばれたが、1時間後に死亡したという。2人は50ドル、10万イラク・ディナール、15ディナール(計約1万3000円)の現金を所持していた。警官が発見し、後にイラク駐留米軍に渡したという。

 駐留米軍によると、奥参事官らは食料と水を買うため道路脇の売店に立ち寄ったところを襲われた。だが、記者が見渡す限り、それらしい売店は見あたらない。被弾した車や遺留品もすべて米軍が回収し、事件の名残はタイヤの跡と路面に染みこんだ血の痕跡だけだ。

 現場から約10キロのディジュラ警察では、米軍から支給された赤の帽子をかぶった100人もの警察官が周囲を警戒している。事件のせいかと思ったが、責任者は「通常通りだ」と語った。米軍の支持者などを狙った襲撃事件はこの地区でも頻繁に起きているという。フセイン元大統領の出身地ティクリートは、反米武装勢力にとってイラク最大の抵抗拠点の1つなのだ。

 事件の背景はまだ不明だが、警官の1人は絶対匿名を条件に記者にこう言い切った。

 「米国を支援する日本は、占領者の一部。警官の私でさえそう思う。この一帯の普通の住民なら、なおさらだ」

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毎日新聞  ( 2003-11-30-23:48 )
http://www.mainichi.co.jp/news/selection/20031201k0000m040053003c.html

日本外交官殺害:イラクで参事官と書記官殺される 運転手も [毎日新聞]


 外務省に入った連絡によると、29日午後(日本時間同日深夜)、イラク北部のティクリート付近で、在イラク日本大使館所有の四輪駆動車が銃撃を受け、在英日本大使館の奥克彦参事官(45)=イラク出張中=と在イラク日本大使館の井ノ上正盛3等書記官(30)、さらにイラク人のジョルジース・ズラ運転手(54)が死亡した。政府内では反米勢力によるテロとの見方が浮上しており、福田康夫官房長官は「テロというような可能性が強い」と語った。イラク戦争後、同国内で日本人が殺されたのは初めてで、自衛隊派遣を計画する政府は大きな衝撃を受けている。【ティクリート(イラク北部)竹之内満、政治部・川上克己】

 外務省によると、現場はティクリートから南方に10〜15キロの地点。奥氏らは29日午前、米軍の民生部門が29、30の両日、ティクリートで開くイラク復興支援に関する会議に出席するため、バグダッドを出発した。

 事件を処理したティグリス警察署によると、事件が発生したのは29日午前11時ごろ。午後0時半ごろ、署に通報が入り、署員が現場に駆け付け、3人を病院に搬送した。同署によると、井ノ上氏と運転手はほぼ即死状態で、奥氏が午後3時ごろ息を引き取ったといい、「奥氏は車中で射殺体で発見された」とした外務省の説明とは食い違っている。

 同署によると、右車線を走っていた大使館の車に、左側から犯人の乗った車が追走。その後並走しながら、機関銃を約25発発砲したとみられる。大使館の車は道路脇の畑に転落して停止した。犯人の車はそのまま逃走したらしい。

 目撃情報によると、犯人の車はセダン車か四輪駆動車だったという。

 一方、収容先の病院の話では、井ノ上氏は銃弾が左胸を貫通、奥氏は頭のほか左腹部、左肩を撃たれ、運転手は左脇腹などを撃たれていた。

 イラク駐留米軍の報道官は30日、今回の襲撃に関し「日本人外交官2人は売店に立ち寄り、食料と飲料水を買い求めた際に銃撃を受けた」と語った。しかし、外務省の堂道秀明・中東アフリカ局長は同日夕の記者会見で、「そうした情報は入手しているが、確認できる状況にない」と述べるにとどまっている。

 運転手を含む3人の乗っていた車両は日本大使館所有で、車体の底部を除いて防弾装備を施した「軽防弾車」。ナンバーなど「日本の車両と特定できるようなものは取り外してあった」(外務省幹部)が、警備車両は付けておらず、警備官も同行していなかった。使用された武器は小銃などの小火器の可能性が強く、車体には多数の弾痕があるという。

 外務省によると、日本政府には日本時間の30日午前0時40分ごろ、米英占領当局(CPA)から事件に関する第1報が入った。搬送先の病院にはパスポートなどがなかったが、その後、地元部族長のもとで発見され、奥氏らの身元確認を行った。奥氏ら2人の遺体はバグダッドに搬送され、隣国のクウェート経由で日本に運ばれる予定。

 一方、バクダッド南部の幹線道路で29日、イラク戦争を積極的に支持してきたスペインの情報機関員の車両が襲撃され、7人が死亡した。反米勢力の拡大の動きとみられている。

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朝日新聞 (12/01 01:02)
http://www.asahi.com/international/update/1201/001.html

駆けつけた警官「1人は息あった」 邦人2外交官殺害


 2人の日本人外交官が乗った四輪駆動車は、幹線道路わきの農地に約30メートルのわだちを残していた。車体は地元のディジュレ警察が引き上げ、暫定占領当局(CPA)に引き渡したという。現場のすぐそばの道路わきでジュースなどを売る売店を持つハサン・アリさん(43)は、「昼前に遠くで銃撃音が聞こえたので外を見ると、黒い四輪駆動車が道路からそれて、畑に突っ込んだ。車の中に日本人2人がいた」と語った。

 米軍広報官の話として、AFP通信は「一行は、食料や水を買うために売店近くに車を止めた」と報じたが、アリさんはこの話を否定した。

 アリさんの通報を受けたディジュレ警察は、5人の警察官を現場に派遣した。そのうちの1人のダラフ・ファリスさん(30)は、「イラク人運転手と助手席の日本人は息がなかったが、後部座席の日本人は、意識はないが息をしていた。大急ぎで、病院に運んだ」と語った。ファリスさんと一緒に日本人外交官を車から引き出したもう1人の警察官アフマド・サーレフさん(43)の制服のシャツには、その時の血が付いたままだった。「なぜ、日本人を狙ったのか。日本人はイラクの復興に協力してくれることは誰もが知っているのに……」と語った。

 ディジュレ警察はティクリートの南25キロにある。ディジュレ地区のシャーラン・アルクレイム行政長は「このあたりは略奪もあり、一方で米軍主導の占領に反対する武装勢力もいる。彼らは、何であれ、占領当局のもとで行われることを破壊しようとしているのだ」と語った。ディジュレ警察のカマール・アブドラ署長は記者を引き留めて、「治安が悪く、テロや強盗が起こっている、この地域で、日本の外交官がなぜ、護衛もつけず単独で走行していたのか。後で外交官だと知って非常に驚いた」と質問し、安全対策に疑問を投げかけた。

 午前11時過ぎだったと見られる事件発生から警察署への通報までは約1時間かかった。警察が現場からまだ息があったという外交官をティクリートの病院に運ぶまでに、さらに1時間以上かかった。「電話も救急車も何もなく、緊急事態にとても対応できない。復興に対する日本の支援が必要です」と行政長は訴えた。

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読売新聞  (2003/12/1/01:35)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20031130it12.htm

地面に血痕、遺留品は米軍が回収…外交官殺害の現場


 【ティクリート南郊(イラク中部)=ソブヒ・ハッダード特約通信員】井ノ上正盛書記官は助手席のドアから路面に崩れ落ち、奧克彦参事官は後部座席で血まみれだった――。イラク復興の任務を担う日本人外交官を襲った29日の悲劇。現場に駆けつけたイラク人警察官はこう証言した。

 記者(ハッダード)は30日昼、惨劇の現場に入った。ティクリート南方約15キロの村ムカイシファの近く。片側2車線の幹線道路をトラックなどがひっきりなしに通り過ぎる。農村地帯で民家はまばらだ。奥参事官らが乗った車は、この道路をティクリート市内へと北上していた。

 現場を管轄するディジュラ警察のマキ・ムスタファ警部らによると、井ノ上書記官は銃弾が胸を貫通し、即死状態。奧参事官は少なくとも頭と腹部に1発ずつの銃弾を受け、市内の病院に運ばれたが、1時間後に死亡した。2人が所持していた50ドル、10万イラク・ディナール、15ユーロ(計約1万3000円)の現金には手がつけられていなかったという。

 駐留米軍によると、奥参事官らは食料と水を買うため道路脇の売店に立ち寄ったところを襲われた。だが、見渡す限り、それらしい売店はない。走行中に銃撃された可能性もある。畑に突っ込んだ車や遺留品はすべて米軍が回収。事件の名残はタイヤのわだちと地面に染みこんだ血だけだ。

 フセイン元大統領の出身地ティクリートは反米武装勢力の拠点。反米感情はイラクでも最も強い。事件の背景は不明だが、ある警官は「米国を支援する日本は占領者の一部。警官の私でさえそう思う」と言った。日本の復興支援の前途には険しいものがありそうだ。

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読売新聞 (2003/12/1/14:17)
http://www.yomiuri.co.jp/world/news/20031201id04.htm

犯行の実像、いまだ不透明…2外交官殺害

 【バグダッド=久保健一】誰が何のために奥氏と井ノ上氏を殺害したのか――イラク中部ティクリート近郊で発生した日本人外交官殺害事件で、犯行の実像は、いまだにつかめていない。

 外務省や駐留米軍の発表と、地元警察の証言は、大きく食い違うが、事件の謎をめぐって、現場付近の情報を総合すると、殺害を目的とするテロの様相が色濃く浮かび上がった。


 ◆殺害の状況◆

 駐留米軍スポークスマンのマクドナルド准将は、車が襲われた時の状況について「水や食料を買うため沿道の売店前に車を止めた際、小火器で撃たれた」と述べた。

 だが、地元ディジュラ署の警官によると、奥、井ノ上両氏が乗った四輪駆動車は、バグダッドからティクリートに向かう道路から右側に数十メートルも入った畑の中で停止していた。買い物のためにしては不自然だ。

 30日、現地を取材した本紙のソブヒ・ハッダード通信員は、事件直前に旧型のトヨタ「クラウン」が、四輪駆動車を追走しているのを見た、という住民の証言を得た。同署は、奥氏らを乗せた車は、ティクリートに向け走行中、左側を並走する犯人の車両から銃の乱射を浴び、車は制御を失い、畑に突っ込んだ、と見ている。四輪駆動車の車体の左側には30発近い銃弾の跡が残されていた。

 ◆所持品◆

 ハッダード通信員によると、地元ディジュラ署の警官は、奥氏らが所持していた現金、パスポートなどは一切盗まれていなかったと証言した。2人が病院に搬送された際、所持品はなかったが、その後、現金は警察官が回収していたことが判明、パスポートについては、付近の部族長宅で2人のものが発見された。

 部族社会では、重大な問題が発生した場合、部族長にすべてを委ねる伝統がある。パスポートが部族長の手元にあっても不自然ではない。


 ◆発生時間◆

 外務省は米軍情報をもとに、襲撃された車は29日午後5時(日本時間同日午後11時)ごろ発見されたと発表した。だが、ディジュラ署の警官が住民からの通報で現場に駆けつけたのは、同日午後1時(同日午後7時)ごろ。

 奥氏らがバグダッドの日本大使館を午前10時ごろ出発したことは確認されており、約150キロ離れたティクリートまでは通常で2時間ほどの行程であることから、車は正午前後に襲撃されたと考える方が自然だ。

 ティクリートの病院関係者も午後2時前には2人が搬送されたと認めている。


 ◆防備◆

 地元警察は、襲撃に使用されたのは、カラシニコフ自動小銃との見方を示している。事実とすれば、車の上部だけに軽防弾が施されていたとされる2人の車は、現在イラク国内に大量に出回る「ごくありふれた武器」(地元記者)に無力だったことになる。

 車1台の単独行動は、故障した場合に立ち往生する点で、リスクが大きい。警備員を同乗させていなかった点でも、2人の警戒の甘さは否めない、との声もある。フセイン元大統領の出身地で反米武装勢力の拠点であるティクリートでは、一層の注意が必要だった。

 一方、警備の車列を組めば、逆に武装勢力の標的になりやすく、日本側にもジレンマがあるのは事実だ。


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東京新聞 (2003年12月1日)
http://www.tokyo-np.co.jp/00/kok/20031201/mng_____kok_____004.shtml

イラク警察、関与か
 駐留米軍の司令官指摘 


【アルアッバシーヤ(ティクリット南郊)=ハッセン・アブード】在イラク駐留米軍のサンチェス司令官は三十日、バグダッドで記者会見し、頻発する欧米の軍や外交官に対する攻撃に、米国で訓練を受けたイラク警察官と、民間人の通報者が関与している可能性がある、と述べた。米軍は在留軍の早期撤退を視野に、旧イラク治安勢力の再訓練を進めている。

 同司令官はまた、一連の攻撃に国際テロ組織アルカイダが関係している可能性があるものの、確定的な証拠はまだ見つかっていないとも述べた。

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京都新聞[共同通信記事] (2003年12月2日)
http://www.kyoto-np.co.jp/kp/topics/2003dec/02/K20031202MKB1Z100000024.html

外交官襲撃は「周到に準備」
 米高官、テロとの認識


 【ワシントン1日共同】イラクの日本人外交官殺害事件について、米政府高官は1日「(襲撃は)周到に準備されていた」と述べ、テロの可能性が極めて高いとの見解を示した。また、犠牲となった奥克彦参事官が連合軍暫定当局(CPA)と日本政府のパイプ役として「活動的だった」ことで標的とされた可能性を指摘した。

 事件の状況からこれまで、日本政府内でもテロの可能性が高いとの見方が出ていたが、米政府内でも同様の見方が強まっていることを示した発言といえる。

 別の米政府高官は事件について「犯人や犯行理由の結論は出ていない」としながらも、一連のテロで、フセイン元大統領に忠誠を尽くす残党と国際テロ組織アルカイダなど外国人テロリストが共闘する傾向を見せ始めており、今回の事件も両者の「結合」が排除できないとした。

 外国人を対象としたテロは「人々を脅して(イラクから)追い出す」ことが狙いとも分析。外国人は「(イラク復興に)より明りょうな形で携わっており、標的も増える」と事件の背景を説明した。

 バウチャー国務省報道官は1日の会見で奥参事官ら2人が「イラク復興に多大な貢献をした」と述べ、米政府としてあらためて弔意を表明。「なぜわれわれがイラクにいるのか、命をささげるほど重要な目的は何なのか、堅固な理解が(同盟国間に)ある」と述べ、事件にもかかわらず日本の自衛隊派遣に期待感を示した。

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【写真】1日、バグダッドの日本大使館前で警戒するイラク人の武装警備員(AP=共同)
http://www.kyoto-np.co.jp/kp/topics/2003dec/02/024.jpg

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毎日新聞  ( 2003-12-02-15:00 )
http://www.mainichi.co.jp/news/selection/20031202k0000e040070001c.html

日本外交官殺害:治安情勢考え、あえて護衛車両つけず単独行 


 【バグダッド福島良典】イラク北部ティクリート付近を車で移動中の日本人外交官ら3人が11月29日、武装グループに襲撃され死亡した事件で、外交官らは地域の治安情勢などを事前に検討し、安全対策上、あえて護衛の車両をつけずに単独で走行していたことが1日、分かった。日本政府筋が毎日新聞に明らかにした。また、日本人外交官の身元特定を避けるため、車のナンバープレートを外すなどの警戒措置を取っていたことも判明した。

 死亡した在イギリス日本大使館の奥克彦参事官(45)=イラク出張中=と在イラク日本大使館の井ノ上正盛書記官(30)が乗っていたのは在レバノン日本大使館が使用していたトヨタの「ランド・クルーザー」。防弾車だが、他メーカーの四輪駆動車に比べ、より高速での走行が可能だ。

 奥参事官らは大使館を出発する前、安全に移動するための手法として(1)1台の車で時速150〜160キロの高速走行を続け、襲撃に遭う危険性を減らす(2)速度を犠牲にして重防弾車を使い、前後に警護車両を走らせる――などの選択肢を検討。ティクリート地域で重装備の米軍車両に対する攻撃が頻発していることなどから(1)の単独走行を採用した。車を運転していたイラク人運転手のジョルジーズ・ズラさん(54)は高速走行を得意としていた。

 また、事件当時、ナンバープレートは事前に外して座席の下に置いてあり、車の外見上、日本人外交官と特定される要素はなかったという。しかし、先月30日には現場近くで韓国人技師の乗った車両が襲撃され2人が死亡する事件が発生しており、反米武装勢力がアジアの親米国民を狙い始めた可能性が高まっている。

 奥参事官らは事件当時、米英占領当局(CPA)民政部門のティクリート地域事務所がイラクの非政府組織(NGO)を集めた復興支援会議に出席するためバグダッドからティクリートに向かっていた。国際機関が援助活動を開始している他地域と違ってティクリート周辺は支援の手薄な「援助の空白地帯」で、奥参事官らは住民の要望などの情報収集に努めていた。

 3人の乗っていた車は窓や車体を強化した防弾車だったが、襲撃する側の銃の位置や大きさによって、銃弾が窓や車体を突き抜ける可能性はある。


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共同通信 (2003年12月2日)
http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2003/iraq3/news/1202-75.html

外交官殺害事件は「テロ」 政府、襲撃状況でほぼ断定 
  「日本標的」は未解明 


 政府は二日、イラクの日本人外交官殺害事件について、奥克彦参事官と井ノ上正盛書記官が襲撃された現場の状況や二人のこれまでの現地での活動内容などから、強盗目的や怨恨(えんこん)による犯行と考えられないとして、事件を「テロ」とほぼ断定した。

 同日までの外務省の調査で(1)二人の所持品に手が付けられていない(2)走行中の車に軍用とみられる銃を乱射した(3)奥参事官が地方の統治評議会など「親米派」の政治家と深いつながりがある重要人物として知られていた−などが判明。政府関係者は「大使館を出た時点から追跡されたか、ティクリット市街地の手前で排外的な集団が外国人が乗った車の待ち伏せをしていた可能性がある。テロそのものだ」と明言した。

 米軍などの撤退を狙った武装勢力の犯行とみられるものの、犯行声明など具体的な証拠は見つからず、犯人の標的が「日本政府」か、「在イラクの外国勢力一般」か、などは未解明。対外的にテロと認定した場合、ブッシュ米政権が推し進める「対テロ戦争」の直接当事者と自らを位置付けることになるため、「政府は慎重に言葉を選んでいる」(外務省筋)のが実情という。

 外務省に入っている地元警察の捜査状況や目撃情報によると、奥参事官らの乗った車は幹線道路を走行中、車で追い抜きざまに軍用銃のようなもので乱射を受けた。停車した車の周辺には薬きょうが残っておらず、二台の車ともかなりの高速走行中に起きた犯行とみられている。

 奥参事官は米軍主体の連合軍暫定当局(CPA)の設立以前から、米占領当局とのパイプ役としてバグダッドに赴任。日本政府によるイラク復興支援資金の供与先を市町村レベルまで綿密に調査するため、今回襲われた軽防弾車で移動することも知られていた。

(了) 12/02

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共同通信 (2003年12月3日)
http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2003/iraq3/news/1203-77.html

テロの可能性一層濃厚に 警備困難さ浮き彫り 


 【バグダッド3日共同】在英国大使館の奥克彦参事官ら二人の日本人外交官を乗せた軽防弾車が数台の車に囲まれて襲撃されたとの目撃証言は、襲撃が周到に準備されたテロの可能性があるとした米政府高官の指摘を裏付けるものだ。

 米政府高官は、連合軍暫定当局(CPA)と日本政府のパイプ役として「活動的だった」奥参事官らが標的とされた可能性を指摘した。

 警備員の同乗や警護車の同行がなかった点が問題視されているが、複数の車での襲撃には抵抗しようがなかったといえ、イラクで頻発するテロへの警備の困難さをあらためて浮き彫りにした。

 標的の車を複数の車が襲撃する方法は、イラク国内で頻発しているハイウエー強盗の手口と同じだ。今回の襲撃犯は金品に手を付けておらず、最初から奥さんらの車を襲ったとみられる。

 奥さんらが乗っていたのは黒色の四輪駆動車で、外国人が乗車していると推察された可能性はあるが、国旗やナンバープレートを外していたため、日本人外交官を標的としていたかどうかは不明だ。だが、バグダッドの日本大使館から追跡されていたことも考えられ、日本人外交官を狙った可能性は捨てきれない。

(了) 12/03

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共同通信 (2003年12月3日)
http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2003/iraq3/news/1203-81.html

外務副大臣「テロと判断」 日本人外交官殺害事件 


 外務省の逢沢一郎副大臣は三日午前、同省で記者会見し、イラクの日本人外交官殺害事件について、事件の状況から「単なる物取りではないという強い心証が得られつつある」と指摘、テロと判断していることを明らかにした。

 福田康夫官房長官も同日の記者会見で、テロかどうかとの質問に「その見方が強い」と強調した。

 逢沢氏は記者会見で、これまでの外務省の調査によって(1)イラクなど複数国の現金やクレジットカードを現場で回収した(2)襲撃を受けた四輪駆動車の主に左側に約三十発の弾痕が残っていた−などが判明したと説明。日本人や大使館関係者を計画的に狙ったかどうかについては「断定できる材料はない」と述べた。

 死亡した奥克彦参事官は現地時間で事件が起きた十一月二十九日の午前十一時(日本時間同午後五時)ごろまで、在バグダッド大使館と携帯電話でやりとりしていた、という。

 福田氏はイラクで発生しているテロの組織性について「外務省で情報分析している。テロは散発的に起こっているが、頻度が高いというのが私の認識だ」と強調した。

(了) 12/03

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共同通信 (2003年12月3日)
http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2003/iraq3/news/1203-84.html

四駆車含む3、4台並走 狙い撃ちか、新たな目撃 
   日本人外交官殺害事件 


 【バグダッド、ワシントン3日共同】イラクの日本人外交官殺害事件で、奥克彦参事官(45)らの車両は、並走していた四輪駆動車など三、四台の車に分乗した武装グループに襲撃されたことが二日、新たな現場目撃者の話で分かった。

 武装グループは参事官らの軽防弾四輪駆動車を三、四台の車で連携して威嚇する形で、追い抜きざまに左側の追い越し車線から自動小銃を乱射したとみられ、奥参事官らの車を狙い撃ちにした可能性が強まった。

 米政府高官は同日、共同通信に対し、米軍主体の連合軍暫定当局(CPA)が米同盟国である日本と韓国、スペインの三カ国を計画的に狙った連続テロとの見方を強め、米政府が中央情報局(CIA)などを動員、犯人グループ特定に向けた徹底捜査に乗り出したことを明らかにした。

 事件を目撃したのは、イラク北部のティクリット南方十数キロのムカイシファの現場近くで清掃作業や農作業をしていた複数のイラク市民。

 十一月二十九日正午から午後一時ごろの間、銃声が聞こえ「数百メートル先の幹線道路の方向を見ると、白っぽい四駆車と白のトヨタ製乗用車など四、五台の車列の最後尾に奥参事官らの車両とみられる黒色の四駆車が走行していた。白っぽい四駆車などは発砲を続けていた」という。

 銃撃したとみられる四駆車などはその後、加速してティクリット方向に走り去った。参事官らの車両は被弾後、急に減速して蛇行を開始。最終的に幹線道路右側に外れ、牧草地に約六十メートル突っ込んだところで停止した。地元警察官によると、奥参事官らの車は左側に約三十発の自動小銃の弾を受けていた。

 CPA当局は日韓とスペインが十一月二十九日から三十日にかけた同じ時期に襲撃、殺害されたことや、日本人外交官と韓国人技術者が事件当時に乗っていた車が一般のイラク人が所有している車種でないことに着目。犯行グループが米国と親交のある外国人と分かって追跡したとみている。

(了) 12/03

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共同通信 (2003年12月3日)
http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2003/iraq3/news/1204-88.html

米、CIA動員し徹底捜査 同盟国狙った連続テロ 
   日本人外交官殺害事件 


 【ワシントン3日共同=小片格也】イラクの日本人外交官殺害事件で、米政府は米中央情報局(CIA)などを動員、犯人グループ特定に向けた徹底捜査に乗り出した。米政府高官が二日、共同通信に明らかにした。

 事件を調べている米軍主体の連合軍暫定当局(CPA)が、米国の同盟国である日本と韓国、スペインの三カ国を計画的に狙った連続テロとの見方を強めたためで、捜査に全力を挙げている。

 CPA当局は、日韓とスペインが十一月二十九日から三十日にかけた同じ時期に襲撃、殺害されたことや、日本人外交官と韓国人技術者が事件当時に乗っていた車が一般のイラク人が所有している車種でないことに着目。犯行グループが、米国と親交のある外国人と分かって追跡したとみている。

 同高官は「犯行グループは特定できていない」とする一方で「CIAや米軍、国務省を動員、事件の真相を究明するため徹底した捜査を実施している」と述べ、事件に関する情報は日本政府に逐一報告していることを明らかにした。

 一方で同高官は、外交官殺害後、日本の政府・与党内でイラクへの自衛隊派遣に慎重論が出ていることについては「全面的に理解できる」としながらも、ブッシュ政権は来年六月に予定しているイラク暫定政権樹立以前に日本政府が自衛隊を派遣することを確信していると述べた。

 さらに、イラク復興を現地で続けている日韓やスペイン、イタリアなどの攻撃しやすい「ソフトターゲット」にテロの標的が拡大している事態に触れ「同盟国が(テロに屈して)イラク復興を後退させれば(武装勢力に)誤ったメッセージを送り、テロを助長するだけだ」と指摘。小泉純一郎首相が事件にもかかわらず、イラク復興政策を変更しないと表明したことを評価した。


(了) 12/03

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共同通信 (2003年12月3日)
http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2003/iraq3/news/1204-89.html

突然、前後ふさぎ銃乱射 逃げるヒマなく犠牲に 


 【バグダッド3日共同=上西川原淳】突然現れた車が前後をふさぎ、容赦なく自動小銃の乱射を浴びせた−。イラクの日本人外交官殺害事件を目撃した付近住民らの目撃証言や現場での取材から当時の様子を再現してみた。

 十一月二十九日、奥克彦参事官(45)と井ノ上正盛書記官(30)は北部ティクリットで開かれる復興支援の会議出席のためバグダッドの日本大使館を出発、黒の四輪駆動車で見通しの良い直線道路を快調に北上していた。警備は付かず、車内にはイラク国籍の運転手だけ。

 北部ティクリットまで約十数キロとなった昼すぎ。曇り空の下、片側二車線の道路の左側に並走するように車が現れた。気付くと既に、武装グループの車に前後を取り囲まれたような形になっており、突然、自動小銃の乱射が始まった。奥参事官らに逃げるヒマはなかったと思われる。

 「銃撃音とともに四、五台の車列が疾走してきた」と、道路路肩で清掃作業中だったファド・サタル氏。近くで農作業をしていたラード・マハムード氏も「白っぽい四輪駆動車と白のトヨタ製乗用車など四、五台の車列の最後尾に(奥参事官らの乗った)黒い四輪駆動車が走っていた」。

 銃撃は約一・五キロ、一分弱続いたという。検視の医者によると、撃ち込まれたのはロシア製自動小銃カラシニコフの弾。奥参事官らの車は一定程度の防弾仕様が施されていたが、至近距離からの連射には、なすすべもなかった。

 弾痕はフロントガラスにもあり、追い抜きざまに銃撃を加えた執拗(しつよう)さもうかがわせた。

 その後、奥参事官らの車は急に減速、車列から取り残されるように遅れた。「黒い車は蛇行を始め、食料品露店の手前から右の牧草地に突っ込んでいった」(マハムード氏)。牧草地の土には加速時のえぐれるような跡はなく、車は惰性で進んだとみられ、約六十メートル先で止まった。

 食料品露店店主のハッサン・フセイン氏が駆けつけた時、血の海となった車内の後部座席にいた奥参事官は息があり、うめき声を発していた。「三人は血まみれだった。助けようとしたが難しく、警察を呼んだ」 犯行後、武装グループの車列は一気に加速、そのままティクリット方面に走り去った。


(了) 12/03


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共同通信 (2003年12月3日)
http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2003/iraq3/news/1204-91.html

イラク派遣でかん口令 首相「ぺらぺら話すな」 


 「ぺらぺらしゃべればいいってもんじゃない。気を付けなさいと私から指示を出しておきました」。小泉純一郎首相は三日夜、イラクへの自衛隊派遣をめぐり政府部内に厳しいかん口令を敷いたことを明らかにした。

 これを受けて石破茂防衛庁長官は同日の首相との会談後、首相官邸の正面で待ち受ける報道陣を避けて、別の通用口から出るなど「逃げの一手」。福田康夫官房長官は記者会見で派遣問題に関して「これ以上お聞きにならないようにしていただきたい」と記者団に声を荒らげた。

 国民への説明を置き去りにしたまま、派遣時期の最終判断に踏み切れない政府の焦りばかりがクローズアップされた格好だ。

 小泉首相は、官邸で記者団に石破氏の「脱出劇」を指摘され、「あまりにも情報が漏れすぎるから。秘密にしなければならない情報もあるんです。そこを理解しないと」と強調。説明時期については「しかるべき時です」と三度も繰り返した。

 福田氏は記者会見で「具体的なことは言えない」の一点張り。記者団が食い下がると「決めていない、中身がないのに説明できない。あなた方は憶測に基づいて(新聞に)書いているじゃないですか。それは一体どういうことか」と「逆ギレ」状態。石破氏の行動に関しても「全くそういう指示はしておりません。疑い深いですね。本人に聞いてください」と述べた。

(了) 12/03


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共同通信 (2003年12月4日)
http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2003/iraq3/news/1204-99.html

銃撃は車体左側に集中 窓ガラス、ドアに弾痕 
  襲撃受けた車の写真公開 


 外務省は四日午前、イラクの日本人外交官殺害事件で襲撃を受けた四輪駆動車の写真三枚を公開した。現地から電子メールで送信された。

 米軍から入手したもので、車を正面、左側、右側からそれぞれ撮影した。弾痕は車体左側に集中、特に窓ガラスに多数の弾を受けた跡があり、一部は貫通しているように見える。ドアにも複数の弾痕らしきものがあった。また、フロントガラスやボンネットにも弾痕があった。

 逢沢一郎外務副大臣は同日の記者会見で、「事件の重大性にかんがみ、国民の理解のため写真の一部を公開することにした」と述べた。

 その上で車体の状況や殺害された奥克彦参事官ら二人の所持品が現場に残されていたことをあらためて指摘、「単なる物取りではなくテロの可能性が濃厚との判断に傾いている」と強調した。


(了) 12/04
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【写真】外務省が公開した、左側窓ガラスに多数の弾痕が残る日本人外交官が乗っていた車両
http://news.kyodo.co.jp/kyodonews/2003/iraq3/img/pix1204-22.jpg

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